富士通は、Windows 8を搭載した新製品9シリーズ19機種を発表した。女性専用Ultrabookとなる「Floral Kiss」や、タブレットとしても取り外して利用できるハイブリッド型「STYLISTIC QH77/J」など、新たなコンセプトの製品も投入。2012年10月26日から順次発売する。
新製品では、Windows 8の特徴であるタッチ機能に合わせ、タッチパネルや大型フラットポイント、ワイヤレスタッチパッドなどのほか、視線の動きだけで画面を上下左右に動かすことできる視線アシスト機能、Webカメラに手をかざすだけで操作できるハンドジェスチャー機能を搭載するなど、機種にあわせたユーザーインターフェイスを採用しているのが特徴となっている。
富士通の齋藤邦彰執行役員は、「Windows 8を快適に操作するために、ヒューマン・セントリック・テクノロジーを追求した。この操作性により、Windows 8を150%楽しめる」などと語った。
また、富士通の大谷信雄執行役員常務は、「1人が撮影する写真は10年前には年間50枚以下だったが、それがいまは350枚程度になり、1日に1枚撮影するようになっている。こうした環境変化の中で、家庭内にあふれる情報を束ねること、情報家電とシームレスに活用できるかが、新たなPCの役割になる。PCの役割は、Power & Funであり、PCならではのデジタルデータセンターとしてパワーを生かすことが大切であり、シームレスにつながることでFunが実現する。富士通が目指す方向とWindows 8の目指す方向は同じである」と語った。
富士通 大谷信雄執行役員常務 | 富士通 齋藤邦彰執行役員 |
ノートPCのLIFEBOOKシリーズでは、AHシリーズの上位モデルとなる「AH78/JA」および「AH77/J」でデザインを一新。15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載しながらも、20.8mmの薄さを達成し、同クラスのクアッドコアCPU、BDドライブを搭載したノートPCとしては世界最薄を実現したという。本格派志向のAVフラグシップPCと位置づけるAH78/JAでは、CPUにCore i7-3632QMを搭載するとともに、フルHD液晶を採用。面積比で2.4倍に広げた大型タッチパッドにより、Windows 8環境でも操作しやすい環境を提供できるという。
また、モバイルノートとなるSHシリーズでも新たなデザインを採用。上位モデルの「SH76/J」では、第3世代通常電圧版となるCore i5-3210Mを採用。13.3型ワイド液晶を搭載し、光学ドライブを採用しているノートPCとしては世界最薄となる19.9mmを達成。約1.36kgの重量と、約13時間のバッテリ駆動を実現しているという。SHシリーズでは、モバイルマルチベイ構造を採用しており、標準添付しているスーパーマルチドライブユニットのほか、別売りの500GBの増設用ハードディスクユニットや増設用バッテリユニット、モバイルプロジェクターユニットなどを利用できるようにしながら、世界最薄を達成した」(齋藤邦彰執行役員)という。
UltrabookのUHシリーズでは、HDDを搭載したノートPCとしては世界最薄となる15.6mmを実現するなど、従来モデルを踏襲。Windows 8に対応した。
デスクトップのESPRIMOシリーズでは、23型液晶ディスプレイを搭載したFHシリーズにおいてデザインを一新。従来モデルよりも約1cmの薄型化、1.6kgの軽量化を実現。8W+8Wのパイオニア製のスピーカーを搭載したほか、約1.5秒で起動する3波クイックテレビに対応するなど、AV機能の強化も果たしている。FHシリーズでは21.5型液晶ディスプレイ搭載モデルも用意した。さらにコストパフォーマンスを追求した20型液晶ディスプレイを搭載したEHシリーズでは、Aver TV 8でのTV番組の長時間録画にも初めて対応している。
今回発表されたWindows 8搭載の新製品群 | 本格派志向のAVフラッグシップPCとするLIFEBOOK AH78/JA |
新たなデザインを採用したLIFEBOOK SH76/J | 23型液晶ディスプレイを搭載したESPRIMO FH98/JD |
女性専用UltrabookとなるFloral Kiss |
女性専用Ultrabookとなる「Floral Kiss」は、お洒落女子のプライベートPCをテーマに、女性だけのチームによって開発設計されたモデルで、爪が長くても開けやすいクラッチ形状のカバーや、真珠を施した電源ボタンや、ダイヤカットなどを利用することによるキラキラ感を演出。ホワイト、ライトピンク、ブラウンの3色を用意するとともに、丸い小型のワイヤレスマウスやACアダプタも本体デザインと統一するといったこだわりをみせている。富士通のロゴも天板には用いないというデザイン面での配慮も行なわれている点も見逃せない。キーボードはローマ字表記だけにしている。
同製品では、ageteとのコラボレーションモデルも用意され、11月26日に発売されることになる。
同社では、「これまでの女性向けPCは、天板を変えたり、色を変えただけのものであったが、女性目線にこだわり、細かいところにまで配慮した。いつでもお洒落に楽しく過ごしたいという女性のためのPC」としている。
ホワイト、ライトピンク、ブラウンの3色を用意 | 丸い小型のワイヤレスマウスも本体デザインと統一 |
爪が長くても開けやすいクラッチ形状の筐体デザインを採用 | 女性の開発チームによって商品企画が行われた |
ノートPCとタブレットPCのハイブリッド型製品として投入するSTYLISTIC QH77/Jは、液晶ディスプレイ部を取り外して利用できる点が特徴。取り外した液晶部の薄さは12.7mmで、重量は約850g。手に馴染みやすくグリップ感の高いデザインを採用しているという。タブレット単体では約4.8時間のバッテリ駆動を実現。キーボード部を接続したノートPCスタイルでは約10.7時間のバッテリ駆動を実現している。CPUにはCore i5-3427Uを搭載。64GBのSSDを採用するとともに、指紋センサーも搭載している。指でタッチする機能に加えて、細かい操作に便利なペン入力機能に対応しているのも特徴だ。
「ハイブリッド型のPCは他社にもあるが、この製品は、タブレットとして使用したときに高性能であること、薄型であるという点が特徴である」(齋藤邦彰執行役員)とした。
さらに、Windows 8を搭載した「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」も投入する。これまでARROWSブランドの製品は、Androidを搭載したモデルに限定されていたが、今回からWindowsにまでその幅を広げることになる。
タッチパネル方式の10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載し、スーパーグライドコーティングによる滑るようなタッチ操作を実現しているのが特徴。IPX5/7/8相当の防水、IP5X相当の防塵対応でありながら、9.9mmの薄さを実現。「世界最薄のWindows 8搭載防水タブレットとして、場所やシーンを気にせずにWindows 8を持ち歩ける」(齋藤邦彰執行役員)としている。
ハイブリッド型PCのSTYLISTIC QH77/J | Windows 8を搭載したARROWS Tab Wi-Fi QH55/J | ARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jを水に入れる富士通の齋藤執行役員 |
ARROWS Tab Wi-Fiを手に挨拶する日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏 |
ゲストとして登場した日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「Windows 8は、タブレットとしての機能を備え、従来の資産も活用できる。そして、キーボードとマウスをつなげれば生産的な作業もできる。幅広いニーズをカバーする、今考えられるベストな解のソリューションになる。富士通は、タブレットには早い時期から取り組んでおり、今回のタブレットは、そのノウハウの集大成になる。富士通も広告宣伝に投資をするが、マイクロソフトも過去最大の投資を行なう。年末商戦から春にかけて盛り上げていきたい。日本の製品で、もう一度日本を盛り上げたい。MADE IN JAPANのPCを購入して、日本を元気にしてほしい」などとした。
また、樋口社長は、今日から次期Office製品への無料アップグレードプログラムを開始することを発表。「今Officeを購入すると、次期Officeが発売された時点で、無料で最新Officeがダウンロードできるようになるので、富士通の最新PCを購入すると新たなOfficeが無料で手に入る」と語った。
質疑応答の中では、ノートPCとタブレットPCの棲み分けに関して、富士通の齋藤邦彰執行役員が回答。「タブレットの登場によって、フォームファクターの広がりが起きている。どこでも使える、誰でも使える方向に広がっている。タブレット登場は、既存のPCと一部競合するところもあるが、むしろ使える人を増やす方向につながると考えている」とした。
また、Windows RTについては、「RTに関しては、フルコンパチをRTでできるかが鍵。これが実現できるような方向でアプローチをしている。これがうまく行けばその方向で進めたい」などと、将来的には市場投入する方向で検討していることを示した。
一方、個人向けクラウドサービス「My Cloud(マイクラウド)」でも新たなメニューを追加した。
夏から提供している「Photoサービス」を強化したほか、自宅のレコーダーやTV機能搭載PCなどに録画してある番組を一元的に管理し、PCやTV、スマートフォン、タブレットなどのさまざまな機器で楽しむことができる「TV・AVサービス」、外出先からスマートフォンで運転をコントロールできる「ECOサービス」、PCの状態を管理し最適な情報や、サポートおよびサービスを紹介する「Best Life Support」のほか、5GBまで無料で使えるオンラインストレージサービス「My Cloudライブラリー」、外出先からスマートフォンで自宅のPCにアクセスできる「My Cloud モバイルアクセス」も提供する。
富士通の大谷信雄執行役員常務は、「手元に情報を残しておきたいという場合のPCクラウドストレージとしてのMy Cloud-Pと、災害時などにも大事な情報を格納しておけるサーバーを活用したMy Cloud-Sの2つのクラウドを、ハイブリッドの形で用意しているのがMy Cloud。今後もこの姿勢で提供をし続け、拡張していく。また、富士通は、My Cloudに最適な、使い勝手のいいハードウェアをセットで提供していく。Windows 8は、富士通のサービスにとって欠かすことができないものになる。また、今後は外部のサービスとも連動し、収益モデルを考えていくことになる。さらに海外展開も検討していくことになる。今後、ハードウェア単体だけでは収益が厳しくなってくるだろう。Windows 8とMy Cloudの組み合わせによってPC事業を拡大していく」などとした。
また、富士通の齋藤邦彰執行役員は、「My Cloudは、人とPCが生活の中心となり、生活をもっと楽しくできるサービス。Photoサービスでは、PCに取り込んだ写真をイベントごとに自動で整理し、PCから簡単にスマートフォンに取り出して見ることができるようになった。また、ECOサービスにおいては、ECHONET Lite対応にした世界初のPCになる。富士通は幅広い製品ラインアップで、My Cloudに対応する。海外展開は早ければ来年から開始したい」などとした。
個人向けクラウドサービス「My Cloud(マイクラウド)」でも新サービスを展開 | 外出先からエアコンの運転をスマトーフォンでコントロールするサービスも用意 |
左から齋藤執行役員、EXILEのMAKIDAIさん、E-GirlsのAmiさん、藤井萩花さん、KARENさん、樋口社長、大谷執行役員常務 |
会見には、特別ゲストとして、EXILEのMAKIDAIさんのほか、E-GirlsのAmiさん、藤井萩花さん、KARENさんが登場。夏モデルに引き続き、EXILEとE-Girlsが出演する新CMも披露された。
TV CMは、3種類が制作されており、EXILEのTAKAHIROさんが登場する「My Cloud篇」、MAKIDAIさんによる「メインマシン篇」、E-Girlsによる「女子旅篇」が放映されることになる。
トークセッションでMAKIDAIさんは、「撮影でARROWS Tab Wi-Fiを触ったがスタイリッシュで、とても軽い。プライベートも仕事でも、役に立つ製品製品だと感じた。またMy Cloudは大切な写真を保管できるという点ですばらしい。My CloudのTV CMではTAKAHIROがEXILEになる日まで追ったものになっている」とコメント。
Amiさんは、「CMテーマが女子旅であり、普通に楽しんでしまった。Floral Kissは、女子心をくすぐる製品。持っているだけで女子力を上げてくれる。欲しいと思った」とし、藤井さんは「電源がパールデザインであったり、マウスが小さかったり、長い爪でも開けやすいなどの点が気に入った」と発言。KARENさん「毎日、触ってみたくなるPC」などとした。
(2012年 10月 19日)
[Reported by 大河原 克行]