小学生がUltrabookの組み立てに挑戦!
~島根富士通でパソコン組み立て教室を開催

組み立て教室が行なわれた島根県出雲市の島根富士通

8月4日 開催



 富士通および島根富士通は、2012年8月4日、ノートPCの生産拠点である島根県出雲市の島根富士通において、小学校5年生から中学3年生までを対象とした「富士通パソコン組み立て教室」を開催した。

 組み立てたのは、富士通が今年6月から発売しているUltrabook「LIFEBOOK UH75」。HDDを搭載したPCとしては、世界最薄の15.6mmを実現。CPUにはCore i5-3317Uを搭載、14型液晶ディスプレイを採用しており、重量は1.44kg。島根富士通で生産している「出雲モデル」となる。

 「島根富士通の社員から、なんてとしてでもUltrabookで組み立て教室をやりたいという声が挙がっていた。島根富士通のスタッフにしかできない難しい部分は事前に組み立てておくが、それ以外の部分は子供たちに体験してもらうようにした」(島根富士通 総務部課長・木村誠治氏)という。

 7回目となった今回の島根富士通での組み立て教室は、ノートPCを実際に組み立てる「ものづくり体験」と、工場ならではの施設を体験できる「パソコン工場見学」で構成。とくに、パソコン工場見学では、スタンプラリー方式で、さまざまなイベントに参加できる形になっていたのが特徴的だ。スタンプラリーは、社員が知恵を絞って企画し、子供たちが楽しめる内容としていた。

 同社では、「パソコン組立教室は、小中学生の科学に対する興味や関心の育成、また、地元企業として地域への社会貢献を目的に開催しているもので、学校では体験できない親子によるものづくりの貴重な体験によって、ICTに興味を持っていただく場にしたい」としている。

 参加費用は84,800円。組み立てたPCは、島根富士通で最終的な検査を行なったのちに、参加者の手元に送られる。

●LIFEBOOK UH75の組み立て

 今回の組み立て教室には、全国から61組の応募があり、その中から選ばれた28組の親子が参加。地元である島根県出雲市からの参加が最多の17人となったが、北は栃木県、南は沖縄県からの参加があり、南北から最も遠かった参加者には、それぞれに「だんだん(島根の言葉で、ありがとうの意味)賞」として、島根県の銘菓が贈られた。

 参加者の内訳は、小学5年生が5人、小学6年生が6人、中学1年生が5人、中学2年生が6人、中学3年生が6人。また、男の子が19人、女の子が9人となった。

 LIFEBOOK UH75は、通常の生産工程では、110点の部品、3種類32本のネジを使用するが、組立教室では30点の部品、3種類24本のネジを使用して組み立てた。

 また、1台あたり10分で仕上げる組立時間を、今回の組立教室では、約1時間30分で組み立てる内容としている。

 2色用意されているカラーリングは、サテンレッドの希望者が圧倒的に多く22人に達し、サテンシルバーを選んだ参加者は6人となった。

 組立教室の冒頭に挨拶した島根富士通の宇佐美隆一社長は、「日本で発売されているUltrabookのうち、日本で生産しているのは、島根富士通のLIFEBOOK UH75だけである。Ultrabookは薄いので組み立てるのが大変ではないか、と思うかもしれないが、日本の匠にしかできない部分はすでに組み立てている。また、匠たちが横に付いてサポートしてくれているので、確実に作ることができる。安心して、最後までがんばって完成させて欲しい」と語った。

 静電気防止のアースバンドや、手袋、エプロンなどを着用し、ドライバーの使い方の簡単な練習を行なったあと、午後1時30分頃から実際の組み立てが開始された。

 午後2時5分には前半の組立作業が完了。10分間の休憩を挟んで、午後2時15分からは後半の組立作業を開始。午後2時55分には組立が完了した。

 午後3時には、全員で一斉に電源スイッチを押し、すべてのPCが無事に起動した。

 その後、全員で基板製造ラインやPC組立ラインを見学。スタンプラリー方式で、工場ならではの各種体験を行なった。午後5時にはすべてのスケジュールが終了した。

 組み立て教室の様子を写真でみてみよう。

組み立て教室が行なわれた島根県出雲市の島根富士通組み立て教室では地元のゆるキャラが参加。左から、あらエッサくん、よすみちゃん、ゴビィ組み立て教室でスタッフが着用したTシャツを手にする宇佐美隆一社長
挨拶する島根富士通の宇佐美隆一社長司会進行を務めたのはロンドンオリンピックから帰国したばかりの錦織圭と自己紹介したが、実は苗字の漢字が同じ、島根富士通の社員の錦織(にしこおり)卓也氏
組み立てるLIFEBOOK UH75は5つの特徴を持つという組み立てたLIFEBOOK UH75
組み立てる部品。通常は32本のネジを使用するが組み立て教室では24本
組み立てに使用する部品点数は約4分の1となる30点とした組み立てが始まったパソコン組立教室の様子まずはドライバーの使い方の練習から開始
最初にアッパーカバー(手前)と、液晶パネルを取り出す液晶ディスプレイとアッパーカバーの取り付けを行なうネジ締めを行なう。薄い筐体のため液晶部に負荷がかからないようなネジ締め方法
ネジ締めが終わると、蓋を閉める格好で2つに折るLIFEBOOK UH75ではボトムケースに部品を組み付けるのではなく、キーボード側(アッハーカバー)の裏に部品を組み付ける格子上の樹脂フレームを取り出す。このパーツがLIFEBOOK UH75独自の超圧縮デュアルグリッド構造を実現する
ここでメインボードが登場。複雑な形をしている折れやすいので両手で持つなど、持ち方にも細かい指示がでた慎重にメインボードをアッパーカバーに取り付ける
メインボードを固定する。ドライバーの先が小さな部品に当たらないように注意メインボードが搭載された状態オーディオボードの取り付け。コネクタを接続する
グライドポイント(パッド)のフレキケーブルを接続キーボードのフレキケーブルを接続するリチウム電池の取り付けを行なう
続けて指紋ボードの取り付けを行なう指紋ボードとリチウム電池のフレキケーブルを取り付け参加者の組み立ての様子をみてまわる宇佐美社長
ここで前半が終了。ゆるキャラと写真を撮影する参加者たちも後半はDC-INケーブルの取り付けから開始ファンの取り付け作業
LCDケーブルを接続するワイヤレスLANモジュールを組み込むHDDシートを置く
ここでHDDを取り出すHDDを取り付けるHDDの上に透明のシートを貼る
バッテリを取り付けるバッテリをネジで固定するバッテリケーブルを差し込む
バッテリケーブルを差し込むと、一瞬LEDが青く光り接続されたことを確認すべて部品が取り付けられた状態ボトムケースを取り出す。背面まで塗装されたものとなっている
10本のネジを使って、カバーを固定するネジ隠しのゴムを取り付けるゴムを取り付けた状態
ネジ隠しのゴムは場所によって5種類を使い分けるこだわりこれですべての作業が完了カウントダウンを行ない全員でPCを起動
電源スイッチを押してみる画面には参加者の写真が表示され、思わず歓声があがる

●工場見学およびスタンプラリーの様子

基板の生産ラインを見学する組み立て教室の参加者げんこつロボットと呼ばれる装置。人の手のように動かすことができるもので、今回は文字を書いたり、スタンプを押したりといった作業を行なった
参加者は自分でげんこつロボットのボタンを押してスタンプを押した時速5kmで歩きながら部品をピックアップする作業を体験ピックアップしたEXILEのCDや、USBメモリはそのままプレゼント
「パソコンの試験をやってみよう」というコーナーでは、指示通りにキーを押したり、パッドを操作したりといった速度を競った電動ドリルを使ってネジ締めを体験
島根富士通の「匠」との競争。匠は参加者よりも10本多くネジを締めたがそれを上回る速さだった参加者が組み立てたのと同じUltrabook「LIFEBOOK UH75」の上に乗ってみる。200kgfまでの耐荷重を実現
筆者も富士通のスタッフとともに乗ってみることにマウスのインクジェット刻印を体験。参加者の名前を印字した。マウスはブレゼント
チャンバーに入ってみる体験も実施。低温槽では0度。高温槽では温度40℃、湿度80%の状態でPCを試験。高温槽に入ったあとはアイスをプレゼント
チャンバーに関するクイズを実施。高温、低温でテストするのは長期間PCを使っても壊れないことを確かめるため6カ所のスタンプラリーを終了すると、島根県の名所の名前で埋まる休憩時間は展示されているPCを自由にプレイできる
最も遠くから訪れた参加者には、だんだん賞を、あらエッサくんから授与午後5時にはすべてのスケジュールが終了。宇佐美社長(右から2人目)らが参加者を見送った

(2012年 8月 6日)

[Reported by 大河原 克行]