Tim Handley氏 |
日本ギガバイト株式会社は27日、都内で記者会見を開き、台湾本社から来日したマーケティング部門副部長のTim Handley氏が、4月上旬に発売予定のIntel Z77 Expressチップセットを搭載した次期マザーボードシリーズを紹介した。
今回の説明会では、ギガバイト製マザーボードの機能およびIntel Z77の特徴にのみついて触れ、次期CPU「Ivy Bridge」に関する情報、およびマザーボードの価格については明らかにされなかった。
日本に投入されるモデルは、Extended ATXが「G1.Sniper 3」、ATXが「GA-Z77X-UD5H/同 WiFi」、「GA-Z77X-UD3H/同 WiFi」、「GA-Z77X-D3H」、「GA-Z77-D3H」、「GA-H77-D3H」、microATXが「G1.Sniper M3」、「GA-Z77MX-D3H」、「GA-Z77M-D3H」、「GA-H77M-D3H」、「GA-B75M-D3H」。このうちIntel Z77 Express搭載が8モデル、Intel H77 Express搭載が2モデル、Intel B75 Express搭載が1モデルとなる。
G1.Sniper 3 | G1.Sniper M3 | GA-Z77X-UD5H |
GA-Z77X-UD3H | GA-Z77X-D3H | GA-Z77-D3H |
GA-Z77M-D3H | GA-75M-D3H |
チップセットの比較 | 新旧マザーボードの比較 |
このうち、ゲーミング向けExtended ATXのG1.Sniper 3、ハイエンド向けATXのZ77-UD5H/同 WiFi、ミドルハイ向けATXのZ77X-UD3H/同 WiFi、ゲーミング向けmicroATXのG1.Sniper M3は、新たな独自品質規格「Ultra Durable 4」をサポート。オール固体コンデンサや低RDS(on) MOSFET設計による防熱性、新開繊クロス式PCB採用による防湿性、高ESD抵抗ICの採用による防静電性の強化、抗サージ特性ICの採用による防電断性の強化を付加した。
このうち防湿性についてTim氏は「日本やシンガポール、台湾など、夏の台風時期は湿度が高く、これによって故障を引き起こす場合もある。今回これらの地域に向けて改善を行なった」という。一方、防静電性についても、「日本は冬の時期乾燥し、静電気がよく起きる。今回我々は業界のスタンダードと比較して3倍の静電気に耐えうるIC(8KV)を採用することで対処した」という。
Ultra Durable 4の企画 | 防熱性 | 防湿性 |
防静電気性の強化 | 防電断性の強化 |
また、microATXのZ77M-D3H、H77M-D3H、B75M-D3Hの3モデルを除く全モデルで、デジタルPWMを採用。CPU、内蔵グラフィックス、メモリ、VTTの4カ所にデジタルPWMコントロールICを採用することで、ソフトウェア「3D POWER」上から電圧やスイッチング周波数を調節できるようになり、オーバークロック耐性を高められるという。
このほかギガバイトならではの、2つの物理ROMを備えることで片方の破損を防ぐ「Dual UEFI BIOS」、Intel X79モデルでも採用され、直感的に操作できる「3D BIOS」を搭載した。
一部モデルで採用される3D POWER | 3D BIOSのUI。初心者向けのグラフィカルUIのほか、上級者向けの従来の項目選択式も用意される |
Intel 7シリーズの特徴としては、まずPCI Express Gen3に対応したことを挙げた。「Gen2とGen3では大差がないと思われるかもしれないが、GPUを使用したMediaEspresso 6のビデオコンバートでは約25%の性能向上が実証されている」という。また、一部モデルでは3wayまたは2wayのSLI/CrossFire Xも可能となっている。
Lucid Virtu MVPのサポートも新たなトピックで、Ivy Bridgeの内蔵グラフィックスによりディスクリートGPUの性能も引き上げられる。Tim氏によれば、2万円クラスのGPUと組み合わせた場合、5万円クラスのGPUに匹敵する性能が得られるという。
PCI Express Gen3への対応 | Virtu MVPの特徴 | Virtu MVPのサポートによる性能向上 |
今回、ATXモデルすべてでmSATA対応のコネクタを標準装備したのもトピック。Intel Z68 ExpressでもサポートしていたIntel SRTに加え、ハイバーネーションファイルをmSATAのSSDに書き込むことで、待機時の消費電力削減と、高速な復帰を実現できる「Intel Rapid Start」をサポート。また、スリープ時でも自動的に復帰して、メールデータを同期し、終了するとまたスリープ状態に戻す「Intel Smart Connect」もサポートした。
ATXモデルでのmSATAコネクタの標準装備 | G1.SniperのmSATAコネクタ | Z77X-UD5HのmSATAコネクタ |
GA-Z77-D3HのmSATAコネクタ | Intel SRT、Intel Rapid Start、Intel Smart Connectをサポート |
G1.Sniper 3、Z77X-UD5H、Z77X-UD3Hでは、要望が多かったオンボードCMOSクリアボタン、リセットボタン/電源ボタン、デバッグLED、PCI Express補助用SATA電源コネクタ、BIOS切り替えスイッチを追加した。
電源スイッチやデバッグLEDのオンボード搭載 | Z77X-UD5Hにおける実装 |
電源OFF時でもUSBへ給電することで、スマートフォンなどを充電できる「ON/OFF Charge」、3倍のUSBバスパワー「3X USB Power」は従来から踏襲。新型iPadの充電もテスト済みとしている。新たに1 USBポートあたり1個のフューズを採用することで、フューズが切れても全ポートが使用できなくなる問題を回避した。
また、Intel X79 Expressマザーボードの一部にも採用された、IEEE 802.11a/b/g/n+Bluetooth 4.0対応コンボカードを、UD5HとUD3Hに同梱。Wi-Fiを多用するデバイスやクラウドサービスに対応できるとした。
1ポートあたり1フューズを採用 | Wi-Fi+Bluetooth 4.0コンボカード | ラインナップ一覧 |
Intel B75 Expresを搭載したB75M-D3Hは、普段使いのホームPCや、中規模以下のビジネスにも好適とし、ギガバイトとしては初めてビジネス向けチップセットを日本市場に投入する。小規模ビジネス管理者向けのツールや、USBデバイス制御、PCヘルスセンター、Eメールによるエラー通知などの機能を備えながら、従来のIntel H61 Expressと同価格帯に投入。ハードウェア面でも、USB 3.0やSATA 6Gbpsなどのアドバンテージがあるとアピールした。
Q77/B75/H61の機能比較 | B75M-D3Hのターゲット | 管理者向けツールの充実 |
セキュリティ強化と生産性向上のためのツール群 | セキュリティツールなど | B75M-D3Hの特徴 |
●G1.Sniper 3/M3ミニフォトレビュー
発表会後に、G1.Sniper 3と、G1.Sniper M3を借用できたので、写真を中心に見た目の感想をお届けしたい。
G1.Sniper 3は、Intel Z68 Expressを搭載した「G1.Sniper 2」の後継となる。新たにPCI ExpressのHubを追加搭載し、スロットを上部に1段詰めることで、4wayのSLI/CrossFireXが可能になったのは、最大のトピックと言えるだろう。ヒートシンクも、武器をあしらったデザインから、一般的な形状に変更されている。
また、USB 3.0ポートに関しては、USB 3.0 Hubチップとなっている「VL810」を採用する点もユニーク。このアプローチを取ることで、バックパネルのUSBをすべて3.0対応としているほか、サウスブリッジのPCI Expressレーンに比較余裕を持たせ、代わりにMarvellのSATA 6Gbps対応コントローラ「88SE9172」を2つ搭載。チップセット内蔵とあわせて、合計で6基のSATA 6Gbpsポートを備える。
その一方で、ネットワークは従来のBigfoot Networksブランドの「Killer E2100」から、Qualcomm Atherosブランドの「Killer 2201」+Intelの「82579V」となった。Killer E2100では、PowerPCベースのCPUとDDR2メモリの組み合わせで、かなり基板面積を占有していたが、Killer 2201ではかなりコンパクトになっている。おそらく処理がかなり単純化されているのだろう。
また、サウンド機能も、Creativeの「CA20K2」(X-Fi Xtreme Fidelity)から、「CA0132」(Recon3D)へと変更され、こちらも基板面積が縮小している。CA20K2もCA0132も同じクアッドコアのサウンドDSPだが、前者が400MHz駆動なのに対し、後者は200MHz駆動だ。つまり単純なDSPとしての性能はCA20K2のほうが上のはずだ。
また、G1.Sniper 2ではCirrus Logic製のDAC「CS4382A」や、JRCの2chオペアンプ「4556A」、STの2chオペアンプ「4558C」を搭載するなど、オンボードサウンドの割にはかなり力の入ったアナログ出力段設計となっているが、G1.Sniper 3ではCA0132内蔵のDAC直結となっているようだ。いずれにしても、ネットワークとサウンド機能についてはグレードダウンした印象は拭えない。
G1.Sniper 3 | CPUソケット周辺 | mSATAコネクタ |
USB 3.0 HubチップであるVL810 | バックパネル側にもVL810を装備 | CA0132。シールドに一部隠されているが、Killer 2201も見える |
Intelの82579V | 拡張スロットは合計7基となった | バックパネルのUSBはすべて3.0対応 |
一方、G1-Killerシリーズ初となるmicroATXモデルのG1.Sniper M3は、ゲーミングマザーとしては比較的シンプルな実装を採用しているのが特徴。CA0132を採用する点はATXモデルと同様だが、Killer 2201は搭載されず、82579Vのみとなっている。また、PCI ExpressのHubチップやUSB 3.0 Hubチップ、SATA 6Gbpsの追加チップなどもなく、比較的すっきりとしたレイアウトが印象的だ。
G1.Sniper M3 | CPUソケット周辺 | CA0132 |
拡張スロットはPCI Express x16形状が3基、PCI Express x1が1基 | 追加のSATAチップはなく、シンプルな構成 | バックパネル |
(2012年 3月 28日)
[Reported by 劉 尭]