ASUSTeK、Intel Z77 Expressマザーボードを紹介

3月5日 実施



 ASUSTeK Computerは5日、都内でIntelの次期チップセット「Intel Z77 Express」を搭載したマザーボードに関する製品説明会を開催し、独自機能などを公開した。

 説明会ではASUSTeKの独自機能のみにフォーカスして紹介され、仕様としてはIntel Z77 Expressは次期メインストリーム向けCPUであるIvy Bridgeに対応するとのみ公開された。また、発売時期や価格などについては一切コメントしなかった。

 ただし展示されているマザーボードを見ると、追加チップなしで4ポートのUSB 3.0を実現していること、追加チップありでそれ以上のUSB 3.0ポートを持っていることから、チップセットレベルでUSB 3.0ホストコントローラを内蔵していると考えられる。

 また、マザーボード上のシルク印刷から、PCI Express 3.0をサポートしているとみられる。一方SATAのコネクタの色を、これまでのASUSTeKのマザーボードのルールに当てはめると、Z68などと同様、SATA 6Gbps(白)は2ポートに留まり、残りの4ポート(青)はSATA 3Gbpsまでの対応である可能性が高い。

●P8Z77シリーズ

 メインストリーム向けの「P8Z77」シリーズは、「P8Z77-V DELUXE」、「P8Z77-V PRO」、「P8Z77-V」の3製品を展示した。

P8Z77-V DELUXEP8Z77-V DELUXEのパッケージP8Z77-V DELUXEに装備されるWi-Fiモジュール
PCI ExpressのハブチップとみられるP8Z77-V PROP8Z77-V PROのパッケージ
P8Z77-VP8H77-M PRO

 製品説明を担当したVeronica Chen氏(Associate Director, Product Marketing Dept.1, Product Marketing Division, Motherboard Business Unit)は、一般的な家庭用途においてマザーボードに必要なポイントとして、性能、省電力性、娯楽、利便性の4つの分野を挙げ、P8Z77シリーズではこれらに応えた機能を備えているという。

 まず性能と省電力性の面では、CPU、iGPU、DRAMの3カ所の電源供給において、デジタル方式の「Smart DIGI+ Power Control」を採用。独自のオーバークロックチップ「TPU」と組み合わせることで、液体窒素冷却時にCPUの定格(型番は不明だが、クロック周波数は3.5GHz)の85%増となる、6.4GHzの高クロックを達成したという。またメモリも32GBを搭載し、空冷環境において2,600MHzで動作した。

マザーボード設計における4つのポイントSmart DIGI+ Power Control
オーバークロックにおいて高い効果を発揮メモリも2,600MHzまでオーバークロック

 その一方で、消費電力をコントロールするチップ「EPU」と、効率の高いSmart DIGI+ Power Controlと組み合わせることで、消費電力を抑えたという。

 娯楽面においては、P8Z77-V DELUXEにWi-Fiモジュールを添付し、新たに「Wi-Fi Go」の機能を加えた。Wi-Fi Goではスマートフォンと無線LANを利用することで、DLNAクライアント/ホストのリモート操作や、リモートデスクトップ操作、モーションセンサーによるジェスチャー機能、ファイル共有機能などを備え、家族内におけるコンテンツ共有や閲覧を容易に行なえるとした。

Wi-Fi GO!の機能DLNAホストをiPad/Eee Padなどでリモート操作し、クライアントに表示させる機能機能のデモ
リモートデスクトップ機能も備えるタブレットやスマートフォン端末のモーションセンサーにジェスチャーを割り当てる機能ファイル共有機能

 利便性の面では、まずファンコントロール機能「FAN Xpert」をバージョン2にアップグレード。CPUファンを除く、選択したケースファンのみを回転させ、それ以外を停止するることで、ソフトウェア上で見えているどのファンが実際のどのファンなのかを見つける機能、ソフトウェア上で視覚的にどの位置のファンなのかを指定できる機能を追加した。これに伴いファン制御もよりインテリジェントとなり、効率良く排熱ができるようになったという。

PCに取り付けられたたくさんのケースファンFAN Xpert 2の画面画面で「Search」ボタンを押すと……
この場合、リアファン(写真では緑)のみが回転し、見つけられるようになる仕組みどこのケースファンか設定できる機能もちろん、従来通り温度に応じた回転数設定も可能

 また、Windows 8ではUASP(USB Attached SCSI Protocol)を標準でサポートし、USB 3.0の転送速度を向上させられるが、ASUSTeKではWindows XP/Vista/7でも使えるUASPプロトコルドライバを添付し、これらのOSでもUASPの高速性のメリットを得られるようにする「USB 3.0 Boost」機能を搭載した。さらに、アプリケーションごとにバンド幅を、スケジュールで設定できる「Network iControl」などの機能を追加した。

USB 3.0 Boost機能UASPプロトコルドライバの提供ネットワークの最適化機能「Network iControl」

 なお、発表会場では、Intel H77 Expressチップセットを搭載したmicroATXマザーボード「P8H77-M PRO」も展示された。

●TUFシリーズ

 高耐久で5年保証を謳う「TUF」シリーズは、「SABERTOOTH Z77」の1製品を展示した。

SABERTOOTH Z77SABERTOOHT Z77を組み込んだシステム

 こちらは「SABERTOOTH P67」の後継となるモデルで、エアフロー改善効果があるという、表面を覆っている「Thermal Armor」を強化。I/Oバックプレートから吸気する4cmファンを追加し、VRM部を直接冷却するようになったほか、従来のノースブリッジに位置する部分に、トップフローの4cmファンを追加でき、チップセットを冷却できるようになった。これにより最大で11℃温度が低下するようになったという。

 また、マザーボード背面の熱に対処するために、CPUソケットの回りに6個のスルーホールを設けた。これによりトップフローのCPUクーラーを使う時に背面に空気が行くようになり、最大で温度を8℃低減できたという。

SABERTOOTH Z77の位置づけ全体を覆うThermal Armorを装備し、エアフローを改善するチップセットとVRM用の冷却ファン
実際に装備されるファン背面から空気を取り入れるファンを装備取り入れた空気は二股に別れ、2カ所のVRMを効率良く冷却する
Thermal Armorにより効率的な冷却を実現スルーホールの搭載により背面の冷却を実現

 熱を監視する機能についても、12カ所にサーマルセンサーを設け、リアルタイムに監視できる「Thermal Rader」機能を搭載した。

 ホコリに対する対策としては、PCI Express、メモリースロット、USBピンヘッダ用のカバー「Dust Defender」を添付した。

 また、電源をOFFにした後でも、さきに紹介したI/Oバックプレートのファンおよびチップセット冷却用のファンが一定時間回転を続け、冷却を行なう「Fan Overtime」機能を搭載。電源をOFFにした10分後の温度比較では-7℃と効果が認められ、部品の寿命を高める効果があるとした。

 このほか、Z77マザーボードに共通する機能として、Lucidの技術「Virtu MVP」を紹介。従来のVirtuはCPU内蔵GPUを使うモードと、ディスクリートGPUを使うモードを切り替えるだけであった。一方Virtu MVPでは新たに「HyperFormance」機能を搭載。Lucid専用のHydraチップを搭載した製品において、AMD/NVIDIAのビデオカードを混載して性能向上が図れる機能が、IntelのCPU内蔵GPUにおいても実現され、ディスクリートGPUの性能を向上できるようになった。また、ディスプレイ出力はオンボード/ビデオカードのどちらに繋いでも動作するようになったという。

12カ所のサーマルセンサー「Thermal Rader」コネクタカバーの「Dust Defender」
電源OFF後にファンが一定時間回転を続ける「Fan Overtime」機能Fan Overtimeの搭載により温度を下げられ、コンポーネントの寿命を高める
Lucid Virtu MVPの新機能Virtu MVPにより、ディスクリートGPU使用時でも、CPU内蔵GPUの性能を無駄にすることはなくなったという「ストリートファイターIV」において25%増の性能が実現されたという

●R.O.G.シリーズ
Stanley Fei氏

 ゲーミング/オーバークロッカー向けの「R.O.G.」シリーズは、microATXの「Maximus V GENE」と、ATX「Maximus V Formula」の2製品を投入する。製品開発に携わったStanley Fei氏(Products Engineer, Product Marketing Dept.1, Product Marketing Division, Motherboard Business Unit)によれば「Formulaはさまざまなイノベーションを投入するため、まだ公開できない情報が多い。今回はGENEにフォーカスして紹介する」とした。

 Maximus V GENEでは、前作にあたる「Maxmius IV GENE」と同様、サウンド機能に注力して「SupremeFX III」を開発。本製品は電源をONにすると、裏に装備されたLEDで基板の一部の赤いラインが浮かび上がるギミックがあるが、このラインを境に、サウンドの信号線などを独立させたという。また、PCB内部の信号線の上下に銅箔層、サウンドチップに金属シールドを施すことで、高周波ノイズの低減を徹底したという。これにより、サウンドチップの公称スペックと同等の低ノイズ特性を実現した。


Maximus V GENEMaximus V GENEのパッケージR.O.G.シリーズのロードマップ
Maximus V GENEの特徴音質に注力して設計した「SupremeFX III」の特徴電源をONにすると浮かび上がる赤いライン

 一方、バックパネルI/Oに、Mini PCI Expressのカードを2枚装着できる「mPCIe Combo」は新たに追加された機能。SSDや無線LANカードなど、ユーザーが拡張できる幅を広げたとした。

mPCIe Comboモジュールの特徴mPCIe ComboモジュールにMini PCI Expressカードを装着したところ

 Maximux V Formulaについては、VRM部のヒートシンクに、通常のヒートパイプと、水冷用パイプの両方を通した「Fusion Thermo System」を採用。また、明らかにできない部分が多いが、サウンド機能「SupremeFX IV」を投入するとした。

Maximus V FormulaFusion Thermo Systemの仕組み
Fusion Thermo System周辺拡大より進化させたサウンド機能「SupremeFX IV」

 新R.O.G.シリーズの投入にあわせて、マイク入力におけるノイズリダクションが可能なUSB外付けサウンドユニット「THUNDER FX」も発売。さらに、R.O.G.シリーズのコミュニティを改善し、統合ソフトウェア「AI Suite」からBIOSのオーバークロックプロファイルを共有できる「ROG Exchange」機能、メモリをチューニングできる「Mem TweakIt」機能を追加するとした。

R.O.G.ブランドを冠する外付けのサウンドユニット「THUNDER FX」THUNDER FXの本体
ノイズリダクション機能を搭載するほか、Xbox 360やPlayStation 3もサポートするというメモリのタイミングを設定できる「Mem TweakIt」

(2012年 3月 6日)

[Reported by 劉 尭]