GLOBALFOUNDRIESのアジット・マノチャ新CEOが初来日
~28nm High-k金属ゲートの順調な滑り出しをアピール

アジット・マノチャ氏

12月12日 開催



 米GLOBALFOUNDRIESの新CEO(最高経営責任者)であるアジット・マノチャ氏が12日に来日し、経営方針などについて説明した。

 マノチャ氏はNXP Semiconductorsの副社長兼最高製造責任者や、Spansionのワールドワイド経営担当上級副社長兼統括執行取締役などを歴任し、10月末にGLOBALFOUNDRIESのCEOに就任。今回が、初めての来日であり、かつ就任後初めての海外出張だという。

 現在同社の従業員は13,000人を数え、シンガポールに200mm対応ファブを5カ所、300mm対応ファブをシンガポール、ドイツ、ニューヨークのそれぞれに1カ所ずつ構える。製造能力は、200mmウェハ、300mmウェハとも月産220万枚、200mmウェハ換算では月産720万枚で、世界最大規模となる。

 前CEOだったダグラス・グロース氏は1月に来日し、同様の説明会を開催したが、マノチャ氏就任にともない、経営陣も刷新された。しかし、同社の企業ビジョンはまったく変わっていないという。それは、「革新と技術のリーダーシップ」、「優れた業務執行」、「顧客サービス」の3つである。

 マノチャ氏は、従来の半導体ファウンダリについて、拠点が地理的に集中し、技術はパッケージ化されたものを用い、R&Dは自社育成し、楽観的な投資を行ない、業務体系は委託製造になっていると指摘。それに対して同社は、まず拠点が世界中に分散され、東日本大震災、タイの洪水などの災害が起きてもリスクを最小限にできる、顧客や製品毎に最適化された設計ソリューションを提供できる、ソリューションに応じてさまざまなサードパーティと協業を行なうことで最新の技術を有する、投資や製造能力拡大について長期的なコミットを行なうといった点で異なり、単なる委託製造ではなく、緊密な協力体制の下、ファウンダリパートナーとして事業を行なっていると、他社との差別化要因を紹介した。

企業ビジョン従来のファウンダリ(左)とGLOBALFOUNDRIES(右)の差異

 周知の通り、同社はAMDからスピンオフし、その後2010年にChartered Semiconductor Manufacturingを買収した。これにより、AMDの卓越した技術と、Charteredのコスト効率に優れた運営を兼ね備えた、他に類を見ないファウンダリになった。その具体例としてマノチャ氏は、世界で6,000以上の特許を所有すること、そして他のファウンダリに先駆けて、32nm High-k金属ゲート(HKMG)を量産開始し、数十万枚の出荷実績がある点、また28nm HKMGについてもすでに量産準備が完了していることを紹介した。

 28nmについては、ドイツのFab 1で準備が完了、ニューヨークで建設中のFab 8は2012年から製造を開始するが、Fab 8では2012年後半から20nmおよび14nmへの移行を開始するという。

 質疑応答では、EUVリソグラフィ、3次元トランジスタといった最新技術についても、パートナーと開発を進めているほか、450mmウェハに向けた取り組みも発表済みであり、コスト効率良く提供できる段階になったら、先駆的に実装していきたいと意気込みを語った。

 また、28nm HKMGの製造能力について不安視する声もあるが、これについて、32nm HKMGとほぼ同じ技術で対応でき、すでに製造も開始していると、順調な滑り出しであることを改めて語った。

 日本市場では、垂直統合型デバイスメーカーにおいて、自社製造を減らす“ファブライト化”や、完全に委託するファブレス化が進んでいるが、それに伴って閉鎖されたファブを買収する意図はあるかとの質問には、具体的なコメントは差し控えたものの、「そういった企業がより良い方向にビジネスモデルを変更する手伝いはできる。企業ごとにケースバイケースで対応してきたい」との考えを示した。

今のGLOBALFOUNDRIESはAMDの製造部門とCharteredが合わさってできた28nm HKMGも順調に滑り出し最新ファブの現状と今後

(2011年 12月 12日)

[Reported by 若杉 紀彦]