シャープ、AQUOS PHONE投入でスマホ市場首位奪取を狙う
~夏モデルとして6機種投入、グローバルにも積極展開

シャープが発表したAQUOS PHONEの6モデル

5月20日 発表



シャープ 執行役員 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏

 シャープは、新たなスマートフォンブランドとして「AQUOS PHONE」による製品展開を開始。同製品を中心とした夏商戦向けスマートフォン事業戦略、および中国市場向けをはじめとするグローバル展開について発表した。

 シャープ 執行役員 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏は、「2011年度は国内スマートフォン市場で首位を獲得する考え。スマートフォンの国内年間出荷台数は2010年度の200万台だったが、2011年度は500万台を超える出荷規模を目指す」とした。

 大畠執行役員は、「スマートフォンは高機能、最新技術のイメージが先行しているが、ユーザーが求めているのは操作性の高さや基本機能。フィーチャーフォンとニーズが変わらない。その点を見落としてはならないと考えている。国内スマートフォン市場の急拡大にあわせて、Androidスマートフォンによるモバイル市場がさらに拡大。これを好機と捉え、AQUOS PHONEによる事業拡大を図る」とした。

 MM総研の調べによると、シャープは携帯電話市場において、2010年度は22.8%のシェアを獲得して首位。また、市場全体におけるスマートフォンの構成比は40.6%に達し、2011年度には過半数を超えると予測。さらにそのうちAbdroid OS搭載モデルは2009年度の10.7%から、2010年度は57.4%に達しているという。シャープは、2010年度は国内スマートフォン市場において、24.3%と2位だったという。

国内スマホ市場は急成長しているシャープは6年連続で国内携帯電話市場で首位スマートフォン市場では現在2位
スマートフォンブランドにAQUOS PHONEを採用AQUOS PHONEで6モデル、フィーチャーフォンで3機種を投入

●AQUOSとの連携機能などを前面に打ち出す

 同社では、夏モデルとして、Android搭載スマートフォンとして、NTTドコモ向けのSH-12C、SH-13C、au向けのIS11SH、IS12SH、ソフトバンク向けの006SH、007SHの6機種を投入。いずれもAQUOS PHONEブランドで展開する。

NTTドコモ向けSH-12CNTTドコモ向けSH-13Cau向けIS11SH
au向けIS12SHソフトバンク向け006SH
ソフトバンク向け007SHドコモ向けのSH-13Cでは世界初のワイヤレス充電を用意

 国内で2,000万台の累計出荷を誇る液晶TV「AQUOS」シリーズとの連動のほか、AQUOSの画質をイメージさせる高画質エンジンの搭載などが特徴で、AQUOS PHONEに保存してある動画やゲーム、ネット上のHD動画コンテンツなどを、液晶TV AQUOSとHDMI接続することで大画面で楽しめるようになる。

 また、DLNAを利用することで、AQUOSやBDレコーダのコンテンツを、AQUOS PHONE上で閲覧できる。近い将来には、フリック操作でAQUOS PHONE上のコンテンツをAQUOSで表示できるようにしたり、AQUOS PHONEに音声通話などが着信するとAQUOSの画面上で知らせるといった機能も提供するという。

 さらに、AQUOSで培った映像ノウハウを活用した高画質エンジンを搭載。境界線や輪郭を際だたせながら自然な描写が可能な鮮鋭化技術や、彩度や明るさを調整する色彩調整技術も採用している。

 また、SH-12、006SH、IS12SHでは1.4GHzのチップセット(SnapDragon)や、Andoroid 2.3(Ginger Bread)の採用、960×540ドットのQHD高精細3D液晶を搭載しているほか、800万画素のツインカメラを搭載。ツインカメラ方式での3D映像撮影は世界初の機能になるという。

 ツインカメラ機能を利用することにより、60fpsの倍速動画撮影が可能となり、ゴルフスイングのフォームのチェックなどにも役立つゴルフスイングビデオカメラ機能も利用できる。

 同時に、ワンセグチューナ搭載、おサイフケータイ対応、緊急地震速報への対応など、スマートフォンで先行するiPhoneには搭載されていない機能についても、搭載していることを強調してみせた。

 そのほか、IS11SHおよび007SHでは、テンキーボードも用意しており、フィーチャーフォンで慣れた入力が可能であるほか、SH-13Cでは置くだけで充電が可能な世界初のワイヤレス充電機能の採用、SH-13Cや007SHでは防水、防塵機能を搭載している。

AQUOSブランドならではの高画質を実現したというAQUOSとの連携機能が特徴AQUOSとさまざまな連携が可能になる
スマートフォンのコンテンツをAQUOSで視聴できるAQUOS PHONEの操作画面から利用できる近い将来はフリック操作で静止画や動画をAQUOSに表示
フリック操作でのAQUOSとの連携は参考展示の段階だAQUOS PHONEへ受信したことをAQUOSに表示する機能も用意
【動画】AQUOS PHONEの静止画をAQUOSに表示するデモストレーション

 一方、サービス展開についても言及し、TSUTAYA GALAPAGOSから提供される電子書籍が、GALAPAGOS App for Smartphoneによってスマートフォンでも利用できることを示し、夏モデルではこれをプリインストールしていることを紹介。「現在、TSUTAYA GALAPAGOSのコンテンツ数は書籍で26,000件、雑誌で約200件、新聞で7件となっているが、これを上期中にはコンテンツ数で5万件にまで増やしたい。地方紙への拡張や、もしドラのアニメ配信といった動画コンテンツの提供なども行ない、コンテンツ、サービスの拡充を図る」とした。

 なお、フィーチャーフォンについても、ドコモ向けのSH-10C、SH-11C、ソフトバンク向け008SHの3機種を投入。従来型の製品が好みというユーザーの声もしっかりと聞いて製品強化を図った」という。

●スマートフォンでの世界展開を本格化

 一方、グローバル展開においては、すでに展開している中国市場向けのスマートフォンのラインアップを強化するほか、北米や欧州への展開を開始。さらに、インドやブラジルなどの新興国への展開も視野に入れる考えを示した。

 「2011年度は、スマートフォンによるグローバル展開に、本格的に取り組んでいくことになる」(シャープ 執行役員 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏)という。

 中国市場向けには、AQUOS PHONEとして、SH8158U、SH8168Uを投入。さらに、フィーチャーフォンとして、SH7218U、SH7228Uの2機種を投入する。

中国市場向けにもAQUOS PHONEを投入するグローバル戦略では中国のほか、欧米、新興国もターゲットに中国市場向けに投入するAQUOS PHONE

 シャープの2010年度の携帯電話の出荷実績は、国内が854万8,000台、海外が119万3,000台。携帯電話の海外向け出荷比率は12.2%となっている。2011年度の具体的な目標には触れなかったが、今後、スマートフォンを中心として海外向けの販売台数を増やす姿勢を示した。海外向けにもAQUOS PHONEブランドでの展開を図り、ハイエンドからローエンドまで複数モデルを投入する計画だという。

 同社では、6月にも経営計画について公表する予定であり、その際にも、スマートフォンの具体的な事業計画が公表されることになりそうだ。

(2011年 5月 20日)

[Reported by 大河原 克行]