米AMDは8日(現地時間)、1枚のカード上に2基のGPUを搭載するハイエンドビデオカード「Radeon HD 6990」を発表した。国内での店頭想定価格は7万円から8万円台となる見込み。
これまで「Antilles」のコードネームで呼ばれてきた製品で、DirectX 11に対応するRadeon HD 6900(Cayman)アーキテクチャのGPUを2基搭載する。GPU 1基あたりの基本的構成はRadeon HD 6970と共通だが、コアクロックは880MHzから830MHzに、メモリクロックは5.5GHzから5GHzに下げられている。
特徴として、カード上にBIOS切り替えスイッチを備え、Uber Modeと呼ばれるオーバークロックモードへと切り替えられる。この状態では、コア電圧が1.12Vから1.175Vに高められ、コアクロックはRadeon HD 6970と同じ880MHzになる。また、ソフトウェアによって、コアクロックは1,200MHz、メモリクロックは6GHzまで設定できる。
消費電力は、典型的な3Dゲームプレイ時のTypical Gaming Powerが350Wだが、Uber Modeでの最大消費電力は450Wに及び、電源端子も8ピン×2となる。これにあわせて、電圧レギュレータも高効率/高容量のものが用いられている。冷却は、カード中央にファンを設置し、その両側にGPUを左右対称に配置。カードのサイズはRadeon HD 6970とほぼ同じだが、エアフローは20%向上させているという。
Radeon HD 6990の概要 | BIOSを切り替えると、いわゆるカツ入れされたオーバークロックモードになる | ソフトウェアでさらなる高クロック設定も可能 |
標準状態とオーバークロック状態の比較 | オーバークロック状態とGeForce GTX 580の比較 | カード1枚と2枚の比較 |
そのほかの主な仕様は、SP数が1,536×2基、テクスチャユニット数が96×2基、ROP数が32×2基。メモリバンド幅は256bitで、GDDR5を2GB×2搭載する。カード当たりの演算能力は単精度が5.1TFLOPS、倍精度が1.27TFLOPS、Uber Modeでは単精度は5.4TFLOSに達する。プロセスルールは40nm、トランジスタ数は26億4,000万×2、1GPUのダイサイズは389平方mm。
ディスプレイインターフェイスは、Dual-Link DVIとminiDisplayPort×4。CrossFireXに対応し、2枚構成で4GPUを実現できる。
ディスプレイインターフェイスは標準で5ポート | GPUは左右対称の配置 |
(2011年 3月 8日)
[Reported by 若杉 紀彦]