【CeBIT 2011レポート】【MSI編】AMDの新デュアルGPU「Radeon HD 6990」をデモ
~Tegra 2やBrazosプラットフォームのタブレットも

Tegra 2搭載の「WindPad 100A」も展示

会期:3月1日~3月5日(現地時間)
会場:ドイツ連邦共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ



 MSIはCeBIT開幕前日となる2月28日(現地時間)、報道関係者向けに同社ブースを公開。デュアルGPUビデオカードとなる「Radeon HD 6990」や、「Intel Z68」搭載マザーボードなどの未発表製品のほか、Brazosプラットフォームを採用した11.1型タブレットなどを展示した。

●“Antilles”ことRadeon HD 6990をデモ

 1月末にシンガポールで開催されたAMD Asia Pacific Fusion Tech Dayにおいて、実際のボードが披露されたRadeon HD 6990。「Antilles」のコードネームで開発された本製品は、Radeon HD 6900シリーズ(Cayman)のコアを2基搭載するデュアルGPUビデオカードとして、今年第1四半期の投入が予定されている。

 MSIブースでは、このRadeon HD 6990を実際に動作させたデモを実施。詳しい動作クロックなどはノーコメントとされたが、「R6990-4PD4GD5」の製品名で発売されることが明らかになった。発売日についてはCeBIT終了後の早い時期とのことで、早ければ来週にも正式発表となりそうだ。

MSIが動作デモを実施したRadeon HD 6990搭載ビデオカード「R6990-4PD4GD5」AMD Asia Pacific Fusion Tech Dayで公開されたリファレンスボードそのままの製品で、DVI×1とMini DisplayPort×4をブラケット部に備えている

●Socket AM3+に対応する黒いソケットを紹介
Socket AM3+対応の黒いソケットを採用したAMD 8シリーズチップセット搭載マザーを予告

 ブースで行なわれたカンファレンスでは、AMDの次期CPUに対応するSocketについても紹介された。「Bulldozer」アーキテクチャに基づく「Zambezi」コアのCPUはSocket AM3+と呼ばれる新しいソケットが採用されるが、現在のSocket AM3とは後方互換性を持ち、チップセットも現在のAMD 8シリーズが利用される。

 そこで、AMD 8シリーズを搭載したマザーボードに黒いソケットを採用。これがSocket AM3+に対応する「Future CPU Ready」の製品であることを示すとした。この黒いソケットを採用した製品は4月以降に登場する予定だ。

●Intel Z68搭載製品は3モデルを予告

 CeBITが公での初お披露目の場となっているIntel Z68 Expressチップセット搭載マザーボードは、MSIも投入を予告。カンファレンスにおいて「Z68A-GD80」、「Z68A-GD65」、「Z68A-ED55」の3モデルがラインナップされることを紹介し、ブース内で最上位モデルとなるZ68A-GD80を展示した。

 Z68A-GD80は、PCI Express x16スロット×3基、PCI×2基などの拡張スロットを持ち、ディスプレイ出力にはDVI-IとHDMIを装備。MSIの品質基準であるMilitary Class IIに準拠したハイエンド製品となる。また、自動OC機能のOC Genie IIやUSB供給電流を高めたSuper Chager Technologyなど、独自機能も多く盛り込まれる。

 もう1つのIntel製チップセットであるIntel H61 Expressチップセットを搭載したマザーボードは3モデルを展示している。

 「H61MU-E35」、「H61M-E33」の2モデルはmicroATXに準拠した製品。PCI Express x16とPCIを1基ずつ備える。ディスプレイ出力はミニD-Sub15ピン、DVI、HDMIの3種類を備えており、H61MU-E35のみUSB 3.0×2ポートも用意されている。

 Mini-ITX準拠の製品となる「H61I-E35」は、ミニD-Sub15ピンとHDMI、PCI Express x1を備える製品。VRMにSFC(Super Ferrite Choke)を用いるなど、シンプルな仕様ではあるものの品質の高さをアピールしていた。

MSIのIntel Z68マザーは3モデルが予告された同社のIntel Z68搭載製品の最上位モデルとなる「Z68A-GD80」展示位置の関係で見づらい写真になってしまったが、Z68A-GD80のIOリアパネル。ディスプレイ出力はDVI-DとHDMIを備える
Z68A-GD80の拡張スロット部。スロットの上部にはPCI Expressスロットへの電源供給を高める6ピンのコネクタも備えているIntel H61 Expressを搭載する「H61MU-E35」。microATXフォームファクタの製品でUSB 3.0の搭載が特徴H61MU-E35のI/Oリアパネル部
Intel H61を搭載する「H61M-E33」。同じくmicroATXの製品だが、USB 3.0を搭載しない廉価版となるH61M-E33のリアパネル部Intel H61を搭載するMini-ITX製品「H61I-E35」
H61I-E35のI/Oリアパネル部

●Brazos採用のタブレットPCやドッキングステーションなどのコンセプト展示

 MSIブースではタブレットについても新製品を展示。同社は過去のイベントで、Windows 7版のWindPad 100Wと、Android版のWindPad 100Aの2製品を紹介してきた。現時点で未発売のWindPad 100Aは、1月のInternational CESの段階ではCortex-A8を搭載するシステムとなっていたが、今回、Tegra 2へと仕様を改めた。展示機ではHoneycombをインストールして動作させている。

 また、Brazosプラットフォームを採用する10.1型タブレット「WindPad 110W」を披露。CPUにAMD C50を用いたタブレットで、製品名からも判断できるようにWindows 7 Home Premiumをプリンストールする。発売は第2四半期を予定している。

 このほか、同社のタブレット製品を活用するオプションデバイスのコンセプトモデルの展示も行なわれ、一般的なクレードルや、2個のタブレットを装着してクラムシェルPCのように使うデバイス、プロジェクタにタブレットを装着して使うデバイスなどを紹介している。

Honeycombが動作しているWindPad 100A。Tegraロゴが貼られていることから分かるとおり、Tegra 2ベースのハードウェアとなっているこちらはBrazos(AMD C50)ベースのタブレットPC。Windows 7 Home Premiumをプリインストールし、そこにタッチ操作向けのUIを実装しているタブレット製品のオプションデバイスのコンセプトモデル。これは一般的なクレードルデバイス
2枚のWindPadを装着してクラムシェルPC風に使うドッキングステーション。当然、片側にソフトウェアキーボードを表示して利用するといったことも可能にする上部プロジェクタを内蔵。タブレット内のムービー/写真コンテンツを大画面で視聴したり、キーボード操作が必要ないプレゼンテーションでの利用が想定されている

(2011年 3月 2日)

[Reported by 多和田 新也]