NEC、2011年春モデルPCの発表会を開催

デザインを一新したLaVie L

2月1日 開催



 NECは1日、個人向けPCの2011年春モデルを発表し、都内で発表会を開催した。

 今回の新製品は、ノートPCが4タイプ、デスクトップが3タイプの7タイプ51モデルを発売。ノートPCはA4主力機の「LaVie L」とモバイルの「LaVie M」が新筐体になり、4タイプでCPUを第2世代Coreプロセッサー・ファミリーを採用した。

 製品の詳細は関連記事(ノートPCデスクトップPC)を参照していただきたい。

 なお、Intelが6シリーズチップセットをリコールした影響で、Sandy Bridge搭載製品は発売時期が未定となっている。


NECパーソナルプロダクツ 栗山浩一氏

 発表会では、NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 商品企画開発本部長代理 栗山浩一氏が登壇し、春モデルを紹介した。

 冒頭で栗山氏は27日に発表されたLenovoとの合弁に触れ、「NECのブランド、商品開発力、国内販売網を強みに、Lenovoのグローバルな販路や調達力を合わせ、より良い製品をお届けする」と合弁会社のメリットをアピールした。

 2011年春モデルの強化テーマは、サウンド、3DとBlu-ray、TV、デザインの4つを挙げた。

 サウンドは、音楽を聴くプレーヤーのアンケートでPCが約50%という結果が出ており、PCでもっと良い音を聴きたいという要望に応える形で、ヤマハのサウンドシステムをノートPCの「LaVie L」に搭載した。2010年秋冬モデルは一体型デスクトップの「VALUESTAR W」、「VALUESTAR N」に搭載され11モデルを販売していたが、今回のLaVie Lを加えることで計22モデルの2倍に拡大した。

 ノートPCに搭載するにあたって、小型サイズで高い音質を実現できるよう、ポート形状を工夫した「FR-Port」によるバスレフ構造を採用。さらに、20mmクラスでは樹脂が一般的だが、LaVie Lでは紙コーンスピーカーを搭載する。配置も工夫され、左右対象の最適な位置をまず決定し、その後、インターフェイス類などをレイアウトした。

強化テーマはサウンド、3DとBlu-ray、TV、デザイン音楽を聴くプレーヤーはPCが50.1%というアンケート結果LaVie Lにヤマハのサウンドシステムを搭載
中央がLaVie Lに搭載されたヤマハのスピーカー。左はVALUESTAR Nのものキーボード上部の左右にこのような状態で内蔵されているという

 3D立体視の機能は、PCならではの「家電にできないこと」を訴求。ひかりTVの3Dや、Blu-ray 3D、2D-3D変換、写真、ネット動画、ゲームといったPCで体験できるコンテンツを扱えるとする。秋冬モデルはデスクトップ3タイプだったが、今回はそれに加えて、ノートのLaVie Lに3Dモデル(偏光板方式)を用意した。

 Blu-rayは、NECの独自調査で、85%のユーザーが必要という結果だったという。これを受け、ノートPCのBlu-ray搭載モデルを従来の7モデルから14モデルに倍増。A4ノート普及モデルの「LaVie S」にも、上位機種でBDドライブを搭載した。

 TVについては、リビングのTVのデジタル化は進んできたが、2台目以降のマイルーム需要で、PCが適しているとする。デジタルTVチューナ内蔵PCは、PC、TV、レコーダの1台3役とよく言われるが、NECは、無線で見られる「ワイヤレスTVデジタル」を展開しているほか、新製品では地上/BS/110度CSの3波チューナ(W録画)搭載モデルを4つから9つに拡大。ひかりTVにも対応する。また、長時間録画も強化され、従来の6倍から10倍になった(BSデジタル放送の場合)。

3D立体視をPCならではの使い方で訴求LaVie Lで3D対応モデルが登場した
Blu-rayが必要という回答が85%だったというBDドライブ搭載モデルを拡充
2台目以降の地デジ需要を狙うデジタルTVチューナ搭載モデルを拡大

 デザインに関しては、10代、20代の若い世代で「デザインが重要」と答える割合が多いという(NEC調査)。春モデルでは、LaVie Lがデザインを一新し、筐体の透明感や、傷が付きにくい天板のスクラッチリペア、表面が透明のクリスタライズキーといった見栄えの部分を強化。さらに、厚さを秋冬モデルの約40.5mmから約36.2mmに薄型化した。

 また、LaVie Mも新デザインを採用。栗山氏は「モバイルのLaVie MにA4ノートの機能を詰め込んだ」と表現した。こだわった部分は、13.3型として初のテンキー付きアイソレーションキーボード、スクラッチリペア、DVDスーパーマルチドライブ搭載の2スピンドルといった点を挙げた。デザインを向上させながら、モバイルに重要な10時間バッテリ駆動、超低電圧版Core i7-660UM搭載などを実現していることもアピールした。

デザインに関するNECの独自調査。若い世代ほどデザインが重要と回答している筐体を一新したLaVie L。薄型化や光るデザインを取り入れた透明感のあるキートップ「クリスタライズキー」
2スピンドルになったLaVie M。キーボードは13.3型では初めてのテンキー付きアイソレーションタイプLaVie Mと西島まどかさん

 このほか、USB 3.0搭載モデルの拡充や、Intelワイヤレスディスプレイ(Wi-Di)といった特徴を紹介。会場にはLaVie Lに追加されたヤマハのスピーカー展示や、Intel Wi-Diのデモなどが実施されたほか、NECのサイトでPC製品紹介をしているフリーキャスター西島まどかさんも登場した。

 最後に栗山氏は「NECは今後も、安心、簡単、快適を追求していく」とまとめた。

そのほかの強化点。LaVie Lの10モデルがIntelワイヤレスディスプレイ、My Wi-Fiテクノロジーに対応LaVie LとIntel Wi-Diで接続された液晶TV。My Wi-Fiでデジタルフォトフレームやインクジェット複合機などを接続していたIntel My Wi-Fiの画面。「Room_1」というデバイスがWi-Diの受信アダプタ


 質疑応答は、Lenovoとの提携に関するものが集中した。回答は27日の記者会見で述べられた通りのスタンスで、NECの回答としては、NECのブランドが続くこと、合弁に向けての詳細は今後詰めていくといった内容だった。

 具体的には、提携後の製品そのものがどうなるのかということに対し、「NECブランドの製品としては、提携があっても付加価値のある製品そのものは提供を継続していく」、「NECブランドとして変わることなくお客様に提供する」、「サポートもNEC基準を提携後も提供していく」とした。

 提携後の製品展開に関しては、「提携がこれからの製品展開に影響することはない」、「商戦期の春モデル、夏モデル、秋冬モデルなどは継続する」と答えた。Lenovoとの外部生産については「デザイン、構造などを含めてODMと連携している。NEC品質をODMに提示して、それをクリアしないと製品にできない。NECのクオリティは変わらず、レノボと提携後も長年のノウハウとして活かしていけると考える」と回答した。

 提携後の事業展開は「速やかに立ち上げるために現状維持で合弁する。6月の合併に向けて調整を続けていく。研究開発への投資は今後の検討」とした。

(2011年 2月 1日)

[Reported by 山田 幸治]