マイクロソフト株式会社は29日、Mac向けオフィススイートの最新バージョンとなる「Microsoft Office for Mac 2011」の発売を記念して、「Free the ideas. Microsoft Office for Mac 2011 : Special Night」と題したユーザーイベントを開催した。
同イベントは、事前にホームページを通じて来場者を募集。会場となった都内の商業複合施設「TABLOID(タブロイド)」には、応募者のなかから抽選で招待された幸運な250組500名が訪れ、Char、ZAZENBOYS、HALCALIといった豪華アーティストによって行なわれたライブイベントは大いに盛り上がりを見せた。
1976年デビュー。ロックギタリストの神様「Char」。オフィシャルサイト | ||
2003年結成のロックバンド「ZAZENBOYS」。オフィシャルサイト | ||
ガールズヒップホップユニットの「HALCALI」。オフィシャルサイト | (以上、ライブ写真提供:マイクロソフト株式会社) |
イベント会場の入り口には、タッチ&トライエリアが併設された。Office for Mac 2011がインストールされた「iMac」に加えて、発売されたばかりの新「MacBook Air」も用意され、より高速化され快適になったというOffice for Mac 2011を、来場者は思い思いに体験していた。ちなみに前バージョンにあたるOffice 2008 for Macが発売された際も、初代MacBook Airが店頭に並んだばかりのタイミング。偶然ながらも、2バージョン続けて話題のMac新製品との揃い踏みとなっている。また同エリアには11月20日に発売を予定しているXbox 360向けのセンサー型コントローラー「Kinect」も用意され、コナミの「ダンスエボリューション」、Microsoftの「Kinect Sports」が体験できるようになっており、こちらにもいち早く体験しようという来場者の行列ができていた。
入り口に用意されたタッチ&トライエリア。アップルジャパンの協力によって、発売されたばかりのMacBook Airも計4台が設置され、来場者の注目を集めていた | 11月20日に発売を控えるXbox360用の「Kinect」の体験コーナーもあった。コナミのスタッフも応援に駆けつけ「ダンスエボリューション」を来場者と一緒にプレイ |
ライブイベントに先だって行なわれた報道関係者向けのセッションでは、マイクロソフト株式会社執行役ホーム&エンターテイメント事業本部のリテールビジネス事業部長 五十嵐章氏が製品の出荷状況についてコメントした。通常の製品発売であれば金曜日というのが一般的ながら、今回はワールドワイドの出荷日に合わせる形で10月27日の水曜日に販売を開始している。そういう点では初動が大いに気になっていたとものの、初日の売り上げは前バージョンを上回るものだったという。さらに前バージョンのイベントでも「過去最高の出足」とコメントしていたことに触れて、(前回と比べて集計期間の短い現時点で)週間売り上げの具合はイベント開始まで気になっていたが、直前の確認で週間ペースでも前回を上回ることが確実になったと胸を張って言える、と喜びも見せた。
また店頭における販売スタッフなどには以前より早めにβ版から販売トレーニングを行なうなど入念に準備をすすめており、発売直後の店頭デモンストレーションにおける顧客の反応なども迅速にフィードバックされているという。Twitterをはじめとしたネット口コミの効果にも注目しており、好意的な評価の多さからこれからの年末商戦に向けて売り上げもさらに伸びていくことを期待していると自信をみせた。
発売されたばかりのOffice for Mac 2011のパッケージを手にするマイクロソフト株式会社の五十嵐章事業本部長(左)と、ITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行氏 |
五十嵐氏に続いて、ITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行氏がセッションを引き継いだが、林氏はOfficeがOfficeになる前からのOfficeユーザーと自負しているという。これはつまり、Word for MacintoshやExcel for Macintoshがそれぞれ単独のアプリケーションとしてWindowsプラットフォームよりも先んじてMacintosh向けに提供され、それが現在のオフィススイートにつながっていったという経緯によるもの。同氏のセッションは米国でいち早くMacintoshに注目し、使い続けてきた同氏ならでは歴史を振り返る内容となった。
特にMicrosoftとAppleの関係に関しては、Appleの転換点となる時期には必ずMicrosoftひいてはOfficeの存在があったと説明。日本語では「発行と引用」と呼ばれているSystem7から搭載されたPublish & Subscribe機能もいち早くMicrosoft Officeが採用したことで、他のサードパーティ製ソフトへも採用が拡大した点や、アプリケーションの連携や、自動化ツールであるAppleScriptへの対応、68000系からPowerPCへのCPU転換時におけるバイナリコードのNative化など、旧ユーザーにはなるほどと思わせるさまざまな局面でのAppleとMicrosoft Officeとの関係を紹介した。
特にAppleが会社として最大の危機に見舞われた1998年には、MicrosoftからAppleへの1億5,000万ドルに及ぶ投資とInternet Explorer for Macの提供、そして以後5年(当時)に及ぶMac向け製品開発継続の確約を行なうことでAppleを救うなど、Appleを除き最大規模のMac向けソフトウェア開発チームを抱えるMicrosoftならではのAppleとの関わりをあらためて振り返った。
今回のOffice for Mac 2011については、林氏自身も3つの新たな発見があったという。1つはその豊富な機能からある程度は我慢が必要だと思っていて(動作が)多少重くてもあたり前というこれまでの印象から、Officeの本質はその充実した機能にあることへ思い至ったこと。そして大幅な高速化をはたして軽快な動作をすることにより、Officeが創造性を刺激し始めること。そしてOfficeのインターフェイスが非常に美しくなって、自身もその美しさを活かして何か突き抜けたことをやってみたくなったことだという。つまり「テクノロジーがアートにインスピレーションを与える瞬間」これがOffice for Mac 2011から始まったと考えているとのこと。その林氏のプレゼンテーションはもちろん新しいPowerPoint for Mac 2011を用い、さまざまなエフェクトを駆使したスライドによって作られていた。
(2010年 11月 1日)
[Reported by 矢作 晃]