OS、Office、CPUなど世代交代でデスクトップ販売好調
~BCN調べ

9月8日 発表



 株式会社BCNは8日、PCをはじめとしたデジタル機器の最新販売動向を発表した。

BCNアナリストの道越一郎氏

 同社が調査しているデジタル製品は、エコポイントと個人消費回復で順調な伸びとなり、全商品の平均単価と販売金額の前年同月比をまとめたBCN指数は、エコポイントの駆け込み需要が集中した2010年3月の金額伸び率138.9ポイントに比べ、4月は106.6、5月は100.7と落ち込んだものの、6月は105.0、7月は107.9、8月は114.3と回復している。

 同社アナリスト道越一郎氏によると、「家電量販店は、エコポイント効果で売れ行きが好調といわれるが、所得回復などが下支えとなり、直接エコポイントは取得できないものの、影響されて販売が好調な製品、直接影響はないものの複数の要因で売れ行きが好調なものが存在する」という。

 PCは、6月以降、販売台数、金額共に前年同期比2桁増を維持している。2007年からの販売台数を比較すると、ノートについてはほぼ前年並み、デスクトップについては2008年を上回る伸び率となっている。平均単価についても、ノート、デスクトップ共に下げ止まり、上昇していることが明らかになった。

 メーカー別シェアでは、ノートでは6月、7月に首位東芝に迫る20%台のシェアとなったNECだが、8月には18.5%に減少。東芝が首位を堅持している。デスクトップでは、3,000円の追加投資でOffice2010へのアップグレードができる夏モデルを他社に先駆け4月に発売したNECが、トップシェアを維持し、好調となっている。

エコポイントだけでなく製品ジャンルごとに販売好調な要因が存在BCN指数で見るデジタル機器全体の販売状況
PC全体の販売台数/金額推移ノート、デスクトップそれぞれのメーカー別シェア。ノートは東芝、デスクトップではNECが首位に

BCNアナリストの森英二氏

 「タイプ別構成比を見ると、3月以降はデスクトップの構成比が増加し、8月には20.4%と2割を越える構成比となっている。デスクトップがPCの売れ行き好調な要因となっている」(BCN・森英二アナリスト)。

 なお、BCNでは今回の発表から、従来はノートPCに合算していたスレート型PCを独立させた。スレート型PCの販売動向は、6月が最大で10.3%を占めていたものの、8月には6.9%まで減少している。

ノート、デスクトップそれぞれの販売台数/金額推移ノート、デスクトップそれぞれの販売台数指数。どちらも上昇傾向に。ノート、デスクトップそれぞれの平均単価推移。単価下げ止まりが明確になった

 デスクトップの売れ行きが伸びている要因としては、「キーワードは世代交代。液晶一体型モデルの搭載OS別構成比を見ると、Windows 7、Mac OS X 10.6の構成比が上昇している。搭載OSビット別販売台数を見ても、6月以降は64bitと32/64bitデュアルの比率があがっている。搭載Officeソフト別台数構成比についても、6月にMicrosoft Office 2010が登場し、7月が50.6、8月が73.4と上昇し、ここでも世代交代が進み、販売を押し上げた」(森アナリスト)ことを挙げる。

 CPUについては、2007年10月にCeleron Mを抜いて搭載CPU別でトップシェアとなったCore 2 Duoが、3年弱に渡り維持してきたトップシェアの座を、2010年5月にCore i5に明け渡した。自作機では当たり前となっていたCore iファミリーがメーカー製PCにおいても主流となる世代交代が明確となった。

 「CPUだけでなく、搭載メモリも4GB搭載モデルが増えるなどハードウェアスペックの世代交代も明確になったことが、デスクトップ製品販売好調の要因となった」(森アナリスト)。

 また、デスクトップの液晶一体型モデルの搭載ドライブ、ディスプレイサイズ等もグレードアップが進んでいる。搭載ドライブ別構成比ではBDドライブの比率が上昇。8月には51.5%と、初めて過半数越えとなった。ディスプレイサイズ別では5月に19~22型未満が71.3%と7割を越え、それ以降は17~19型未満のシェアを奪う形で比率を上げ、8月には76.3%となっている。地デジチューナの搭載比率も、2010年1月以降上昇しており、8月には80.9%と8割を越えた。

デスクトップのタイプ別構成比率。高額な液晶一体型が大幅に販売台数を伸ばしている液晶一体型製品の搭載OS、搭載OSのビット別、搭載Officeのバージョンを比較すると、新世代のものへの切り替え傾向が明確に
液晶一体型製品の搭載CPUでは、Core 2 Duoが長く君臨した王座から降り、Core i5がトップの座に液晶一体型製品の搭載ドライブ、ディスプレイサイズ、地デジチューナ搭載比率ではグレードアップ傾向が明らかに

 一方、ノートPCについては、ネットブックの販売状況がピーク時の3分の1まで大幅に減少していることが、伸び悩みの要因となっているという。

 「ネットブック販売台数が大幅に減少した要因としては、PCショップ以外の携帯電話販売チャネルの活用で、ランキング外の販売比率が増えている点、モデル数が減少している点、スマートフォンに市場の一部が浸食されている点などが挙げられる」(森アナリスト)。

 また、デスクトップの中で液晶一体型製品の販売が2009年8月は52.2%だったものの、2010年8月には69.1%と1年間で17ポイントアップとなるなど大幅に伸びていることから、「ノートPCユーザーの一部がこちらに流れていることが考えられる」(道越アナリスト)とも指摘している。

 スマートフォンについては、携帯電話販売台数の中でiPhone 4が発売された7月時点で22%と最高の比率となった。「Windows Mobile搭載機、Android搭載機の新製品発売時には売り上げが伸びるものの、現状ではiPhone一人勝ち状態となっている」(森アナリスト)としている。

ノートPCではネットブックがピーク時の3分の1の販売台数となった携帯電話におけるスマートフォンの台数構成比、搭載OS数構成比

(2010年 9月 9日)

[Reported by 三浦 優子]