「Windows 7は年末商戦に向けた大きなステップ」
~BCNアナリストが市場動向を説明

BCNアナリスト 森英二氏

11月11日 発表



 株式会社BCNは11日、BCNランキングに基づいたPCとデジタル家電の市場分析をまとめ、発表した。発表会では、同社アナリストの森英二氏が、Windows 7が市場にもたらした影響について説明した。

●10月の市場動向

 PC市場全体では、ノートが8割、デスクトップが2割の構成比を引き続き維持。ネットブックが好調だった前年同月と比較して、台数ベースでは4カ月ぶりの2桁増となる19.3%増を記録した。また、金額ベースでは、引き続き前年同月よりマイナスなものの、1桁減の-6.4%へと落ち込みを抑えた。

 デスクトップは、Windows 7の発売を受け10月が台数ベースで2.2%増となった。前年同月比でプラスに転じたのは11カ月ぶり。また平均単価が20%改善した。ノートPCは、10月に台数ベースで前年同月比24%増を記録し、金額ベースでも前年並みに回復してきている。

 ノートPCの詳細では、構成比率でスタンダード(12.2型以上の液晶)セグメントが7割弱を維持、ネットブック(12.1型以下の液晶でAtom等の低消費電力CPUを搭載)セグメントが微減し、スタンダードモバイル(12.1型以下の液晶)が10月に入って構成比を2倍の3.4%へと伸ばした。平均単価はスタンダードモバイルで大きく下落している。日本HPや日本エイサー、Gatewayなど海外メーカーがより低価格なマシンを投入したためという。

PC市場全体の動向デスクトップは11カ月ぶりに台数ベースで前年を上回る
ノートPCは前年同月比で24%増となったが、金額は前年並みまで至らずセグメント別ではネットブックが微減し、モバイルが伸びた

●Windows 7登場の影響は

 Windows 7は10月22日に発売されたが、搭載比率は10月のデスクトップで23.1%を占め、ノートPCで12.1%を占めた。10月第3週(19日開始)と第4週(26日開始)で、デスクトップPCは台数/金額ともに前年比でプラスに、ノートPCは好調な台数を維持しつつ金額ベースで若干のプラスへと転じた。なお、Windows 7の登場により、同搭載デスクトップの平均単価はVista搭載機の1.5倍となる約14万円、A4ノートPCは約13万円となった。

 ノートPCの各セグメントを見ると、10月第4週にはスタンダードの4割がWindows 7を搭載し、スタンダードモバイルでは8割が搭載した。一方で、ネットブックの8割を依然としてXPが占め、Windows 7は15%となった。その理由として、ネットブックでは、XP/Vista搭載機とWindows 7搭載機の価格差が3万円ほどあり、本体価格の単価差が大きいことを挙げた。

 こうした状況を踏まえ、2009年10月第4週のメーカー別シェアランキングは、デスクトップでNEC(20%)、ソニー(16.8%)と続き、第3週に6%の急進を見せた富士通(15.3%)が3位だった。ほか、iMacの新製品を投入したApple(13.7%)が7.3%のシェア拡大を見せた。ノートPCでは、東芝(24.7%)が1位を維持し、富士通(17.7%)、NEC(14.4%)と続いた。

 ノートPCの各セグメント(月別)では、スタンダードモバイルでパナソニックが5割あったシェアを32.6%へと落とした。これは前述の通り海外メーカーのより安価な製品の影響を受けたため。また、ネットブックセグメントで、「dynabook UX」が好調な東芝が国内メーカーとして初めて月別首位(18.7%)をとった。

OSによるPCの平均価格Windows 7はデスクトップが好調な滑り出しノートは金額ベースが前年並みに改善
ネットブックでWindows 7への移行が進んでいないネットブックのWindows 7搭載機は割高デスクトップで富士通が急上昇
セグメント別の各社のシェア

●パッケージ版Windows 7の影響

 Windows Vistaと7の販売本数を指数(実売数は非公開)で比較すると、発売当日のVistaを1とした場合、7は1.5を記録。15日後には3.5のVistaに対し、約2.3倍となる8.2の指数を記録し、「好調な初速を記録した」と森氏は語った。

 また、PCパーツを見ると、Windows 7の発売により、Vistaの発売時期と比べて、メモリを除いた7分野で台数ベースで大きな伸張を見せた。ただし、金額ベースではPCケースと電源を除いてマイナスとなり、特にメモリは-46%と大幅減となっている。

 森氏は、「OSが新登場したことで、PCやハードウェアが大きく活性化された。年末商戦に向けて大きなステップとなる」とまとめる。11月~12月には、市場在庫などの本格的な入れ替えが進み、平均単価がこなれてくるとし、20%の台数増と前年並みの金額を予測した。

Vistaと7のDIY市場への影響指数ベースでWindows 7はVistaの2.3倍売れているMicrosoftとAppleのOSシェア

(2009年 11月 11日)

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