株式会社ワコムは27日、作家でイラストレータのD[di:](ディー)氏を招き、プロ用ペンタブレット「Intuos4」の実践的な使い方を紹介する説明会を開催した。
D[di:]氏は、多摩美術大学在学中に「ファンタスティック・サイレント」という絵本で2000年にデビュー。以降、イラストや絵本、絵画に留まらず、小説やファッションなど幅広い分野で活躍している。
D[di:]氏の作例。動物を描いたものが多い | ||
ファッションデザインも手がけており、ユニクロとPuffyのコラボTシャツも氏のデザイン | 実は今日の衣装も自らがデザインしたもの |
D[di:]氏は初代からのIntuosユーザーで、その付き合いは約10年来という。当時からワコムはタブレットメーカーとして大きなシェアを持つが、D[di:]氏は、今もIntuosシリーズを愛用している理由として、当時使っていたIntuosのケーブルが飼っていたウサギにかじられてしまい、2週間で修理して欲しいとワコムに依頼したところ1週間で返ってきたというエピソードを明かした。実はその後D[di:]氏は、再びウサギにケーブルをかじられてしまうのだが、そのことを聞き及んだワコムは、現在のIntuos4に着脱式のケーブルを実装するに至ったのだという。
D[di:]氏は、主にPhotoshopを使い、場合によってはPainterも利用するが、プロが見ると、作品のタッチでどのソフトを使ったというのがすぐ分かってしまうのが嫌で、手書きしたものを取り込んでから、PCで色づけや加工するというスタイルを取っている。
また、D[di:]氏は、過去に作ったものを含め、自分の作品をコラージュして最終的な作品に仕上げることが多いと言うが、この時にタブレットが大いに活躍するのだという。この作業では、投げ縄ツールを使うが、自動選択で対象がうまく選択できないときは、手作業をせざるを得ない。ここで、マウスでは細かな作業に無理があるが、タブレットでは簡単かつ確実に作業できるという。
D[di:]氏は、長らく初代Intuosを使っており、一昨年にIntuos3に乗り換えた際に、精度などの面でその進化ぶりに驚いたというが、Intuos4では使い勝手の面がさらに向上したと語る。
その1つが、ファンクションキーの横に有機ELディスプレイを装備させたことで、設定内容が一目で分かる点。D[di:]氏は今回、自前のIntuos3も持参していたのだが、そのファンクションキーの横には、設定内容をメモしたシールが何枚も貼られていた。しかし、Intuos4ではそれが不要になった。
また、ファンクションキーの1つにラジアルメニューを割り当てておけば、アプリケーションの機能を4階層まで呼び出せるので、ショートカットなどを使うのに、いちいちキーボードへ手を伸ばす必要がなくなる。
ちなみに、D[di:]氏は、ラジアルメニューに、色相、彩度、トーンカーブといった色調補正系、また2段階目にはブラシなどツールボックスに入っている機能を登録して利用しているという。また、タッチホイールでレイヤーを変更できる点や、ペン立ての中に換え芯を入れられるのもかなり便利だと話した。
もう1つ、D[di:]氏がタブレットで活用しているのがブラシ機能。これこそが、ほとんどのタブレットユーザーの最大の利用目的なので、当然と言えば当然なのだが、ぼかしを使った絵筆のような風合いなどは、やはりマウスでは再現できないそうだ。Intuos4では、感度も上がったので、より細かな表現が可能になったという。
将来のIntuosに期待する点としては、本体周辺にキーボードを装備して欲しいという。これにより、ファンクションキーでは足りない操作ができるほか、ファイル名の入力もできるようになるというのが、その理由。
また、本体色を今の黒から変えて欲しいという要望も出た。というのも、黒というコントラストの強い色が視野の中に入っていると、微妙な色合いを操作しているときに若干影響があるのだという。
(2009年 10月 27日)
[Reported by 若杉 紀彦]