AMDが次世代GPUに搭載するマルチディスプレイ機能「Eyefinity」を披露

プレスカンファレンスの会場となったUSS Hornet Museum

9月10日(現地時間) 開催



 米AMDは現地時間の9月10日、米・オークランドにおいてプレスカンファレンスを開催。同日発表された「AMD VISION」の紹介のほか、DirectX 11に対応する次期GPUが搭載する新機能「Eyefinity」を披露した。VISIONについてはダーク・マイヤー氏が国内で行なったカンファレンスの記事を参照いただくとして、ここではDirectX 11対応GPUに関する話題をレポートしたい。

●1GPUで最大6画面を出力可能な「Eyefinity」

 DirectX 11対応GPUに実装される「EYEFINITITY」の紹介を行なったのは、同社Products Group Senior Vice PresidentのRick Bergman氏。この機能は一言で表してしまえば、ビデオカードからの多画面出力機能である。

 これまでのコンシューマ向けビデオカードの多くはデジタル出力を2系統持つのが一般的だったが、同社の次期GPUでは最大6画面を出力可能。ミニディスプレイポート×6系統によってディスプレイ出力可能なモデルも投入される予定だ。

AMD Products Group Senior Vice PresidentのRick Bergman氏 DirectX 11に対応するAMDの次世代GPUに実装される「Eyefinity」のロゴ

 これまでワークステーション向け製品や特定用途向けの製品では、デジタル4系統出力を持つビデオカードが発売されたりしたが、個人向け製品で、こうした多画面出力を持つ製品が登場する点で非常に興味深い機能だ。Bergman氏も「PC産業に転換点をもたらす」とアピールする。

 現在でもマルチディスプレイを導入している読者の方も少なくないと思う。「マルチディスプレイは面白い経験を生み出す。高価だと考えるかも知れないが、小売店ではHDのディスプレイが200ドル(約2万円)で売られており問題はない」とBergman氏が述べるとおり、液晶ディスプレイの価格が下がっているという市場の背景も、多画面出力に対するニーズを高めている一因だろう。そうした状況のなかで、Eyefinityのような機能を実装してきたわけだ。

 このEyefinityは、さまざまなコンフィグレーションが使用が可能となる。いくつかの例は写真でも提示されているが、例えば、ディスプレイを横向きに3枚、縦向きに3枚または6枚、3枚×2段並べることなどが可能。最大で2,400万ピクセルの解像度を、1枚のビデオカードで出力できるという。

スライドで示されるように、最大6枚のディスプレイをさまざまなスタイルで配置することができる

狭額ベゼルのディスプレイ×6枚を一体化したSamsung製品も予告された

 こうしたマルチディスプレイ環境構築の際には、ディスプレイのベゼルが生む隙間が気になることが多い。また、マルチディスプレイの設置手段が問題になりやすい。スペースの問題やアームの配置などで苦労した経験がある人も少なくないだろう。こうした状況のソリューションとして、Samsungから狭いベゼルのディスプレイ6枚を搭載する製品が提供される予定であることが紹介されている。

 カンファレンスでは、いくつかの実用例を示したビデオが上映されたほか、会場内でデモも行なわれている。ディスプレイを縦向きディスプレイを横に3枚並べてのレースゲームや、横向きディスプレイを横に3枚並べて広大な領域でGoogle Earthを見ているシーンなど、ディスプレイ1枚で到底得られないエクスペリエンスを実感できる。

【動画】EYEFINITIYを使ったさまざまな利用シーンを紹介するムービー
【動画】Crytekも登壇し、CRYENGINE3とEYFINITIYの組み合わせを披露した
CodemastersのDiRT2を6画面表示しているデモ。このディスプレイは縦に2台搭載可能なスタンドを3基用いている フライトシミュレーションゲームを24画面でプレイできるデモ。6画面対応ビデオカードを4枚搭載して実現している こちらは3画面でGoogle Earthを表示しているデモ。シングルディスプレイとの情報量の違いが分かりやすい

●トランジスタは20億、演算性能は2TFLOPS越え

 このほか、同氏は6月に行なわれたCOMPUTEX TAIPEIにおけるプレスカンファレンスにおいて、DirectX 11対応GPUのウェハとデモを紹介。その場で40nmプロセスで製造されることを明らかにしていた。今回のカンファレンスでは、トランジスタ数は「20億トランジスタ」なるという新たな情報を公表。「世界でもっとも効率がよく、パワフルなチップ」とアピールした。

 さらに、同社Director, Developer RelationsのNeal Robison氏は、DirectX 11対応GPUの演算性能にも言及。2008年7月の製品に対して、2009年9月の製品は250%の性能を持つと表明した。これを読み解くと、1TFLOPSの性能を持っていたRadeon HD 4870に対して2.5倍、すなわち2.5TFLOPS程度の性能は次期製品が持っていると見ることができるわけだ。

 このほかカンファレンス内では、RadeonのイメージキャラクターであるRubyの2009年度版デモも披露されている。世代を重ねるごとにリアルさを増してきたRubyだが、今回はLightStageが制作したもので、光の陰影などを反映した顔をリアルタイムにレンダリングしている。

1枚に収まらなかったため写真が切れているが、2008年7月から今年9月のわずか1年ちょっとで、演算性能は250%、つまり1TFLOPSから2.5TFLOPS程度へ向上することを示したスライド
【動画】2009年度版のRuby。光源からの光などを反映して顔をリアルタイムレンダリングするLightStageのデモ。DirectX 11の性能でこのデモ以上のものが作られることになる見込みだ

 ところで、このDirectX 11対応GPUに関しては日本国内でも何度かデモが行なわれている。先日はパシフィコ横浜で行なわれたCEDECのプレスカンファレンスでDirectX 11SDKのデモが行なわれたレポートをご覧になった読者もおられるだろう。

 このほかのところでは、9月10日には、Compute Shaderを用いてテントウムシによる被写界深度を変更したり、Deferred Shadingを処理させるデモが日本AMDマーケティング&ビジネス開発本部 PCプラットフォーム・プロダクトマーケティング部 部長の土居憲太郎氏によって公開されている。

 先の演算性能を示すグラフでも2009年9月であることが示されていたが、この土居氏のセッションにおいてはDirectX 11対応GPUを「今月中に発表する」ことが正式に公表されている。9月も上旬が終わり、残すは20日程度となった。初のDirectX 11対応GPUの登場は目前に迫っている。

【動画】ポストプロセスにおいて被写界深度をリアルタイムに変更する処理をCompute Shaderに行なわせているデモ
【動画】1,000個の点光源を用いてDeffered Shadingを行なう際の計算をCompute Shaderに行なわせているデモ

(2009年 9月 11日)

[Reported by 多和田 新也]

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