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GIGABYTE、Ryzen対応Mini-ITXマザーボードを予告
~発表会であの名演説をパロディ
2017年3月13日 06:00
否! 始まりなのだ!
Intelに比べ、我がAMDのシェアは20分の1以下である。にもかかわらず今日まで戦い抜いて来られたのはなぜか?
諸君! 我がAMDの販売目的が正義だからだ。これは諸君らが一番知っている。
我々は市場を追われ、ゲーム機に追いやられた。市場の隅に住む我々が自由を要求して何度も踏みにじられたか。AMDの掲げる、自作er一人一人の自由のための戦いを、神が見捨てるはずはない。
我々のAMD! 諸君らが愛してくれたAMDは苦しんでいる! なぜだ!?
新しい時代の覇権を選ばれたユーザーが得るは、歴史の必然である。ならば、我らは襟を正し、その戦局を打開しなければならぬ。我々は過酷な市場の隅を生活の場としながらも共に苦悩し、練磨して今日の文化を築き上げてきた。
かつて、AMDは自作erに希望を見せた。しかしながらIntelの支配者共は、自分たちがユーザーの支配権を有すると増長し我々に抗戦する。諸君も、諸君の友もそのIntelの無思慮な抵抗の前にひれ伏してはならない!
この悲しみも怒りも忘れてはならない! それを、AM3は我々に示してくれた! 我々は今、この怒りを結集し、Intelに叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。この勝利こそ、自作er全てへの最大の慰めとなる!
自作erよ立て! 悲しみを怒りに変えて、立てよ! 自作erよ! 我らAMDユーザーこそ選ばれたユーザーであることを忘れないで欲しいのだ。AM4、Ryzenこそ自作erを救い得るのである。
AMD! AMD! AMD!
以上は筆者が考えた言葉ではない。GIGABYTEが10日に都内で開いたRyzen対応マザーボードの製品発表会の冒頭で、同社の営業部 課長のMax Yang氏が実際に放ったものだ。元ネタは、ガンダムに出てくるガルマ・ザビの国葬時のあのギレンの演説だ。パロディでなかなか刺激的な発言とは言え、市場の現状を射たものではないだろうか(坊やだからさ、というツッコミはしないでいただきたい)。
さて、この発表会は、同社が現在日本国内で投入しているRyzen対応マザーボードの最上位モデル「AX370-GAMING 5」をベースに解説がなされた。PC Watchでは既に過去で紹介しているので(GIGABYTE、Ryzen 7対応ゲーミングマザーボード2種参照)、こちらも併せて参照されたい。
AX370-GAMING 5は、同社のプレミアムゲーミング向けブランド「AORUS」を冠して展開される。このブランドはマザーボードのみならず、ゲーミングノートやビデオカード、そしてキーボードやマウスも合わせて展開されており、ASUSで言うところの「ROG」シリーズに対抗する。
マザーボードとしての最大の特徴は、やはりRGB LEDによるイルミネーション「RGB FUSION」に対応している点だろう。光る色はもちろんのこと、発光パターンなどもソフトウェア上からカスタマイズできる。オンボードでRGB LEDピンヘッダを備えており、市販のRGB LEDテープを接続して使用することも可能。テープによってはピン配置が異なる可能性もあるとのことだが、ソフトウェア上で補正することが可能なため、市場にあるほぼ全てのRGB LEDテープに対応。また、UV(紫外線)LEDテープもサポートできる。
AndroidおよびiOS向けの「RGB Fusion APP」も用意されており、スマートフォンとPCが同じネットワーク内にあれば、スマートフォン上からRGB LEDの発光を変更させられるのも特徴。加えて、同社のRGB LED内蔵ビデオカードと発光パターン設定を同期させたり、設定をプロファイルとして保存できる点も特徴だ。
AX370-GAMING 5では8つのファンコネクタと7つの内部温度センサーを搭載している点も特徴。8つのファンコネクタ全てでDC制御またはPWM制御をサポートしており、切り替えて利用できるのも特徴。また、「Smart Fan 5」ソフトウェアではCPUファン以外のファン全てで、内蔵温度センサーと連動した制御も可能となっている。ただしASUS製品のように、高速域はPWM制御、低速域はDC制御と言ったダイナミックな切り替えはできないとのことだった。
RealtekのALC1220オーディオコーデックを、バックパネルとフロントパネル用それぞれに1基ずつ搭載している点も特徴。これにより両方で120dBの高いS/N比を実現したという。アンプも、接続したヘッドフォンのインピーダンスを自動的に検出して最適化する「Dual Smart Headphone Amps」となった。
USBの電源回路は、USB DAC向けにリップルを抑えるとともに、フロントポート用に電圧を0.3V高めた「USB DAC-UP 2」を採用。従来のフロントポートでは、ケース付属の内部ケーブルの品質や長さによって損失値が異なり、場合によっては電流が足りずデバイスが起動できない場合があるが、電圧を高めることで安定化を図ったという。
ゲーマー向けのネットワークコントローラ「Killer E2500」と、Intel Gigabit Ethenetコントローラを両方装備し、ユーザーの好みによって選択できるようにした。また、4基のUSB 3.1ポート、IR製のPowlRstage ICによる6+4フェーズの電源回路、POST状況(CPU/DRAM/VGA/BOOT)を示すハードウェア診断用LEDなどを装備する。
ステンレスプレートで強化された拡張スロットおよびメモリスロットも特徴で、あらゆる方向負荷に対する耐性を高めているほか、独自の特許取得済みのPCI Expressスロット用ブラケットにより、ビデオカード着脱時のスロット破壊を防げるとしている。
隠し機能だが、ECCメモリもサポートしている。実はAMDのRyzen 7はECC機能が有効になっているものの、コンシューマ向け製品ではバリデーション(検証)を通していない。GIGABYTEのマザーボード製品でも検証はしていないものの、ECCメモリが利用可能であるとのことだった。なお、同社の過去のAM3マザーボードでも、非公式ながらECCメモリは利用できるとのことだった。
このほか、空気中の硫黄分によってハンダが侵食され、ショートや断線が発生するのを防ぐ「Anti-Sulfur Design」、UIデザインを一新し使い勝手を高めたUEFI BIOS、XSplit Gamecaster+Broadcasterの1年間ライセンスの付属、デュアルBIOSの搭載、長寿命固体コンデンサ、そして電源やリセットスイッチ、HDD LED/電源LEDなどのピンヘッダをまとめて挿しやすくする「G-Connector」などの搭載を挙げた。
以上がAX370-GAMING 5の特徴だが、Killer E2500を省いて黒をベースとしたデザインの「AX370-GAMING K5」、B350チップセットを採用した「AB350-GAMING 3」、microATXフォームファクタでリーズナブルな価格を実現した「AB350M-GAMING 3」なども投入するとした。
さらに、近日中にRyzenに対応したMini-ITXマザーボード「AB350N-Gaming Wi-Fi」も投入すると予告した。現在、Mini-ITX界に君臨する最強のマザーボードはASRockの「X99E-ITX/ac」だが、メモリスロットが2本、PCI Express x16スロットが1本しかないなど、LGA2011-v3プロセッサが持つ本来のポテンシャルを十分に引き出せず、高いTDPに冷却を苦心しなければならないのも事実ではある。
その点Ryzen 7はMini-ITXで十分な足回りであり、Ryzen 7 1700は8コア16スレッドというハイスペック環境をTDP 65Wで実現できる。そのため、Mini-ITXフォームファクタで組みたいと願うユーザーに対して、AB350N-Gaming Wi-Fiは心待ちにしていた1枚だと言えるだろう。早期の市場投入に期待したいところだ。