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Razer、独自のメカニカルスイッチを採用したゲーミングキーボード
~試用ミニレポート付き
2017年2月13日 11:00
Razerは、独自のメカニカルスイッチ「Razer Green」を採用したゲーミングキーボード「BlackWidow Chroma V2」を18日に発売する。日本語レイアウト版とUS英語レイアウト版の2つが用意され、税別価格はいずれも23,000円。対応OSはWindows 7以降、およびmacOS 10.9以降。
2010年に発売された初代Razer BlackWidowの流れを汲むモデル。2014年に開発した独自のRazer Greenスイッチを採用し、最大8,000万回打鍵の耐久性を謳う。Cherry MX青軸と同様クリック感のあるキータッチながら、アクチュエーションポイントは1.9mm±0.4mm(青軸は2.2mm)と浅く、高速反応を謳う。
同社は既に「BlackWidow X Chroma」という製品を投入しているが、V2では新たに本体左側にマクロキーを5つ備え、マクロ機能を活用できるようにした。オンザフライでマクロを記録する機能も備える。
また、本体前面に磁石で着脱できるパームレストが付属。本体右側面にはUSBパススルーポートとヘッドセット用4極ミニジャックを備え、利便性を高めた。ChromaシリーズのRGB LEDライティング機能も継承し、同社お馴染みのユーティリティソフト「Synapse」上からさまざまなライティングエフェクトを設定可能となっている。
そのほかの仕様は、キーピッチが19mm、押下重が50g、同時押し対応キー数10。インターフェイスはUSBで、ポーリングレートは1,000Hz。本体サイズは471×182×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,512g。パームレスト装着時のサイズは471×252×40mm(同)となる。パームレストの重量は248g。
試用ミニレポート
今回、製品発売に先立ってサンプルを入手できたので、簡単な使用レポートをお届けしたい。
本製品は2万円を超える価格帯のキーボードということもあり、作りは非常にしっかりしている。1,512gという重量もあり、タイピング中に本体が歪んだり、本体がズレたりすることはなく、安定してタイピングできる。パームレストを付けた状態ではさらに安定感が増し、より使いやすくなる印象だ。
高級キーボードに兼ね備えるべき要素もしっかり押さえられており、例えば基本的なステップスカルプチャー構造も採用している。ステップスカルプチャー構造は、列ごとにキー形状を変更する必要があるので、低価格帯のキーボードでは採用しにくいが、手の疲れを軽減する上では重要な要素の1つだ。
ケーブルは3本分出ていることもあり、非常に太く、また本体後部から直接出ており、出る位置を調整したりすることはできない。環境によってはケーブルの取り回しに苦労するかもしれない。ちなみにキートップは、日本語レイアウト版でもかなの刻印はなく、スッキリした印象を受ける。
本製品は一般的なフルキーボードと比較して、ファンクションキーの列と数字キーの列の間隔が若干狭い。ここを気にするユーザーは、USBポートやオーディオ入出力、マクロキーがないものの、レイアウトが標準的な「BlackWidow X」シリーズも視野に入れておきたい。
さて、肝心なRazer Greenスイッチの感想だが、普段からCherry MX赤軸や静電容量方式のキーボードを使い慣れている筆者でも、「このキースイッチなら乗り換えてもいいかな」と思った。
赤軸と静電容量方式では、軽い力で動作するため、高速入力を行なうとついつい軽く、浅く押しがちになってしまうのだが、そうすると入力漏れが発生してしまうことも少なくない。画面を見てタッチタイピングをしていればすぐに間違いに気づくので、その場で直せるのだが、筆者は職業柄資料を参照しながらタッチタイピングすることが多く、一文入力が済んでから画面を見ると「あ~最初の方入力漏れで間違えてる~」と気づいて修正することが多い。
しかしRazer Greenスイッチなら、スイッチがオンになるととともにカチッとしっかり音が鳴るので、こういったミスをかなり軽減できそうな雰囲気だ。ちなみに50gという数値ほど重く感じられず、打鍵は非常に軽快で高速入力は問題ない。
カチッと音が鳴るという意味では、以前ご紹介した“メカニカル風メンブレン”の「Ornata」も同様なのだが、あちらはパーツで擬似的にクリック音を発生しているだけであるのに対し、Razer Greenスイッチの音は、接点となる板バネが軸のパーツを底まで弾いて、接点がオンになるタイミングで鳴る音である。そのため「鳴ったのキーが入力されていない」というシチュエーションは、まず発生しない。
ものすごく厳密に言えば、スイッチのリセットポイント(オフになるポイント)では、中のパーツが完全に戻らず、そのポイントまで丁寧に力を抜いて、そこから再度押せば、クリック音を鳴らさずにオンにできるのだが、それはイレギュラーなケースだろう。
ちなみに本製品は10キーロールオーバーとされているのだが、Microsoftが公開している「Keyboard Ghosting Demonstration」で試したところ、14キー同時押し対応までであった。14キーを押した状態で15キー目を押しても、新たに認識はされることはない。14キー同時押しは予想外であったが、スペック通りNキーロールオーバーは非対応と言ったところだろう。いずれにしても、1人で使う文には実用上全く問題ないレベルである。
Chromaライティング対応という以外は、Razerらしからぬ質実剛健な作りのキーボードといった印象だ。ゲーマーのみならず、長く付き合えるキーボードを探しているユーザーにとって有力な選択肢になるに違いない。