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WD Blue/GreenのSSDは東芝&SanDisk製15nm TLC NANDを採用

~SanDiskのSSDは継続して棲み分け

ウエスタンデジタルジャパン株式会社 チャネルマーケティング シニアマネージャーの安田伸幸氏(左)と、Western Digital デバイスグループ マーケティング コミュニケーションを務めるLaurie Iwami氏

 ウエスタンデジタルジャパン株式会社は24日、WDブランド初のコンシューマ向けSSDの国内展開に関する記者発表会を開催した。

 既報の「WD Blue/GreenブランドのSSDが国内発売」でお伝えしている通り、WD BlueおよびWD Greenを冠したSSDが日本で発売されることになり、同社の傘下企業でSSD製品を出しているSanDiskに対し、WD側でどのような差別化を図るかが注目された。

 SSDのラインナップや仕様、価格について気になる方は、上述の別記事へのリンクから確認して欲しい。ここでは発表会で語られた内容をお伝えする。

国内ではWD Blue SSDを主力製品として展開

 「SanDiskはフラッシュメモリのリーダー、HGSTはエンタープライズ向け、そしてWDはクライアント/コンシューマ向けとして、市場に合った形でブランドを分ける」。最初に登壇したウエスタンデジタルジャパン株式会社 チャネルマーケティング シニアマネージャーの安田伸幸氏は、現在Western Digitalの傘下企業を含めた製品展開についてそのように述べた。

 Western Digitalは2012年にHDDを手掛けるHGSTを買収し、2015年にはSSDやSDといったフラッシュメモリ手掛けるSanDiskを買収した。これによってWestern DigitalはHDDからフラッシュまで幅広いポートフォリオを獲得しており、コンシューマからエンタープライズまでカバーする企業へと成長している。

 安田氏によれば、Western Digitalの内蔵HDDシェアはかなり高く、国内ではBCNの市場調査で2011年~2015年まで連続1位、今年度(2016年)1月~9月までのシェアでも51%もあり、2016年度もトップシェアになる見通しだ。特にWD BlueのHDDに関しては、世界の35%を占めるほどの量を提供している。SanDiskの買収によって、SSD市場参入の足掛かりとし、HDDと一緒にシェアを拡大していきたいことは、今回冠されたブランド名からもうかがえることだ。

Western Digitalの傘下にはHGSTとSanDiskがある
SanDiskを買収したことでHDDからSSDまで、Western Digitalのポートフォリオが拡大された
WD HDDのシェア。BCNの調べでは国内は5年連続1位。2016年1月~9月まででは51%のシェアを持っている
SanDiskのノウハウを受け継ぎ、WDブランドとしてSSDを展開する

 次いで登壇したWestern Digital本社でデバイスグループ マーケティング コミュニケーションを務めるLaurie Iwami氏は、今回のSSDの投入について、WDのHDDも合わせてユーザーに幅広い選択肢を用意する必要があると強調。WDのSSDはHDDを補完するためのソリューションとして考えているという。今回提供するSSDはM.2タイプのものでもSATA接続で、PCIe接続のSSDのような高速タイプは用意されない。これについては、現状のクライアントPCの約8割がSATAであることから、メインストリームを狙うSSDとして不要と判断したようだ。

 Iwami氏はもともとはSanDisk内部の人とのことで、WDの強みである販売チャネルの強さ、SanDiskの強みであるSSD製造のノウハウといった両者の強みを融合することで、今回WD製のSSDを5カ月未満の短期間で用意できたとしている。

 WD Blueは性能と信頼性にフォーカスし、起動ドライブや既存ドライブのアップグレードに最適という。ターゲット層は自作PC、エンスージアスト、ゲーマー、コンテンツ製作者などで、総書き込み容量400TBの耐久性の高さ、WD FIT Lab Certificationによる互換性の高さをウリとしており、高負荷作業においても性能が落ちにくいという。

WD Blue SSDの特徴
耐久性の高さをウリとし、高負荷のワークロードでも耐用年数が高い
WD Blue SSDのターゲット
WD Blue SSDの仕様

 一方のWD Greenは日常的な業務作業などをこなすには十分な性能を低価格で提供するという目的が与えられている。容量は120GB/240GBと少ないが、同社の調査によれば、1日あたりにSSDに書き込まれる平均的な書き込み容量は約20GBだそうで、書き込み総容量が40TBの120GBモデルでも5.6年は持つ計算になる。

WD Green SSDの特徴
1日当たり20GBの書き込みを行なった場合でも、120GBモデルは5.6年間耐える
WD Green SSDのターゲット
WD Green SSDの仕様
WD Blue/Green SSDには、SSDの状態監視などを行なう無償の専用ツール「WD SSD DASHBOARD」が付属。なお、SanDiskのSSDは認識しない

 担当者に聞いた話では、WD Greenは基本的に新興市場向けの製品であり、国内での主力はWD Blueが担うとのこと。そのため、WD Greenは入手性が悪いかもしれない。

 これらのSSDのNANDには当然ながらSanDiskのものが使われている。NANDは東芝とSanDiskが共同で運用している四日市工場で生産されている15nmプロセスのTLC NANDで、これはBlueもGreenも同じ。SSDのコントローラはBlueがMarvell、GreenはSMI(Silicon Motion)とのことだった。

 Greenはともかく、Blueの方はSanDiskが販売しているExtreme PROおよびUltra IIシリーズのSSDと性能/容量的に競合するところがあるが、この点に関してはお互いに独自の展開を図っていくという。つまり、今のところSanDiskブランドのSSDを潰す意図はなく、互いに定めたターゲットに対して製品を提供していく。SanDiskはSDカードや外付けSSDドライブをフォトグラファー向けなどとして強く訴求しており、現状ではそういった点で折り合いが付いているようだ。

 WD Blueを冠したSSDもWD BlueのHDDと同じように、メインストリーム市場の覇権を握るべく、世界的に投入して浸透を図っていくことになる。

WD Blue SSD
M.2 SSD
SATA SSD
WD Green SSD
M.2 SSD
SATA SSD