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中古PCが国内PC市場の2割を占める

~RITEAが設立10周年を迎える

 一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)は、2015年度に中古PC(リユースPC)の販売構成比が、PC市場全体の2割に達したことを発表した。

 同協会に参加している情報機器リユース取り扱い事業者35社の集計によると、2016年度のリユースPCの販売台数は、前年並の270万台となった。

 MM総研が発表した2015年度のPCの出荷台数は990万6,000台であり、これを合算し、新品PCと中古PCを合わせた国内市場規模は1,260万6,000台。ここから逆算すると、市場全体に占める中古PCの構成比は21.4%となった。

 新品PCは前年比21.4%減とマイナス成長となっているが、中古PCは2014年度の270万1,000台と横ばいで推移しており、結果として、中古PCの構成比が増加している。

 中古PCの構成比が高まっている理由として、同協会では、使用済み情報機器の廃棄処理よりも、情報機器リユース取り扱い事業者による買い取りの方が、経済メリットがあるという意識が定着してきたこと、使用済みPCのデータ消去作業について自信を持てない企業が、データ消去サービスと装置買い取りをまとめて依頼するケースが増加していること、景気回復基調の中で高性能化を目指した機器の早期買い換え需要が続いており、使用済み機器の下取りの受け皿としての役割をリユース市場が担っていることなどにより、良好な状況のPCが中古市場に流れ始めてきたことを理由に挙げている。なお、270万台のうち、39.5%が製造年度から3年以内の中古PCだという。

 また、同協会では、リユース情報機器の適正輸出を支援する「DirectReuse」制度を、2014年度からスタートしているが、2015年度には、7地域16カ国に対して、前年比18%増となる47万4,000台を輸出したことも明らかにした。そのうち、中古PCは前年比21%増の33万台となった。液晶ディスプレイ装置は4%減の12万4,000台、プリンタは2万台となった。

 同協会では、輸出用リユース情報機器の製品化基準の製品化基準を策定。これに基づいて製品化された輸出用リユース情報機器であることを示すための「DirectReuse」ロゴシールを貼付できるようにしている。

 7月からは、PCサーバー、ラックマウントサーバー、ブレードサーバーにも対象範囲を広げることも明らかにした。

 なお、2015年度におけるスマートフォンやタブレット、サーバー、プリンターなどを含むリユース情報機器全体の販売台数は、前年比4%増の437万1,000万台に達したという。

RITEAの概要
RITEAが目指す位置
RITEAが把握しているリユース/リサイクル製品分野
2015年度の実績
リユース情報機器の販売台数推移

 このうち中古携帯電話の販売台数は、前年比88%増の40万7,000台。内訳はフィーチャーフォンが169%増の11万3,200台、スマートフォンが69%増の29万3,800台。「フィーチャーフォンが大幅に増加しているのは、通信料金の安さが再注目されていることが背景にある」(小澤昇専務理事・事務局長)としている。

 さらに、2015年度は、250万台のリサイクル機器を回収。これらの使用済み情報機器から、合計で9,750tの資源を回収できたという。再資源化率は、回収技術の向上もあり、過去最高の91.9%を達成した。

 「経済価値が高い金は510kg、銀は2.55t、パラジウムは290kg、銅は432.43tを回収。この4つのリサイクル資源だけで、約35億円の経済価値に匹敵する。リサイクルの重要性が理解できる」(小澤昇専務理事・事務局長)とした。

携帯電話の販売台数推移
資源再利用量および再利用率
リサイクルの実績推移
材料別の実績
リサイクル資源の経済価値
DirectReuseロゴ付きの輸出先国と販売台数

 また、RITEAでは、設立10周年を迎えたのに合わせて、7月20日、帝国ホテルで設立10周年記念活動発表会を開催した。

 同協会代表理事の堀越幸雄氏(=デジタルリユース顧問)は、「2006年7月に設立したRITEAは、安全、安心なリユース、リサイクルを推進することを目的にスタートした団体である。ここ数年、ソフトウェアとネットワークは進化しているが、ハードウェアは成熟期にあり、技術の進展は鈍っている。次のブレイクスルーが起こるまではリユース機器が認知される絶好な時期である。次の10年に向けて、リユース情報機器の普及活動に力を注ぎたい」と述べたほか、「今年(2016年)2月には、米国において、使用済み電子機器のリユースおよびリサイクルを促進する非営利団体のSERI(Sustainable Electronics Recycling International)と情報交換を図り、協力していくことで話し合いの場を持った。会員企業の海外進出によるビジネスチャンスを広げていくことになる」とした。

 また、小澤昇専務理事・事務局長は、「情報機器リユース、リサイクルに特化した日本唯一の全国規模事業者団体がRITEA。PCやサーバー、タブレット、スマートフォンなど21品目の情報機器を対象に、残っている個人情報データの消去、破壊の徹底を前提に、コンプライアンス(法令遵守)、トレーサビリティ(履歴管理)のほか、取り扱い事業者の事業場審査やデータ消去ソフトウェアの評価認定制度などの第3者機関による適正な評価を行なってきた。さらに、米Microsoftとは、日本向けリユースPC専用のOSプログラムの提供において交渉し、実現してきた経緯もある」などとし、これまでの活動を振り返った。

 さらに、同協会監事である細田衛士氏(=慶應義塾大学経済学部教授)は、「情報機器のリユースに関して、的確なプロセスを作り、これを明確にして共有することができた点、情報を集めて広く公開する点、そして、情報機器のリユースに関わる高邁な精神を持つ企業によるネットワークを確立している点が、RITEAの意義だと言える」と述べた。

RITEA 堀越幸雄代表理事
RITEA 小澤昇専務理事・事務局長
RITEA 細田衛士監事
SERIのエグゼクティブディレクターのジョン・リングルバックがビデオメッセージを寄せた