やじうまミニレビュー

SilverStone「SST-ES01-PCIe」

~2.4Ghz帯でワイヤレスにPCの電源を操作

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「SST-ES01-PCIe」の外箱

 今回紹介するのはSilverStoneの「SST-ES01-PCIe」だ。本製品は2.4GHz帯を利用したワイヤレス電源スイッチで、PCに組み込めばリモコンで電源のオン/オフができる。

 10月29日時点のAmazon.co.jpでの販売価格は3,960円だった。

製品外観と仕様

 本体はPCI Expressカードで、x1接続のため、カード長は実測66mmとコンパクトだ。

 通常のPCI Expressだけでなく、LowProfile用のブラケットも付属するので、スリムタワーケースなどを使用している場合でもブラケットを交換することで対応可能となっている。

 PCI Expressカードとなっているが、何らかのデータ通信を行なっているわけではなく、PCI Expressスロットはただの電源供給源として利用されている。PC電源に付随するSATAやペリフェラルではなく、PCI Expressスロットを電源としたのは、PCがシャットダウン状態でも給電することができるためだと思われる。

 セットアップは、付属するケーブルでカード後部のコネクタとマザーボード上のPOWER/Resetピンヘッダを接続するだけで完了。ケーブル長は実測で約34.5cmなので、ピンヘッダが余程特殊な位置にない限り、Extended ATXなどの大型フォームファクタでも問題ないだろう。

 なお、ケーブルはPOWER/ResetともにY字ケーブルになっているので、ケース側スイッチからでも電源投入/リセットが可能となっている。

 リモコンはPOWERとResetの各ボタンと、発信を示すLEDが搭載されているだけのシンプルなもの。電源はボタン電池(CR2025)。サイズは実測で約32×50×10mm(幅×奥行き×高さ)だった。

カード本体
付属のケーブル
先はY字ケーブルになっている
ケーブル接続時
交換用のLowProfileブラケット
リモコン

実動作を検証

 国内代理店の株式会社ディラックの製品ページでは、リビングに設置したHTPCや、リモートデスクトップで操作しているローカルサーバーの電源投入などを、製品活用シチュエーションとして挙げている。

 しかし筆者は、かつては余ったパーツを組み合わせてローカルメディアサーバーを組んでいたが今は解体済みで、HTPCも所有していない。

 そこで「最大動作範囲:20m」という仕様に着目し、宅外から電源を投入することを思いついた。

 読者諸兄は帰宅してまず行なうことはなんだろうか。筆者は帰宅すると真っ先にPCを起動するのだが、帰宅前に電源を投入できれば、玄関で靴を脱いでいるころには起動も終わっているので、帰宅と同時に万全の状態で待ち構えるPCと対面できるというわけだ。

 実際に試してみたところ、木造一軒家の2階にある自室真下の公道から電源投入が可能だった。仕様の20mというのは遮蔽物が存在しない場合の最大動作距離で、筆者の環境では壁3枚が間に挟まると信号が届かなかった(壁3枚の内1枚は横壁でなく床面)。

 外から使うのでリモコンを持ち歩くことになるが、リモコンにはリングが付いているので、ストラップを付けておけば紛失を防げる。

外でリモコンを操作
見事路上から遠隔起動成功

 ちなみに枕元に置いておけば、朝に目覚まし時計を止めた手でリモコンを押すことで、スムーズに起床後のPC作業へ移ることもできた。

 上の利用法は少々特殊かもしれないが、キーボードやマウスを無線化していれば、本製品で電源も無線ボタンにすることで、手の届きにくい場所へPCを設置できるので、猫や犬を飼っているPCユーザーなら、足下に置いたPCが吸い込んだ毛の掃除の面倒や、稼働中のPCにタックルされる危険から逃れられるかもしれない。

「外部からPCの電源を操作する」なら買い

Windowsでは設定で電源ボタンを押した場合の動作を変更できる

 PCの電源を外部から投入するという点では、ネットワークのパケットを利用したWake on Lan機能でも本製品と同様の操作が可能だが、WoLではシャットダウンコマンドやリセットコマンドは送信できない。その点、本製品であれば、Windowsユーザーなら「電源ボタンの動作」設定次第でシャットダウン/スリープ/休止状態にできる上、万が一の時にリセットボタン操作や、電源ボタン長押しによる強制シャットダウンも可能だ。この点だけでも、刺さる人には刺さる商品だろう。

 PCの電源をリモートで操作するなら、本製品を使えば「痒いところに手が届く」はずだ。

(佐藤 岳大)