やじうまミニレビュー
ロジクール「Z120BW」
~Amazon.co.jpでベストセラーの小型ステレオスピーカー
(2015/4/9 06:00)
今回は、現在Amazon.co.jpにてPCスピーカーカテゴリでベストセラー1位を獲得しているロジクール製スピーカー「Z120BW」をご紹介しよう。購入価格は1,523円だった。
オーディオ機器の基本とも言えるスピーカーは、数百円のものから数百万円のものまで、まさにピンからキリまであるのだが、Z120BWはかなり安価な方だ。1万円を切るスピーカーに関しては、音質には大して期待しないで買うユーザーも多いのではないだろうか。
筆者もこれまで数千円レベルのものをいくつか購入してきた。しかしその中でもいい意味で“期待を裏切ってくれる”スピーカーはある。例えばクリエイティブメディアが2001年に発売した「Inspire 2.1 2400」は、実売5,000円を切る低価格でありながら、比較的大型のサブウーファが付属し、低音から高音までを満遍なくカバーできる優秀な製品であった。当時はサウンドカード「Sound Blaster 5.1 Live!」と組み合わせて、いろんな音楽に浸ったものだ。そんなわけで、安いスピーカーだからと言って音質に妥協したモノ、という意識を持たないようにしている。
今回ご紹介するZ120BWも、低価格スピーカーの部類に入る。そして低価格スピーカーの中でも、さらに低価格な部類だと言っても良いだろう(もちろん探せば数百円レベルでもあるのだが)。サブウーファは付属せず、電源もUSBバスパワーで駆動。出力は0.6W+0.6Wとかなり小さい。エンクロージャもプラスチック製で、値段なりのスペックと材質だ。
しかし、本機はAmazon.co.jpでベストセラーの製品である。しかも2,000件を超えるカスタマーレビューを獲得しており、ユーザーの評価もかなり高い。つまり、確実にユーザーの支持を得ているのだ。安いスピーカーで高い評価を得ているその実力はいかなるものか、とても気になったので、購入した次第である。
パッケージは非常に簡素で、箱を開けるとプチプチに本体をくるんだだけのものとなっている。付属品はなく、保証書のみだ。本機はUSBコネクタとステレオミニプラグを接続し、電源を入れる(ボリュームを回す)だけで鳴らせるシンプル仕様のため、パッケージのみみにイラストで説明が描かれているだけである。
エンクロージャは前面のフェイスが黒の光沢仕上げプラスチック、その周りが白の梨地プラスチックとなっている。質感は2,000円未満の製品の域を出ないが、ドライバ周囲が若干膨らんでいるなど、デザインに意匠も見られ好感触だ。ボリュームのノブも小気味よくスイッチが入り、ノブの抵抗も適度で滑らかに回り、ボリュームを回し過ぎるようなことはない。
ドライバの直径は50mmで、さほど大きくはない。筐体サイズは片方あたり88×90×110mm(幅×奥行き×高さ)、重量は248g。小型の割にはしっかりとした重さがあり、安価ながら“オーディオ機器”としてはなかなかこだわっている雰囲気だ。
本機の最大の特徴は、ケーブル収納機構だ。背面にケーブルを巻き付けるためのくぼみが用意されており、そこに余ったケーブルをぐるぐる巻きにできる。例えばノートPCで使う場合、本体からさほど離れた場所にスピーカーを置くわけではないため、余ったケーブルがかなり邪魔で見栄えも悪くなるのだが、これによって机の上をスッキリさせられるわけである。なお、ケーブルはUSBケーブル/ステレオケーブルが120cm、スピーカー間ケーブルが80cmで、足元に置くデスクトップPCで利用する場合にも十分対応できる長さとなっている。
さて実際の音だが、これは確かにAmazonで高評価なのも頷けるものだ。高音はきらびやかだが派手すぎず、中域~低域に関しても満遍なくカバーできており、フラットな印象。サブウーファがないためさすがに重低音までは出ないが、本体サイズと価格を考えれば十分満足できる。バスレフポートやパッシブラジエータのような仕組みがないので、正直このシンプルな構造でこの音が出るのは驚きだ。安価なスピーカーにありがちな、エンクロージャ内部に音が篭っているような感じもなく、非常に明瞭だ。
先述の通り、本製品はUSBスピーカーではなく、USBはバスパワーを取るだけで、3.5mmステレオミニプラグで音声を鳴らす仕組みだ。つまり純粋なアナログスピーカーであり、そのため電源さえ確保できれば、接続する機器はなんでも良い。もちろんデスクトップPCで使っても満足できる音質だが、机の上でできるだけ線を煩雑にせずスマートに使いたいノートPCには最適だと言える。もちろん、スマートフォンやタブレットでも、USB電源さえ準備できれば使える。そういった意味でも、汎用性が非常に高い製品だと言えるだろう。
敢えて気になったところを挙げるとすれば、新品であるにもかかわらず本体に小さな汚れや傷が入っていたことだ。ネット上のユーザー評価やレビューを見ても、同様の報告がある。個体差の可能性もあり、機能や音質にはさほど影響ないのだが、いくら安物と言えども、世界を股にかけるロジクールブランドなのだから、品質改善に努めてもらいたいところである。