やじうまミニレビュー

約3,000円で叩き売り。青軸(っぽい)メカニカルゲーミングキーボード

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
I-500

 現在Amazon.co.jpにて、青軸のメカニカルゲーミングキーボードが74%オフの3,369円で販売されている。元値から9,630円も引かれた破格の安さだ。

 キーボードは英語配列の87キーで、テンキーレス。Amazonの説明文によれば、複数キーを同時に押しても個別にキーを認識可能なアンチゴースト機能を実装しており、5,000万回の入力耐久性も備えているという。また、防水機能の搭載も謳っており、キーボード背面の下部を見ると、水抜き用の3つの孔が設けられている。

裏面下部に横長の3つの水抜き孔が用意されている。防水機能を謳うが、本当に液体をかけても基板に影響が出ないかは不明である

 販売メーカーは「Qtuo」という聞き慣れないメーカーなのだが、パッケージや製品のラベルにはどこにもQtuoの文字が書かれていない。そもそもAmazonのページに書かれている製品名は「87キー ゲーミングキーボード メカニカル式 Windows 10対応 日本語取扱書付き ブラック」となっており、およそ製品名らしくない。少し調べてみると、実際には中国のEastern Times Technologyという会社が作っている製品のようで、製品名は「I-500」となっている。Qtuoは販売代理店のような立ち位置なのかもしれない。

 出自がちょっと謎めいているこのキーボードだが、CHERRYっぽいスイッチを搭載したメカニカルキーボードでありながら、3,000円台前半の価格はやはり魅力的である。ちょうど会社で使っているThinkPadトラックポイントキーボードが壊れかけていたこともあり、その代替として購入してみた。

打鍵感は青軸そのもの、スイッチには「Switch Master」の文字が……

 さて、Amazon段ボールの中に茶箱に包まれて配達されてきたこのキーボードだが、思っていた以上にまともな作りである。機能については冒頭で述べた通り、アンチゴースト機能を搭載しており、実際にCall of Duty: Black Ops IIIのマルチプレイで動作を試してみたが、同時押しも問題なく行なえており、まったく支障はなかった。

こんな箱に入って配達されてきた
箱を開けてみると、きちんと包装されている

 キートップを外してスイッチを露出させてみたところ、スイッチには「Switch Master」という文字が刻まれている。「CHERRY」という文字はどこにも見当たらない。手元にある純正のCHERRY MXスイッチと比べてみても明らかに形状が異なっており、純正品と比べると若干粗雑な作りに見える。キーキャップには互換性があったものの、スイッチはコピー品なのかもしれない。スイッチの上部にはLEDライトを仕込むための孔が用意されているが、本製品はブランク状態だった。

透明の土台に青軸のスイッチ。この写真では視認できないが、透明の手前部分に「Switch Master」と書かれている
スイッチの下部は露出している
側面

 スイッチは青軸らしく多少固めで、スイッチ音は「カチッ」としたはっきりとしたクリック音を出す。筆者は茶軸は使っているが、青軸を使ったことがなかったので、ほかの編集部の青軸ユーザーに使い心地を聞いてみたところ、ほぼ青軸の感覚であるとの証言を得られた。ただし、キーの下が鉄板になっているせいか、若干底打ちに堅さがあるとのこと。ちなみにCHERRY MXスイッチの青軸の押下圧は約50gであり、茶軸および赤軸の約45gと、5gの差がある。

コンパクトさが魅力。作りに手抜きは見られない

 ちょっといかがわしさを醸し出しているものの、筆者は悪くない製品と思っている。まず、そのコンパクトさが気に入った。テンキーがないのはもちろん、数字キーとファンクションキーの間の間隔がかなり狭められており、その分奥行きの縮小に繋がっている。大抵は1cmくらい隙間があるものだが、本製品に関しては5mm程度しかなく、ファンクションキーに指を伸ばす動作が楽になって良い。数字キーとファンクションキーの近さを考慮してか、ファンクションキー側が数字キーに対して若干下位置に配置されており、使いやすさを考えての設計とうかがわせる部分もある。

数字キーに対してファンクションキーが若干下位置になっている

 また、付属品として、キートップ引き抜き工具が付いていたり、USBプラグの持ち手部分の形状が多少凝っていたり、位置ずれ防止用のゴム足が付いているなど、全体的に見ると手抜きで作られたという要素は見当たらない。付属マニュアルもきちんと日本語対応である。

付属のキートップ引き抜き工具
USBプラグの形状
キーボードの手前側に滑り止めのゴム
キーボードに傾斜を付けるための足にもゴムが履かされている
Caps LockキーとScroll Lockキーの有効を通知するLEDを備えている
USBケーブルは取り外し不可の一体型。フェライトコアが使われている
マニュアルは日本語と英語表記

 ファンクションキーの部分は「Fn」キーと組み合わせてのマルチメディアキーとなっており、音量の調節や再生/停止、電卓の呼び出し機能などが行なえる。左のスタートキーとFnキーを押せば、スタートキーとアプリケーションキーが無効になる。この辺りはゲーミングキーボードを謳っているだけあって、ゲーマーへの配慮が見られる。


 繰り返しになるが、執筆時点では本製品は3,369円という破格の値段である。スイッチはCHERRYではなさそうなものの、十分に青軸っぽい能力は有している。気軽に買えるメカニカルタイプの英語キーボードとして見れば、本製品はなかなかお買い得と言えるだろう。

(中村 真司)