やじうまミニレビュー

Amazon「Fire TV Stick」音声認識リモコン付属モデル

〜TVと組み合わせての動画視聴はもちろん音楽再生にも対応

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Fire TV Stick」。リモコンの違いによって2種類の製品がラインナップされる。今回は音声認識リモコンが添付されたモデルをオーダーしたが、発売延期を経て11月中旬にようやく出荷が開始された。通常価格は6,480円

 Amazonの「Fire TV Stick」は、TVのHDMIポートに挿すだけで、Amazonビデオを始めとする映画やビデオを大画面で楽しめる製品だ。スティック型の本体にはデュアルコアCPUと1GBのメモリ、8GBのストレージが内蔵されており、PCやタブレットなしでインターネットにアクセスし、動画コンテンツの視聴が行なえる。Amazonビデオのほか、HuluやNetflix、Gyao!、さらにはニコニコ動画など、幅広い動画配信サービスをサポートするのが特徴だ。

 今年(2015年)9月にスタートしたAmazonプライム会員向けの動画配信サービス「Amazonプライムビデオ」を利用するには、同社のタブレットFireシリーズを購入するか、もしくはタブレットにアプリをインストールする必要があった。本製品であれば、PCやタブレットが不要で、既に家庭にあるTVに追加するだけでAmazonプライムビデオを楽しめるので、タブレットのない環境でなるべく安価に視聴環境を構築したいニーズにぴったりというわけだ。

PCやタブレット不要で利用できる。Amazonのサービスとの親和性が高い

 最近では本製品のほかChromecastやApple TVなど、TVに装着することで動画コンテンツを楽しめる製品が続々登場しているが、本製品の強みは、HDMIポート搭載のTVさえあれば利用できること。インターネットに接続するためのWi-Fiルータだけは必要になるが、利用にあたってPCやタブレットなどは必要ない。PCもしくはタブレットと組み合わせることが前提のChromecastとの大きな違いだ。

 Amazonの製品ということで、同社サービスとの親和性は極めて高い。Amazonプライムビデオを始めとした動画以外にも、音楽配信サービスであるPrime Musicやゲーム、アプリを楽しんだり、あるいはAmazonのクラウドに保存した写真をスライドショーで鑑賞することもできる。電子書籍サービスのKindleには対応していないが、TVで読書するというニーズはあまり多くないだろうし、またリビングで家族と一緒に動画を楽しむ際に購入済みの電子書籍が表示される心配がないというのは、むしろ好都合だろう。

 本製品にはスタンダードリモコンが付属したモデル(4,980円)と、音声認識リモコンが付属したモデル(6,480円)の2種類があり、本稿で取り上げるのは後者である。このほか据置型のFire TV(12,980円)という製品もあるが、こちらはCPUやメモリ、Wi-Fiなどのスペックが強化されており、ハイスペックなゲームにも対応できるほか、有線LANやmicroSDスロット、USBポートなどを搭載しているのが特徴だ。Fire TV Stickが入門機、Fire TVがハイエンド機という理解で良いだろう。

パッケージはFireタブレットと共通の鮮やかなオレンジ
同梱品一覧。USB-ACアダプタはFireタブレットに添付されているものと共通
本体側面には給電用のMicro USBコネクタがある。HDMIに挿しただけでは動作しないので注意したい。ちなみに本体に電源ボタンはなく、20分経過すると自動的にスリープモードになる
スタンダードリモコン搭載モデルはHDMI延長ケーブルが添付されているが、本製品は代わりにHDMI延長コネクタが添付され、ケーブルは別売となる
音声認識リモコン。単4電池2本で動作する。ちなみにスマートフォンに専用アプリをインストールしてリモコンとして使うことも可能だ

アカウント登録済みの状態で届くのでセットアップは容易

 セットアップの手順は、まずTVに本製品を挿した後、TV画面に表示される手順に従ってWi-Fiに接続する。製品購入時に利用したアカウントが既に登録されているので、WPSを使わずにWi-Fiパスワードを手入力する場合を除き、ソフトキーボードからIDやパスワードを入力する必要は一切ない。至って簡単だ。

 なお、スティック型のコンパクトなボディに気を取られて誤解しがちなのだが、本製品の駆動にあたっては、本体側面のUSBポートにケーブルを繋いでの給電が必要になる。製品ページだけ見ているとHDMIコネクタに挿し込めば動くと勘違いしやすいので、特に本製品を旅先などに持ち歩きたいと考えている人は要注意である。

まずはTVのHDMIコネクタに挿入する。位置の関係で挿し込みにくければ延長アダプタとケーブル(別売)を使うと良い。給電用のUSBケーブルはAC変換アダプタを経由してコンセントに繋ぐ
すぐにリモコンの検出が始まる。リモコン側の家(ホーム)マークのボタンを押すと認識され、次の画面に進む
セットアップが開始される。まず言語を選択
ネットワーク(SSID)の一覧が検索されるので、使用するSSIDを選択してパスワードを入力する。これらの手順はFireシリーズなどと同様で、WPSによる設定にも対応している
製品購入時に利用したアカウントが既に登録されているので、間違いがないかチェックして先に進む
使い方を紹介する動画が再生される
機能制限の有無を選択してセットアップは完了。ホーム画面に遷移する

操作はリモコンで行なう。音声認識によるキーワード検索にも対応

 ホーム画面は、左列にプライム・ビデオや映画、TV番組、ウォッチリスト、ビデオライブラリ、ゲーム、アプリといったカテゴリが並び、それぞれを選択すると右列に詳細が表示されるという、ごく一般的な画面設計だ。これまでFireタブレットなどAmazonのコンテンツの利用経験がなくとも、迷わなくて済むだろう。

 操作は全て添付のリモコンで行なう。タブレットFireシリーズと比べた場合、横スクロールをする際にタブレットだとタッチパネルをスワイプするだけで済むのが、本製品だとリモコンでカチ、カチ、カチと1アイテムずつスクロールさせなくてはいけないなど、UIの違いに起因する操作方法の違いはあるが、インターフェイスは非常にこなれており、階層を移動して項目を選択するだけで一苦労といった、この種のSTB(セットトップボックス)にありがちな操作の難解さがない。

ホーム画面。最近観たコンテンツや、注目タイトル、おすすめタイトルなどが表示される。別のカテゴリに切り替えるためにはリモコンの上下ボタンを押してフォーカスを切り替える
プライム・ビデオではプライム会員が無料で視聴可能なコンテンツが表示される。プライム会員であればここの利用頻度が最も高くなるだろう
Amazonビデオ以外にもさまざまな動画配信サービスに対応。アプリをダウンロードすることで利用できる
音楽再生にも対応。「Prime Music」にも対応しており、後述するようにジュークボックスとして使える
ゲームにも対応。別売りのAmazon Fire TV ゲームコントローラーと組み合わせて楽しめる
写真のスライドショー機能も備える。速度の調整やシャッフルのオン/オフ、スタイル(パン&ズーム、ディゾルブ、モザイク)などのメニューが用意される。
設定画面。ミラーリングの設定やBluetoothデバイスの追加、機能制限などが行なえる

 今回はWi-Fiルータとは11aで接続したが、動画再生は至ってスムーズで、画面が固まったり音声が途切れたりといったこともなかった。項目を選択して詳細を表示する際も読み込みがスピーディなのは、ユーザーの好みを学習して事前にバッファを行なうASAP(Advanced Streaming and Prediction)機能が寄与していると見て良さそうだ。リモコンのホームボタンを押せばすぐにホーム画面に戻れるのも良い。

 ただ、動画などコンテンツの再生中にいきなりホーム画面に戻ってすぐさま別のカテゴリの詳細を表示するといった具合に、脈絡のない動きを連続して行なうと、反応がワンテンポ遅くなるケースがある。これはASAP機能による先読みが効きにくい挙動だからと考えれば辻褄が合いそうだ。常時ストレスが貯まるというレベルではないが、これまでFireタブレットなどでスムーズな動きに慣れていた人は、多少気になるかもしれない。

 なお今回紹介している音声認識リモコンであれば、マイクボタンを押しながらキーワードを話しかけるだけで、コンテンツの検索が行なえる。日本語にも高いレベルで対応しており、外国人の俳優名をカタカナ読みしてもきちんと認識してくれるのは秀逸だ。リモコンを使って日本語を入力するSTBやHDDレコーダなどでは、日本語入力の面倒さがたびたびクローズアップされるわけだが、本製品ではそうした問題もない。

検索画面。リモコンで一文字ずつ選んでのキーワード検索にも対応するが、音声認識リモコン添付モデルであればこの画面は使わず、マイクから音声入力した方が手っ取り早い
リモコンのマイクボタンを押しながら音声を入力する。音声の読み取り中は上部の青線が波打つ
検索可能なのはタイトル、俳優名、配役名、ジャンルなど。今回はタイトルで「いぬがみけ」を検索してみた。3つの候補語の中から、いちばん上の「犬神家」を選んでクリック
「犬神家」で検索が実行され、「犬神家の一族」が表示された
詳細画面を経て動画が再生が行なえる。早送り/戻しボタンを押すとそれぞれ10秒単位でスキップするのは、Fireタブレットやスマートフォンアプリと同じだ

動画を観る時間がなくてもジュークボックスとして活用できる

 さて、筆者がここ1週間ほど本製品で楽しんでいるのは、動画でもなければゲームでもなく、もっぱら音楽だったりする。本製品は先日サービスインしたAmazonプライム会員向けの音楽配信サービス「Prime Music」に対応しており、プライムプレイリストを選ぶことで、TVをジュークボックスとして使える。この機能を使えば、動画を観る時間がなかなか取れない場合でも、作業用BGMの再生ツールとして活用できるというわけだ。

 操作については、音量調整だけはTVの側で行なう必要があるものの、それ以外の再生/一時停止や、早送り/戻しといった基本操作、さらにはプレイリストの切替や新しいプレイリストの検索もできるので申し分ない。動画を観るために購入したが、実際にはなかなか起動する機会がなく、本製品の出番が限られている……という方に、普段使いを増やすための方法としておすすめできる。

Amazonプライム会員向けの音楽配信サービス「Prime Music」に対応する
既に他のデバイスで選択済みのプライムプレイリストの一覧が表示される
曲を再生中。これは楽曲リストを表示した状態。全楽曲のシャッフルや繰り返し再生が設定可能
こちらは楽曲リストを非表示にした状態。現在再生中の曲のタイトル、再生秒数などの情報が表示される

 以上ざっと使ってみたが、セットアップはFireタブレット譲りの手軽さで、インターフェイスも日本語の表示環境に合わせて作り込まれており、巷のSTBにありがちな、メニューの操作しづらさにうんざりさせられることもない。今回試用した音声認識リモコン搭載モデルであれば、キーワード検索も容易なため、新しいコンテンツに出会う確率もぐっと高くなる。

 実売価格は6,480円、さらにスタンダードリモコン搭載モデルだと4,980円と安価で、Amazonプライム会員の年額3,900円と合わせても、1万円前後でこれらコンテンツを楽しめる環境が構築できるのは、お得感が高い。動画配信サービスを常用している人にとってまたとない製品であることは言うまでもないが、動画配信サービスをこれまで使ったことがない人にとっての入門機としても、おすすめできそうだ。

(山口 真弘)