Windows 8.1カウントダウン
Windows 8.1の共有機能を積極的に使う
(2013/8/21 00:00)
リリース日も決まり、いよいよ感が強くなってきたWindows 8.1だが、Windowsが今の時代のトレンドに大きく遅れをとっていた部分が「共有」の考え方だ。SNS全盛の今の時代、この考え方は重要だ。今回は、Windows 8.1での共有について見ていくことにしよう。
発売日決定
Windows 8.1のリリース日をMicrosoftが発表した。ニュージーランドにおいて、10月18日午前0時からということだ。日本とニュージーランドとの時差は3時間、さらに南半球のニュージーランドは10月時点では夏時間に入っているはずなのでさらに1時間。つまり、日本では10月17日の20時ということになる。この時点から世界各国に順次展開されながら、Windowsストアを通じてアップデートができるようになるという。Windows 8のリリースは、2012年10月26日だったので、わずか10日とはいえ、1年を待たずに新しいバージョンが出荷されるということに、Microsoftのスピードが感じられる。
ただし、このタイミングで一般向けに公開するためには、もっと前にRTMする必要がある。RTMは8月中がアナウンスされているが、詳細については未発表だ。Windows 8のときは、7月19日に発売日が決定、8月1日にRTM、8月15日にMSDNやTechNet向けにRTMが提供開始されている。
Windows 8では、発売日の決定から10日後にはRTMしていたことを考えると、8.1の発売日決定が8月14日なので、8月27日あたりのRTMかなと予想している。
RTMがPCベンダー各社にわたり、それほど時間をおかずにMSDNやTechNet向けの配布が始まるといった段取りになりそうだ。いずれにしても、本当にもうわずかだ。
共有機能がちょっとだけ拡張
さて、本題に入ろう。
Android OSを使いやすくしている要素の1つに、インテントと呼ばれる機能がある。この機能がいわゆる「共有」として、エンドユーザーが使えるようになっている。多くのアプリが共有をサポートし、今、そのアプリで扱っているデータを、他のアプリに送ることができるし、受け取ることもできる。たまたまその送り先が、TwitterやFacebookなどのSNSである場合は、その情報を他者と共有することになるというわけだ。
Windows 7までは、この類いの機能は特に用意されていなかった。だから、ユーザーは共有したい情報をクリップボードにコピーして、受け側のアプリにそれをペーストする、あるいはドラッグ&ドロップするという手順を踏まなければならなかった。
Windows 8になって、ようやく共有がOSでサポートされるようになった。チャームを呼び出して「共有」を選択すると、共有を受け入れるアプリのリストが表示され、コンテキストに応じた情報が、そのアプリに送られ、ペイン上で編集して保存したり、送ったりすることができる。
Windows 8.1では、Windows 8までは共有できるものが何もなかったデスクトップに対して、そのスクリーンショットを共有できるようになった。開いているアプリのウィンドウや選択しているオブジェクトなどとは無関係にデスクトップ全体のスクリーンショットだけが共有できるというのは、いかにも乱暴だが、デスクトップとモダンUIを融合させる手段として、クリップボード以外のものも使えるようになる可能性を示唆している。この先、さらに使いやすいものになることを期待したい。願望としては、選択中の文字列を辞書アプリや検索エンジンに送るくらいのことはできてほしいと思う。
標準アプリとしてリーディングリストも追加
共有先アプリの1つとして、Windows 8.1の標準アプリが追加された。それが「リーディングリスト」だ。いわゆる「後で読む」系のアプリで、さすがに標準アプリらしく使い勝手は悪くない。
ストア版に限るが、IEであるページを開いているときに、共有しようとしたときの一覧に「リーディングリスト」が表示される。これを選択することで、表示中のページがリストにスタックされるのだ。
スタート画面のアプリ一覧からリーディングリストを起動すると、スタックされたページのサムネールが横方向に表示される。たくさんのスタックがあっても、横にスクロールしてスムーズにページを確認することができる。
サムネールの1つをタップすると、リーディングリストアプリがスクリーンの左側にスナップされて縦長の一覧表示になり、そのページをIEがスクリーンの右側に開く。この状態で、リーディングリストから任意のページをタップすれば、右側のIEが順次、そのページを開いていくというUIになっている。
また、スタックしたページはSkyDriveを介して同期され、同じアカウントで登録しているすべてのデバイスで参照できる。スモールスクリーン端末で、スタックしておいたページを、自宅やオフィスに戻ってから大きなスクリーンでじっくりと読むといった使い方ができるわけだ。
こうしたことができるアプリとしては、Pocketが有名で、あらゆるプラットフォームに対応している点で使い勝手がいい。だが、残念ながらWindows 8のモダンUI版だけが欠落しているため、その恩恵を受けることはできない。できていたのはPocketのキューをウェブで参照するだけだった。
もちろん、リーディングリストは他のプラットフォームで使えないので、活用できるシーンが限られるが、できないよりはできた方がいい。これもまた小さくても大きな改変だといえる。
アクセラレータやプラグインを代替するものは?
Windows 8とWindows 8.1の共有で、ちょっとした違いがあるとすれば、共有するオブジェクトをコンテキストに応じて識別するようになっている点だ。
例えば、Windows 8のストアアプリIEで、任意のページを開き、そのページ内にある任意の文字列を選択した状態で共有しようとしても、共有先のアプリには、ページ全体のタイトルとURLが送られるだけだ。だが、Windows 8.1では、選択された文字列が送られるようになっている。
デスクトップ版のIEでは、アクセラレータやプラグインを使って、選択したオブジェクトやページそのものの情報を共有することができる。また、アプリケーション間でも、ドラッグ&ドロップなどの操作で容易にデータを共有することができてきた。
こうした環境に慣れきっていると、フルスクリーンの没頭型UIで使うストアアプリでは、なんだか手足をもがれたような気持ちになってしまう。
ストアアプリのIEでは、アクセラレータもプラグインも使えないし、他のアプリにデータを渡すにはクリップボードを使うしかない。また、ブックマークレットも使えないので連携や共有はお手上げに近い状態だ。使い勝手を向上させるには、共有機能をフル活用できるようにしてもらうしかない。
ちなみに、ストアアプリのIEでは、他のWindows環境のIEが開いているページも参照できるようになった。Windows環境に閉じていること前提であれば、使い勝手は大幅に高まっているのだ。あとは、この環境をいかに他のプラットフォームからも使えるようにするかだ。
マルチデバイスの時代、すべてをWindowsにというのは無理がある。競争を考えるよりも、共存共栄を考えなければならないのは自明だ。そこのところを、Windows 8.1は、少しずつ模索しているように感じている。