笠原一輝のユビキタス情報局

ゲームだけではない、多数のユニークな機能こそが特徴のSHIELDタブレット

NVIDIAのSHIELDタブレットと純正コントローラ

 NVIDIAが「SHIELDタブレット」を日本市場でも正式に発表した(発表の内容は別記事参照)。

 SHIELDタブレットは、NVIDIAが自社ブランドで発売するゲーミング向けタブレット。2013年に米国や香港など一部の市場だけで発売された「SHIELDポータブル」の後継製品として投入された第2世代製品となる。

 「タブレット」と付いていることが示すように、2013年末に投入された「Tegra Note 7」の後継でもあり、ゲーム専用端末にはあまり興味が無いユーザーにも注目の製品となっている。

 本レポートでは、筆者が渡米した折に入手したSHIELDタブレットを利用して分かった、スペック表からだけでは見えてこない部分に関する利用感などを紹介していきたい。実際に手にしてみて、SHIELDタブレットは、単なるゲーム端末としてだけでなく、日常的にコンテンツビューアやビジネスツールとしても使っている人にもお薦めできる製品だと分かる。

 なお、使用したのは米国で販売されているSHIELDタブレットのWi-Fi版。米国で販売されている製品だが、すでに国内の技適マーク認定も取得されており、タブレットの脇にその刻印がされているほか、9月末に配布された新しいファームウェアでは、技適マークがデジタル的にも表示されるようにもなっている。つまり、国内で販売される製品もほぼ同じモノになる可能性が高い。とは言え、完全に同じとは保証できないので、そこはあらかじめお断りしておく。

Androidは最も重要なゲーミングプラットフォームに

 そもそもNVIDIAがSHIELDをリリースした背景としては、Androidゲーミング市場の興隆がある。3月に米国で行なわれたGTCにおいて、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「最も重要なモバイルプラットフォームは今やAndroidだが、それだけでなくAndroidは今後最も重要なゲーミングプラットフォームになっていくと強く信じている」と述べている。

 この考えには、おそらく多くの日本のユーザーも同意するのではないだろうか。実際、日本で多くプレイされているゲームと言えば、スマートフォン用に配信されている「パズル&ドラゴンズ」のようなカジュアルなゲームだ。Android(やiOS、特に日本ではiOSの存在感が他の市場よりも高い)がそうしたカジュアルなゲームのプラットフォームとして既に成立しており、それを起点として今後は、PC向けやゲームコンソール向けの超大作へと広げていこうとしている。それに併せ、NVIDIAとしてもそこに投資していきたい、それがフアン氏のビジョンだ。

 そうしたフアン氏のビジョンを具現化した製品がSHIELDシリーズだ。SHIELDシリーズは、2013年のInternational CESで発表されたSHIELDポータブルが最初の製品となる。ちなみに、SHIELDポータブルは当初SHIELDとだけ呼ばれていたのだが、今回SHIELDタブレットがリリースされたため、現在は区別するためSHIELDポータブルと呼ばれている。

 SHIELDポータブルはゲームコントローラと5型HD(1,280×720ドット)ディスプレイを合体させたようなクラムシェル形状になっていた。SoCは、Tegra 4が搭載されており、2GBメモリ、16GBのストレージというスペックになっている。なお、米国や香港などでは現在もSHIELDポータブルは併売されており、米国での価格は税別199ドル(日本円で約2万2千円)となっている。

 その後継となるSHIELDタブレットの具体的なスペックは以下のようになっている。

【表1】 SHIELDタブレットのスペック
SoCNVIDIA Tegra K1/2.2GHz
メモリ2GB
ストレージ16GB/32GB(LTEモデル)
ディスプレイ8型1,920×1,200ドット
無線Wi-Fi(IEEE 802.11n)/Bluetooth 4.0/GPS/LTE(LTEモデルのみ)
ポート類Mini HDMI/Micro USB/microSDXC/ヘッドフォン
カメラ前面500万画素/背面500万画素
バッテリ19.75Wh
重量370g
サイズ221×126×9.2mm(幅×奥行き×高さ)
OSAndroid 4.4
SHIELDポータブル(左)とSHIELDタブレット(右)
SHIELDポータブル(左)とSHIELDタブレット+純正コントローラ(右)。純正コントローラとSHIELDタブレットでちょうどSHIELDポータブルをカバーすることがよくわかる

 SHIELDタブレットには2つのSKUがあり、1つがWi-Fiモデルで内蔵ストレージが16GB、もう1つはLTEモデルで内蔵ストレージが32GBとなる。今回NVIDIAが発表した日本向けの製品はWi-Fiのみで、LTE版は「検討中」とのことで今のところ提供はされない。

 なお、北米版で対応するLTEの周波数帯はBand2/4/5/7/17(1,900/1,700/850/2,600/700MHz)となり、3G(HSPA+)はBand1/2/4/5(2,100/1,900/1,700/850MHz)となる。北米以外の地域向けではLTEがBand1/3/7/20(2,100/1,800/2,600/800MHz)、3G(HSPA+)がBand1/2/5/8(2,100/1900/850/900MHz)となっている。

 ハードウェアの最大の特徴は、採用されているSoCがTegra K1であることだ。Tegra K1はNVIDIAの最新SoCで、ARM Cortex-A15のクアッドコアCPUと、NVIDIAのKepler GPUを採用している。Keplerは、デスクトップ/ノートブックPC向けGeForceシリーズにも採用されているアーキテクチャで、Tegra K1のようなモバイル向けのSoCにも入るようなスケーラブルな設計がされている。

 例えば、自作PC向けのGPUとなるGeForce GTX 680は、Keplerの最小構成単位となるSM(192個のCUDAコアで構成)が8つあり、Tegra K1にはが1つのみが搭載される。そうした演算エンジン数の違いはあるとしても、GPUの機能は同じで、OpenGL ES 3.0、OpenGL 4.4、Direct3D 11、Tessellation、CUDA 6.0などGeForceシリーズ同じAPIが利用できる(ただし利用できるかどうかはOSに依存する。例えば、SHIELDシリーズのOSであるAndroidなら、Direct3Dには対応していない)。

 また、NVENCと呼ばれるエンコーダ機能など上位のGeForceで搭載されている機能も搭載されているので、アプリケーション側が対応すれば、その機能を利用して動画のエンコードも軽々できる。

 そのほか、ディスプレイは1,920×1,200ドットのWUXGA液晶を採用。IPSパネルとなっており、広視野角かつ高輝度なのが特徴となっている。ただし、輝度を高めることを優先したためか、液晶の映り込みはやや大きくなっている。そうした映り込みを防止するには、液晶に1枚フィルターを入れるといいだが、そうするとその分輝度が下がってしまう。そのあたりはトレードオフだが、ゲーム端末として使うからには輝度の方が大事だと判断したのだろう。実用上は画面をつけていて明るめに設定しておけば、特に困るということはないだろう。

 端子類は非常にシンプルで、Micro USB端子(USB 2.0)が1つ(充電用を兼ねている)、Mini HDMI端子、ヘッドフォン端子、さらにはSDXCに対応したmicroSDカードスロットが用意されており、内蔵のストレージの容量が足りない場合にはそちらを利用してアップグレードすることが可能になっている。重量は約370gと8型のタブレットとしてはやや重めだが、その分しっかりした筐体になっていると考えれば妥当なところだろう。

 なお、SHIELDタブレット(およびSHIELDポータブル)は、NVIDIAが直接販売、サポートを行う仕組みになっている。このため、OTA(On The Air)アップデートと呼ばれるネットワークを経由したAndroid OSのアップデートの配布もNVIDIAが行なう。実際、すでにSHIELDタブレットは、米国で販売されて以来何度もアップデートが行なわれており、そのたびに機能の拡張や安定性の向上などが実現されてきた(その履歴はNVIDIAのWebサイトで確認出来る)。キャリア経由のタブレットなどだと、こうしたアップデートが行なわれず放置されることも少なくないので、そうした心配が少ないというのもSHIELDタブレットのウリの1だろう。

SHIELDタブレットの外見。純正カバーを取り付けて自立させている
SHIELDタブレットの底面。SHIELDというロゴが大きく自己主張している、背面カメラは500万画素
底部には技適マークをなどの認証マークが書かれている。米国モデルにも技適マークが入っていたが、全ての米国モデルで入っているかは不明
本体の左側面に左スピーカー、Micro USB端子、Mini HDMI端子、ヘッドフォン端子が用意されている。
スピーカーはステレオで右側面には右スピーカーを装備
本体の上部にはmicroSDカードスロット、ボリュームスイッチ、電源スイッチが用意されている
9月の末に配布されたOTA1.2で規制情報が設定の中にソフトウェア的に表示されるようになった。筐体にも技適マークは表示されているが、ソフトウェア的にもこのように表示されている

TV接続した時にリモコンになる純正コントローラ

 SHIELDタブレットを特徴付けているのは、そのオプション品で、SHIELDタブレット純正コントローラとSHIELDタブレット純正カバーの2つが用意されている。

 純正コントローラだが、米国ではワイヤレスコントローラと呼ばれている製品で、Wi-Fi DirectでSHIELDタブレットと接続して、ゲームを楽しむことができる。NVIDIAによると、Wi-Fi Directで接続されることで、Bluetooth接続のコントローラに比べ、レイテンシが半分程度とのことで、より快適にゲームをプレイできる。

 純正コントローラには、一般的なゲームなどで利用されるジョイスティックや矢印十字キー、XYABなどのボタンだけでなく、Android OSを操作するためのホームボタン、戻るボタンなども用意されている。また、SHIELDというロゴが書かれたボリュームボタンの上のシルバーの部分はタッチパッドになっており、本体をタッチする代わりにこのタッチパッドでAndroid OSの操作が可能だ。つまり、この純正コントローラをAndroid OSのリモコン替わりに使えるのだ。

 この機能、実は結構便利だ。というのも、SHIELDタブレットは、Mini HDMI-HDMIケーブルを利用してHDMIディスプレイに接続できる。この時に、例えばSHIELDタブレットをTVの近くに置いておいて、ソファーに座って操作したいという時も、純正コントローラが大活躍する。基本的にAndroid OSはホームボタン、戻るボタン、それにタッチがあればほとんど全ての操作ができるので、この純正コントローラでタッチの代わりにタッチパッドを使えば、すべての操作がこの純正コントローラで完結するのだ。TVにSHIELDタブレットを接続して、Google Playマーケットで購入したり、レンタルしたコンテンツを見るときなどに、TVの前に置かれているタブレットの前まで行かなくても、この純正コントローラで全て操作できる。

 また、ホームボタンを長押しすると、Google Nowの音声検索の画面が自動で起動する。純正コントローラにはマイクも内蔵されているので、マイクに向かって話しかければ、Googleの音声検索結果が画面に表示される。何かコンテンツを見ていて、ちょっと調べたくなった時には、この音声検索が便利だ。

 SHIELDタブレットでは、HDMI出力を行なう場合に、ミラーモードとコンソールモードという2つのモードが用意されている。ミラーモードでは、1,920×1,200ドットの解像度のまま同じ画面を出力する。ディスプレイ側がWUXGAのパネルであればいいのだが、一般的なTVのフルHD(1,920×1,080ドット)では、ダウンスケーリングして表示されることになる。WUXGAとフルHDではアスペクト比が異なるので、フルHDのTVに表示すると左右に黒い帯が表示される。

 その場合には、コンソールモードにすると、SHIELDタブレット側で出力する画面の解像度をフルHDに落として表示できる。ただし、SHIELDタブレットの液晶の解像度とは異なるため、SHIELDタブレット側のディスプレイには何も表示されなくなるほか、一度全てのアプリを終了させ、一種のリブートプロセスが必要になる。筆者はタブレットには必ず、PINコードなどのパスワードをかけているのだが、再起動後の入力の際に、本体側のディスプレイはタッチを含めて使えなくなるので、必ずその前に純正コントローラを接続しておく必要がある。

 なお、SHIELDポータブルでは、Wi-Fiでディスプレイ出力を可能にするMiracastに対応していたが、SHIELDタブレットではMiracastには対応していない。これは純正コントローラがWi-Fi Directを利用しているためだと考えられる。

 また、Kepler以降のGeForce GTXのGPUを搭載したPCを持っているユーザーであれば、PCを母艦にして一種のリモートアクセスのような形で、SHIELDタブレットからPCのゲームをプレイできる。プレイ可能ゲームは、同社のWebサイトで公開されている。

純正カバーは磁石で本体にくっつく仕組みで、カバーの先端側にも磁石が入っているので、このように複数のスタイルで利用できる
SHIELDタブレットの純正コントローラ
「- SHIELD +」と書かれているボリュームボタンの上のシルバー部分がタッチパッド。押せるようにもなっており、押すとクリックできる
充電はMicro USB経由で行なう。音声入出力端子も用意されており、ヘッドセットを利用することもできる
米国で公開されたSHIELDタブレットの純正コントローラをWindowsのUSBデバイスとして使うデモ。現在はドライバが提供されていないが、将来的にはこのようにWindows用デバイスとして使えるようにする計画もある。現状では単なるHID準拠マウスとして見えるだけ
ミラーモードではアスペクト比の関係でやや不自然な表示となる
コンソールモードでは出力そのものがフルHD(1,920×1,080ドット)に調整され、ドットバイドットで表示できるのでくっきりした表示になる
このようにGoogle Playマーケットで買ったコンテンツのTV再生も、Chromecastなしでできる
もちろん普段小さい画面でやっているゲームもTVの大画面で楽しめる
PCからPCゲーミングをストリームで再生しているところ。奥側の画面がSHIELDタブレットの画面、手前がPCの画面。ちょうどリモートコントロールのような仕組みで動作しているので両方に画面が表示される
純正コントローラのホームボタンを長押しするとGoogleの音声検索が起動する。純正コントローラのマイクを利用し、音声検索が可能

静電容量方式なのにデジタイザペンと同じ感覚で利用できるDirectStylus

 まだほかにも、SHIELDタブレットにはユニークな機能が用意されている。特に触れておきたいのが、DirectStylusと画面動画キャプチャ機能だ。

 DirectStylusは、NVIDIAがTegra 4/Tegra K1でサポートしているユニークな機能で、特別なハードウェアがなくても静電容量方式のペンをデジタイザペンのように使うことができる仕組みだ。静電容量方式とは、一般的なタッチパネルのスマートフォンやタブレットで利用されている方式で、指やペンなどで電位差が発生した場所を検知して動作する。この方式では、基本的に指とスタイラスを区別できない。

 しかし、DirectStylusではGPUの演算能力を利用することで、指のような大きな物体が来たら、これはタッチだと判別し、先の細いモノや細長いモノが来たら、これはスタイラスペンだと判別を行なう。これにより、デジタイザペンのような特別なハードウェアがなくても、書き心地のよいペン入力が可能になっている。デジタイザペンのように、液晶側に特別なフィルターを一層挟む必要がなくなるために薄くでき、ペンのコストも安価にできるし、コンパクトにもできる。とは言え、実際にはスタイラスペンは、専用のモノが用意されている。これは専用ペンの形状などをソフトウェア側が検知しやすくするためで、それにより精度を高めている。

 スタイラスペンの書き心地はかなり良好で、デジタイザペンではないのかと思ってしまうほどだ。ペンを本体から抜くと同時に専用のアプリランチャーが起動するほか、専用のスタイラスペンで使えるソフトウェアスイッチがAndroidの戻るボタンの左側に表示され、それを有効にするとスタイラスペンだけの入力だけが有効になる。個人的には、充分にビジネス用途にも利用できると感じた。実際、筆者も取材に何度か持って行ってメモをOneNote for Androidで取り、それをクラウド上のOneDriveで同期させ、PCで確認するということを行なっているが、デジタイザペンに匹敵する書き心地だと感じている。

スタイラスは本体に内蔵されている
MicrosoftのOneNote for Androidを利用して手書きメモを取っている様子。画面左下の青いマークはスタイラスだけのモードになっている状態
スタイラスのオプションを設定する設定項目、スタイラスを取り出した時にどのアプリケーションを起動するか選択することなどができる

ハードウェアエンコーダを活用した画面動画キャプチャ機能

 もう1つのSHIELDタブレットのユニークな機能は、NVENCを利用した画面動画キャプチャ機能だ。一般的に画面キャプチャを行なう場合、フレームバッファの一部分からデータを抜き取って、それを静止画として保存する。動画は複数枚の静止画の集合体なので、静止画のキャプチャが可能なら、動画のキャプチャもさほど難しい話ではない。ただし、保存するデータ量が大きく異なる。そのため、H.264などの型式に圧縮して保存する必要があるのだが、現在のSoCに内蔵されているCPUでは、リアルタイムに圧縮して保存するには処理能力が十分ではないのだ。

 一方、Tegra K1のNVENCを利用すると、H.264動画へのエンコードをCPUに負荷をかけずに行なうことができる。SHIELDタブレットで、このNVENCのエンコーダを使って、Androidのデスクトップやゲーム画面をキャプチャできるのだ。なお、この機能はコンテンツ保護がされている動画などには有効ではないため、Google Playでレンタルしたり購入した動画の再生時などには無効になり(正確には動作はするが、黒くしか録画されない)、著作権保護上も問題がないように配慮されている。

 この機能は、ユーザーが自分のゲームしている様子を配信できるTwitchを利用するためにある。ゲーム画面だけでなく、前面カメラを使い、プレイしている自分の様子をワイプで付加して配信することも可能になっている(そのために、SHIELDタブレットの前面カメラは500万画素と背面カメラと同等になっている)。YouTubeなどそれ以外の配信サービスでも、Androidの共有の機能をサポートしているアプリであれば、録画したデータを投稿できる。

 録画できるのはゲームデータだけではないので、例えば、BlogなどでAndroidの機能を説明する際に、動画で配信にするという使い方も考えられるだろう。これまで動画で配信する場合であれば、Androidデバイスを別のカメラで撮影してということをやっていたと思うが、これからは自分の声を録音しながらアプリの使い方を説明するということがSHIELDタブレットでは簡単にできる。

 この機能は他にもいろいろな使い方が考えられると思うが、特にニコニコ動画へのライブ配信に対するニーズは高いと思われるため、将来的にはぜひ対応して欲しいものだ。

SHIELDタブレットの動画キャプチャ機能

安くないが性能と機能を評価するなら十分あり

 ここまで主にゲーミング機能以外の部分にハイライトを当ててレビューをしてきた。ゲーム面については、僚誌Game Watchでレビューが掲載されると思うので、ゲーミング関連の機能に興味がある方は、そちらを参照して頂きたい。

 筆者が感じたのは、ゲームに使わなかったとしても、SHIELDタブレットは、実に魅力的なタブレットだということだ。SHIELDタブレットをHDMI経由でTVに接続した時に、リモコン替わりになる純正コントローラ、デジタイザペンと同じようなクオリティで文字入力が可能になるDirectStylus、さらにはTwitchへのライブ投稿機能などを持つ画面動画キャプチャ機能などは、他のタブレットでは例を見ないユニークな機能だ。

 ユーザーにとってはそうしたゲーミングの機能、純正コントローラ、DirectStylus、動画キャプチャ機能などにどれだけの価値を見いだすかでSHIELDタブレットの評価は大分変わってくると思う。

 というのも、NVIDIAが発表した参考価格は、本体が40,000~45,000円前後、純正コントローラが8,000~9,000円前後、純正カバーが4,500~5,000円前後とそこそこ高価だからだ。この価格は量販店で付くポイントも意識した数字だと思われるが、それでも本体+純正コントローラ+純正カバーで5万円近くなってしまうのには及び腰となるユーザーも少なくないだろう。通常なら8型のAndroidタブレットは、2万円台前半から用意されており、それに比べれば高い。

 ただし、SHIELDタブレットは高解像度液晶を採用しているし(安価なAndroidタブレットはHD程度のパネルを採用していることが多い)、ユニークな機能をいくつも搭載している。それらの価値を考え合わせれば、価格は充分正当化されると思う。今最もプレミアムなタブレットが欲しいと考えているユーザーなら十分検討する余地があるのではないだろうか。

(笠原 一輝)