多和田新也のニューアイテム診断室

Radeon HD 5000世代のミッドレンジ「Radeon HD 5700シリーズ」



 10月13日、AMDはRadeon HD 5000シリーズのミッドレンジモデルとなる「Radeon HD 5700」シリーズをリリースした。9月23日に発表されたハイエンドモデルに続く製品投入で、2万円以下の価格帯をカバーする製品となる。このパフォーマンスを見てみたい。

●旧ハイエンドに近い仕様を持つ新コア「Juniper」

 Radeon HD 5700シリーズは、9月に発表されたRadeon HD 5800シリーズの下位モデルに相当する、DirectX 11対応のミッドレンジGPUとなる。そのコアは、Radeon HD 5800シリーズ発表時に予告があったとおり、Juniperと呼ばれる新しいコアが使われる。

 そのブロックダイヤグラムを図1に示しているが、おおざっぱに言ってしまえば、“Radeon HD 5800(Cypressコア)の半分”に相当するスペックとなる。SIMDアレイやROP、メモリインターフェイスなどが半分になっているほか、Radeon HD 5800シリーズではグラフィックエンジン内に2ユニットを持っていたラスタライザ、Zバッファ管理ユニットなども1ユニットに減らされている。

【図1】Radeon HD 5700シリーズ(Juniper)のブロックダイヤグラム(左)

 Radeon HD 5800シリーズのアーキテクチャは、いってみればRadeon HD 4800シリーズを2倍化したのが基本的な仕様であったわけだが、Radeon HD 5700シリーズはそれが半分になったことで、Radeon HD 4800シリーズに非常に近い仕様となったコアとまとめることができるだろう。ただし、Radeon HD 5700シリーズはメモリインターフェイスもRadeon HD 5800シリーズの半分となる128bitに縮小しており、この点はRadeon HD 4800シリーズに劣るスペックになる。

 続いて、具体的な各製品のスペックを確認しておきたい(表1)。Radeon HD 5700シリーズにラインナップされるのは現状2モデル。Radeon HD 5770とRadeon HD 5750である。ここではAMDから借用した両製品のリファレンスボードを用いてテストを行なう。

 

表1 Radeon HD 5700シリーズの仕様

Radeon HD 5770 Radeon HD 5750 Radeon HD 4890 Radeon HD 4870 Radeon HD 4850
プロセスルール 40nm 55nm
コアクロック 850MHz 700MHz 850MHz 750MHz 625MHz
SP数 800基 720基 800基
テクスチャユニット数 40基 36基 40基
メモリ容量 1GB GDDR5 1GB/512MB GDDR5 1GB GDDR5 1GB/512MB GDDR5 1GB/512MB GDDR3
メモリクロック 1,200MHz 1,150MHz 975MHz 900MHz 1,000MHz
メモリインタフェース 128bit 256bit
ROPユニット数 16基 16基
ボード消費電力(アイドル) 18W 16W 60W 90W 30W
ボード消費電力(ピーク) 108W 86W 190W 160W 110W

Radeon HD 5870 Radeon HD 5850
プロセスルール 40nm
コアクロック 850MHz 725MHz
SP数 1,600基 1,440基
テクスチャユニット数 80基 72基
メモリ容量 1GB GDDR5
メモリクロック 1,200MHz 1,000MHz
メモリインタフェース 256bit
ROPユニット数 32基
ボード消費電力(アイドル) 27W
ボード消費電力(ピーク) 188W 170W

 

 Radeon HD 5770(写真1)はJuniperのフルスペックとなる800基のSP、16基のROPを有効にした製品で、コアクロック850MHz、メモリクロック1,200MHzで動作。コアクロックはRadeon HD 4890と同等で、メモリクロックは上回っている。ただし、メモリインターフェイスが128bitのため、メモリ帯域幅はRadeon HD 4890の124.8GB/secに対して、76.8GB/secと狭くなっている。

 Radeon HD 5750(写真2)はJuniperのSIMDアレイ1基を制限したスペックで、720基のSP、16基のROPとなる。コアクロック700MHz、メモリクロック1,150MHzで動作。旧世代のハイエンド最下位モデルとなるRadeon HD 4850はGDDR3が採用されていたのに対し、Radeon HD 5750はGDDR5を採用しているのが特徴で、メモリ帯域幅は73.6GB/sec。128bitインターフェイスながら、Radeon HD 4850の64GB/secを上回る帯域幅となっている。

 クーラーは両製品とも2スロット分を占有する。Radeon HD 5770がRadeon HD 5800シリーズのクーラーのようなダクト型であるのに対し、Radeon HD 5750は下位モデルでは一般的なトップフロー型。ファンも前者がブロアタイプ、後者が軸流タイプという違いがある。

 ちなみに、Radeon HD 5770はクーラーの形状がRadeon HD 5800シリーズに近いが、ボード長はRadeon HD 5850よりも短いものとなっている。参考までに、今日までに登場したRadeon HD 5000シリーズの4モデルを並べてみた(写真3)。実測では、Radeon HD 5770は約220mm、Radeon HD 5750が約185mmとなっており、ミッドレンジらしいボード長になっている。

【写真1】Radeon HD 5770のリファレンスボード 【写真2】Radeon HD 5750のリファレンスボード 【写真3】Radeon HD 5800/5700シリーズ各製品のボード長比較

 メモリは、両製品とも8枚搭載。表面に4枚、裏面に4枚を実装している(写真4〜6)128bitインターフェイスなのでGDDR5をx16モードで動作させて8枚のメモリを搭載していることになる。これは1GBというメモリ容量を実現するためと考えていいだろう。Radeon HD 5750には512MBモデルもあるが、この場合は512bit×8枚、1Gbit×4枚という2パターンの実装方法が可能ということになる。

【写真4】Radeon HD 5770(左)とRadeon HD 5750(右)の裏面。表面に4枚、裏面に4枚のメモリチップが実装されている 【写真5】Radeon HD 5770のリファレンスボードに使われているメモリチップはHynixの「H5GQ1H24AFR-T2C」。5.0Gbps対応の1Gbit品 【写真6】Radeon HD 5750のリファレンスボードも、Hynixの「H5GQ1H24AFR-T2C」が使われている

 ピーク時の消費電力はRadeon HD 5770が108W、Radeon HD 5750が86W。いずれもPCI Expressスロットから供給可能な75Wを超えているので、電源端子をボード末端部に備えている(写真7、8)。先に示した裏面の写真でも分かるとおり、Radeon HD 5770はボードよりもクーラーカバーがかなり大きめになっており、電源端子がやや奥まった位置にあり、やや抜き差ししづらい印象を受けた。

【写真7】Radeon HD 5770の電源端子。クーラーカバーのサイズの関係でやや奥まった位置にある 【写真8】Radeon HD 5750の電源端子。こちらはクーラーのデザインが違うので剥き出しの状態

 アイドル時の消費電力はRadeon HD 5770が18W、Radeon HD 5750が16Wとなる。ATI PowerPlayでクロックダウンするさいの下限は、両製品ともRadeon HD 5800シリーズと同じコア157MHz、メモリ300MHzとなっている(画面1、2)。

【画面1】Radeon HD 5770のATI OverDrive設定
【画面2】Radeon HD 5750のATI OverDrive設定

 ディスプレイ出力は両製品ともDualLink DVI×2、HDMI、DisplayPortで、Radeon HD 5800シリーズと同じ(写真9、10)。同時使用は3画面までで、Eyefinityをサポートしている。

【写真9】Radeon HD 5770のディスプレイ端子。DVI×2、HDMI、DisplayPortで同時3画面出力が可能 【写真10】Radeon HD 5750のディスプレイ端子も、Radeon HD 5770と同じ仕様

 なお、Radeon HD 5800シリーズでは、最大6画面出力が可能となっているが、ブロックダイヤグラムを見る限り、Radeon HD 5700シリーズの場合は5系統となるようだ。現時点で3画面を超える出力に対応するビデオカードはアナウンスされていないが、ミッドレンジ以下で多画面出力対応のビデオカードが登場すれば、グラフィックパフォーマンスをそれほど気にしないビジネスユースを中心に話題を集めるのではないだろうか。

●Radeon HD 4800シリーズとパフォーマンス比較

 それではベンチマーク結果を紹介したい。テスト環境は表2に示したとおりで、比較対象はRadeon HD 4870/4850の2製品とした。また、上位モデルとの性能を見るため、Radeon HD 5850もテストに加えている。Radeon HD 5850は前回記事から多くの結果を流用しているが、前回採り上げなかったゲームタイトルの最新アップデータによるテストもここで加えている。

表2 テスト環境
ビデオカード Radeon HD 5770(1GB GDDR5)
Radeon HD 5750(1GB GDDR5)
Radeon HD 4870(1GB GDDR5)
Radeon HD 4850(512MB GDDR3)
Radeon HD 5850(1GB GDDR5)
グラフィックドライバ Driver Package Version.
8.66.6-091006a-089804E
Driver Package Version.
8.66-090910a-088431E
CPU Core 2 Extreme QX9770
マザーボード ASUSTeK P5Q Pro(Intel P45+ICH10R)
メモリ DDR2-800 1GB×2(5-5-5-18)
ストレージ Seagete Barracuda 7200.12(ST3500418AS)
OS Windows Vista Ultimate Service Pack 2

 

 ドライバはRadeon HD 5700シリーズ用にAMDからレビューワ向けに提供されたベータドライバを使用。Radeon HD 5850のみは前回と同じく、Radeon HD 5800シリーズ発表時に提供されたドライバを用いている。

 では順に結果を紹介していく。「3DMark Vatange」(グラフ1、2)の結果は、グラフィックススコアでRadeon HD 5770とRadeon HD 4870、Radeon HD 5750とRadeon HD 4850がほぼ横並びという綺麗な結果が出た。それほど大きくはないものの、フィルタ類を適用した際にRadeon HD 5700シリーズ両製品がアドバンテージを持つ傾向も出ている。Radeon HD 5770はRadeon HD 5750に対して130%弱ほどのスコアといったあたりだ。

【グラフ1】3DMark Vantage Build 1.0.1(Graphics Score)
【グラフ2】3DMark Vantage Build 1.0.1(Feature Test)

 一方、FeatureTestにおいては、とくにSPの性能でRadeon HD 5700シリーズがRadeon HD 4800に対するアドバンテージを持っている傾向が出ている。このあたり、SP 1つの性能が向上していることを見て取ることができる。一方で、ジオメトリ処理やストリームアウト処理が入るStream OutやGPU ParticlesでRadeon HD 4800シリーズに比して伸び悩むのはRadeon HD 5800と同様だ。

 上位モデルとなるRadeon HD 5850との比較では、グラフィックススコアでRadeon HD 5770は65%程度、Radeon HD 5750は半分強ほどのスコアになっている。

 「BattleForge」(グラフ3)は、結果を紹介する前に、DirectX 11(DX11)対応について少し触れておきたい。かねてよりDX11対応が表明されていた本体タイトルであるが、Radeon HD 5800シリーズの発表と同じ9月23日に、DX11に対応するアップデートが配信された(画面3)。

 OS側の対応はというと、2009年8月のDirectX SDKですでにDX11は提供されており、Windows Vistaもパブリックベータ中のプラットフォームアップデートを適用することで利用が可能だ(画面4、5)。なお、DX11 RTMの詳細についてはこちら、Windows Vistaのプラットフォームアップデートについてはこちらで説明されている。

 本稿のテストでは、このプラットフォームアップデートやDX SDKを適用しないDX10.1環境でテストしているが、DX11対応アップデートが提供されているBattleForgeのみ、これらを適用したDX11環境でもテストを行なっている。

 結果はDX10.1環境下の結果は、やはりRadeon HD 5770/4870、Radeon HD 5750/4850が似たような結果で、後者の比較はフィルタ類を適用した際に、Radeon HD 5750がフィルタ適用時にフレームレートをより伸ばすのが特徴的な部分だ。

 一方、DX11環境下においては、対応GPUであるRadeon HD 5000シリーズが大きくフレームレートを伸ばすことが分かる。このフレームレートの伸びは、フィルタを適用した場合には小さくなる一方、解像度が増すほどに伸びが大きくなるという傾向も出ている。

 この結果で気に留めておきたいのは、DX11対応により性能が伸び、結果として上位モデルに追い付く性能を見せるという点だ。とくに分かりやすいのが、Radeon HD 5750とRadeon HD 4870の性能差が分かりやすい。DX10.1環境下では後者のほうが高いフレームレートを出しているが、DX11環境下ではRadeon HD 5750が追い付き、条件によっては上回る性能すら出している。

 DX11は、グラフィックのクオリティだけでなく性能面でも意味があることを示しており、今後の対応タイトルの増加に期待がかかる。

【画面3】BattleForgeは9月23日のアップデートでDX11に対応。テストはさらに9月30日アップデートが適用された状態で行なっている
【画面4】Windows Vistaではプラットフォームアップデートを適用することでDX11に対応させられる
【画面5】dxdiag.exeによる表示。DX11環境にあることが分かる

 

【グラフ3】BattleForge

 「BIOHAZZARD 5 ベンチマーク」(グラフ4)の結果は、Radeon HD 5700シリーズにはやや厳しい結果となっており、Radeon HD 4800シリーズに劣る結果となった。Radeon HD 5750とRadeon HD 4850の差はそれほど大きくはない一方、Radeon HD 5770/4870の比較ではRadeon HD 5770が1割ほどフレームレートが低い。

【グラフ4】BIOHAZZARD 5 ベンチマーク

 もっとも、Radeon HD 5770とRadeon HD 4870ではSP数が同じでコアクロックもRadeon HD 5770のほうが高いもののメモリ帯域幅が狭い。Radeon HD 5750とRadeon HD 4850ではメモリ帯域幅こそ前者が広いがSP数は後者のほうが多い。ここではメモリ帯域幅の縮小が、より大きく影響が出た結果といえるだろう。

 「Call of Duty:World at War」(グラフ5)は、Radeon HD 5770/4870では後者のフレームレートが優れる結果となった。条件による差も小さく、Radeon HD 4870の90%強のスコアに落ち着いている。一方のRadeon HD 5750とRadeon HD 4850の比較では、フィルタ類を適用しないときはRadeon HD 4850の性能が高い一方、フィルタを適用するとRadeon HD 5750が上回るという結果となった。

【グラフ5】Call of Duty :World at War

 Radeon HD 4850ではフィルタ適用時にメモリ帯域幅がボトルネックになって性能が伸び悩む一方、帯域幅が広がったRadeon HD 5750は性能を伸ばすことができたのではないかと想像される。とはいえ、それだけの影響であれば、Radeon HD 5770/4870でもフィルタ適用時/非適用時の傾向に差が出ても良いはずで、フィルタ適用時のSP/ROP周りの性能変化も影響している可能性は高い。

 「COMPANY of HEROES Tales of Valor」(グラフ6)は、Radeon HD 5770/5750がRadeon HD 4800シリーズを安定して上回る結果となった。解像度アップ、フィルタ適用と負荷が高まるごとに差を広げる傾向が濃く出ている結果で、両製品ともそれぞれの比較対象製品に対して最大1割ほど高いフレームレートを出せている。

【グラフ6】COMPANY of HEROES Tales of Valor(Patch v2.600)

 「Crysis Warhead」(グラフ7)は、今回の主題とその比較製品のなかでは、Radeon HD 5770が頭1つ抜け出した結果となっている。Radeon HD 4850のスコアは目立って低く、Radeon HD 4870とRadeon HD 5750が似たようなフレームレートとなっており、Radeon HD 5700シリーズの良さが出ている結果だ。もっとも、最高の描画クオリティの設定を施しているとはいえ、絶対的なフレームレートは低く、実用的にプレイするには物足りない結果という印象は残る。

【グラフ7】Crysis Warhead (Patch v1.1)

 「Darkest of days」(グラフ8)は、大きな差はではないものの、Radeon HD 4800シリーズに分がある格好となった。Radeon HD 5770のフィルタ適用時のフレームレートの落ち込みが大きく、このさいにRadeon HD 4870との差が開いているのが、本結果における目立った部分となっている。

【グラフ8】Darkest of days

 「Enemy Territory: Quake Wars」(グラフ9)におけるRadeon HD 5770とRadeon HD 4870の比較では、フィルタ非適用時は前者が高いフレームレートを出すのに対し、フィルタ適用時は差がひっくり返るという結果になった。この差は5〜7%程度で、それほど大きくはないが、メモリ帯域幅の影響が濃く出た結果といえるだろう。

【グラフ9】Enemy Territory: Quake Wars(Patch v1.5)

 一方、Radeon HD 5750とRadeon HD 4850では、Radeon HD 5750が安定して良い結果を出せている。とくに解像度が上がった場合のフィルタ非適用時のフレームレートが良好なのが特徴となっている。

 「Far Cry 2」(グラフ10)は、Radeon HD 5700シリーズのアドバンテージが目立つ結果となった。両製品ともUXGAやWUXGAで、かつフィルタを適用した際の性能の落ち込みが小さいのが秀逸な結果である。ハードウェアアーキテクチャの差だけで、ここまでの差が生まれるのは考えにくく、おそらくはドライバレベルでのRadeon HD 5000シリーズに向けた最適化の影響も大きいのではないかと想像される。

【グラフ10】Far Cry 2(Patch v1.03)

 「Left 4 Dead」(グラフ11)は、Radeon HD 4800シリーズ両製品が全般に良い結果を出す結果となった。フィルタ適用時には、Radeon HD 5770/4870では後者がやや良く、Radeon HD 5750/4850では前者がやや良い傾向も見られる。

【グラフ11】Left 4 Dead

 とはいえ、WUXGAのフィルタ適用時でも、Radeon HD 5750/4850が平均90fpsを超えるフレームレートを出すタイトルだけに、それぞれの性能差は決定的にゲームのエクスペリエンスを変えるほどではないだろう。

 「Tom Clancy's H.A.W.X」(グラフ12)の結果も、全般にRadeon HD 4800シリーズのほうが良いが、負荷が高まるに連れて、そのアドバンテージはほとんどなくなり、Radeon HD 5770/4870、Radeon HD 5750/4850の両製品が似たようなフレームレートに落ち着いている。

【グラフ12】Tom Clancy's H.A.W.X

 DX10.1を有効化した場合にスコアを伸ばすのは各製品とも同じであるが、Radeon HD 4870は、この効果がとくに大きく表れる結果となっているのが印象的だ。

 「Unreal Tournament 3」(グラフ13)は、Radeon HD 5770/4870では後者が、Radeon HD 5750/4850では前者が良いフレームレートを出す結果となっている。Radeon HD 5750/4850の比較ではフィルタ適用/非適用時の傾向差はあまりないが、Radeon HD 5770/4870では、フィルタ適用時にRadeon HD 5770のフレームレートの落ち込みがやや大きい結果も見られる。

【グラフ13】Unreal Tournament 3(Patch v2.0)

 「World in Conflict」(グラフ14)は、全般にRadeon HD 4800シリーズのほうが良い結果を出す傾向にあるものの、Radeon HD 5750/4850の差は非常に小さい。Radeon HD 5770/4870の差は、ほかのタイトルでも見られるように、とくにフィルタを適用したさいに大きくなっているのが特徴的な結果といえる。

 

【グラフ14】World in Conflict(Patch v1.011)

 最後に消費電力の測定結果である(グラフ15)。アイドル時の消費電力は、公称どおりRadeon HD 5850をも下回る優秀な結果となった。Radeon HD 4870はクロックの低下が少ないこともあってアイドル時でも大きな電力を消費していることが分かる。

 

【グラフ15】消費電力

 負荷をかけた際の消費電力差も非常に大きい。Radeon HD 5770/4870は50〜60W程度、Radeon HD 5750/4850は30〜40W程度の差となっており、これは公称されているピーク消費電力の値に近い妥当な結果といえる。各製品間の性能は似通っている一方、消費電力はRadeon HD 5700シリーズの優秀さが目立つ結果となった。

●ミドルレンジの着実な進化を感じる製品

 テストは以上である。Radeon HD 5770はRadeon HD 4870に非常に性能が近いが、メモリ帯域幅の影響もあってか、フィルタ適用時のフレームレートダウンがやや大きめに出るタイトルも目立つ。Radeon HD 5750はRadeon HD 4850に近い性能だが、こちらは逆にフィルタ適用時にフレームレートが落ちにくいのが魅力だ。

 とはいえ、各製品間の性能差はそれほど大きくなく、タイトルによる得手不得手はあるにしても、同等程度の性能といって差し支えないかと思う。それでいて、消費電力は大きく抑制されたわけだから、これまでのハイエンド製品が、1つ下のクラスで提供されたもの、と考えることは可能だ。

 ちなみに、AMDが提示する参考価格はRadeon HD 5770が159ドル、Radeon HD 5750が109/129ドルとなっており、国内の登場時価格は前者が2万円前後、後者が1万台後半といったところになるだろう。

 正直なところ、Radeon HD 5770/5750の両製品は、それぞれに惜しいと思うところがある。Radeon HD 5770は、この価格が惜しいと思うところだ。Radeon HD 4870/4850が1万円台中盤以下という、登場直後には考えられなかったほどの価格で販売されるモデルが珍しくなくなっており、単にコストとグラフィックパフォーマンスの比較だけで見ればRadeon HD 4800シリーズという選択肢も残るように思うからだ。

 Radeon HD 5750が惜しいと思うところは、電源端子が搭載されていることだ。前世代のミッドレンジであるRadeon HD 4670は電源端子を搭載していないのも1つの魅力だった。将来的にRadeon HD 5600シリーズというモデルも登場するのかも知れないが、Radeon HD 5750はボードサイズが短いうえに512MB仕様の提案もある。Radeon HD 4670の後継を担える印象を受けるだけに、電源端子が省かれていれば、より魅力は高まっただろうと思う。

 とはいえ、性能対消費電力のバランスに優れ、DX11にも対応するRadeon HD 5700シリーズは、Radeon HD 4700/4800シリーズから新しい世代へ移ったことを感じさせる製品となっているのは事実だ。性能面でも最近のゲームを現実的に楽しめるだけのフレームレートを発揮できている結果が多い。DX11対応ゲームのプレイも見据えてビデオカードを導入するうえで、2万円以下で入手できるというコスト面で魅力ある選択肢が生まれたことは歓迎したい。

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