瀬文茶のヒートシンクグラフィック

Prolimatech「BLUE ARMAGEDDON」

~マットブラックに映える鮮やかな青がクールなCPUクーラー

 今回は、ProlimatechブランドのサイドフローCPUクーラー「BLUE ARMAGEDDON」を紹介する。購入金額は7,480円だった。

Prolimatech第2弾製品「Armageddon」のカラーバリエーション

 ProlimatechのBLUE ARMAGEDDONは、2010年に発売されたIntelソケット専用CPUクーラー「Armageddon」をベースに、ヒートシンクのカラーリングを変更したモデルだ。放熱ユニット天板のデザインや、ヒートパイプ先端に装着されたキャップなど、若干の仕様変更が施されているものの、マイナーチェンジと呼べるほどの設計変更はない。

 BLUE ARMAGEDDONのヒートシンクは、6mm径ヒートパイプ6本、銅製プレート採用のベースユニット、176枚の放熱フィンを備える放熱ユニットの、3ユニットによって構成されている。ベースユニットから伸びるヒートパイプを大きく曲げることで一直線上に配置し、それを6本毎に2枚1組の放熱フィンで挟み込むという特徴的なレイアウトを採用している。BLUE ARMAGEDDONという名称ではあるが、メインの配色はマットブラックであり、放熱フィンと天板の一部が鮮やかな青色にカラーリングされている。

 冷却用のファンは別売りとなっており、CPUクーラーとして利用するにあたっては、140mm角25mm厚のファンを別途用意する必要がある。BLUE ARMAGEDDONに同梱されているファン固定用クリップは、140mm角25mm厚ファン専用品で、2基のファンを固定できるだけの数が用意されている。なお、120mm角ファンや140mm径ファンを搭載するためには、別売りのファンクリップを購入する必要がある。

BLUE ARMAGEDDON本体
付属品
放熱ユニットは2ブロック式。それぞれ88枚(44組)の放熱フィンを備える
マットブラックにアクセントを加える鮮やかなブルー
ファンクリップは140mmファン専用品
メモリとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 周辺パーツとの干渉具合については、テストに用いたASUS MAXIMUS V GENEとの組み合わせで、メモリとの干渉は発生しなかったが、最上段の拡張スロットにファンクリップが被る形となった。

 BLUE ARMAGEDDONに限ったことではないが、140mmファン用に最適化されたヒートシンクは、その横幅の大きさゆえに最上段の拡張スロットと干渉しやすい。最近のマザーボードは、ビデオカード用のPCI Express x16スロットを最上段から1段ずらして配置している製品が多いものの、環境によっては致命的な問題となり得るので、マザーボードのレイアウトには十分な注意が必要だ。

冷却性能テスト結果

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、ファンブレードにアルミニウム合金を採用したProlimatechブランドのユニークな140mm角ファン「Vortex Fan Aluminum Series」を2基搭載し、同ファン付属の抵抗ケーブルによってファン回転数を絞って検証を行なった。

 テスト結果を見てみると、3.4GHz動作時のCPU温度は52~55℃で、CPU付属クーラーより30~32℃低い結果となった。140mmファンのデュアルファン構成であることに依る部分が大きいが、ファン速度を抑えてもCPU温度の上昇が非常に緩やかなのが印象的な結果だ。

 オーバークロック動作時については、4.4GHz動作時は66~71℃、4.6GHz動作時は75~80℃を記録している。ベースとなったArmageddonは2010年発売の製品だが、同系統の最新製品と比較しても、遜色ない冷却性能を持っていることが見て取れる。

 標準ファンを備えないBLUE ARMAGEDDONの場合、動作音については組み合わせるファン次第となる。今回利用した「Vortex Fan Aluminum Series」との組み合わせでは、1,000回転を超えると風切り音が増大し、フル回転時については相当に耳障りなノイズが発生する。もっとも、ファン単体で動作させた場合と比べ、動作音が増大している印象は無い。また、ファンの振動によってヒートシンク本体からビビリ音が発生することもなかった。

現代でも十分通用する高性能ナロータイプサイドフロー

 3年前の設計をそのまま踏襲したBLUE ARMAGEDDONだが、冷却性能は現在でも十分通用する優秀なものであり、リテンションキットの完成度も高い。

 3年前の時点では、140mm角ファンのラインナップが極めて少なかったということもあり、Megahalems並の人気を得るには至らなかったArmageddonだが、当時以上にメモリスロットとの干渉がシビアになった現在なら、高性能なナロータイプサイドフローの需要はあるだろう。特に、ソケット両脇にメモリスロットを備えるLGA2011プラットフォームでの活躍が期待できそうだ。

 ただ、3年前、人気モデルへの足枷となった140mmファン専用という点について、手が加えられなかったのは残念なところだ。現在のPCパーツ業界、特にCPUクーラーの市場では、140mm角ファンではなく、120mm角ファンと穴位置互換の140mm径ファンの採用例が多く、思った以上に140mm角ファンのラインナップが増えていないというのが現状だ。せめて、120mmファン搭載用のファンクリップ位は同梱してくれても良かったのではないかと思う。

 ファンに関する仕様は残念の一言だが、外観、性能、使い勝手は、いずれも高いレベルにあり、BLUE ARMAGEDDONが魅力的な製品であることには違いない。ヒートシンクにこだわりのあるユーザーには、是非コレクションに加えてもらいたい逸品だ。

【Prolimatech「BLUE ARMAGEDDON」製品スペック】
メーカーProlimatech
フロータイプサイドフロー
ヒートパイプ6mm径×6本
放熱フィン176枚(44対×2ブロック)+飾り板 1枚
サイズ144×50×160.3mm(幅×奥行き×高さ)
重量750g
対応ファン140mm角25mm厚ファン×2基(オプション)
対応ソケットIntel:LGA 775/1150/1155/1156
AMD:非対応

(瀬文茶)