瀬文茶のヒートシンクグラフィック

CRYORIG「H5 UNIVERSAL」

〜CRYORIGブランドが放つミドルレンジサイドフロー

 今回、CRYORIGよりサンプルの提供があったため、同社のサイドフローCPUクーラー「H5 UNIVERSAL」を紹介する。

CRYORIGブランドのミドルレンジCPUクーラー

 CRYORIGのH5 UNIVERSALは、CRYORIGがミドルレンジ向けに設計したサイドフロー型CPUクーラーだ。これまでに登場したCRYORIGブランドのCPUクーラーは、「R1 UNIVERSAL/ULTIMATE」、「C1」とも、ハイエンドクラスの製品であったが、H5 UNIVERSALは約6,500円程度で販売される。

 H5 UNIVERSALのヒートシンクは、4本の6mm径ヒートパイプと、接地面に銅板を備えたベースユニット、38枚のアルミニウム製放熱フィンにより構成された、シングルタワータイプのサイドフロー型ヒートシンク。メモリスロットとの干渉を回避するため、ベースユニットは吸気側寄りにずらして配置されている。

 H5 UNIVERSALでは、フィンピッチの違いを利用して、ヒートシンク内でエアフローを加速するというCRYORIG独自の技術「Jet Fin Acceleration」を採用した。Jet Fin Accelerationは、先に発売されたR1やC1でも採用されており、ヒートパイプをフィンピッチの異なる放熱フィンブロックで挟むことで実現していたが、H5 UNIVERSALでは「Hive Fin Design」と呼ばれる新設計で実現している。

 Hive Fin Designは、放熱フィンを凹凸に加工し、異なる形状に加工したフィンを段違いに配置することで、放熱ブロックの風を受ける面に蜂の巣のようなハニカム構造を構築する設計だ。これにより、風を受ける面のフィンピッチを広く取る構造となっている。

 標準搭載の冷却ファンは、CRYORIGブランドの140mm径13mm厚の薄型ファン「XT140」。PWM制御に対応しており、回転数を700〜1,300rpmの範囲で調整できる。ヒートシンクの固定には専用の金属製ファンクリップを用いる。なお、H5 UNIVERSALには、13mm厚ファン用クリップと25mm厚ファン用クリップが用意されており、25mm厚ファンへの換装や、13mm厚ファンと25mm厚ファンのハイブリッド・デュアルファン構成をとることもできる。

CRYORIG H5 UNIVERSAL 本体
放熱ブロックの吸気側(ファン搭載側)。Hive Fin Designによりハニカム構造が構築されている
放熱ブロックの排気側。こちらはハニカム構造になっていない
メモリスロットとの干渉を回避するため、ベースユニットがオフセットされている
リテンションキット。プラスドライバーも付属
同梱の冷却ファンXT140。フレームには防振ゴムが取り付けられている
ファンの取り付けには金属製のファンクリップ利用。13mm厚ファン用と25mm厚ファン用が、それぞれ1組ずつ用意されている
ヒートシンクにファンを取り付けたところ
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 CPUソケット周辺パーツとの干渉具合については、メモリスロットはオフセットしたヒートシンクと薄型ファンの採用により、十分なクリアランスが確保されている。拡張スロットとのクリアランスは少ないが、ASUS MAXIMUS V GENEでは、最上段のPCI Expressスロットにビデオカードを搭載可能だった。140mmの大口径ファンを採用する製品ではあるが、周辺パーツとの干渉に関しては、比較的抑えられている方であると言える。

 H5 Universalは、上級製品であるR1やC1と同じ構造のブリッジ式リテンションキットを採用した。また、H5 UNIVERSALでは、ヒートシンクにネジ止め用の穴を設け、ファンを取り外すことなくヒートシンクの取り付けが可能なように設計されている。現行製品の中でも特に質の高いリテンションキットと、ヒートシンク側の最適化により、大変取り付けやすい製品に仕上がっている。

冷却性能テスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

 結果を確認してみると、H5 UNIVERSALは3.4GHz動作時に51〜56℃を記録し、CPU付属クーラーより29〜34℃の温度低下を実現した。なかなか立派なパフォーマンスであると言えるだろう。

 オーバークロック動作時のCPU温度については、4.4GHz動作時に66〜73℃、4.6GHz動作時に77〜85℃を記録。ファンの回転数の下限が800rpm弱と、140mmファンとしてはやや高めであることも影響しているが、全ての条件で負荷テストをしっかりパスすることができている。

 動作音については、50%制御時の約1,000rpmあたりを境に風切り音が大きくなり始める。最大回転数の1,350rpm程度になると、風切り音はそれなりの音量になっており、他のパーツが静粛性に優れていれば、ケースに収めてもH5 UNIVERSALの騒音が気になりそうだ。1,000rpm以下であればそれなりに静かな動作を実現できるため、静粛性を重視するなら、このあたりを基準にファンをコントロールすると良いだろう。

冷却性能はそれなり。使い勝手の良さが魅力のCPUクーラー

 非常にこだわった製品作りが特長のCRYORIGが、ミドルレンジ向けの製品を作ったということで、どんな製品に仕上がっているのか興味のあったH5 UNIVERSALは、実際に試してみるとCRYORIGらしい完成度の高さに魅力を感じる製品だった。

 洗練された構造のリテンションキットと、それに最適化したヒートシンクの組み合わせによってもたらされる取り付けやすさ。特に、ファンを取り外すことなくブリッジ式リテンションキットを利用できる点を高く評価したい。

 一方、冷却性能については、6,000円超のミドルレンジ〜ハイエンドクラスの製品としては、それほど優れているというわけではない。H5 UNIVERSALは、4,000〜5,000円クラスの冷却性能に、取り付けやすさという魅力を加えた製品と言う印象だ。とにかく高い冷却性能が欲しいというユーザーには適さないが、CPU付属クーラーからのステップアップを目指すユーザーで、使いやすく冷却性能と静粛性のバランスに優れた製品を望むなら、H5 UNIVERSALはその期待に応える製品となるだろう。

CRYORIG「H5 UNIVERSAL」製品スペック
メーカー CRYORIG
フロータイプ サイドフロー
ヒートパイプ 6mm径4本
放熱フィン 38枚
サイズ(ファン搭載時) 143×98×160mm(幅×奥行き×高さ)
重量(ファン搭載時) 853g
付属ファン 140mm径ファン XT140
電源: 4ピン(PWM制御対応)
回転数: 700〜1,300rpm
風量(最大): 65CFM
ノイズ: 20〜24dBA
サイズ: 140×140×13mm
対応ソケット Intel:LGA 775/1150/1155/1156/2011
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2/FM2+

(瀬文茶)