瀬文茶のヒートシンクグラフィック

サイズ「グランド鎌クロス2」

〜ヒートパイプが交差する独自レイアウトのトップフローCPUクーラー

 今回は、6月6日に発売されたサイズ(Scythe)のトップフローCPUクーラー「グランド鎌クロス2(SCKC-3000)」を紹介する。購入金額は4,980円だった。

ユニークな形状が特徴のトップフローヒートシンク

 今回紹介するグランド鎌クロス2は、2009年に発売された「グランド鎌クロス(SCKC-2000)」の後継モデルにあたる製品で、初代「鎌クロス(SCKC-1000)」から数えて3世代目の「鎌クロス」である。

 サイズの「鎌クロスシリーズ」は、ベースユニット上でヒートパイプを交差させるという、ユニークなレイアウトのヒートシンクが特徴的な製品で、サイズが「X空間フィン構造」と呼ぶこのレイアウトは、マザーボード上のコンポーネントへのエアフローを改善する効果があるとしている。

 初代から人気のあるシリーズではあるのだが、初代はそのユニークな形状が人気を博した格好だったのに対し、2代目のグランド鎌クロスは優秀な冷却性能を備えていたことから、CPUを冷却するというCPUクーラー本来の目的でも評価される製品となった。その後継にあたるグランド鎌クロス2は、見た目と性能の両面に期待のかかる製品なのである。

 さて、そのグランド鎌クロス2のヒートシンクをチェックしてみよう。ヒートシンク本体は、4本の6mm径ヒートパイプとベースユニット、そして、1ブロックあたり36枚のアルミニウム製放熱フィンを備えた2ブロックの放熱ユニットで構成されている。

 新しいリテンションキットに対応するため、ベースユニットの形状が変更されたほか、ファンを固定する金具の配色やヒートパイプ先端のキャップが変更されているものの、基本的な作りはグランド鎌クロスと同じであり、ヒートシンク本体に目立った進化はない。細部を見ても、ヒートパイプは片面を潰したカマボコ形でベースユニットと接続されているなど、以前紹介した「阿修羅」ほどの作り込みはみられない。

 グランド鎌クロス2には、標準ファンとしてサイズブランドの140mmファン「隼140」が1基同梱されている。このファンは120mm角ファンとねじ穴互換のあるラウンドフレームを採用した140mm径ファンであり、PWM制御によって回転数を500±300〜1,300rpm±10%の範囲で調整できる。ヒートシンクにはねじ止めで固定するため、120mm角ファンとねじ穴互換のある25mm厚ファンであれば、市販のケースファンを取り付けることもできる。

グランド鎌クロス2化粧箱
グランド鎌クロス2本体
付属品一覧
標準搭載ファン「隼140」
X空間フィン構造

 周辺パーツとの干渉については、140mmクラスのファンを搭載するトップフロー型CPUクーラーとしてはかなり余裕のある製品である。メモリとのクリアランスは十分に確保されているほか、ベースユニットの位置をオフセットしているため、拡張スロットとのクリアランスも十分だ。

 ヒートシンク自体が大型であるため、マザーボードのレイアウトやケースとの干渉には注意するべきではあるが、周辺パーツとの干渉問題を上手く回避した製品であると言える。

ベースユニットは若干オフセットして配置されている
メモリスロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE使用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE使用時)

 その他の要素として紹介しておきたいのが、新型リテンションキットの採用についてだ。グランド鎌クロス2では、阿修羅で採用されたものと同じブリッジ式リテンションを採用しており、グランド鎌クロスで評判の悪かったIntelソケットのプッシュピン方式や、AMDのクリップ式リテンションから脱却している。このリテンションの採用は、かなり歓迎できる改良と言えるだろう。

 ただ、惜しいのは、グランド鎌クロス2の形状がブリッジ式リテンション向けに最適化されていない点である。グランド鎌クロス2を取り付ける際、最後に締めることになるブリッジ固定用ねじの上空にヒートパイプが被っており、ドライバーをまっすぐ差し込んでねじを締めることができない。斜めに差して固定することができないわけではないが、ヒートパイプの位置を調整するなどして回避して欲しかったところである。

ブリッジ式リテンション固定用ねじの上空にヒートパイプが被ってしまう

冷却性能テスト結果

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定した際の温度をそれぞれ取得した。

 テスト結果を確認していくと、3.4GHz動作時のCPU温度は59〜75℃で、CPU付属クーラーに比べ10〜26℃低い温度を記録した。20%制御時の温度が高めに感じるが、140mm径の大口径ファンといえど、約440rpmで動作していることを考えれば、75℃という温度もそれほど悪いわけでは無い。

 発熱が増すオーバークロック動作時の温度は、4.4GHz動作時に72〜92℃を記録し、4.6GHz動作時は83〜94℃を記録した。4.6GHz動作時については、20%制御時にCPU温度が94℃を超過したためテストを打ち切ったが、ファンが約690rpmで動作する50%制御時は、ジャスト94℃というギリギリながらテストをパスしている。空冷最高峰と競えるような数値では無いが、比較的低速なファンとの組み合わせでこの結果が出せるグランド鎌クロス2の冷却性能は、トップフロー型CPUクーラーとしては優秀なものである。

 冷却テスト中の動作音については、20%制御時(約440rpm)はほとんど気にならず、50%制御時(約690rpm)もかなり静かに動作している印象を受けた。フル回転時(約1,370rpm)の動作については、風切り音が大きいだけでなく、軸のブレが大きいことも気になった。ある程度しっかり冷やしつつ、動作音も抑えたいのであれば、ファンの交換を検討してみても良いだろう。

リテンションの進化で完成度の高めた鎌クロスのニューモデル

 前モデルであるグランド鎌クロスの発売からおよそ4年近い年月を経て登場した後継モデルだけに、筆者としては大幅な強化を期待していたグランド鎌クロス2であったが、実際には新型リテンションキットの採用以外、小規模な改良にとどまった印象がある。先に発売された阿修羅と比べ、ベースユニットとヒートパイプの接続が甘い作りに戻ってしまったのも残念なところだ。

 期待を膨らませ過ぎていたことを反省しつつ、あらためてグランド鎌クロス2を見てみると、前モデルで不評だった従来のリテンションを廃し、新型のブリッジ式リテンションを採用したのは歓迎できる変更点だ。前述の通り、リテンションキットとヒートシンクのマッチングに改良の余地はあるが、鎌クロスシリーズの完成度が高まったのは確かである。

 もともと、周辺パーツとの干渉問題が起こりにくく、優秀な冷却性能を備えていたグランド鎌クロスは、トップフロー型CPUクーラーの中でも魅力ある製品の1つだ。もし、従来のリテンションキットに不満を感じて避けていたのなら、グランド鎌クロス2を選ぶ意義は大きいだろう。

サイズ「グランド鎌クロス2(SCKC-3000)」
メーカー サイズ
フロータイプ トップフロー型
ヒートパイプ 6mm径×4本
サイズ 175.21×140×140mm(幅×奥行き×高さ)
重量 760g
対応ファン 140mm径25mm厚ファン×1
電源:4ピン(PWM制御対応)
回転数:500±300〜1,300rpm±10%
風量:37.37〜97.18CFM
ノイズ:13〜30.7dBA
サイズ:140×140×25mm
対応ソケット Intel:LGA 775/1156/1155/1150/1366/2011
AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1/FM2

(瀬文茶)