西川和久の不定期コラム
iiyama「ProLite XB2776QS」
~2,560×1,440ドットAH-IPSパネルの27型ノングレア液晶ディスプレイ
(2013/3/26 00:00)
マウスコンピューターは3月21日、iiyamaブランドの27型ワイド液晶ディスプレイ「ProLite XB2776QS」を発表し、4月上旬より発売する。2,560×1,440ドットのAH-IPSパネルでノングレアという製品だ。一通りの入力とステレオスピーカーも内蔵している優れものだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
27型2,560×1,440ドットのAH-IPSパネル採用
同社のサイトを見ると「ワイドディスプレイ」タイプとして、「PLB2776HDS-2」(27W/16:9)、「E2080HSD」(20W/16:9)、「XB2485WSU」(24W/16:10)、「E2773HS」(27W/16:9)、「E2473HS」(23.6W/16:9)と、サイズは20型から27型、解像度は1,600×900ドットから1,920×1,200ドットとさまざまなモデルが並んでいる(余談になるがまだスクエアタイプも扱っている)。
今回発表されたモデルは、その中でも最上位に位置し、27型で解像度は2,560×1,440ドットとなる。主な仕様は以下の通り。
iiyama「ProLite XB2776QS」の仕様 | |
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推奨最大解像度 | 2,560×1,440ドット(WQHD) |
スクリーンサイズ | 27型(AH-IPS/非光沢/LEDバックライト) |
色域 | NTSC比82%、sRGBカバー率116% |
視野角 | 上下/左右とも178度 |
応答速度 | 5ms(中間色) |
輝度 | 350cd/平方m |
コントラスト比 | 1,000:1(最大500万:1) |
入力端子 | DisplayPort、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMI、ステレオミニジャック(入力)、スピーカー1.5W+1.5W |
色調整 | sRGB/ユーザー設定/マトリックス/6,500K/7,500K/9,300K |
消費電力 | 最大60W(通常使用時43W) |
高さ調整 | 110mm |
チルト | 上24度、下4度 |
スウィーベル | 左右340度 |
ピボット機能 | あり |
サイズ/重量 | 644×249.5×455~565mm(幅×奥行き×高さ)/8.8kg |
直販価格 | 65,800円 |
画面サイズは冒頭で書いた通り27型。AH-IPSパネルでノングレアタイプだ。解像度は2,560×1,440ドット(WQHD)。色域はNTSC比82%/sRGBカバー率116%。視野角は上下/左右とも178度と広く、非光沢なので映り込みが気にならない。輝度は350cd/平方m。コントラスト比は1,000:1(最大500万:1)。応答速度は5ms(中間色)だ。IPSパネルでこの反応速度はなかなか頑張っている。
色調整はsRGB/ユーザー設定/マトリックス/6,500K/7,500K/9,300K。ユーザー設定はRGB個別に、マトリックスはRGBCMYを個別に調整できる。ガンマ補正は1.8~2.4で0.2刻みに設定可能。
映像入力は、DisplayPort、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMI。主要な4系統が全て揃っているのはポイントが高い。加えて1.5W+1.5Wのアクティブスピーカーを内蔵し、ステレオミニジャックやDisplayPortなどからのサウンドを本体で再生させることができる。USB Hub機能は搭載していない。
「パーフェクトスタンド」と呼ばれているスタンドは、高さ調整は最大110mm、チルトは上24度/下4度、スウィーベルは左右340度。そしてピボットにも対応。調整可能な範囲がかなり広い。100mmピッチのVESAにも対応する。
本体サイズは644×249.5×455~565mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.8kg。消費電力は最大で60W、標準時で43W。直販価格は65,800円となる。
パネルを含め筐体は全て非光沢のブラック。指紋や埃が気にならず、シンプルなデザインでオフィスでも家庭でもマッチしそうだ。
ナチュラルな発色で明るさやコントラストも十分。ハードウェアキャリブレーションには対応していないため厳密なカラーマッチングを必要とする用途には向かないものの、一般用途であれば、解像度も高く非常に魅力的な液晶ディスプレイと言えよう。
スタンドは本体に付いたままの状態で出荷され、スタンドベースを付けるだけと設置は容易だ。
チルトの角度もかなりつけられ、左右340度のスイベルはスムーズに回転する。ガタツキやフラツキもなく快適に利用可能だ。ピボッド時はそのまま回すとフチが机に当たってしまうため、高さを最大にした上で、パネルをチルトさせつつ回転させる必要がある。
付属品は、電源ケーブル、DVIケーブル、DisplayPortケーブル、オーディオケーブル。HDMIケーブルとミニD-Sub15ピンは付属しない。
全体的に好印象だが、1つ残念なのはケーブルマネージメントに相当する機能がないことだ。全て接続するケースは少ないと思われるが、電源ケーブル+2系統程度は用途的に普通なので何かでまとめないと後ろがスッキリしない。
細かい設定が可能なOSD
OSDは画面右下にある[INPUT/EXIT]、[<]、[>]、[MENU]でコントロールを行なう。下から上に押すボタンタイプだ。
「ピクチャー」は、輝度/コントラスト/水平位置/垂直位置/フェーズ/クロック/色温度(sRGB/ユーザー設定/マトリックス/6,500K/7,500K/9,300K)。ユーザー設定はRGB個別、マトリックスはRGBCMYで個別設定可能だ。使えない項目はグレーアウトにしている。
「OSD」は、水平位置/垂直位置/OSD表示時間/OSD背景。「画面設定」は、画面サイズ(Full/Aspect/1:1)/i-Style Color(標準/テキスト/映画/風景/ゲーム)/Advコントラスト/エコモード(オフ/モード1/モード2/モード3)/シャープネス/オーバードライブ/ガンマ(1.8/2.0/2.2/2.4)。
「オーディオ」は、音量/ミュート/音声入力(DisplayPort/Line In)。また単独で[>]ボタンを押すと音量調整モードになる。
「その他の設定」は、言語/入力切替/オープニングロゴ/After AC Cut/リセット。「情報」は、解像度/周波数/ポート/シリアルナンバーの表示。
ユーザー設定はRGB個別、マトリックスはRGBCMYで個別、そしてガンマが0.2刻みと細かい調整ができ、用途に応じた設定が可能となる。
今回の試用もいつもの通り、ThinkPad X201iにドッキングステーションを付け、DisplayPortで接続した。解像度は最大の2,560×1,440ドット。デバイスマネージャーにインテルディスプレイ用オーディオが追加され、本体側のステレオスピーカーから出力される。
最大音量は十分あるが、音質はかなりカマボコレンジで中域のみが目立つサウンド。そのままだとゲームや動画を観るには迫力不足となりそうだ。イコライザなどを使い可能な範囲で高域と低域をブーストしたいところ。ただしヘッドフォン出力もあるのでお好みのデバイスを接続することも可能だ。
以上のようにProLite XB2776QSは、2,560×1,440ドットAH-IPSパネルの27型ノングレア液晶ディスプレイを採用し、入力もDisplayPort、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、HDMIと全装備。加えてステレオスピーカーも内蔵している優れものだ。応答速度5ms(中間色)もこのクラスとしては高速。高さ調整/チルト/スウィーベル/ピボット/100mmピッチのVESAもOKで、設置場所にも困らない。
特に欠点らしい欠点も見当たらず、フルHDでは物足らず、IPS式の27型液晶ディスプレイを探しているユーザーにとって候補になりうる1台と言えよう。