西川和久の不定期コラム
ASUS「ZenBook UX305FA」
~厚さ12.3mmでファンレスの13.3型Core M搭載ノートPC
(2015/2/27 06:00)
Core Mと高速SSDを搭載したファンレス薄型ノートPC
筆者は割とZenBookと縁があるのか、2011年発売の初代「ZENBOOK UX21E」から、「ZENBOOK Prime UX31A-R4256」、「ZENBOOK Prime UX21A-K1256」、「ZENBOOK Prime UX32VD」など、いろいろなZenBook(昔は全て大文字表記だった)を試用してきた。薄くてシャープ、そしてパワーのあるノートPCで、数あるノートPCの中でも印象に残るマシンに仕上がっていた印象が強い。
残念ながらここ最近のモデルは触っていなかったが、久々にZenBookを試用する機会が巡ってきた。今回ご紹介する「ZenBook UX305FA」最大の特徴は、このシリーズとしては初めてのCore M搭載機で、13.3型ながら厚み12.3mm、しかもファンレスという、かなり尖ったモデルだ。主な仕様は以下の通り。
ASUS「ZenBook UX305FA」の仕様 | |
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プロセッサ | Core M-5Y10(2コア/4スレッド、800MHz/最大2GHz、キャッシュ4MB、TDP 4.5W) |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 128GB SSD |
OS | Windows 8.1(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型(非光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5300、Micro HDMI×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0×3、SDXCカードリーダ、92万画素Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約8.5時間 |
サイズ/重量 | 324×226×12.3mm(幅×奥行き×高さ)/約1.2kg |
その他 | Office Home & Business PremiumプラスOffice 365サービスを搭載 |
店頭予想価格 | 119,800円(税別) |
プロセッサはCore M-5Y10。2コア4スレッドで、動作クロックは800MHzからブースト時最大2GHz。キャッシュは4MBで、TDPは4.5Wとなる。メモリは4GBを搭載。ストレージはSSDだが、リード521.3MB/sec、ライト456.6MB/secの高速モデルが使われている。この点は、後半のベンチマークテストで検証してみたい。OSは64bit版のWindows 8.1。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5300。外部出力用としてMicro HDMIを装備している。ディスプレイは非光沢の13.3型で解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。このクラスは光沢タイプが多いので、非光沢は珍しい。映り込みが少なく眼が疲れにくい。
ネットワークは、有線LANがUSB 3.0接続のGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0。USB 3.0接続のGigabit Ethernetは、本体が薄く、有線LANのコネクタが入らないので苦肉の策なのだろう。以前のモデルではUSB 2.0でEthernetだったこともあり、外付けとはいえポイントは高い。とは言え、IEEE 802.11acにも対応しているので、意外と出番は少ないかもしれない。
インターフェイスは、USB 3.0×3、SDXCカードリーダ、92万画素Webカメラ、音声入出力。USB 2.0は1つも無く、3つともUSB 3.0となっている。
サイズは324×226×12.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kg。厚みが12.3mmでファンレス化は、Core Mだからできる技と言えよう。バッテリ駆動時間は最大約8.5時間。
税別店頭予想価格は、Office Home & Business PremiumプラスOffice 365サービスを搭載して119,800円だ。
なお、直販専用モデルでは、Core M-5Y71(2コア/4スレッド、クロック 1.2GHz/最大2.9GHz、キャッシュ4MB、TDP 4.5W)、メモリ8GB、Officeなしに変更したモデルも用意されており、税別予想価格は99,800円。プロセッサがパワーアップしてメモリは倍増しているにもかかわらず、Officeがない分、店頭モデルより安くなっている。このクラスはメモリを後付けできないこともあり、個人的には直販モデルの方が魅力的に感じる。
筐体にプラスチックは全く使われておらず、オール金属で質感も良い。色は深めのあずき色(?)っぽい感じだ。天板には薄いヘアラインが施されている。写真からも分かるように、13.3型としては薄く、またスピーカー用のメッシュはあるものの、それ以外のスリットはなく、さすがファンレスと言ったところ。持った感じは13.3型で約1.2kgなので見た目よりかなり軽く感じる。
液晶パネル中央上には92万画素のWebカメラ。左側面はUSB 3.0×2、SDXCカードリーダ、右側面は電源入力、USB 3.0、Micro HDMI、音声入出力。裏はスピーカー用のメッシュが2つのみとシンプルだ。バッテリは内蔵式で着脱はできない。付属のACアダプタは、サイズ約62×62×27mm、重量174gとコンパクトだが、プラグが折り畳めないのは残念なところか。
13.3型非光沢のパネルは、IPS式とは明記されていないが、視野角も広く、明るさ・コントラスト・発色も良好。タッチ非対応なのが惜しい部分だ(試用時もついついタッチしていた)。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプで、たわむこともなく、また主要キーの[半角/全角]と[\]以外のキーピッチは約19mmが確保され快適に入力できる。欲を言えば全体の完成度が高いだけに、キーボードバックライトが欲しいところ。
タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート型だ。十分な面積もあり追尾性もよい。後述する「ASUS Smart Gesture」でいろいろなジェスチャー(操作)の設定も可能だ。
振動やノイズはファンレスそしてSSDと言うこともあり皆無。発熱は季節がらもあり、試用した範囲では全く問題のないレベルに抑えれれている。
サウンドは、音質はまずまずだが、いろいろなサウンド系のアプリケーションを搭載しているわりにパワー不足。他の完成度が高いだけに、この点だけが本機唯一の気になる部分となる。
BBenchで13時間越えの驚くべきバッテリ駆動時間
初期起動時のスタート画面は1画面+2アプリ。見切れているのは、「トラベル」と「Skype WiFi」。ASUSアプリ以降がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙が変更され、「Office 365サービスの詳細と更新」のショートカットが追加されている。メモリは4GBであるが、冒頭に書いたように高速なSSDを搭載しているだけあって、全ての動作がキビキビしていて気持ちが良い。
ストレージは128GBのSSD「SanDisk SD7SN3Q128G」が使われていた。ネットで検索したものの、スペックシートが見当たらず詳細は不明。Cドライブのみの1パーティションで約107GBが割り当てられ、空き容量は100GB。回復パーティションに12GBが割り当てられている。
Wi-FiとBluetoothはIntel製、USB/Gigabit EthernetアダプタはRealtek製だ。なお、「powercfg /a」で調べたところ、InstantGoには非対応だった。Intel DPTF(Intel Dynamic Platform Thermal Framework)に対応しているので、オンラインアップデートで制御変数の変更も可能だ。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリでは「ASUS WebStorage」、「Flipboard」、「LINE」、「Music MakerJam」、「NAVTIME、TripAdvisor Hotels Flights Restaurants」、「Twitter」、「Zinio Reader」など。Windowsストアアプリとしてはポピュラーなものが多い。
デスクトップアプリは、「ASUS SmartGestureDetector」、「ASUS Live Update、ASUS On-Screen Display」、「ASUS Screen Saver、eManual」、「Splendid Utility、USB Charger Plus、WebStorage」、「WinFlash」と言った同社のお馴染みのツール系、「Microsoft Office」、「SmartAudio」、「Foxit Phantom PDF、AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「マカフィーリブセーフインターネット」など。
Windowsストアアプリも含め、前回に紹介した「TransBook T100Chi」と構成がよく似ている。
ベンチマークテストでは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見た。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMark(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)と、CrystalDiskMarkの結果も掲載した。
winsat formalの結果は、総合 5.6。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 5.7、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリハードディスク 8.15。PCMark 8 バージョン2は2071。CrystalMarkは、ALU 32121、FPU 30392、MEM 34669、HDD 38922、GDI 10819、D2D 5842、OGL 9360。参考までにGoogle Octane 2.0は8,304だった。全般的にAtomよりは速いものの、Core iのエントリークラスには今一歩及ばないだろうか。
期待のSSDは、シーケンシャルリード約440MB/sec、シーケンシャルライト約260MB/sec。CrystalDiskMarkもほぼ同じ値で、謳われているほどではないが、それでもこのクラスに内蔵しているSSDとしては高速だ。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で48,951秒/約13.6時間。なんと13時間を超えてしまった。
13.3型でこれだけのバッテリ駆動時間は見たこともなく、パフォーマンスとバッテリ駆動時間が見事にバランスし、正にCore Mの特徴と言えよう。
以上のようにASUS「ZenBook UX305FA」は、非光沢の13.3型フルHDディスプレイとCore M、そして高速なSSDを搭載した上でファンレスの薄型ノートPCだ。プロセッサのパワーはエントリークラスのCore iには及ばないが、BBenchで13時間越えと驚くほどのロングバッテリーライフを誇る。重量も約1.2kgとそこそこ軽く、外回りが多いビジネスマン向けのノートPCと言えよう。
サウンドのパワー以外は特に欠点らしい欠点も見当たらず、また、Officeなし/メモリ8GB/上位プロセッサで10万円を切る直販モデルも魅力的だ。Core Mに興味がある全てのユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。