西川和久の不定期コラム

オンキヨーデジタルソリューションズ「R5A-51C57P」

~全面にアルミ合金素材を使用した薄型Win7 ProノートPC

 オンキヨーデジタルソリューションズは2月4日、最厚部が18.2mm、13.3型フルHD液晶パネルを搭載したノートPCを発表した。ストレージがHDDなのでUltrabookとは呼べないが、サイズ的にはそのものだ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。

同社約1年10カ月ぶりのノートPC

 同社は、2012年3月19日に、14型Ultrabook「DR6A-US31」シリーズを発表している。Core i7-2637M/4GB/128GB/14型HD解像度、トップカバーはヘアライン加工のアルミ素材、底面にマグネシウム合金を採用した筐体、独自のサウンド技術「Pure Direct Audio Path」(PDAP)を採用した音楽再生・管理ソフト「PureSpace MUSIC」を搭載など、なかなかの意欲作だった。

 ただ以降、パタッと新製品が出てこなかったが、2月4日に今回ご紹介するノートPCが発表された。以前と一番違うのは、サウンド系が普通になり、よりビジネス色を強めたことだろう。主な仕様は以下の通り。

オンキヨーデジタルソリューションズ「R5A-51C57P」の仕様
プロセッサCore i5-4200U(2コア/4スレッド、クロック 1.6GHz/Turbo Boost 2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W)
メモリ8GB(DDR3L SDRAM/1,600MHz×1)
ストレージHDD 500GB
OSWindows 7 Professional SP1(32/64bitセレクタブル)
ディスプレイ13.3型液晶(非光沢)、1,920×1,080ドット
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400、HDMI
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0+HS
その他USB 3.0×1、USB 2.0×1、100万画素Webカメラ、音声入出力、SDカードリーダ
サイズ/重量326×217×10.4~18.2mm(幅×奥行き×高さ/最薄部)/約1.46kg
バッテリ最大11.3時間
直販価格89,800円

 プロセッサはCore i5-4200U。2コア4スレッドでクロックは1.6GHz。Turbo Boost時2.6GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは15W。メモリはDDR3L SDRAM/1,600MHzの8GBを1枚。増設はできないものの、このクラスの薄型ノートPCで8GBはポイントが高い。OSは32/64bitセレクタブルのWindows 7 Professional SP1。

 ストレージは500GBのHDDを使い、コストを優先したとのこと。さすがにSSDに慣れた体だと遅く感じるのは仕方ないところか。できればSSDとのハイブリッドでもいいので、もう少しだけ高速性が欲しい。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4400。外部出力としてHDMIを搭載している。ディスクプレイは、13.3型非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶パネルを搭載。タッチには非対応だ。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0+HS。Gigabit EthernetもIEEE 802.11acも対応しているのは嬉しいところ。

 その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×1、100万画素Webカメラ、音声入出力、SDカードリーダ。HDMIやGigabit Ethernetも含め全て標準サイズのコネクタが使われ、使い勝手が良さそうだ。

 サイズは326×217×10.4~18.2mm(幅×奥行き×高さ)、重力約1.46kg。サイズに関しては冒頭でも触れたようにUltrabookの規格内に納まっている。バッテリ駆動時間は最大11.3時間。直販価格で89,800円と、アルミ合金素材の筐体、そして内容を考えてもお買得価格と言えよう。

前面。先端はかなり薄いことが分かる。液晶パネル上中央に100万画素Webカメラ
斜め後ろから。アルミ合金製でなかなか美しい
裏面。この部分もアルミ合金製だ。ネジを全て外せばパネルが開きそうだが試していない
左側面。電源入力、USB 2.0、音声入出力、スピーカーL
キーボードはアイソレーションタイプ。特に破綻している並びもなく、キータッチも良い
右側面。Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、SDカードリーダ、スピーカーR
キーピッチは実測で約19mm
重量は実測で1,475g
ACアダプタは約90×40×26.6mm(同)/148g

 筐体はトップカバーだけでなく、周囲、裏、キーボード周りを含め、全てアルミ合金製で質感は非常に高い。デザイン的にもロゴ以外は何もなく、素材を際立たせてる感じだ。

 左サイドには電源入力、USB 2.0、音声入出力、スピーカーL。右サイドにはGigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、SDカードリーダー、スピーカーRを配置。ご覧のように、全て標準サイズのコネクタが使われている。Ultrabookでは薄さを優先し、コネクタがシュリンク版になっていることも多いが、これなら普通に利用できる。有線LANがGigabit Ethernetなのも魅力的だ。

 気になるほどでもないのだが1点。左サイドの電源入力とUSB 2.0の間隔に余裕が無く、例えばUSBメモリを着脱したりすると、電源入力のプラグが邪魔になった。

 裏は大きなパネル1枚で覆われ、メモリやストレージにアクセスする小さいパネルは無い。ネジを全て外せばアクセスできそうな気もするが試していない。

 付属のACアダプタは、約90×40×26.6mm(同)/148g。小さくもなく大きくもなく、普通と言ったところか。

 13.3型のフルHD液晶パネルは非光沢のため、映り込みが少なく、長時間操作しても疲れない。IPS式では無いものの、視野角も広め。発色は少し彩度が高めで写真などが映えるチューニングになっているようだ。

 キーボードはアイソレーションタイプで主要キーでキーピッチは約19mmを確保。薄型のノートPCでありがちなフワフワした感じはなく、たわまずしっかりしたキーボードで、個人的には好み。機能キーは[Fn]キーとのコンビネーションだ。タッチパッドは1枚プレートタイプで、105×65mmと面積も広く扱いやすい。

 振動や発熱、ノイズに関しては試用した範囲では特に感じられなかった。ただ残念なのはサウンドだ。同社の場合どうしても期待してしまう部分であり、ビジネス用になったとは言え、他社とは少し違うのではと思っていた。しかし、両サイド手前にある細いスリットから出てくる音は、か細く、音量も全く不足。他の部分の仕上げが良いだけに、余計目立つ格好となってしまった。

Core i5-4200Uとしては標準的だがHDDがボトルネックか

 OSは32/64bitセレクタブルのWindows 7 Professional SP1。届いたマシンは64bit版がインストール済だった。メモリを8GB搭載しているので通常用途なら全く問題無く使用できる。

 初期起動時のデスクトップは、壁紙の変更と、左側にやや多めのショートカットが並ぶが、マニュアルやBIOSセットアップのPDF、問合せ先のブックマークなども含まれているので、実質はそれほどでもない。

 ストレージは、500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBのHDD「HGST HTS545050A7E380」を搭載。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションで、それぞれちょうど半分の約224GBが割り当てられている。C:ドライブの空きは191GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Gigabit EthernetはRealtek製だ。

起動時のデスクトップ。若干左側のショートカットが多めだが、マニュアルやBIOSセットアップのPDF、問合せ先のブックマークなども含まれている
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは、500GB/5,400rpm/8MBのHDD「HGST HTS545050A7E380」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Gigabit EthernetはRealtek製だ
HDDのパーティション。C:ドライブとD:ドライブの2パーティションで、それぞれ丁度半分の約224GBが割り当てられている

 プリインストール済のソフトウェアは、「i-フィルター6.0」、「Kingsoft Office 2013」、「Microsoft Security Essentials」に加え、Intel WiDiなどIntel系ツールとドライバ、Realtek製ドライバとなる。ほとんど素に近いWindows 7であり、アプリらしいアプリは、Kingsoft Office 2013だけだ。

Intel Update Manager
Intel WiDi
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 ベンチマークテストはWindows 7なので「Windows エクスペリエンス インデックス」と、PCMark 7、そしてBBenchの結果を見たい。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)。

 Windows エクスペリエンス インデックスの結果は、総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.3、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7 2450。CrystalMarkは、ALU 36875、FPU 34308、MEM 28944、HDD 9944、GDI 13688、D2D 6266、OGL 10736。

 プロセッサやグラフィックは、Core i5-4200U搭載機としては平均的。ただHDDのスコアが1万を切るためこの点をどう見るかで評価が別れそうだ。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で32,359秒/9時間。仕様上の最大11.3時間には及ばなかったものの十分な駆動時間だ。ただしバックライト最小だとそれなりに暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.3、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 7。2450
BBench。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。残5%で32,359秒/9時間
CrystalMark。ALU 36875、FPU 34308、MEM 28944、HDD 9944、GDI 13688、D2D 6266、OGL 10736

 以上のようにオンキヨーデジタルソリューションズ「R5A-51C57P」は、アルミ合金素材の筐体を採用し、Core i5と13.3型フルHDパネルを搭載したノートPCだ。コストパフォーマンス重視でストレージにHDDを採用していたり、ビジネス用にWindows 7を搭載しているのでタッチが無かったりとUltrabookとは呼べないが、サイズはまさにそのもの。非常にクオリティの高い仕上がりとなっている。

 加えてGigabit Ethernet、USB 3.0、HDMIのコネクタも全て標準サイズで使いやすく、IEEE 802.11acに対応しているのもポイントが高い。同社のわりにサウンド系が普通になってしまったのは残念なものの、ビジネスに限らず個人用途でもお勧めしたいノートPCと言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/