西川和久の不定期コラム

ASUS「VivoTab Smart ME400C」

〜バッテリで長時間駆動でき、iPadより軽い10.1型タブレット

 ASUSは1月17日、10.1型でClover Trailを搭載したWindows 8タブレット「VivoTab Smart ME400C」を発表、19日から販売を開始した。ここのところ続けてClover Trail機を試しているが、中でも一番タブレットらしいマシンだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。

iPadより軽い580gのタブレット

 2012年12月に日本HP「ENVY x2」、2013年1月にデル「Latitude 10」と、続けてClover Trailを搭載したWindows 8マシンをご紹介した。前者は、キーボードにもバッテリがあり、取り外し可能なハイブリッドPC、後者はバッテリが着脱可能、オプションでドックステーションが用意され、Gigabit Ethernetにも対応できるタブレットだ。

 今回ご紹介するASUS「VivoTab Smart ME400C」は、上記のような特徴は無いものの、純粋にタブレットとしてiPadより軽い580gのWindows 8マシン。10.1型の液晶パネルを搭載しこの重量だと、iOS搭載のiPadはもちろん、Androidを搭載するタブレットともある意味同じ土俵にあがることが可能だ。プロセッサはClover Trail。これまでの実績上、従来のPCの常識を覆すバッテリ駆動時間が期待できる。主な仕様は以下の通り。

【表】ASUS「VivoTab Smart ME400C」の仕様
プロセッサ Atom Z2760(2コア/4スレッド、
最大1.8GHz、キャッシュ512KB×2)
メモリ 2GB
ストレージ 64GB
OS Windows 8(32bit)
ディスプレイ IPS方式パネル10.1型液晶ディスプレイ(光沢)、
1,366×768ドット、5点タッチ対応
グラフィックス Intel Graphics Media Accelerator
(PowerVR SGX 545)
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他 Micro USB 2.0×1、前面200万画素/背面800万画素カメラ
(LEDフラッシュ付き)、microSDカードスロット、
音声入出力、NFC
センサー GPS、電子コンパス、環境光、加速度、ジャイロ、磁気
サイズ/重量 262.5×171×9.7mm(幅×奥行き×高さ)/約580g
バッテリ リチウムポリマー/最大約9.5時間
店頭予想価格 59,800円前後

 プロセッサはAtom Z2760。2コア4スレッドで状態に応じてクロック数が変化し、最大1.8GHz。キャッシュはそれぞれのコアに512KBずつの計1MBとなる。メモリは最大の2GB、フラッシュストレージは64GBを搭載している。OSは32bit版のWindows 8。グラフィックスは内蔵のIntel Graphics Media Accelerator、外部出力はmicro HDMIを装備する。

【お詫びと訂正】初出時、外部出力を装備しないと記載しておりましたが、micro HDMI出力があります。お詫びして訂正いたします。

 一時期流行ったネットブックのイメージから、Atomプロセッサでメモリ2GBは遅いのではと言うイメージもあるだろうが、Windows 8はシステム自体が7よりチューニングされ、もともと速い上に、SoCになっているプロセッサ自体の足回りなども強化されている(例えばフルHDを再生できるなど)関係で、タブレット上で行なうような処理であれば、さほどストレスなく操作可能だ。この辺りは個人差もあるので、同じ機種でなくても店頭などでAtom Z2760を搭載したPCを触ればおおよその見当がつくのではないだろうか。興味のある人は是非試して欲しい。

 液晶パネルは5点タッチの10.1型IPSパネルで光沢タイプだ。解像度は1,366×768ドット。いわゆるRetinaではないものの、PCの世界では一般的なサイズと解像度になる。

 ネットワークはIEEE 802.11b/g/nのみで有線LANには非対応だ。Bluetooth 4.0も搭載している。その他のインターフェイスは、Micro USB 2.0×1、前面200万画素/背面800万画素カメラ(LEDフラッシュ付き)、microSDカードスロット、音声入出力、GPS、電子コンパス、光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー、NFC。後半のセンサー類はタブレットには必需品とも言え、一式揃っている。またMicro USBから充電を行なうため、他に充電用のコネクタは無い。

 サイズは262.5×171×9.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約580g。iPad 2が601g、第4世代iPadが652g(いずれもWi-Fiモデル)。どちらと比較しても数十gであるが、VivoTab Smart ME400Cの方が軽く、この点が最大の魅力となる。カラーバリエーションは、ホワイトとブラックの2モデル。

 仕様上、バッテリ駆動時間は、内蔵しているリチウムポリマーで最大約9.5時間。しかし、後半のベンチマークテストでは大幅に上回る結果が出た。

 店頭予想価格は59,800円前後。第4世代のiPad/Wi-Fiの64GBより約1万円ほど安価だ。ただしOSサイズはWindows 8の方が大きく、iPadほどユーザーエリアがあるわけではない。

 なお2月上旬には、オプションの専用トランスリーブ(店頭予想価格4,280円)、トランスリーブ/Bluetoothキーボードセット(同9,980円)も発売される。この2つは今回試せなかったが、前者はiPadのSmart Cover、後者はSurfaceのType Coverの雰囲気だ。

フロント。正面上中央に200万画素前面カメラ、下中央にWindowsボタン
背面。ホワイトモデル。中央上に800万画素のカメラとLEDフラッシュ。特にスピーカー用のメッシュなどは無い
左側面。microSDカードスロット、Micro USB。microSDカードが勢いよく飛び出るの要注意
右側面にヘッドフォン端子、ボリュームを装備
上面。電源ボタン。充電中は橙色に、充電完了時は白に点灯する小さいLEDがある
下部。ドックコネクタなど、コネクタ類は無い
重量は実測で580gジャスト。持ち上げると確かに軽い
iPadとの比較。画面の縦横比の関係で幅は広く、奥行きは少し短い
出力がUSBコネクタになっているACアダプタ。サイズは約44×44×27mmで重量51g

 一見普通のタブレットで、液晶パネルの縦横比の関係からiPadよりAndroidのタブレットに近い雰囲気を持つ。重量が580gだけあって、片手でも楽々持ち上がる。また必要以上のコネクタが側面に付いていないため、非常にあっさりとした印象を受ける。

 10.1型5点タッチに対応したIPSパネルは、IPSパネルの割に視野角があまり広くない。明るさや色に関しても、DELL「Latitude 10」と比較して若干劣る感じだ(入稿のタイミング上、一時期同時に両機種が手元にあった)。タッチの感度は問題無く、スムーズにWindows 8を操作できる。

 フロントは中央上に200万画素のカメラ、中央下にWindowsボタン、フチはもっと狭いのが理想的だが、広過ぎるというわけでもない。リアはホワイト(ブラックモデルはこの部分がブラックとなる)。中央上に800万画素のカメラとLEDフラッシュを装備する。iPadほどの質感ではないものの、チープな感じでもなくいたって普通だ。バッテリは内蔵タイプで交換は非対応となる。

 左サイドには、microSDカードスロット(microSDカードが勢いよく飛び出るので要注意)、Micro USB。右サイドには、ヘッドフォン端子、ボリューム。上サイドには電源ボタンのみ。下サイドには何も無い。

 付属のACアダプタは約44×44×27mmで重量51gとコンパクトだ。ACアダプタ側に標準サイズのUSBコネクタがあり、付属のUSB→Micro USBケーブルを使い本体へ接続する。この時、充電中は電源ボタンのLEDが橙色に、充電完了時は白色に点灯する。

 ノイズや振動、発熱に関しては、試した範囲は皆無に近い。サウンドは、リア側にスピーカー用のメッシュなどは無く、裏パネル左側の内側にあるスピーカーがそのまま鳴っている。従って出力やクオリティはそれなりで、かつモノラルと言うこともあり、本格的に鳴らすなら、外部にBluetoothスピーカーなどが欲しいところ。

 普段の記事より“普通”と言う言葉を多く使っているのは、この「VivoTab Smart ME400C」の最大の魅力はここにあるからだ。Windows 8を搭載したPCが、何の変哲もない、ごく普通のタブレットに収まってしまう時代になったのだ。むしろ“普通”であること自体衝撃的だ。

BBenchで14時間駆動

 OSは32bit版Windows 8。これはClover Trailの仕様上、64bitに非対応なのと、最大メモリ2GBなのが理由だ。ストレージはデバイスマネージャ上「MMC Memory Card」とある。回復パーティションに8GB割り当てられ、C:ドライブは約50GB。初期起動時の空エリアは38.4GBとなっている。microSDカードやクラウドを併用すれば容量が少な過ぎて使えないと言うことは無いだろう。Wi-FiモジュールがSDIO接続なのはClover Trailの特徴だ。

 スタート画面は計2面+α。2面目のASUS Camera以降がASUS独自のプリインストールアプリとなる。デスクトップは、LiveUpdate、WebStorageなどが並ぶ。

スタート画面1
スタート画面2
スタート画面3
起動時のデスクトップ
デバイスマネージャ/主要なデバイス
ストレージのパーティション

 プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリは、ASUS Camera、ASUS WebStorage、asus@vibe Fun Center、Finger Share、Guide、My Library、My Dictonary、Skype、Super Note。独自のアプリケーションが結構入っている。

 多くはビューアー的なものだが、Super Noteはタッチパネルの特性を活かしたノートだ。各内容などは画面キャプチャを掲載したので参考にして欲しい。

アプリ画面1
アプリ画面2
ASUS Camera
My Library
My Library
My Dictionary
Guide/Welcome
Guide/Tutorial
SuperNote
SuperNote
asus@vibe Fun Center
Finger share
Finger share
ASUS LiveUpdate

 逆にデスクトップアプリは、ASUS LiveUpdateのみとかなりシンプル。できるだけキーボードを使わず、タッチだけで操作できるよう、配慮しているのだろう。もちろんWindowsなので、従来のデスクトップアプリも使用可能。この点がWindows RTと大きな違いだ。

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 3.2。プロセッサ 3.5、メモリ 4.7、グラフィックス 3.7、ゲーム用グラフィックス 3.2、プライマリハードディスク 5.6。PCMark 7は1408 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 12101、FPU 9168、MEM 9692、HDD 10702、GDI 2042、D2D 488、OGL 7875。これまで掲載したClover Trail機と多くの部分は似ている結果だ。SoCになっていることもあり、性能的には差が出しにくいものと思われる。

 BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残4%で52,440秒/14.6時間。仕様上では最大約9.5時間なので大幅に上回っている。この状態でもそこそこ表示は見えているため、実際の利用シーンとあまり変わらず、Wi-Fiを使いブラウザでネットするだけならほぼ同程度動く事が予想される。iOSやAndroidを搭載したタブレットと比較して、バッテリ駆動時間は見劣りしないレベルだ。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)は総合 3.2。プロセッサ 3.5、メモリ 4.7、グラフィックス 3.7、ゲーム用グラフィックス 3.2、プライマリハードディスク 5.6
PCMark 7は1408 PCMarks
BBench。バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残4%で52,440秒/14.6時間
CrystalMarkはALU 12101、FPU 9168、MEM 9692、HDD 10702、GDI 2042、D2D 488、OGL 7875

 以上のようにASUS「VivoTab Smart ME400C」は、iPadより軽い580gのタブレットだ。USB充電に対応し、バッテリ駆動時間はBBenchで12時間を軽く越えるWindows 8マシンに仕上がっている。

 IPSパネルの視野角が競合機と比較して若干狭く、またドッキングステーションなどのオプションは無いものの、シンプルな構成で初心者にはとっつきやすい。iPadやAndroidを搭載したタブレット感覚でWindows 8を使いたいユーザーにお勧めの1台と言えよう。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/