西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Prime Note Chronos VF2」
~NVIDIA Optimus対応の15.6型フルHDノート



 株式会社サードウェーブは11月8日、同社が運営するPCショップ「ドスパラ」で、低価格でかつ、高性能がコンセプトなデスクトップとノートPCシリーズ「ドスパラPC」を発売した。今回はその中から15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶パネル搭載の「Prime Note Chronos VF2」が送られてきたので、早速試用レポートをお届けする。


●15.6型フルHD液晶パネルにNVIDIA GeForce GT 540Mを搭載

 「Note Chronos VF2」の特徴は、15.6型フルHD液晶パネルとNVIDIA GeForce GT 540Mを搭載した2スピンドルノートPCであること。モデルは、「スタンダード」、「ハイスタンダード」、「プレミアムSSD」の3タイプあり、順にCore i3-2330M(2.2GHz)/500GB HDD/DVDスーパーマルチドライブ/Office Home and Business 2010/価格97,980円、Core i7-2670QM(2.20GHz)/他は同じ/価格107,980円、Core i7-2760QM(2.40GHz)/120GB SSD/Blu-ray Discドライブ/価格139,980円。ネットワークやインターフェイスなどは共通だ。

 今回届いたのは「ハイスタンダード」。主な仕様は以下の通り。

【表】ドスパラ「Prime Note Chronos VF2」の仕様
CPUIntel Core i7-2670QM(4コア/8スレッド、
2.20GHz/TB 3.10GHz、キャッシュ6MB)
チップセットIntel HM65 Express
メモリ8GB(4GB×2)DDR3-SDRAM/PC3-10600
(最大8GB)/2スロット空0
HDD500GB(5,400rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ15.6型フルHD液晶ディスプレイ(光沢)、1,920×1,080ドット
グラフィックスIntel HD Graphics 3000+NVIDIA GeForce GT 540M(1GB)、
HDMI、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
その他USB 3.0×2、USB 2.0×2、メモリカードスロット、
130万画素Webカメラ、音声入出力
サイズ/重量380×262×36.6mm(幅×奥行き×高さ)/約2.5kg
バッテリ駆動時間約3.6時間
価格107,980円

 プロセッサはIntel Core i7-2670QM。ここのところUltrabookなどでよく使われているCore i7-2677Mの2コア4スレッドとは違い、4コア8スレッドとなる。クロックは2.20GHzでTurboBoost時3.10GHzまで上昇する。キャッシュは6MBと他のCore iプロセッサと比較て多めだ。

 チップセットは第2世代Core iプロセッサ用としてスタンダードなIntel HM65 Express。メモリは2スロットあり、4GB×2の計8GBで既に最大容量を搭載済み。Windows 7を使う場合、これだけあれば仮想PCなどを立ち上げない限り、メモリ不足になることは無いだろう。ストレージは5,400rpmの500GB HDDとDVDスーパーマルチドライブ。プロセッサがパワフルなだけに5,400rpmのHDDは少し物足らない部分か。

 液晶パネルは冒頭にも書いたように、15.6型フルHD/1,920×1,080ドットの光沢タイプ。外部出力は、HDMIとミニD-Sub15ピンにも対応する。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。そしてBluetooth 3.0も搭載している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、メモリカードスロット、130万画素Webカメラ、音声入出力。Gigabit EthernetそしてUSB 3.0も対応し、全部入りになっているのはポイントが高い。

 そしてもう1つの特徴であるグラフィックスは、通常のIntel HD Graphics 3000に加え、NVIDIA GeForce GT 540M(1GB)も搭載していることだ。「NVIDIA Optimusテクノロジー」により、ブラックアウトなどぜずシームレスにGPUを切り替えることができる。例えばバッテリ駆動は省エネの内蔵GPU、ゲームなどパワーが必要な時は、GeForce GT 540Mへ切り替えることが可能だ。日頃Intel HD Graphics 3000のパフォーマンスに不満を持っているユーザーには嬉しい機能と言えよう。

 サイズは380×262×36.6mm(幅×奥行き×高さ)。重量約2.5kg。15.6型の2スピンドルノートPCとしては平均的な筐体となる。バッテリ駆動時間は約3.6時間。

 価格は今回の構成で107,980円。15.6型フルHD液晶パネル、4コアのCore i7プロセッサ、メモリ8GB、そしてNVIDIA GeForce GT 540Mを搭載していることを考えると、コストパフォーマンスは高い。

 なおBTOにも対応し、Windows 7の各SKU、プロセッサCore i3-2330M/Core i5-2520M/Core i7-2670QM/Core i7-2760QM/Core i7-2860QM、メモリ4または8GB、HDDもしくはSSD、光学ドライブなど、幅広い組み合わせも可能になっている。

天板は光沢ブラック。ロゴのみとシンプル正面。右側にメモリカードスロットを備える底面。ネジ6本で大きなパネルが外れ、簡単にメモリやHDDにアクセスできる
左側面。電源コネクタ、Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 3.0×2キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。左右にスピーカー、上にWi-Fi ON/OFFなど、タッチ式の機能キーがある右側面に、ロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン出力
キーピッチは実測で約19mmACアダプタとバッテリ。バッテリの幅は30cm近くあり大きい。ACアダプタのコネクタはメガネタイプ斜め後ろ。2スピンドルのスタンダードノートPCとしては一般的なルックスだ

 トップカバーは光沢ブラック。裏以外は全て同じ色、そして質感でまとめられている。2スピンドルのスタンダードノートPCとしては一般的なルックスだ。裏はネジ6本でパネルが外れ、簡単にメモリやHDDにアクセスできる。既にメモリは最大の8GB搭載済みと言うこともあり、実際交換対象となるのはHDDのみとなるだろう。

 液晶パネルは非常に明るく、コントラストも高い。発色もsRGBに近い感じだ。視野角もノートPCとしては広い方で優秀。また輝度を最小にしても、表示が十分見え、省エネ作動時も普通に操作可能だ。

 キーボードはアイソレーションタイプの10キー付き。キーピッチは実測で約19mm。ただし、パームレストやタッチパッドは、筐体が大きい割りにあまり広くない。これは写真からも分かるように、キーボードの上部へスピーカーや機能キーを配置している関係で、その分スペースが減っているからだ。だからと言って狭いわけではなく、必要な広さは確保されている。ボタンは物理的に2つのボタンがあるタイプで、軽めだがクリック感があり、指が疲れない。機能キーは[Wi-Fi ON/OFF]、[消音]、[再生/ポーズ]、[停止]、[戻る]、[進む]、[音量-]、[音量+]の計8つでタッチ式。主にコンテンツの再生用となる。

 熱やノイズ、振動に関しては、このクラスのノートPCとしては一般的で、気にならないレベルに収まっている。

 右側面は、DVDスーパーマルチドライブとUSB 2.0、音声入出力。左側面に奥に電源コネクタとミニD-Sub15ピン、手前にHDMI出力とUSB 3.0が2つあるレイアウトは、USB関係が手前にあり扱いやすい。ただHDMI出力は手前にあるとケーブルが邪魔になるので、できれば奥側に欲しかったところか。

 サウンドは、キーボードの上にスピーカーがあるだけに、抜けが良くミッドレンジを中心としたクリアな音質だ。最大出力も十分あり、音楽も映像も楽しめる。

●4コアのCore i7とGPUパワーで快適な環境

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1だが、なぜかIEが8のままなのは気になる部分だ。メモリを8GB搭載していることもあり、Windowsがかなり余裕を持って動く。初期起動時のデスクトップは、プリインストールされているアプリケーションが少ないこともあり、非常にスッキリしている。

 HDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8Mの「HTS545050B9A300」。C:ドライブのみの1パーティションで、465GB中の434GB空きだ。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GT40N」。有線LANと無線LANは「Atheros」製が使われている。また、デバイスマネージャを見る限りBluetoothはUSB接続のようだ。USB 3.0はお馴染み「Renesas」製。

 冒頭に書いたようにグラフィックスは、NVIDIA Optimusテクノロジーによる切り替えに対応しているため、Intel HD Graphics 3000とNVIDIA GeForce GT 540Mが2つとも有効になっている。

起動時のデスクトップ。メモリ8GB。デスクトップにはアプリケーションへのショートカットが3つ並ぶだけのシンプルなものHDDは500GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HTS545050B9A300」。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GT40N」C:ドライブのみの1パーティション。465GB中の434GB空き

 プリインストールされているアプリケーションは、「Microsoft Office Home and Business 2010」、「CyberLink DVD Suite V7」、「マカフィー インターネットセキュリティ 90日版」、「PC-Doctor for Windows」など。その他は、これと言ったユーティリティ類は無く、Microsoft、Intel、NVIDIAなどの標準的なドライバとツール類と、シンプルな構成だ。

 一般的なIntel HD Graphics 3000のみのノートPCではなく、あえてこのクラスを選ぶユーザーは、それなりのパワーユーザーだと思われるので、逆にあれこれ入っていない方が好まれるのではないだろうか。

USB 3.0ホストコントローラ情報Sentelic/指検出パッド・コンフィギュレータNVIDIA Optimusテクノロジー
Microsoft OfficeナビCyberLink DVD SuitePC-Doctor for Windows

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.4、メモリ 7.6、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 6.7、プライマリハードディスク 5.9。さすがに4コア/8スレッドのCore i7-2670QMだけあって、2コア/4スレッドのCore i7-2677Mと比較してもかなりパワーがあることが分かる。

 CrystalMarkは、ALU 53162、FPU 46342、MEM 44236、HDD 8765、GDI 14259、D2D 1390、OGL 33203。特にNVIDIA GeForce GT 540Mを搭載している関係で、OGLが圧巻だ。ただ5,400rpmのHDDのスコアが全体のバランスを崩している。やはりここはSSDが欲しいところか。

 BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で10,490秒(2.9時間)。仕様上、最大3.6時間なので、このテストとしては妥当な範囲。用途的にも特に問題にならないと思われる。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 5.9。プロセッサ 7.4、メモリ 7.6、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 6.7、プライマリハードディスク 5.9CrystalMarkは、ALU 53162、FPU 46342、MEM 44236、HDD 8765、GDI 14259、D2D 1390、OGL 33203BBench。省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で10,490秒(2.9時間)

 以上のように「Prime Note Chronos VF2」は、15.6型フルHD液晶パネルを搭載、NVIDIA GeForce GT 540Mによるパワフルなグラフィックス環境が売りのシンプルな2スピンドルノートPCだ。3種類あるパッケージモデルだけでなく、BTOによりさまざまな組み合わせができるのも魅力的。

 フルHD解像度の液晶パネルの解像度を活かすためにも、第2世代Coreプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 3000では物足りないユーザーにとって、好適な1台と言えよう。