西川和久の不定期コラム

日本HP「S2032a」
〜1万円を切る20型ワイド液晶



 短期間でウルトラスリムの「L2201x」、最薄部1cmを切る「X2301」と2台続けて、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)最新液晶ディスプレイの試用レポートを掲載したが、今回は1万円を切る20型ワイド液晶ディスプレイ「S2032a」だ。この価格でどの程度のクオリティなのか興味のあるところ。早速試用レポートをお届けする。


●価格を考えれば十分な性能

 今回のS2032aは、これまで紹介した同社の2台の液晶ディスプレイとは異なり、バックライトにLEDではなくCCFLバックライトを使用している。ただし、そのバックライトのレイアウトを工夫し、従来より本数を減らした結果、25%の省エネを実現した。パネルのサイズは20型ワイド。解像度は1,600×900ドットと、フルHDには足らないが、HD以上となっている。ドットピッチを考えても、このサイズでフルHDだと細かいので、見やすさの面ではちょうど良い解像度と言えよう。パネルはノングレア(非光沢)で映り込みを低減しており、長時間作業しても目が疲れない。

 パネルの性能は、色度域NTSC比57%、視野角上下55度/左右90度、輝度200cd/平方m、コントラスト比700:1、反応速度5msと、さすがに上位モデルと比較した場合かなり劣る。とは言え、これはあくまでも数値化したスペックであり、実機で写真などを表示すると正面から見る限り、明るく、コントラストも高め、発色も割りと正確だ。初めて電源ONした時の第一印象も良かった。普段使いやセカンドディスプレイであれば十分なクオリティだろう。

 入力は、DVI-D、ミニD-Sub15ピンの2系統。そしてステレオ音声と、必要最低限は備えている。上位モデルには無かったステレオスピーカー内蔵は、軽くモニタリングする程度の作業に別途外部スピーカーを用意する必要がなくなるため、ポイントは高い。

□日本HP「S2032a」の仕様
最大解像度 1,600×900ドット
スクリーンサイズ 20型ワイド(ノングレア)
色度域 NTSC比57%
視野角 水平90度/垂直55度
輝度 200cd/平方m
コントラスト比 700:1
応答速度 5ms
入力信号/端子 ミニD-Sub15ピン、DVI-D(HDCP対応)、
ステレオミニジャック
スピーカー リアスピーカー内蔵/1W
最大消費電力 27W(CCFLバックライト採用)
サイズ/重量 478×162×343mm/3.7kg
直販価格 9,870円

 チルト機構は+5〜-25度。掲載した側面の写真は最大に倒した状態となっている。高さ調整や回転などは非対応だ。VESAマウントもあるので、必要であれば自在に設置できる。電源は内蔵しており、ACアダプタは不要。一般的にACアダプタはあまり好まれない傾向なので、ツボを押さえた設計だ。ただケーブルマネージメント的なものは無く、全てケーブルを接続すると計4本がそのまま机の上に並んでしまう。掲載した写真の様に1カ所で縛ると少しスッキリする。

 サイズは478×162×343mm、重量3.7kg。前回の「x2301」が522×139×400mm/3.5kgだったので、奥行きや重量は、この「S2032a」の方が若干上回る。この辺りはバックライトの違いが影響しているのだろう。

 価格は9,870円と1万円を切っている。エントリークラスと液晶ディスプレイとしては、うまくまとめられた内容で、特に不満な部分は見つからない。

正面から見る限り、発色はわりと正確 正面右下。OSD用の[OK/Auto]、[-]、[+]、[Menu]。そして電源ボタンが並ぶ 裏にVESAマウンタのネジ穴がある
コネクタ部。左から電源コネクタ、ステレオミニジャック、DVI-D、ミニD-Sub15ピン 側面。CCFLバックライトということもあり、割と分厚い 電源は本体内蔵。電源ケーブル、ミニD-Sub15ピンケーブル、オーディオケーブル、サポートCD
フチの厚みは約18mm 約45度斜めから。さすがにかなり発色は低下し、コントラストは浅く、そして暗くなる 裏から斜めに見たところ。スッキリしているがケーブルマネージメント的なものは無い

 ボディは全てプラスチックのブラック。液晶パネルのフチの厚みが18mmと比較的薄い。残念ながら高級感は無いものの、チープと言うほどでもない。チルトに関しては、かなり硬く、台座を押さえながら倒しこむ感じだ。

 付属品は電源ケーブル、ミニD-Sub15ピンケーブル、オーディオケーブル、サポートCD、DVIケーブル。

【お詫びと訂正】 初出時にDVIケーブルが別売としておりましたが、正しくは添付されます。お詫びして訂正させて頂きます。

 OSDは、2ペインで画面に対して割と大きめだ。項目は「ピクチャー」、「OSD(表示位置調整)」、「画面設定」、「オーディオ設定」、「その他設定」、「情報」と6つ。操作は[Menu]ボタンでOSDを表示し、[-]、[+]ボタンで項目を移動、そして[Menu]ボタンで選択、[OK/Auto]ボタンでOKもしくは戻るとなる。OSD非表示の状態で[OK/Auto]ボタンを押すと自動調整、[-]、[+]ボタンは音量調整となる。

 ピクチャーは、輝度/コントラスト/垂直位置/水平位置/フェーズ/クロック/色温度/自動調整ができる。ただし、画面設定の「ECO」をONにした場合は輝度調整がグレイアウトし選べない。「色温度」は6,500K/9,300K/ユーザー設定の3パターン。ユーザー設定を選ぶとRGB個別に調整できる。画面設定の「Opticolor」は、標準/オフィス/映画/ゲーム/風景の設定が可能だ。全体的に分かりやすいので、特に難しい部分は無いだろう。

ピクチャーの設定画面。輝度/コントラスト/垂直位置/水平位置/フェーズ/クロック/色温度/自動調整が行なえる OSDの設定画面。水平位置/垂直位置/OSD表示時間 画面設定。画面サイズ/Opticolor/ECO/シャープネス
オーディオ設定。音量/ミュートが選べる その他設定では、言語/入力切替/リセットが選択可能 情報表示画面。解像度/垂直水平周波数/自動切換え/シリアルナンバーが表示される

 内蔵のステレオスピーカーに、あえてiPhoneのアナログ出力を接続して試聴してみたが、これが意外や意外(失礼)。ボーカルやピアノ、サックスなどが甘い感じで非常に聞きやすい。もちろん低音も高音もほとんど出ていないのだが、中域を中心としたナローレンジの中でしっかり鳴り、安価なアクティブスピーカーよりは聞ける音質だ。筐体の容量をうまく使い、ディスプレイ全体で音が出ている雰囲気だ。最大出力もニアフィールドで聴く限り十分以上。なるほど、液晶パネルフチ右下にある[-]、[+]ボタンを輝度調整ではなく、音量調整にしたのも納得。以前試用した2タイプの液晶ディスプレイにも、このレベルでいいので、スピーカーを内蔵して欲しかった。

 サポートCDには、ドライバ、カラープロファイルなどが入っている。HP Display Solutionsではテストパターンを表示する機能もある。下の図はMac OS X付属のColorSyncユーティリティでsRGBプロファイルと付属のプロファイルを比較した結果だ。

HP Display Solutions HP S2032 Series Wide LCD Monitor 付属のHP_S2032.icmとsRGBの比較

 以上のように「S2032a」は、ノングレアタイプで20型ワイドの解像度1,600×900ドット。1万円を切る価格なので、性能はそれなりだが、当初思っていたほどは悪くない。色も正面で見る限り結構正確だ。

 加えてこの価格でミニD-Sub15ピンとDVI-Dの2系統、最大出力1Wのステレオスピーカーを内蔵しているのもポイントが高い。ホビーに限らず、ビジネス用途でも安価で使える液晶ディスプレイ欲しいユーザーの候補になりうる1台だろう。