西川和久の不定期コラム

ASUSTeK「N53SV-SZ2410B」
〜NVIDIA Optimus対応のフルHDノートPC



 4月2日に発売開始となったASUSTeK ComputerのマルチメディアモデルのノートPC、「N53SV-SZ2410B」が編集部から送られて来た。N53シリーズの中では最上位モデルであり、NVIDIA Optimus Technologyに対応した意欲作だ。早速試用レポートをお届けする。


●15.6型フルHD液晶パネル搭載

 現在ASUSTeKのN53シリーズは、「N53SV-SZ2410B」、「N53SV-SZ2410S」、「N53Jf」、「N53Jf with Office」の4モデルが用意されている。共通の特徴としては15.6型の液晶パネル、2スピンドル、NVIDIA Optimus Technology対応、そしてBang & Olufsen ICEpowerより高級オーディオメーカーBang & Olufsenの製品と同品質の音響再生が可能と認定されている……など、マルティメディアを意識した仕様となっている。なお、「N53Jf」に関しては第1世代Core iプロセッサ搭載機だ。

 一方「N53SV-SZ2410B」と「N53SV-SZ2410S」は、第2世代Core iプロセッサ搭載機だ。後者は15.6型HD(1,366×768ドット)液晶パネル、NVIDIA GeForce GT540M/1GB、HDD 640GB、DVDスーパーマルチドライブで99,800円(ASUS Shop)。そして今回届いたのは上位モデルとなる「N53SV-SZ2410B」だ。主な仕様は以下の通り。

【表】ASUS N53SV-SZ2410Bの仕様
CPU Intel Core i5-2410M
(2コア/4スレッド、2.13GHz/TB 2.9GHz、キャッシュ3MB)
チップセット Intel HM65 Express
メモリ 4GB PC3-10600 DDR3-1333 (最大8GB)/2スロット空1
HDD 750GB(7,200rpm)
OS Windows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,920×1,080ドット(フルHD)
グラフィックス 内蔵Intel HD Graphics 3000、NVIDIA GeForce GT540M/1GB
(NVIDIA Optimus Technology対応)、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワーク Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth v3.0+HS
光学ドライブ Blu-ray Discドライブ
その他 USB 3.0×1、USB 2.0×2、メディアスロット、マイク入力、
ヘッドフォン出力(S/PDIF兼用)、Webカメラ
サイズ/重量 391×266×29〜39mm(幅×奥行き×高さ)/約2.7kg
バッテリ駆動時間 最大約5.6時間(6セル)
価格 129,800円(ASUS Shop)

 CPUはIntel Core i5-2410Mプロセッサ。2コア/4スレッド、クロック2.13GHzでTurboBoost時は2.9GHzまで上昇する。キャッシュ3MB。チップセットはIntel HM65 Express。メモリは4GB×1の計4GB、スロットは2つあり1つ空きだ。最大容量は8GB。HDDは7,200rpmの750GB。光学ドライブはBlu-ray Discドライブを搭載する。OSは64bit版のWindows 7 Home Premiumだ。

 液晶パネルは15.6型のグレア(光沢)タイプで、解像度はフルHD。ここのところ15.6型でも1,366×768ドットのものばかり扱ってきた関係もあり、フルHDというのはかなりポイントが高い。外部ディスプレイ出力は、HDMI出力とミニD-Sub15ピン。それぞれ最大解像度は1,920×1,080ドットとなる。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。加えてBluetooth 3.0+HSも搭載している。

 その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、メディアスロット、マイク入力、ヘッドフォン出力(S/PDIF兼用)、Webカメラ。1ポートとは言えUSB 3.0があり、S/PDIF出力もあるのは嬉しいポイントだ。

 サイズは391×266×29〜39mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.7kgは、15.6型のノートPCとしては少し大きめだ。バッテリは6セルで駆動時間は最大約5.6時間。価格はASUS Shopで129,800円。

 さて、グラフィックスを最後に持ってきたのには理由がある。N53シリーズは全て「NVIDIA Optimus Technology」に対応しているのだ。詳細は文末のリンクを参考にして欲しいが、この技術を簡単に説明すると、CPUに内蔵しているIntel HD Graphicsシリーズ(今回はIntel HD Graphics 3000)=IGPと、NVIDIAのGPU=dGPUをシームレスにかつ自動的に切り替えができる仕掛けだ。つまりユーザーはどちらのグラフィックスが動いているか意識することなくソフトウェアを操作できる。

 多くの場合、省エネ作動はIGP、3D/CUDA/DirectX/DXVAなどGPUのパワーが必要な場合はdGPUを使った方がパフォーマンスアップする。それをソフトウェアやハードウェアのスイッチで意識して切り替える必要は無い。リブートもいらないし、切り替わる瞬間に、画面がブラックアウトすることもない。N53SV-SZ2410BにはDirect X11に対応した、NVIDIA GeForce GT540M/1GBを搭載し、必要に応じてIGPからシームレスにスイッチする。うまく動けばなかなか魅力的な仕組みと言える。

ヘアライン仕上げのトップカバー。全体的にクールな感じだ 正面。タッチパッドの手前にHDDアクセスLEDなど。パネルのフチ上中央にシャッター付きのWebカメラ 本体底面。HDDとメモリが入っている位置は手前のパネルなのだが、ネジがなく外れなかった。ゴム足の下にネジが隠れているのかも知れない
左側面。HDMI、Gigabit Ethernet、メディアスロット、USB 2.0×1、USB 3.0×1 キーボードはテンキー付。キーボードの上に左から[ASUS Express Gate Cloud]、[消音]、[ボリューム-]、[ボリューム+]、[再生/ポーズ]などのボタンが並ぶ。その上のメッシュの部分にスピーカーが埋め込まれている 右側面。無線ON/OFF、Blu-ray Discドライブ、USB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン出力(S/PDIF兼用)
本体背面。電源コネクタ、ミニD-Sub15ピン、ロックポート キーピッチは実測で約20mm ACアダプタのコネクタはメガネタイプ。バッテリは6セル

 トップカバーはヘアライン仕上げのシルバー。液晶パネルのフチはブラック、パームレストやキーボードの周囲は少し暗めの(黒に近い)シルバーでこれもヘアライン仕上げと、高級感のあるデザインとなっている。

 15.6型の液晶パネルは、ここ最近扱ってきたノートPCの同サイズのパネルと比較して数ランク上のクオリティ。発色も良く、視野角も広めだ。加えてフルHD解像度ということもあり、動画などコンテンツをより楽しめ、文字中心の作業も画面が広く使いやすい。

 パームレストやタッチパッドはボディが大きい分、十分にスペースが確保され、快適に操作できる。タッチパッドは段差があり、表面は若干ザラザラしたタイプだ。ボタンは1本バーのシーソー式。少し硬めだが、気になるほどではない。

 キーボード上部、銀色のメッシュ部分にスピーカーが埋め込まれている。B&Oの製品と同品質の音響再生が可能と認定されているサウンドは、後述する「ASUS SonicMaster」との組合せにより、今年扱ったノートPCの中では一番で抜群の音質だ。最大出力も十分あり、何を聴いても(PCとしては)特に不満は無い。

 さて、デザイン、液晶パネル、サウンドとなかなか気合の入ったモデルであるが、テンキー付のキーボードだけは、これらと比較して平凡だ。どこを押してもたわみ、タッチ感もイマイチ。他の部分同様のこだわりが欲しかった。この点だけは残念。是非キーボードも吟味したスペシャルモデルが欲しいところ。

●Optimus Technologyの効果

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。フルHDの解像度があるため、デスクトップも広い。HDDは750GB/7,200rpm/キャッシュ16MBの「ST9750420AS」、光学ドライブは「BD-MLT UJ240AS」が使われていた。ディスプレイアダプターは、Intel HD GraphicsファミリーとGeForce GT 540Mの両方が並んでいる。USB 3.0はFresco Logicの「FL1000」というコントローラだ。

 HDDはC:ドライブが約174GB、D:ドライブが約502GBの2パーテーション。初期起動状態で、C:ドライブは約150GB空きがある。D:ドライブは未使用だった。

起動時のデスクトップ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。さすがにフルHDの解像度は広い HDDは、750GB/7,200rpm/キャッシュ16MBの「ST9750420AS」、光学ドライブは「BD-MLT UJ240AS」。ディスプレイアダプターは、Intel HD GraphicsファミリーとGeForce GT 540Mが並ぶ C:ドライブ約174GB、D:ドライブ約502GBの2パーテーション

 プリインストール済みのソフトウェアは同社製として、リカバリーDVD作成ソフト「ASUS AI Recovery」、BIOS起動カスタマイズソフト「ASUS FancyStart」、起動時間短縮ソフト「ASUS Fast Boot」、Webカメラ活用ソフト「ASUS LifeFrame3」、PC自動更新ソフト「ASUS Live Update」、省電力ソフト「ASUS Power4Gear Hybrid」、音質調整ソフト「ASUS SonicMaster」、 画質調整ソフト「ASUS Splendid」、総合エンターテイメントソフト「ASUS Video Magic」、無線ソフト「ASUS Wireless Console 3」。

 他社製としては「Cyberlink Power2Go」、「Nuance PDF」、「i-フィルター5.0 30日間無料試用版」、「Tremd Micro Titanium 無料体験版」などがインストール済みだ。

 同社のツール系は、他のモデルもほぼ同じ構成となっている。中でも本機としては重要な「ASUS SonicMaster」は、ボーカルの明瞭度/サラウンド/低音/Adaptive Volumeの調整ができる。デフォルトでは各100%になっているが、少し効き過ぎるので、75%程度が無難かもしれない。

ASUS SonicMaster ASUS Video Magic ASUS LIFEFRAME

 NVIDIA Optimus Technologyは、シームレスに切り替わるため、今IGPなのかdGPUなのか状態がわからない。プリインストールされているアプリケーションの範囲で試したが、特に問題になることもなく、適切に切り替わっていた。これはこれでユーザーのスキルも必要無いため良い点なのだが、実は意図的に切り替える方法はある。

 NVIDIAコントロール/3D設定の管理のパネルを開くと、グローバル設定とプログラム設定のタブが見える。前者は全体的な作動で、自動選択/高パフォーマンス/統合型グラフィックスの設定ができる。後者は指定したプログラム毎にIGPかdGPUかを切り替えることが可能だ。

 試しにWindows Media Playerを高パフォーマンスに設定し、GPUアクティビティ(NVIDIAコントロール/デスクトップ/GPUアクティビティを通知領域に表示するにチェックする)を見ると、Windows Media Playerのアイコンが見えるようになった。それでもできれば、(玄人としては)状態を示すウィジェットが欲しいところか。

NVIDIAコントロール/3D設定の管理/グローバル設定/自動選択 NVIDIAコントロール/3D設定の管理/グローバル設定/高パフォーマンス NVIDIAコントロール/3D設定の管理/グローバル設定/統合型グラフィックス
NVIDIAコントロール/3D設定の管理/プログラム設定(Power Director) NVIDIAコントロール/3D設定の管理/プログラム設定(Windows Media Player) GPUアクティビティ/Windows Media PlayerをGeForce GT540Mで実行中

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.6。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.9。グラフィックスに関してはこの値を見る限り、dGPUに切り替わっているのはゲーム用のみのようだ(通常GeForce GT 540Mならスコアは5代後半)。

 CrystalMarkは、ALU 38894、FPU 40214、MEM 24345、HDD 13019、GDI 12828、D2D 1288、OGL 30726。OGL以外はIntel Core i5-2410M+Intel HD Graphics 3000+7,200rpm HDDと同じ傾向であり、OGLのみdGPU側へ切り替わっていると思われる。

 BBenchは、「Power4Gear Hybrid」の設定を「Battery Saving」、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で14,957秒(4.1時間)。仕様上は最大約5.6時間だが、少し劣る値となった。ただし、バックライトを暗くしても結構表示は見えるため、この値は実用的な範囲となるだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 4.6。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.9 CrystalMarkは、ALU 38894、FPU 40214、MEM 24345、HDD 13019、GDI 12828、D2D 1288、OGL 30726 BBench。「Power4Gear Hybrid」の設定を「Battery Saving」、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で14,957秒(4.1時間)

 さて、ちょっと試したいことがあったので実験を行なった。それは、IGP=Intel HD Graphics 3000の機能であるIntel Media SDK Hardwareと、dGPU=GeForceの機能であるCUDAを意図的に切り替えたときの挙動と、エンコードにかかる時間の違いだ。

 そこで、どちらにも対応しているエンコーダ「TMPGEnc Video Mastering Works 5」の試用版をダウンロードし、先に説明したNVIDIAコントロール/3D設定の管理プログラム設定で「TMPGEnc Video Mastering Works 5」を登録。高パフォーマンスと統合型グラフィックスの設定を切り替えながら、その動きを調べたところ、予想通り前者ではCUDAが有効、後者はIntel Media SDK Hardwareが有効になった。

 この結果はロジックとしては当然であるものの、エンコーダの運用としてはなかなか興味深い。すなわち、CUDAを使った方が有利な処理の場合はプロファイルを「高パフォーマンス」へ。Intel Media SDK Hardwareを使った方が有利な処理の場合はプロファイルを「統合型グラフィックス」へと、アプリケーションの再起動は必要だが、リブートすること無く、デスクトップで作業を行ないながら内容に応じて意図的に切り替えることが可能となる。

 参考までに、Windows 7に入っている「野生動物.wmv」をMPEG-4 AVCでエンコードしたところ、CUDAは34秒、Intel Media SDK Hardwareは28秒と、Intel Media SDK Hardwareの方が速かった。第1世代のCore iプロセッサはエンコーダ機能を持っていなかったため、エンコードに関しては全てCUDAに割当てておけば問題無かったものの、第2世代Core iプロセッサは、エンコーダ機能をハードウェアで持っているため、場合によってはdGPUでCUDAを使うより、IGPにした方が処理は速くなるわけだ。

CUDAでMPEG-4 AVCへエンコード(34秒) 統合型グラフィックへプロファイルを切替 Intel Media SDK HardwareでMPEG-4 AVCへエンコード(28秒)

 以上のように「N53SV-SZ2410B」は、フルHDの15.6型液晶パネルやBlu-ray Discドライブを搭載し、USB 3.0、Bluetooth v3.0+HSなど最新デバイスにも対応。加えてNVIDIA Optimus TechnologyによるシームレスなIGPとdGPUの切替、そしてクオリティの高いサウンドと魅力満載の2スピンドルノートPCだ。

 キーボードに関しては少し不満があるものの、最新のアーキテクチャでコンテンツを楽しんだり、制作したいユーザーにお勧めの1台と言えよう。