西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Prime Note Galleria GT-F」
GeForce GT 425M搭載のミドルレンジゲームノートPC



「Prime Note Galleria GT-F」

 株式会社サードウェーブは、GeForce GT 425M(1GB)を搭載する15.6型ノートPC「Prime Note Galleria GT-F」をドスパラブランドで発売した。Core i5-560M、メモリ4GB、HDD 500GB、Windows 7 Home Premiumで価格は99,980円だ。早速その実力や使用感などのレポートをお届けする。

●ミドルレンジのゲームノートPC

 同社の「Note Galleria」シリーズは、ゲームノートPCとしての位置付けになっている。CPUはCore i3-370からCore i7-840QM、GPUはGeForce GT 330M、335M/GT 425M/GTS 250M、ATI Mobility Radeon HD 5650などを搭載。「Galleria DXG」、「Galleria GT-B」、「Galleria GT-F」、「Galleria MR4」、「Galleria IW」のラインナップで構成されている。そして今回届いた「Galleria GT-F」は、ちょうどミドルレンジのゲームノートPCだ。主な仕様は以下の通り。

【主な仕様】
CPUCore i5-560M(2.66GHz)
チップセットIntel HM55 Express
メモリ4GB/SO-DIMM(PC3-8500 DDR3 SO-DIMM/最大8GB/2スロット/空き0)
HDD500GB(5,400rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 7 Home Premium(32bit)
ディスプレイ1,366×768ドット表示対応15.6型TFT液晶(光沢)
GPUGeForce GT 425M(1GB)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth V2.0+EDR
その他USB 2.0×3(内1つはeSATAと併用)、4in1カードリーダ、ExpressCard/34スロット、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、Webカメラ、オーディオ入出力
サイズ/重量373×257×40.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.6kg
バッテリ駆動時間約3.75時間
価格99,980円

【お詫びと訂正】初出時にOSをWindows 7 Ultimateとしておりましたが、Home Premiumの誤りです。お詫びして訂正させていただきます。

 CPUは、Core i5-560M。デュアルコア/4スレッド、2.66GHz(Turbo Boost時最大3.20GHz)、L2 3MBとなる。チップセットはIntel HM55 Express。従ってメモリは最大8GB、2スロット構成となっている。標準構成は2GB×2の計4GBだ。

 一般的なノートPCであれば、これでグラフィックスは内蔵のIntel HDグラフィックスとなる。Prime Galleria GT-Fは、NVIDIA GeForce GT 425M(1GB)を搭載しているのが最大の特徴。このGT 425Mは、Fermiアーキテクチャのモバイル向けGPUで、DirectX 11をサポートした、CUDAコア96基のミドルレンジGPU。CPU内蔵グラフィックスより大幅にパフォーマンスアップが期待できる。出力はHDMIとミニD-Sub15ピンに対応。液晶パネルは15.6型の光沢タイプで、解像度は1,366×768ドットだ。

 HDDは5400rpmの500GB、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ。今のところBTOでBlu-ray Discドライブは選択できない。

 ネットワーク関連は、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth V2.0+EDRの全部入りだ。そのほか、USB 2.0×3(内1つはeSATAと併用)、Webカメラ、4in1カードリーダ、ExpressCard/34スロット、オーディオ入出力となる。eSATAも含め一通り揃っているため、インターフェース不足で特に困ることは無いだろう。

 BTOでは、Windows 7の32/64bitを含む各エディション、そしてダウングレード権を使ったXP Professionalも選択できる。

 CPUはCore i5-560MかCore i7-640M(デュアルコア/4スレッド、2.80GHz)。メモリは4GBか8GB、HDDは320GB(7,200rpmあり)/500GB(7,200rpmあり)/640GB/750GB、そしてSSDは64GB/80GB/160GBと、かなり幅広く組み合わせ可能だ。特にHDDに関しては後半のベンチマーク結果から、できればSSDや7,200rpmタイプなど、より高速なものを選んだ方が全体的なバランスは良くなる。

ピアノブラックのような光沢ありのブラック、薄く波線のような模様が入っている左右にスピーカー、左側にHDDなどのアクセスLEDがある各パネルはネジ止めなので簡単に外すことができ、メンテナンス性は抜群だ
ミニD-Sub15ピン、Ethernet、HDMI出力、USB 2.0(eSATA共通)×1、ExpressCard/34スロット、4in1カードリーダテンキー付き。並び自体はオーソドックス。タッチパッドはパームレストと同じ素材だが、キーボード側だけ少し段差がある電源入力、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、オーディオ入出力
キーピッチは、実測で19mmロックポートとエアーダクトが見えるACアダプタのコネクタはミッキータイプだ

 15.6型の液晶パネル、本体サイズが373×257×40.9mm(幅×奥行き×高さ)でノートPCとしては大柄。重量も約2.6kgと、普段の持ち運び用と言うより、室内での移動がメインになると考えられる。

 天板はピアノブラックのような光沢ありの黒で、波模様が薄く描かれている。液晶パネルのフチはマットブラック、パームレストの部分は渋いゴールド。派手になり過ぎず落ち着きのある雰囲気に仕上がっている。

 タッチパッドは少し変わっていて、基本的にパームレストと一体化しているのだが、キーボードに近い部分のみ段差があり、手前側には段差は無い。ボタンは2ボタンタイプだ。結構クリック感があり、軽過ぎず重過ぎず、そしてストロークも適切で、長時間操作しても疲れない。

 キーボードはテンキー付き。[1]キーの下に[0]キーがあるので、事務処理用としても問題無い。キーピッチは19mm。中央を強く押してもたわむことは無く、安定してキー入力ができる。ただキートップが少しプラスチッキーでストロークも軽いのが気になるところか。また、[Enter]キーの直ぐ横からテンキーが配置されているため、慣れないとミスタッチする可能性がある。

 液晶パネルの発色は割とニュートラルだ。明るさを最大にしてもほどほどで眩しくは無いものの、逆にバックライトOFFにしてもそれなりに見えるため、バッテリや眼に優しい設定も可能だ。視野角に関しては上下/左右とも割と狭い。

 正面側面に配置されているスピーカーは、音量は十分あるものの、中高域寄りのエネルギーバランスで低音部分の迫力は少し弱い。音質はサラッとした感じだ。

 振動はパームレスト左側に少し感じるが許容範囲。そしてノイズは予想以上に静か。もちろん皆無では無いのだが、スペック的にもう少しファンの音などがするのではと思っていた。

 以上のように「Prime Galleria GT-F」は、全体的に特に気になる部分も無く、オーソドックスな15.6型ノートPCと言った印象だ。ゲームはもちろん、ネットなどその他のホビー、業務用途も十分使える。

●パワフルなGeForce GT 425M

 手元に届いたマシンは、Windows 7 Ultimateの32bit版だった。標準で4GBのメモリを搭載しているので、ここは64bit版で試したかったところ。CPUはCore i5-560Mプロセッサなので、爆速ではないのだが、明らかに描画のキレが良く使っていて気持ちいい。ベンチマークテストをするまでもなく、この辺りがIntel HDグラフィックスとGeForce GT 425Mの違いとしてはっきり体感できる。もちろんGeForceはCUDAが使えるのでエンコード関連のアプリケーションもより速く処理可能となる。

起動時のデスクトップ。壁紙などのカスタマイズも無く、非常にシンプルなデスクトップだ。Core i5なので4スレッドになっているのが分かるHDDはSamsung HM500JI(5,400rpm/バッファ8MB)、光学ドライブはMATSHITA UJ890ASHDDはC:ドライブのみの1パーティション。BTOで分割も可能だ(有料)

 プリインストールのアプリケーションは、ゲームノートPCと言うこともあり、「CyberLink DVD Suite」、「PC-Doctor for Windows」、「マカフィー・インターネットセキュリティ 90日無料版」などと非常にシンプルになっている。BTOで「Microsoft Office」もしくは互換アプリの「Kingsoft Office 2010」も選択できるので必要に応じてプリインストールすれば良い。

CyberLink DVD SuitePC-Doctor for Windowsマカフィー・インターネットセキュリティ

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.8。プロセッサ 6.7、メモリ 6.7、グラフィックス 6.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.8。5,400rpmのHDD以外のスコアは非常にバランスが良い。HDDをSSDにすればちょうどいいのではないだろうか。

 CrystalMarkは、以前掲載した「Core i7-920XM+GeForce GTX 285MのノートPC」と比較すると、ALU 41618:36142、FPU 38907:34728、MEM 39055:24512、GDI 10079:9564、D2D 8716:10988、OGL 28631:28520(後者がGalleria GT-F)。CPUやメモリ部分が劣るのは仕方ないとして、CPUパワーが影響するGDIは若干劣り、D2Dは上、OGLはほぼ同等となっている。この結果からもGeForce GT 425Mはなかなか強力なことが分かる。

 BBenchは、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果だ。バッテリの残5%で12,802秒(3.5時間)とほぼスペック通りだった。バックライトOFFでもそれなりに画面が見えるため、実際の使い方に近いバッテリ駆動時間と言える。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.8、プロセッサ 6.7、メモリ 6.7、グラフィックス 6.6、ゲーム用グラフィックス 6.6、プライマリハードディスク 5.8
CrystalMark。D2DとOGLはかなりハイスコアだ。GeForce GT 425Mがなかなか強力なGPUであることが分かる
BBench。バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残5%で12,802秒(3.5時間)

 またこのノートPCは、ゲームノートPCの位置付けなので、3DMark06を使ったベンチマークテストも行った。結果は「7497 3DMarks」。先のCore i7-920XM+GeForce GTX 285MのノートPCでは「12274 3DMarks」だったので、それよりは遅いことになる。いずれにしても3DMark06は比較対象の値をあまり持ち合わせていないので参考程度に見て欲しい。

74973DMarks


 以上のように「Prime Note Galleria GT-F」は、GeForce GT 425Mを搭載し、ノートPCとしては強力なGPU、そしてCPUなど、他のコンポーネントとのバランスが良いなど、特に欠点が見当たらないマシンに仕上がっている。価格も10万円を切り財布に優しい。

 同社の位置付けとしてはゲームノートPCとなっているものの、15.6型パネルを搭載したノートPCでハイパワー&コストパフォーマンスを求めるユーザーにお勧めの1台だ。