西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「スマートホーム スターターキット [SK01]」
~ルームハブを中核にさまざまな家電を簡単にコントロール
2017年9月30日 06:00
マウスコンピューターは8月22日、家庭内でのIoT機器連携を実現する「ルームハブ」を含めた各種専用機器、「mouse スマートホーム」を発表した。現時点で6種類ある専用機器の中、ルームハブ+4専用機器がセットになった「スターターキット」が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
スマートホーム スターターキット [SK01]
IoTというキーワードを割と耳にしたり、実際、その事例が載り出したのは、「Raspberry Pi」が出回り出した頃からだろうか。あのコンパクトな基板でフルのLinuxが動き、各種I/Oでいろいろコントロールできるため、格好の素材となったのだろう。
またスマートホームで実現していること自体は、かなり前からやる気になれば個人でも可能だったが、そのためにはハードウェアを作ったり、プログラミングが必要だったり……一般ユーザーが簡単に手を出せるようなものではなかった。
そのような中、登場したのが今回ご紹介するマウスコンピューターの「スマートホーム」だ。別途ハードウェアやソフトウェアを作る必要もなく、家電感覚で誰でも簡単に設置できる。
システムの中核をなす「ルームハブ RH01」は、その名の通りハブの役目を受け持ち、Wi-Fiでネットワークへ接続、Bluetoothや赤外線で周辺機器をコントロール、温度センサー/湿度センサーで情報を取集できる。
そして「ルームハブ RH01」に接続できる専用機器として、「モーションセンサー MS01」、「スマートプラグ SP01」、「スマートLEDライト LL01」、「ドアセンサー DS01」、「スマート空気清浄機」、「PM2.5センサー」が最初のラインナップとして発表された。
それぞれ単品で購入可能だが、スターターキットとして最初から4つまでを含んだ「スマートホーム スターターキット」が用意されている。
【表】「スマートホーム スターターキット」の仕様 | |
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内容 | ルームハブ RH01、モーションセンサー MS01、スマートプラグ SP01、スマートLEDライト LL01、ドアセンサー DS01 |
税別価格 | 24,800円 |
このルームハブを含めた5点セット、個別で購入した場合は28,900円なので、キットだと4,100円の割安となる。以下、それぞれの仕様や特徴などを説明したい。
ルームハブ RH01
ルームハブは先に書いたようにシステムの中核をなし、Wi-Fiでルーターに接続、Bluetooth/赤外線で周辺機をコントロールできる。このとき、前者は同時に発表された専用機器、後者はTV、エアコン、扇風機といった、赤外線でコントロール可能な家電が対象だ。つまり学習リモコン的な操作をルーター経由のスマートフォン/アプリで可能となる。
加えてセンサーとして、“温度センサー”と“湿度センサー”を内蔵しているので、それから得た値を見ながらスマートフォン/アプリでエアコンをオン/オフするといったことができる。もちろん屋内からだけでなく、屋外からもアクセス可能だ。
1台のルームハブに登録可能なそれぞれ専用機器の最大台数は、スマートライト×3、スマートプラグ×3、ドアセンサー×3、PM2.5センサー×1、スマート空気洗浄機×1、モーションセンサー×1。赤外線はテレビ、エアコン、扇風機各1台づつとなる。
電源入力 | DC5V 1A(micro USB) |
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センサー | 温度センサー、湿度センサー |
LED | 赤外線LED×7(約5m、角度180°) |
無線通信 | Wi-Fi:802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 BLE、赤外線 |
本体サイズ/重量 | 79.2×79×29.3mm(幅×奥行き×高さ)/68g |
付属品 | ACアダプタ:5V/1A USBアダプタ、電源ケーブル:USB-micro USBケーブル |
税別価格 | 9,980円 |
セットアップは、まず「mouse スマートホーム」アプリ(iOS/Android)をダウンロードし、アカウントを作成する。このアカウントは各機器の管理と、インターネット経緯でルームハブへアクセスを可能とする機能を持つ。アカウント作成すると、登録したメールアドレスに確認のメールが入るので、コンファームすれば準備は完了。ルームハブへ付属のUSB式ACアダプタとケーブルを使って電源を供給、約1分でブルーのLEDが消灯するので、その状態でブートが完了している。
つぎにルームハブを追加する。この時、スマートフォンのBluetoothをオンにしておく必要がある。リストにホームハブ名が表示されるので選択、Wi-Fiのパスワードを入力(SSIDはスマートフォンで使用しているSSIDが選択済みになっている)、リストにある名前の左にチェックマークが付けば追加完了だ。
表示される専門用語的なものはBluetoothとWi-Fi/SSID/パスワードなので、少なくとも自宅でルーターを使いWi-Fiで接続しているユーザーであれば設定できると思われる。
Home画面に戻ると、すでに温度センサー/湿度センサーによる情報が表示されている。画面キャプチャだと気温28℃/湿度59%。リスト右[機器を追加]、[...]のメニューが見える。メニューには、機器を追加、機器の管理、ルームハブを共有、ルームハブの管理、スマートシナリオの項目が並んでいる。
また下に[機器]と[セキュリティ]、2種類あるが、これはモーションセンサーとドアセンサーと言ったセンサー系が“セキュリティ”、そのほかが“機器”と、カテゴライズされている。
早速なにかをコントロールしたいが、この時点では、Bluetoothを使う専用機器はペアリングしていないので、赤外線によるテレビとエアコン、扇風機のみが扱える。
[機器を追加]を選ぶと、エアコン*、扇風機*、PM2.5、空気清浄機、LEDライト、テレビ*、プラグの項目が並び、赤外線でコントールできるのは*のものだ。試しにテレビとエアコンを追加した。
テレビ/エアコンを選択すると機器の検索パネルが表示され、ブランド名か、リモコンの型番で検索できる。筆者のケースではテレビはブランド名(aquos)、エアコンは型番で検索。運よく一発で見つかった(見つからない時は[カスタマイズ]で各ボタンなどを登録する)。
登録するとHome画面に追加され、それぞれ専用のパネルでコントロールすることができる。もちろん出先から3G/4Gで部屋の温度/湿度が確認でき、それによって、帰宅前にエアコンをオンにすることが可能だ。できれば暑かった2カ月ほど前に試したかった(笑)。これだけでも9,980円の価値は十分あると思うがいかがだろうか。
テレビや扇風機に関しては、出先からコントロールする必要性はなさそうだが、リモコンを持ち替えず、スマートフォンだけで全部操作できるので便利なのはもちろん、リモコンが行方知らずになっても大騒ぎせず、このパネルから操作すればいいので、ある意味、保険にも使える。
希望としては、(対象の数が膨大なので、学習式で良い)オーディオ系のコントロールパネル(電源オン/オフ、音量±、入力切替、Mute程度)もカテゴリとし欲しいところ。また1台ではなく数台登録したいところだ。
モーションセンサー MS01
モーションセンサーは、赤外線で人の動きを検出するセンサーだ。仕様によると検出範囲は、直線距離で約9m、左右の角度120°。これなら一般的な広さの室内であれば、どこでも検出可能だと思われる。
同種のデバイスとしてはネットワークカメラもあるが、より具体的な映像が伴うので、プライバシーの問題がつきまとう。対してこちらは動きの検出だけなので、その心配もない。家族やペットを見守ったり、一人暮らしであれば、侵入者の検出にも使えるだろう。
【表】「モーションセンサー MS01」の仕様 | |
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電源(電池) | 1/2単3形(ER14250 1/2AA 3.6V Battery)※電池付属 |
推奨設置高さ | 2~2.4m |
定格検出範囲 | 距離:9m(直線距離)、角度:120°(左右) |
無線通信 | Bluetooth 4.0 LE |
本体サイズ/重量 | 64×72×24.5mm(同)/52g(電池含まず) |
税別価格 | 5,980円 |
登録方法は、基本的に先の[機器を追加]と同じだが、センサー系なので[セキュリティ]を選ぶ。その後、ペアリングになるが、これはバッテリカバーを開け、上中央にあるペアリングボタンを付属のリセットピンで約3秒押し、LEDが赤く点滅、画面の[次へ]をタップすればBluetoothのペアリングが完了する。Homeに戻り、モーションセンサーを選ぶと履歴も表示される。「スマートシナリオ」は“センサー”をトリガーとして“機器”をコントロールする機能だ(ドアセンサーで説明)。
スマートプラグ SP01
スマートプラグは、ルームハブを介して、AC電源のオン/オフができるほか、スケジューリングにも対応、さらにリアルタイムで電気使用量や消費履歴も確認できる。接続できる家電などは、仕様上、1,400W(14A/1.4KW)までならOK。1,500W(15A/1.5KW)になると保護回路が作動する。ただし電熱器や電気ストーブなど、火災の原因になるようなものを接続するのはNGだ。
【表】「スマートプラグ SP01」の仕様 | |
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電源入力 | AC100V 50/60Hz |
定格電力 | 1,400W |
保護回路動作電力 | 1,500W |
動作環境:温度 | 0~40℃ |
動作環境:湿度 | 20%~90%RH |
無線通信 | Bluetooth 4.0 LE |
本体サイズ/重量 | 63×63×29mm(同)/78g |
税別価格 | 4,980円 |
追加は[機器]で[プラグ]を選択、右下にあるペアリングボタンを長押しして、LEDが青く点滅、[次へ]をタップすると完了する。
最近多くの家電は、主電源のほかに電子式のスイッチなどがあるため、単にACのオン/オフで作動可能なものが少なく、用途としては主に照明系だろうか。うっかりの消し忘れを出先からオフしたり、防犯用として夕方に照明を自動的につけたりできる。
スマートLEDライト LL01
スマートLEDライトは、イメージ的にはLED電球とスマートプラグが合体した感じとなるが、調光機能のある点が異なる(プラグだと単にオン/オフ)。スケジューリングの機能もある。また、先に書いたように、スマートシナリオを使い、センサーをトリガーとしてのオン/オフも可能だ。明るさは“電球60形相当”なのでそれなりに明るい。
Bluetoothのペアリングは、スマートLEDライトを取り付け、電源スイッチをオンにすると、ライトが点滅するので、[機器]から追加をすればOKと言う、簡単なものだ。
【表】「スマートLEDライト LL01」の仕様 | |
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電源入力 | AC100V 50/60Hz |
電球色 | 電球色相当 |
消費電力 | 10W |
全光束 | 20lm(電球 60形相当) |
口金 | E27/E26 |
無線通信 | Bluetooth 4.0 BLE |
本体サイズ/重量 | 68×68×127mm(同)/205g |
税別価格 | 4,980円 |
筆者の寝室は間接照明のみで調光式なので、相変わらず電球を使ってるが、寝る手前で再調光するのが何時も面倒。これがあれば手元のスマートフォンで操作、もしくはスケジューリングできるので便利そうだ。そうなると“環境光センサー”も市販化していただき(もしくはルームハブに環境光センサー内蔵版を追加)、併用すればさらに便利かも知れない。
ドアセンサー DS01
ドアセンサーは窓やドアの開閉を検出(マグネットを使用)する機能を持ち、センサーなのでスマートシナリオのトリガーにすることができる。また電源がバッテリなので設置場所の自由度が高い。ドアなどへの設置は、裏の両面テープで固定する。Bluetoothのペアリングは、リセットボタンを付属のリセットピンを使い長押しする。追加はセンサーなので[セキュリティ]で行なう。
【表】「ドアセンサー DS01」の仕様 | |
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電源(電池) | 1/2単3形(ER14250 1/2AA 3.6V Battery)※電池付属 |
センサー検出距離 | センサーが約2cm以上離れた時点で検出 |
無線通信 | Bluetooth 4.0 BLE |
本体サイズ/重量 | センサーユニット:52.2×23.6×20.2mm(同)/24g(電池含まず) マグネットユニット:25.8×22.0×19.3mm(同)/14g |
税別価格 | 2,980円 |
用途としては、文字どおり、窓やドアの閉め忘れの検出と、ドアの開閉による照明などのオン/オフとなるだろうか。前者に関しては、屋内のドアは閉め忘れても特に影響ないので、多くのケースでは、外に面したドアや窓が対象になる。履歴が残るので店舗などの入り口に設置するのもありだろう。
余談になるが、筆者の仕事場は、三階で角部屋。よって周囲から丸見えで、よじ登る手段もなく、侵入される可能性はゼロに近い。このようなこともあり、真夏や真冬は別として、普段窓は開けっぱになっている。
このとき、困るのは雨。避けるものが全くないので、直に部屋へ降り込んでしまう。部屋にいる時は問題ないが、出かけている最中に雨が降り出した場合、閉めたかどうか不安になるケースがたまにある。そんなとき、これを使えば状態は把握できるものの、すぐ戻れない状況だと、結局水浸しになるには変わらないのでもどかしいところ。
先のルームハブのメニュー項目に「スマートシナリオ」というのがあった。これは例えば「ドアセンサーが反応すれば、スマートLEDライトを点灯、もしくはスマートプラグオンでAC電源を供給する」……と言った、検出をトリガーとして、専用機器をコントロールすることができる。試しに登録した時の画面キャプチャを掲載するので参考にしてほしい。
さて、いろいろ触ったところ、実際は設置する場所が問題となる。問題ないのは「スマートプラグ」と「スマートLEDライト」。製品の性質上電源はACからダイレクトなのでつけるだけで作動する。簡単なのは「モーションセンサー」と「ドアセンサー」。この2つはバッテリ駆動なので(バッテリの消耗は気になるものの)設置はとくに困らない。
問題なのがUSB式ACアダプタを使う「ルームハブ」。コンセントが近くに必要な上、ケーブルが伸びる。加えて1台でエアコンとテレビを赤外線でカバーするとなると、配置にもよるが、部屋の真ん中に置くのが理想的。机があればいいが、下(床)では邪魔になるので、上(天井)になる。一般的にセンター辺りには照明機器があり、さらにケーブルが目立ってしまう。
筆者のケースではちょうどテレビの対角上にエアコンがあったので、テレビ台の手前に「ルームハブ」を置くとテレビもエアコンも反応した。ケーブルもテレビ台のケーブルジャングルに紛れて分からなくなる。
日頃オープンになっている隣の部屋には、対角にも同じエアコンがあり、アプリからオンにすると2つ同時に動いてしまった。こればかりは仕方ないところか。いずれにしても「ルームハブ」の設置場所がキーポイントとなりそうだ。
以上のようにマウス コンピューター「スマートホーム スターターキット [SK01]」は、パソコン周辺機器として考えても手軽な価格で、ごく一般のユーザーがスマートホーム/IoTを体験できる内容になっている。
記事中に書いたように、まず一番汎用性が高いと思われる「ルームハブ」+赤外線で、手元のテレビやエアコン、扇風機などをコントロール、その後、必要に応じて徐々に機器を揃えていくのが結果的に近道のような雰囲気だ。いずれにしても半田付けやプログラミングレスで、簡単にスマートホームを体験してみたい全てのユーザーにお勧めの逸品と言えよう。