西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「スマートホーム スターターキット [SK01]」

~ルームハブを中核にさまざまな家電を簡単にコントロール

製品写真

 マウスコンピューターは8月22日、家庭内でのIoT機器連携を実現する「ルームハブ」を含めた各種専用機器、「mouse スマートホーム」を発表した。現時点で6種類ある専用機器の中、ルームハブ+4専用機器がセットになった「スターターキット」が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

スマートホーム スターターキット [SK01]

 IoTというキーワードを割と耳にしたり、実際、その事例が載り出したのは、「Raspberry Pi」が出回り出した頃からだろうか。あのコンパクトな基板でフルのLinuxが動き、各種I/Oでいろいろコントロールできるため、格好の素材となったのだろう。

 またスマートホームで実現していること自体は、かなり前からやる気になれば個人でも可能だったが、そのためにはハードウェアを作ったり、プログラミングが必要だったり……一般ユーザーが簡単に手を出せるようなものではなかった。

 そのような中、登場したのが今回ご紹介するマウスコンピューターの「スマートホーム」だ。別途ハードウェアやソフトウェアを作る必要もなく、家電感覚で誰でも簡単に設置できる。

mouse スマートホーム 連携イメージ図(同社のサイトより)。この図からも分かるように、スマートフォン/アプリはWi-Fi(ルーター経由も含む)からアクセス。テレビとエアコンは赤外線、専用機器はBluetoothでコントロール

 システムの中核をなす「ルームハブ RH01」は、その名の通りハブの役目を受け持ち、Wi-Fiでネットワークへ接続、Bluetoothや赤外線で周辺機器をコントロール、温度センサー/湿度センサーで情報を取集できる。

 そして「ルームハブ RH01」に接続できる専用機器として、「モーションセンサー MS01」、「スマートプラグ SP01」、「スマートLEDライト LL01」、「ドアセンサー DS01」、「スマート空気清浄機」、「PM2.5センサー」が最初のラインナップとして発表された。

 それぞれ単品で購入可能だが、スターターキットとして最初から4つまでを含んだ「スマートホーム スターターキット」が用意されている。

【表】「スマートホーム スターターキット」の仕様
内容ルームハブ RH01、モーションセンサー MS01、スマートプラグ SP01、スマートLEDライト LL01、ドアセンサー DS01
税別価格24,800円
パッケージ
パッケージを開けたところ

 このルームハブを含めた5点セット、個別で購入した場合は28,900円なので、キットだと4,100円の割安となる。以下、それぞれの仕様や特徴などを説明したい。

ルームハブ RH01

 ルームハブは先に書いたようにシステムの中核をなし、Wi-Fiでルーターに接続、Bluetooth/赤外線で周辺機をコントロールできる。このとき、前者は同時に発表された専用機器、後者はTV、エアコン、扇風機といった、赤外線でコントロール可能な家電が対象だ。つまり学習リモコン的な操作をルーター経由のスマートフォン/アプリで可能となる。

 加えてセンサーとして、“温度センサー”と“湿度センサー”を内蔵しているので、それから得た値を見ながらスマートフォン/アプリでエアコンをオン/オフするといったことができる。もちろん屋内からだけでなく、屋外からもアクセス可能だ。

 1台のルームハブに登録可能なそれぞれ専用機器の最大台数は、スマートライト×3、スマートプラグ×3、ドアセンサー×3、PM2.5センサー×1、スマート空気洗浄機×1、モーションセンサー×1。赤外線はテレビ、エアコン、扇風機各1台づつとなる。

「ルームハブ RH01」の仕様
電源入力DC5V 1A(micro USB)
センサー温度センサー、湿度センサー
LED赤外線LED×7(約5m、角度180°)
無線通信Wi-Fi:802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 BLE、赤外線
本体サイズ/重量79.2×79×29.3mm(幅×奥行き×高さ)/68g
付属品ACアダプタ:5V/1A USBアダプタ、電源ケーブル:USB-micro USBケーブル
税別価格9,980円
表。上の凸の部分がLED。下側に給電用のMicro USBがある
裏。下にリセット用のホール。5つのベースプレート。どれかを外して壁掛け用フックを取り付けることができる
付属品。USB式ACアダプタとケーブル、壁掛け用フック

 セットアップは、まず「mouse スマートホーム」アプリ(iOS/Android)をダウンロードし、アカウントを作成する。このアカウントは各機器の管理と、インターネット経緯でルームハブへアクセスを可能とする機能を持つ。アカウント作成すると、登録したメールアドレスに確認のメールが入るので、コンファームすれば準備は完了。ルームハブへ付属のUSB式ACアダプタとケーブルを使って電源を供給、約1分でブルーのLEDが消灯するので、その状態でブートが完了している。

ようこそ mouse スマートホームの世界に
mouse スマートホーム
アカウントの作成
mouse スマートホーム/初期画面

 つぎにルームハブを追加する。この時、スマートフォンのBluetoothをオンにしておく必要がある。リストにホームハブ名が表示されるので選択、Wi-Fiのパスワードを入力(SSIDはスマートフォンで使用しているSSIDが選択済みになっている)、リストにある名前の左にチェックマークが付けば追加完了だ。

 表示される専門用語的なものはBluetoothとWi-Fi/SSID/パスワードなので、少なくとも自宅でルーターを使いWi-Fiで接続しているユーザーであれば設定できると思われる。

ルームハブを追加
Bluetoothをオンにする必要がある
ルームハブを検索
ルームハブのリスト
Wi-Fiに接続(SSIDのパスワード入力)
接続中
ルームハブが接続された
設定完了/今すぐ開始します

 Home画面に戻ると、すでに温度センサー/湿度センサーによる情報が表示されている。画面キャプチャだと気温28℃/湿度59%。リスト右[機器を追加]、[...]のメニューが見える。メニューには、機器を追加、機器の管理、ルームハブを共有、ルームハブの管理、スマートシナリオの項目が並んでいる。

 また下に[機器]と[セキュリティ]、2種類あるが、これはモーションセンサーとドアセンサーと言ったセンサー系が“セキュリティ”、そのほかが“機器”と、カテゴライズされている。

 早速なにかをコントロールしたいが、この時点では、Bluetoothを使う専用機器はペアリングしていないので、赤外線によるテレビとエアコン、扇風機のみが扱える。

 [機器を追加]を選ぶと、エアコン*、扇風機*、PM2.5、空気清浄機、LEDライト、テレビ*、プラグの項目が並び、赤外線でコントールできるのは*のものだ。試しにテレビとエアコンを追加した。

 テレビ/エアコンを選択すると機器の検索パネルが表示され、ブランド名か、リモコンの型番で検索できる。筆者のケースではテレビはブランド名(aquos)、エアコンは型番で検索。運よく一発で見つかった(見つからない時は[カスタマイズ]で各ボタンなどを登録する)。

Home画面。温度センサー/湿度センサーによる情報を表示
[...]でメニュー表示。機器を追加、機器の管理、ルームハブを共有、ルームハブの管理、スマートシナリオの項目が並んでいる
機器を追加します
機器の検索
テレビのリモコン発見
エアコンのリモコン発見
Homeにテレビとエアコンが追加された
機器の管理。再ペアリングと削除ができる
テレビのリモコン(1/3)
テレビのリモコン(2/3)
テレビのリモコン(3/3)
エアコンのリモコン

 登録するとHome画面に追加され、それぞれ専用のパネルでコントロールすることができる。もちろん出先から3G/4Gで部屋の温度/湿度が確認でき、それによって、帰宅前にエアコンをオンにすることが可能だ。できれば暑かった2カ月ほど前に試したかった(笑)。これだけでも9,980円の価値は十分あると思うがいかがだろうか。

 テレビや扇風機に関しては、出先からコントロールする必要性はなさそうだが、リモコンを持ち替えず、スマートフォンだけで全部操作できるので便利なのはもちろん、リモコンが行方知らずになっても大騒ぎせず、このパネルから操作すればいいので、ある意味、保険にも使える。

 希望としては、(対象の数が膨大なので、学習式で良い)オーディオ系のコントロールパネル(電源オン/オフ、音量±、入力切替、Mute程度)もカテゴリとし欲しいところ。また1台ではなく数台登録したいところだ。

モーションセンサー MS01

 モーションセンサーは、赤外線で人の動きを検出するセンサーだ。仕様によると検出範囲は、直線距離で約9m、左右の角度120°。これなら一般的な広さの室内であれば、どこでも検出可能だと思われる。

 同種のデバイスとしてはネットワークカメラもあるが、より具体的な映像が伴うので、プライバシーの問題がつきまとう。対してこちらは動きの検出だけなので、その心配もない。家族やペットを見守ったり、一人暮らしであれば、侵入者の検出にも使えるだろう。

【表】「モーションセンサー MS01」の仕様
電源(電池)1/2単3形(ER14250 1/2AA 3.6V Battery)※電池付属
推奨設置高さ2~2.4m
定格検出範囲距離:9m(直線距離)、角度:120°(左右)
無線通信Bluetooth 4.0 LE
本体サイズ/重量64×72×24.5mm(同)/52g(電池含まず)
税別価格5,980円
表。上のスリットにLED。中央がセンサー
裏 中央に固定用フック。バッテリフォルダの上にリセット用ホール
付属品。バッテリ、リセットピン、固定用アーム

 登録方法は、基本的に先の[機器を追加]と同じだが、センサー系なので[セキュリティ]を選ぶ。その後、ペアリングになるが、これはバッテリカバーを開け、上中央にあるペアリングボタンを付属のリセットピンで約3秒押し、LEDが赤く点滅、画面の[次へ]をタップすればBluetoothのペアリングが完了する。Homeに戻り、モーションセンサーを選ぶと履歴も表示される。「スマートシナリオ」は“センサー”をトリガーとして“機器”をコントロールする機能だ(ドアセンサーで説明)。

セキュリティ機器を追加します
ルームハブを選択
機器の種類を選択
ペアリング
ペアリング成功
セキュリティHome。モーションが追加された
履歴
スマートシナリオ/モーションを検知すると、LEDライト点灯

スマートプラグ SP01

 スマートプラグは、ルームハブを介して、AC電源のオン/オフができるほか、スケジューリングにも対応、さらにリアルタイムで電気使用量や消費履歴も確認できる。接続できる家電などは、仕様上、1,400W(14A/1.4KW)までならOK。1,500W(15A/1.5KW)になると保護回路が作動する。ただし電熱器や電気ストーブなど、火災の原因になるようなものを接続するのはNGだ。

【表】「スマートプラグ SP01」の仕様
電源入力AC100V 50/60Hz
定格電力1,400W
保護回路動作電力1,500W
動作環境:温度0~40℃
動作環境:湿度20%~90%RH
無線通信Bluetooth 4.0 LE
本体サイズ/重量63×63×29mm(同)/78g
税別価格4,980円
表。上よりにACコネクタ。右下のスリットにLED。その下のボタンがペアリング用
裏、ACプラグ(折り畳めない)

 追加は[機器]で[プラグ]を選択、右下にあるペアリングボタンを長押しして、LEDが青く点滅、[次へ]をタップすると完了する。

危険源を接続していないかの確認
本体右下ににあるボタン長押しでペアリング完了
Homeにプラグが追加された
オフ時
オン時。使用時間や消費電力などを表示
タイマー
記録/週間
記録/月間

 最近多くの家電は、主電源のほかに電子式のスイッチなどがあるため、単にACのオン/オフで作動可能なものが少なく、用途としては主に照明系だろうか。うっかりの消し忘れを出先からオフしたり、防犯用として夕方に照明を自動的につけたりできる。

スマートLEDライト LL01

 スマートLEDライトは、イメージ的にはLED電球とスマートプラグが合体した感じとなるが、調光機能のある点が異なる(プラグだと単にオン/オフ)。スケジューリングの機能もある。また、先に書いたように、スマートシナリオを使い、センサーをトリガーとしてのオン/オフも可能だ。明るさは“電球60形相当”なのでそれなりに明るい。

 Bluetoothのペアリングは、スマートLEDライトを取り付け、電源スイッチをオンにすると、ライトが点滅するので、[機器]から追加をすればOKと言う、簡単なものだ。

【表】「スマートLEDライト LL01」の仕様
電源入力AC100V 50/60Hz
電球色電球色相当
消費電力10W
全光束20lm(電球 60形相当)
口金E27/E26
無線通信Bluetooth 4.0 BLE
本体サイズ/重量68×68×127mm(同)/205g
税別価格4,980円
外観
ライトを取り付けてください/ステップ1
ライトを取り付けてください/ステップ2(点滅の確認)
LEDライトを選択
LEDライトをBluetoothでペアリング
変更/今すぐ開始します
調光(22%)
スケジュール。時間/曜日/調光の設定が可能

 筆者の寝室は間接照明のみで調光式なので、相変わらず電球を使ってるが、寝る手前で再調光するのが何時も面倒。これがあれば手元のスマートフォンで操作、もしくはスケジューリングできるので便利そうだ。そうなると“環境光センサー”も市販化していただき(もしくはルームハブに環境光センサー内蔵版を追加)、併用すればさらに便利かも知れない。

ドアセンサー DS01

 ドアセンサーは窓やドアの開閉を検出(マグネットを使用)する機能を持ち、センサーなのでスマートシナリオのトリガーにすることができる。また電源がバッテリなので設置場所の自由度が高い。ドアなどへの設置は、裏の両面テープで固定する。Bluetoothのペアリングは、リセットボタンを付属のリセットピンを使い長押しする。追加はセンサーなので[セキュリティ]で行なう。

【表】「ドアセンサー DS01」の仕様
電源(電池)1/2単3形(ER14250 1/2AA 3.6V Battery)※電池付属
センサー検出距離センサーが約2cm以上離れた時点で検出
無線通信Bluetooth 4.0 BLE
本体サイズ/重量センサーユニット:52.2×23.6×20.2mm(同)/24g(電池含まず)
マグネットユニット:25.8×22.0×19.3mm(同)/14g
税別価格2,980円
表。左下にリセット用ホール。その右側にLED。小さい方はマグネット
裏。両面テープで固定する
付属品。バッテリとリセットピン

 用途としては、文字どおり、窓やドアの閉め忘れの検出と、ドアの開閉による照明などのオン/オフとなるだろうか。前者に関しては、屋内のドアは閉め忘れても特に影響ないので、多くのケースでは、外に面したドアや窓が対象になる。履歴が残るので店舗などの入り口に設置するのもありだろう。

Bluetoothで機器を追加します
ドアセンサーを管理します
履歴
オープンの時はセキュリティ/Homeで直ぐわかる

 余談になるが、筆者の仕事場は、三階で角部屋。よって周囲から丸見えで、よじ登る手段もなく、侵入される可能性はゼロに近い。このようなこともあり、真夏や真冬は別として、普段窓は開けっぱになっている。

 このとき、困るのは雨。避けるものが全くないので、直に部屋へ降り込んでしまう。部屋にいる時は問題ないが、出かけている最中に雨が降り出した場合、閉めたかどうか不安になるケースがたまにある。そんなとき、これを使えば状態は把握できるものの、すぐ戻れない状況だと、結局水浸しになるには変わらないのでもどかしいところ。

 先のルームハブのメニュー項目に「スマートシナリオ」というのがあった。これは例えば「ドアセンサーが反応すれば、スマートLEDライトを点灯、もしくはスマートプラグオンでAC電源を供給する」……と言った、検出をトリガーとして、専用機器をコントロールすることができる。試しに登録した時の画面キャプチャを掲載するので参考にしてほしい。

シナリオを追加。ドアセンサー+LEDライトを選択
名前、トリガー/アクションの設定
スケジュールの設定
スマートシナリオ「test」が追加された

 さて、いろいろ触ったところ、実際は設置する場所が問題となる。問題ないのは「スマートプラグ」と「スマートLEDライト」。製品の性質上電源はACからダイレクトなのでつけるだけで作動する。簡単なのは「モーションセンサー」と「ドアセンサー」。この2つはバッテリ駆動なので(バッテリの消耗は気になるものの)設置はとくに困らない。

 問題なのがUSB式ACアダプタを使う「ルームハブ」。コンセントが近くに必要な上、ケーブルが伸びる。加えて1台でエアコンとテレビを赤外線でカバーするとなると、配置にもよるが、部屋の真ん中に置くのが理想的。机があればいいが、下(床)では邪魔になるので、上(天井)になる。一般的にセンター辺りには照明機器があり、さらにケーブルが目立ってしまう。

 筆者のケースではちょうどテレビの対角上にエアコンがあったので、テレビ台の手前に「ルームハブ」を置くとテレビもエアコンも反応した。ケーブルもテレビ台のケーブルジャングルに紛れて分からなくなる。

 日頃オープンになっている隣の部屋には、対角にも同じエアコンがあり、アプリからオンにすると2つ同時に動いてしまった。こればかりは仕方ないところか。いずれにしても「ルームハブ」の設置場所がキーポイントとなりそうだ。

ドアに設置したドアセンサー
【動画】スマートLEDライトをアプリから操作
【動画】ドアセンサーの反応。閉めるとアイコンの周囲赤が消える
【動画】スマートシナリオ。ドアを開けるとスマートLEDライト点灯

 以上のようにマウス コンピューター「スマートホーム スターターキット [SK01]」は、パソコン周辺機器として考えても手軽な価格で、ごく一般のユーザーがスマートホーム/IoTを体験できる内容になっている。

 記事中に書いたように、まず一番汎用性が高いと思われる「ルームハブ」+赤外線で、手元のテレビやエアコン、扇風機などをコントロール、その後、必要に応じて徐々に機器を揃えていくのが結果的に近道のような雰囲気だ。いずれにしても半田付けやプログラミングレスで、簡単にスマートホームを体験してみたい全てのユーザーにお勧めの逸品と言えよう。