西川和久の不定期コラム

マウス、4万円でOffice Mobile 365サービスが付いてくる10.1型2in1

MT-WN1003

 マウスコンピューターは6月26日、標準で1年間有効の「Office Mobile プラス Office 365サービス」が付属する10.1型キーボード着脱式の2in1「MT-WN1003」を発表した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Atom x5/2GBとエントリークラスだがパネルは1,280×800ドット

 扉の写真からもわかるように、過去(細かい部分は異なるものの)同じタイプの2in1を何度かご紹介している。搭載しているプロセッサは同じでメモリも2GB。ベンチマークテスト的な項目だと傾向が似ているマシンとなる。

 10.1型なので比較的軽く、容易に持ったり、カバンなどに入れて持ち運んだりすることができる。キーボードカバーもよく見かけるタイプだ。言うまでもなく、文字入力などは、タッチより圧倒的に有利。カバーにもなり、本体の保護も兼ねている。

 プラスアルファとなる本機の特徴としては、Wi-Fiモジュールに「Intel Wireless-AC 3165」を使用し5GHz帯が使えること、1年間有効の「Office Mobile プラス Office 365サービス」が標準となるところだろうか。主な仕様は以下のとおり。

【表】MT-WN1003の仕様
プロセッサAtom x5-Z8350(4コア4スレッド、クロック 1.44GHz/1.92GHz、キャッシュ 2MB、SDP 2W)
メモリ2GB//PC3-12800 DDR3L SDRAM
ストレージ64GB
OSWindows 10 Home(32bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400、Micro HDMI
ディスプレイ10.1型IPS式1,280×800ドット(光沢あり)/10点タッチ
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2 + LE
インターフェイスMicro USB 2.0×1、USB 3.0、192万/192万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力
サイズ/重量 59.5×174×10mm(幅×奥行き×高さ)/約593g(単体)、約916g(キーボードカバー込み)
バッテリ駆動時間約8.2時間
そのほか「Office Mobile プラス Office 365サービス」 1年間利用権
Web販売価格39,800円(税別・送料込)

 プロセッサはAtom x5-Z8350。4コア4スレッドでクロックは1.44GHzから最大1.92GHz。キャッシュは2MBでSDPは2W。最近、このクラスのタブレットによく使われているSKUだ。メモリはPC3-12800 DDR3L SDRAMで2GB、ストレージはeMMCで少し多めの64GB。OSは32bit版のWindows 10 Homeを採用している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400。外部出力用にMicro HDMIを備えている。ディスプレイは光沢ありの10.1型IPS式だが、1,280×800ドットでフルHDではない。タッチは10点対応。

 余談になるが、前回のミドルレンジスマートフォンでさえもパネルサイズは違えどフルHDでメモリ3GB(プロセッサ性能も大差なく、センサーなども豊富に搭載)。完全(?)にローエンドPCと逆転してしまった。うれしいやら悲しいやら複雑な気分だ。

 インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2+LE、Micro USB 2.0×1、USB 3.0、192万/192万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力。USB 3.0が1つあるのは簡易デスクトップPC替わりに使うとき役に立つ。またカメラは前面/背面ともに192万画素。これまでのレビューでもわかるように、500万画素でも画質がいいわけでもなく、実際使うケースはまれだと思われ、この割り切り方は個人的にはGood。いっそなしでその分、少しでも安価になったほうがいいのではないだろうか。

 サイズ/は259.5×174×10mm(幅×奥行き×高さ)、重量は単体で約593g、キーボードカバー込みで約916g。後者で1kgを切っているので持ち運びも楽だ。バッテリ駆動時間は約8.2時間。1年間有効の「Office Mobile プラス Office 365 サービス」付きで、Web販売価格は39,800円(税別/送料込)となる。Office搭載の分、割高になるものの、差し引いた本体価格を考慮すると割安にまとまっている。

前面。パネル中央上に192万画素前面カメラ。下にWindowsボタン
背面。中央上に192万画素背面カメラ。各コネクタやボタンに刻印がありわかりやすい
左側面にマイク、音声入出力、Micro USB、Micro HDMI、USB 3.0、電源入力、microSDカードスロット、スピーカーL。下側面にキーボード用コネクタ
右側面はスピーカーRのみ。上側面に電源ボタンと音量±ボタン
キーボードはアイソレーションタイプの日本語キーボード。主要キーのキーピッチは実測で約18mm。タッチパッドは2ボタン式。バッテリなどは内蔵していない
キーボード(後ろの部分をセットしたところ)。過去に何度かご紹介しているが、折り畳んでスタンドにするタイプ
付属のACアダプタなど。ACアダプタのサイズ約70×28×35mm(幅×奥行き×高さ、プラグ含まず)、重量93g。出力5V/2A。Micro USB/USB変換ケーブル
キーボードをカバーとして閉じたところ。フェルト調のグレー。磁石で固定する。左右はカバーされない
本体実測で589g
キーボードは実測で342g

 筐体は裏がつや消しブラック、正面は一般的なタブレットにありがちな感じだ。本体だけだと589g。10.1型のフットプリントと言うこともあり持ちやすい。キーボードカバー込みで931g。1kgを切っているので持ち運びも容易だ。ただ固定用に磁石が使われているので、カバンに入れるときはカード類と一緒にしないほうが無難だろう。

 前面は、液晶パネル中央上に192万画素前面カメラ、下にWindowsボタン。背面は、中央上に192万画素背面カメラ、左側面にマイク、音声入出力、Micro USB、Micro HDMI、USB 3.0、電源入力、microSDカードスロット、スピーカーL。下側面にキーボード用コネクタ。右側面はスピーカーRのみ。上側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。

 左側面にすべてのコネクタが集中しているので、薄型のデスクトップPC化するときも配線しやすい。キーボードカバーとの接続は、本体下のコネクタと位置合わせに左右のへこみを使い、磁石で固定される仕掛けだ。

 付属のACアダプタは、サイズ約70×28×35mm(幅×奥行き×高さ、プラグ含まず)、重量93g。出力5V/2A。コネクタ部分がUSBではないので専用となる。

 10.1型IPS式のディスプレイは、発色、コントラスト、明るさ、視野角すべてクラス標準的に良好。バックライト最小時でもそれなりに見える。解像度がフルHDではなく、1,280×800ドットなので、この点が意見の分かれるところとなるだろうか。

 キーボードは、過去何度か同じタイプのをご紹介しているカバーの一部を折り畳みスタンドにするタイプだ。実用的ではあるものの、個人的には組み立てたときの見栄えがあまり好きではない。キックスタンド的な機構がない普通のタブレットには効果的ではあるが、そろそろ違うパターンも見てみたい。主要キーのキーピッチは約18mm。右端のキーが若干狭いものの、この手のキーボードとしては許容範囲だろう。

 タッチパッドは物理的な2ボタン式。パームレストも割合としては結構なスペースを確保しており、操作しやすくなっている。

 振動やノイズは問題なし。発熱はベンチマークテストなど高負荷時ではなく、普通に少し使うと主に左上の部分が(季節柄もあるだろうが)暖かくなる。後半に掲載したPCMark 8 バージョン2のCPU温度も高めだ。

 サウンドはかなりシャリシャリした感じで低音が出ない。また左右側面下に外向きにスピーカーがあるため、本体をスタンドに立てると音が左右に逃げてしまい迫力に欠ける。ただタブレットとして両手で持ちながらだとちょうど手のひらで音が反射し、うるさいほど(シャリシャリ)鳴る。映像などを観る用にはいいかもしれない。

Atom x5/2GB/eMMCでエントリーモデルとしては一般的な性能

 OSは32bit版のWindows 10 Home。Atom x5/2GB/eMMCということもあり作動はそれなり。ライトな用途向けとなるだろうか。

 初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は、Windows 10標準に加え、「ユーザーサポートグループ」に、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」のPDFが設定されている。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。

 ストレージはeMMC 64GBの「SanDisk DF4064」。C:ドライブのみの1パーティションで約57.35GBが割り当てられ、空き38.5GB。BitLockerが施されている。ただし、OSをCrative Updateにした関係で前のOSが残った状態だ。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Wi-Fiは「Intel Wireless-AC 3165」なので5GHz帯にも対応している。

スタート画面(タブレットモード)。Windows 10標準に加え、「ユーザーサポートグループ」に、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」を追加
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはeMMC 64GBの「SanDisk DF4064」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。Wi-Fiは5GHz帯対応の「Intel Wireless-AC 3165」
eMMCのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約57.35GBが割り当てられている。BitLocker使用

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは「Office Mobile」。デスクトップアプリは、構成するハードウェアのドライバー系のみと、素のWindows+「Office Mobile」となっている。プログラムではないが、同社お馴染みの「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」がPDFで入っている。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。CrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(4コア4スレッドで条件的に問題ない)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 4.3。プロセッサ 6.2、メモリ 5.5、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.8。32bitでメモリ2GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅は7281.07178MB/s。

 PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1382。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 159.2/Write 85.25、4K Q32T1 Read 35.05/Write 16.28、Seq Read 96.05/Write 56.21、4K Read 9.240/Write 13.70(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 22316、FPU 18371、MEM 18528、HDD 14056、GDI 3275、D2D 2227、OGL 3123。

 総じてAtom x5-Z8350搭載機としては平均的であるが、ストレージはBitLockerの影響か若干遅めだ。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で32,050秒/8.9時間。いつもの残5%で31,748秒/8.8時間。仕様上、約8.2時間なので、ほぼそのままの値となった。また先に書いたように、バックライト最小でもそれなりに明るいため、実運用も大幅に変わらないと思われる。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 4.3。プロセッサ 6.2、メモリ 5.5、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.8
PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)のスコアは1382
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。クロックは500MHz辺りから最大の1.92GHz(一部大幅に超えているがこれはミスだろう)。温度は約60℃から80℃辺りと少し高め
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で32,050秒/8.9時間
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 159.2/Write 85.25、4K Q32T1 Read 35.05/Write 16.28、Seq Read 96.05/Write 56.21、4K Read 9.240/Write 13.70(MB/s)
CrystalMark。ALU 22316、FPU 18371、MEM 18528、HDD 14056、GDI 3275、D2D 2227、OGL 3123

 以上のようにマウス「MT-WN1003」は、Atom x5、メモリ2GB、ストレージ64GBを搭載した10.1型1,280×800ドットの2in1だ。スペックからもわかるようにハードな用途には向かず、ライトな用途でサクッと使う感じだろうか。

 試用した範囲ではとくに気になる部分もなく、少しストレージが多めで、はじめから「Office Mobile プラス Office 365 サービス」付きの2in1を探しているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。