西川和久の不定期コラム
ASUS「ZenBook Flip UX360UA」
~Core i7を搭載しZenBook初の2in1!
2016年10月28日 06:00
ASUSは8月26日、360度回転式ヒンジを採用したZenBookとしては初となる2in1「ZenBook Flip」を発表。9月中旬に販売を開始した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
初代ZENBOOKから5年経って登場した2in1
筆者がはじめて同社のZENBOOK(当時はZenBookではなくこの表記)に触ったのは2011年11月。当時ちょうどUltrabookの出始めで、それに合わせて登場した格好だ。スペックはCore i7-2677M/4GB/SSD 128GB。厚み3~17mm、重量1.1kg。パネルはワンサイズ小さく、11.6型1,366×768ドット、価格は約10万円。有線LANがなく、USB/Ethernetアダプタを使うのはこの時も同じだ。
次にレビューしたのは2012年。この年はタイプ別に3モデルがリリースされている。そしてしばらく空いて久々に触ったのは2015年2月。「ZenBook UX305FA」となり、表記が今と同じになってた。
なぜ冒頭からこんな昔話をはじめたかと言うと、実はZenBook Flipは“ZenBook初の2in1”になるからだ。「そうだっけ……!?」と思いながら、過去の原稿を漁った次第だ。もともとがUltrabookだったが、Ultrabookと言う呼び方は廃れてしまった。それでもそのコンセプトを長年受け継いで来たのがZenBookシリーズ。Windows 10になって2in1も使いやすくなったので、満を期して2in1に変化したのだろう。主な仕様は以下の通り。
【表】ASUS「ZenBook Flip UX360UA」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-6500U(2コア4スレッド、クロック 2.5GHz/3.1GHz、キャッシュ 4MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | SSD 512GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 520、HDMI |
ディスプレイ | 13.3型IPS式1,920×1,080ドット(光沢あり)、10点タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.1、Ethernet(USBアダプタ利用) |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、SDCXカードスロット、指紋認証、92万画素Webカメラ、2W+2Wスピーカー、音声入出力 |
サイズ/重量 | 321.6×219.1×13.9mm(幅×奥行き×高さ)/1.3kg |
バッテリ駆動時間 | 約12.3時間 |
税別店頭予想価格 | 139,800円の見込み |
プロセッサはSkylake世代のCore i7-6500U。2コア4スレッドでクロックは2.5GHzから最大3.1GHz。キャッシュは4MBでTDPは15W。メモリは8GB、ストレージはSSDで512GB搭載。OSは64bit版Windows 10 Home(TH2)。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 520。外部出力用としてHDMIを装備している。ディスプレイは、光沢ありの13.3型IPS式1,920×1,080ドット。10点タッチに対応。また360度回転式ヒンジを採用し、クラムシェルモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモードと、用途に応じて変身できる。冒頭にも書いたように、少し意外だが同社ZenBookとしては初の2in1となる。
ネットワークは、有線LANはUSB接続のEthernetアダプタと従来通り。無線LANはIEEE 802.11ac対応、そしてBluetooth 4.1も搭載している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、SDCXカードスロット、指紋認証、92万画素Webカメラ、2W+2Wスピーカー、音声入出力。今どきとしては順当なところか。
サイズは321.6×219.1×13.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.3kg。バッテリ駆動時間は約12.3時間。税別店頭予想価格は139,800円の見込みだ。Core i7を搭載したハイエンドノートPC(2in1も含む)としては少し薄め。ほかは平均的だが十分なスペックであり、価格もクラス相応だと思われる。
筐体はマグネシウム・アルミニウム合金からの削り出し。色は少しゴールドがかった天板。天板は、スピン加工やアルマイト処理などが施されており質感は抜群だ。また2in1にも関わらず厚みは13.9mmと標準的な13.3型より薄い。重量は1.3kgだが、見た目の金属感が加わるせいか、持ち上げると結構ズッシリ重く感じる。
前面はパネル中央上に92万画素Webカメラ。正面側面は鋭角になっておりLEDなどを仕込むスペースはない。裏は今回写真を撮ってないが、正面寄りの左右にスピーカーのスリット、後ろ側に放熱用のスリット、後は丸いゴム足が4つ隅にあるだけ。メモリやストレージなどにアクセスできる小さいパネルはなく、またバッテリは着脱できない。
左側面は、USB 3.0、充電ステータスLED、音量±ボタン、電源LED付き電源ボタン。右側面は、電源入力、USB 3.0、HDMI、USB Type-C、音声入出力、SDCXカードスロットを配置。写真からも分かるように有線LANのコネクタは無く、USB/Ethernetアダプタを使用する。付属のACアダプタのサイズは約60×60×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量168g。プラグ部分は折り畳めない。
ディスプレイは光沢ありのIPS式13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。輝度は最大にするとかなり高く(輝度350cd/平方m)、最小でも室内であれば十分使える明るさだ。発色は非常に綺麗(NTSC比72%の広色域)で最近試用したマシンの中では群を抜いて良い。もちろんコントラストや視野角も良好。
ヒンジ部分は360度回転に対応し、タブレットモード、テントモード、スタンドモードなどに変身できる。同社によると、このヒンジは、2万サイクル以上にも及ぶ過酷な開閉試験を行なってるとのこと。少々のことで故障することはないだろう。
キーボードはアイソレーションタイプで、オフを含め4段階に調整できるキーボードバックライトを内蔵している。主要キーのキーピッチは約18mm確保され、ストロークは1.5mm。感触はMacBook Proのそれによく似ている。タッチパッドは1枚プレート型で、滑りが良い上追尾性も高く好印象だ。説明によるとスマートフォンのタッチスクリーン向けの技術を応用しているとのこと。また右上にWindows Hello対応の指紋認証がある。
振動やノイズは試用した範囲ではわからず、発熱もベンチマーク中本体を触ったものの、(季節柄もあるだろうが)少し暖かくなる程度と問題なかった。サウンドは、「Harman/Kardon」と、同社内の「ゴールデンイヤー」と呼ばれチームのコラボでなかなか良い音だ。もう少しパワーがあればベストだろうか。
以上からも分かるように、何世代にもおよぶ改良により、筐体の仕上がりは何から何まで抜群。完成度は相当高いレベルにある。
タブレットモードなどさまざまなモードでも快適!
OSは64bit版Windows 10 Home。TH2のままでAnniversary Updateにはなっていない。Core i7、メモリ8GB、SSDということもあり、作動は速く快適に操作できる。
初期起動時のスタート画面(タブレットーモード)は2画面。ASUSグループの5つがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみ。左側はごみ箱だけとシンプルな構成だ。タスクバーに「ASUS GIFTBOX」が予めピン止めされている。
ストレージはHynixのM.2 512GB「HFS512G39MND-3510A」。操作していて少しアクセスが速いと思ったらM.2だった。C:ドライブのみの1パーティションで476.18GB割り当てられ空き約447GB。Wi-FiとBluetoohはIntel製。USB/EthernetアダプタはRealtek製だ。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「ASUS Five in A Row」、「MyASUS」など。
デスクトップアプリは、ASUSフォルダに、「ASUS FlipLock」、「ASUS HiPost」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「Splendid Utility」、「USB Charge Plus」、「WebStorage」、「WinFlash」。その他「ASUS GIFTBOX」、「Evernote」、「Foxit PhantomPDF」、「AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「King Office」、「KKBOX」、「TeamViewer 10」、「マカフェーリブセーフ」。
ASUSフォルダに同社お馴染みのユーティリティ満載だが、本機固有としては「ASUS FlipLock」となるだろうか。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。M.2 SSDなのでCrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。
winsat formalの結果は、総合 6.1。プロセッサ 7.5、メモリ 7.9、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.05。メモリのバンド幅は22594.75317MB/s。PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3274。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 545.2/Write 494.5、4K Q32T1 Read 261.4/Write 257.1、Seq Read 527.4/Write 411.2、4K Read 15.41/Write 71.23(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 48186、FPU 50430、MEM 60884、HDD 37649、GDI 15154、D2D 6051、OGL 13439。
Core i7を搭載したクラスとしては標準的だろうか。SSDがM.2なので、ディスク系のスコアが高めだ。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で48,332秒/13.4時間。この重装備で12時間越えは十分と言えよう。
以上のようにASUS「ZenBook Flip UX360UA」は、Core i7/8GB/SSD 512GBを搭載し、360度回転式ヒンジを採用したZenBookとしては初となる2in1だ。作動速度もさることながら、クールなルックス、明るく綺麗なパネル、感触の良いキーボードとタッチパッド、そして高品質なサウンド……。文句の付けようのないマシンに仕上がっている。あえて欠点を挙げれば、有線LANがアタッチメント式な点だろうが、無線LANが普及している現状、特に問題はないだろう。
非常に完成度が高く、ハイエンド2in1はもちろん、13.3型のハイエンドノートPCを求めているユーザーも含め、お勧めしたい製品と言えよう。