■最新液晶ディスプレイ ピックアップ■
L2230x | |
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液晶サイズ | 21.5型 |
パネル方式 | TN方式 |
表示解像度 | 1,920×1,080ドット |
アスペクト比 | 16:9 |
画素ピッチ | 0.248mm×0.248mm |
表面処理 | ノングレア |
バックライト方式 | LED |
応答速度 | 5ms |
コントラスト比 | 1,000:1 |
視野角 | 水平170度/垂直160度 |
輝度 | 250cd/平方m |
表示色 | 約1,677万色 |
走査周波数 | 垂直:50~75Hz |
チルト角度 | 下5度、上20度 |
高さ調節 | なし |
スイベル | なし |
ピボット機能 | なし |
入力端子 | ミニD-Sub15ピン×1 USB 2.0アップストリームポート×1 100BASE-TX対応LAN×1 マイク入力 |
出力端子 | USB 2.0ダウンストリームポート×3 ヘッドフォン出力 |
スピーカー | なし |
VESAマウント | 対応(100mm×100mm) |
電源 | 内蔵 |
消費電力 | 標準22W(アナログRGB)/24W(USB) |
付属品 | ミニD-Sub15ピンケーブル USBケーブル オーディオケーブル 電源ケーブル ユーティリティディスク |
本体サイズ | 512.25×152.45×376.27mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約4.15kg(スタンド含む) |
レノボは、USB接続のみでフルHDの映像表示が可能な、USBディスプレイ機能を内蔵する液晶ディスプレイ「L2230x」を発売。USBディスプレイ機能だけでなく、USB LAN機能やUSBオーディオ機能なども備え、さながらUSBポートリプリケータとしても利用可能。DVIやHDMIなどのデジタル映像出力を持たないノートPCに最適の液晶ディスプレイとしている。レノボ直販サイトでの価格は39,900円だ。
●本体デザインL2230xの本体デザインは、他のレノボ製液晶ディスプレイとほぼ同等。液晶ベゼル下部のみ光沢感を持たせているが、全体的にはつや消しのブラックボディとなっており、特に目立つ装飾もなく、落ち着いた印象だ。そういった中で、三角形のスタンド部はやや目をひく。
本体サイズは、512.25×152.45×376.27mm(幅×奥行き×高さ)。ベゼルは十分に狭額で、LEDバックライトを採用していることもあり、本体部の奥行きも短く、軽量かつ省スペース性に優れる。
液晶パネルのチルト角度は、下5度から上20度の範囲で調節可能。ただ、角度調節にはやや強い力が必要だ。高さ調節やスイベル機能などは用意されない。スタンド後部には、接続ケーブルを束ねるホルダー構造が用意されている。
液晶ベゼル下部中央には電源ボタンが、右側にはOSD操作用のボタンが4個配置されている。ボタンが横に並んでいるため、OSDの操作時にはやや戸惑うことがある。
●液晶パネル1,920×1,080ドット表示対応の、21.5型ワイド液晶を採用。パネルの方式はTN方式。視野角は、水平170度、垂直160度となるが、TNパネルということで、上下左右に視点をずらすと、色合いの変化が感じられる。応答速度は5msと、TNパネルとしては特に高速というわけではないが、動画を表示させた場合でも残像はほぼ気にならないレベルと考えていい。バックライト輝度は250cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。
●接続端子映像入力端子は、ミニD-Sub15ピンを1系統のみ用意。ただし、USB 2.0アップストリームポートが用意され、PCとUSB接続することにより、L2230x自体をUSBディスプレイとして利用できるため、実質2系統の映像入力端子が用意されると考えていい。DVIやHDMIなどの映像入力端子は用意されない。また、USBディスプレイ機能はHDCP非対応となる。
また、L2230xには、USB LAN機能とUSBオーディオ機能、3ポートのUSB Hub機能も搭載されており、PCとUSBケーブル1本で接続するだけで、USBディスプレイ、USB LAN、USBオーディオ、USB Hubの各機能を同時に利用可能となる。本体背面には、USB LAN機能用のEthernetポートが、本体左側面には3ポートのUSB 2.0ダウンストリームポートと、ヘッドフォン・マイク端子が用意されている。USB LAN機能は、100BASE-TX対応。また、本体にスピーカーは搭載されていないため、USBオーディオ機能は左側面のヘッドフォン・マイク端子のみで利用可能だ。
●OSDOSDメニューは、見た目こそシンプルだが、輝度やコントラスト、色合いの調節など、必要な項目はすべて網羅されており、十分な設定が行なえるようになっている。このクラスの液晶ディスプレイとしては、十分に満足の行くOSDと言っていい。
ただし、操作ボタンがベゼル下部に横に並んで配置されているため、操作に戸惑うことがある。この点は少々残念だ。
●画質表示品質は、TNパネルを採用する液晶ディスプレイの中で飛び抜けて高品質というわけではないが、発色などに特に不満を感じる部分もなく、十分に満足できるレベルだ。もちろん、TNパネル特有の、視点の位置による色合いの変化が感じられるのは事実。とはいえ、発色は十分に鮮やかで、他の低価格TNパネル採用液晶ディスプレイと比較しても不満は感じられない。加えて、液晶表面が非光沢処理となっており、外光の映り込みがほとんど気にならない点は、他の低価格液晶ディスプレイに対するアドバンテージとなる。
ところで、L2230xの最大の特徴となるのが、USBディスプレイ機能を内蔵しているという点だ。DVIやHDMIなどのデジタル映像入力端子は用意されていないものの、USB接続により、事実上デジタル映像入力が可能と考えていい。これにより、DVIやHDMIなどのデジタル映像出力を持たないPCでも、1,920×1,080ドットのフルHD表示が可能となる。これは、デジタル映像出力の無いノートPCやネットブックなどを利用している人にとって、かなり魅力のある部分となるだろう。
ただし、USBディスプレイ機能であるため、描画性能はCPUの処理能力に左右されることになる。Core i5-750搭載のデスクトップPCに接続して試した場合でも、ウィンドウを開いたりする場合のアニメーションに、若干のもたつきを感じる。また、フルHD解像度の動画ファイル(WMV形式)を再生してみたところ、やや再生がひっかかるような印象を受けた。こういった点から、基本的な描画能力は、単体で販売されているUSBディスプレイアダプタ同様、それほど高くないと考えた方がいいだろう。
PCMark 05 Graphics Score | |
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内蔵USBディスプレイ機能 | 4540 |
ATI Radeon HD 5770 | 13349 |
また、このUSBディスプレイ機能はHDCP非対応のため、Blu-ray Discや地上デジタル放送など、著作権保護コンテンツの表示は不可能だ。そう考えると、DVIやHDMIなどのデジタル映像入力端子が用意されていない点は惜しい。より幅広い用途で活用できるという意味でも、DVIもしくはHDMI端子のどちらか一方でも用意してもらいたかった。
また、USBディスプレイ機能だけでなく、USB LAN機能やUSBオーディオ機能、USB Hubなどの付加機能が同時に利用でき、USBポートリプリケータとして活用できる点も特徴だ。ただし、USB 2.0ケーブル1本で全ての機能を実現するため、USB LAN機能は思ったほど高速ではない。実際に、L2230xのUSB LAN機能を利用し、Gigabit Ethernet対応の同一LAN内にあるWindows Home Serverマシン(LANとはGigabit Ethernetで接続)から、約664MBのファイルをコピーしてみたところ、約2分36秒もかかった。ちなみに、テストPCのマザーボードオンボードのGigabit Ethernet経由では、同じファイルのコピーに約8.5秒しかかからない。このUSBディスプレイ機能が、USB 3.0対応であれば、この結果もかなり変わってくると思うが、USB 2.0を利用している以上、帯域不足でデータ転送速度が遅くなるのは仕方がないかもしれない。もちろん、USBケーブル1本で利用できるという利便性の高さは大いに評価できるが、実用度という意味では少々厳しいだろう。
約664MBのファイルコピー(同一LAN(GbE)内のWHSマシンからのファイル転送) | |
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マザーボードオンボード 1000BASE-T | 約8.5秒 |
L2230x搭載LAN(100BASE-TX) | 約2分36秒 |
USBディスプレイ機能を内蔵し、USBケーブルのみでフルHD解像度の映像表示が可能という点は、特にデジタル映像出力を持たないノートPCを利用している人にとって、かなり魅力のある機能となる。また、速度はやや遅くなるものの、USB LAN機能やUSBサウンド機能などを同時に利用できる点も、利便性を高めるという意味で注目できる。USBディスプレイ機能の描画性能がそれほど高くない点は、仕様上我慢できないことはない。価格も、21.5型フルHD液晶ディスプレイと、フルHD出力対応のUSBディスプレイアダプタを別々に購入することを考えれば、特に高いというわけではない。そのため、デジタル映像出力を持たないノートPCを利用している人には、十分におすすめできる製品だ。ただ、デジタル映像入力端子がないという点は残念。DVIまたはHDMIどちらか一方の端子だけでも用意されていれば、製品としての魅力が大きく向上するため、後継機種での改善を期待したい。
(2010年 10月 1日)