買い物山脈

Google Play Musicに加入して音楽再生環境をiPodからZen Watchに移行してみた

〜Googleの定額制音楽聞き放題サービス

製品名
Google Play Music
購入価格
月780円+α
購入時期
9月18日
使用期間
約1カ月
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

新しい音楽に出会いたい

 筆者は趣味でバンドをやっている。パートはドラムだ。そう聞くと、相当いろんなバンドの音楽を聴いていると思われるかもしれない。でも、iTunesに取り込んであるアルバム数はたかだか220枚程度、曲数では2,300曲程度だ。多いとは言えない。楽器をやっていなくても、もっと多く聴いてる人はたくさんいるだろう。

 コレクションがあまり多くない理由は、普段の生活の中で好みの新しい音楽に出会う機会が少ないことが大きい。筆者が好きなのは主に洋楽ロック系。これが、JPOP好きなら、TVや街頭の広告などで、新譜情報を目にして、「おっ、買ってみようかな」という機会が日常的にそこそこあると思う。それに比べると洋楽の情報は、雑誌やレコード屋、情報サイトなどに主体的かつ積極的にアクセスしていかないと、あまり入ってこない。異論もあるとは思うが、筆者の場合そんな感じなのだ。

 気に入った曲は自分で演奏できるまで覚えたい(いわゆる耳コピ)ので何度も聴く。でも、いつも同じ曲ばかり聴いていても飽きる。それに、知らないバンドや、違うジャンルの曲も聴いていかないと、ドラムの表現力(と言うほどの腕前はないのだが)は向上していかない。

 そんな感じで、新しい音楽、そして新しい音楽に出会うための手段についても、なにか良いものはないかと以前から模索していた。

携帯型音楽プレーヤーに求める条件

 一人で電車に乗って移動する時は、ほぼ常時音楽を聴いている。使っているのは2006年に発売された第2世代のiPod nano。iTunesを使ってCDをPCに取り込み、数度聴いてみて、そこから気に入った曲をプレイリストに登録してiPodに転送し、ヘビロテで聴くというスタイルを長年続けている。

2006年から使ってるiPod nano

 年代物のiPodを使い続けてるのは、お金がないわけではなく、これまでずっと良い後継機に出会えなかったからだ。買い換えるとした場合、携帯型音楽プレーヤーに求めるのは、

・小型/軽量である
・画面を見ずに曲の頭出しができる
・Apple Lossless(ALAC)に対応する
・ストレージ容量が16GBより大きい

という点。さほど難しいことではなさそうだが、そういう需要があまりないのか、この条件に合致する製品は多くない。もしかしたら、しっかり探せばいくつもあるのかもしれないが、iPod nanoでさほど不自由していなかったので、iPodやWalkmanの新製品が出た時に仕様をちょろっとチェックするくらいで、これまであまり真剣に製品を探してこなかった。

 しかし最近、再生中に頻繁に曲が停止するようになってしまった。9年も使っているので、いつ完全に壊れても不思議ではない。代替機を探さねばならない。

Google Play Musicが3,500万曲をひっさげて日本進出

 Googleは9月3日に、定額制音楽聞き放題サービス「Google Play Music」(以下、Play Music)の日本展開を発表した。月額980円を支払えば、3,500万曲の音楽を聞き放題という。また、10月18日までに加入すれば以降は永続的に月額780円で利用できる。

 同様のサービスは、「AWA」や「LINE Music」などが最近登場しており、それ以前からもAppleの「Apple Music」や日本マイクロソフトの「Groove Music Pass」などもあるし、もうサービスが終了してしまったがソニーの「Music Unlimited」などもあった。

 こういったサービスは、自分の好きなジャンルやアーティストなどを指定することで、ユーザーが好きそうな曲をお勧めしてくれるので、容易に新たな音楽に出会える。しかし、なんとなく契約が心理的に面倒で使ってこなかった。

 一方、Play Musicの場合、アカウントはすでにGmailで使っているものを利用するので、新たにアカウントを作成したり、クレジットカードの情報を登録したりせずとも、申し込みボタンをポチっとするだけで加入できる。そして、今ならずっと月780円で利用できるというプロモーションは、お財布のひもを緩めるのに十分なインパクトがあった。

買ったCDはApple Losslessで取り込んでiTunesで管理

 先に挙げた携帯型音楽プレーヤーに求める条件は、そのままiPod nanoの特徴である。人間、一度当たり前のものになると生活のレベルをそれより下げられなくなるのと同様、iPodやPCなども買い換えの際はグレードや機能性を落としたくない。

 小型/軽量というのは、だいたいiPod nanoと同じくらいならOKで、必ずしもそれより小さくて軽い必要はない。

 このiPod nanoには、今ではなくなってしまったがiPodにとっては伝統的と言っていい円形のクリックホイールが付いている。これを円形になぞれば音量調節ができ、下の方を押し込むと再生/停止、左右を押し込むと前/次の曲へと頭出しができる。iPodはカラビナ付きケースに入れて、ベルトのループにぶら下げていたので、「あ、今日はこの曲の気分じゃないな」というときは、片手で手探りで次の曲へと頭出しできる。これも、完全にこのスタイルである必要はないが、いちいち本体をポケットから出し入れしなくても頭出しできるものがほしい。

こんなケースに入れて、ズボンのベルトのループに引っかけて持ち歩いている。クリックホイールによって、画面を見ずとも頭出し操作ができる

 ALAC対応は外せない。今手持ちのCDは全部iTunesを使ってALACで取り込んであるからだ。これを全部再変換するのは思いやられる。そして、ALACでは3分半の曲で260MB程度になるので、ストレージサイズはそこそこほしい。実際、16GBでは所有している曲全てを転送することはできないので、新しいアルバムを買う度に、古いアルバムをiPodから削除している。

 ちなみに、iPodで通勤時に聞くのなら音質をそこまで気にする必要はなく、ロッシーなフォーマットにして、容量を稼げばいいのではという声もあるかもしれない。確かに、多少は電車の騒音も漏れ聞こえる環境で聞くのにロスレスにこだわる必要はない。ただ、静かな環境ではロスレスと300kbps程度のロッシー音源を聞き比べて違いを認められたので、iPodにもそのままALACで転送してある次第だ。

「ラジオ」を聴いて新しい曲に出会う

 と言うわけで、Play Musicに加入してみた。最初の1カ月は無料なので、気に入らなければ解約すればいい。アカウントは多くの人が所有しているであろうGoogleのものなので、即座に解約しても“作り損”ということにもならない。

Play Musicのトップ画面

 Play Musicには、新しい曲に出会う方法として、気分やシチュエーションなどに応じてお任せの曲が入ったプレイリストを再生したり、ヒットチャートを聞いてみたり、好みのアーティストを検索し、アルバムや曲単位で再生するといったものがある。ストリーミングサービスなので、ネットワーク(Wi-FiやLTEなど)の利用は必須だ。クラウドサービスなので、PC(ブラウザ)だけでなく、AndroidやiOS端末向けにもアプリが用意されている。

 左カラムのトップにある「今すぐ聴こう」を押し、少し画面をスクロールすると、これまで聴いたり、Play Musicにアップロード(アップロードについては後ほど詳しく紹介する)したアーティスト情報を元に、お勧めのアーティストやアルバムを紹介してくれる。

 まずは、洋楽ロック系にどんな曲があるのだろうと、「ステーションを見る」→「ジャンル」とクリックすると、「ビッグ・ヒット」、「J-Pop」、「洋楽ポップス」、「邦楽ロック/洋楽ロック」、「メタル」などと並んでいた。邦楽と洋楽が1つのジャンルにまとめられているあたりにやや不安を感じたが、とりあえず邦楽ロック/洋楽ロックを押してみると現われたのは、

・獲れたて! 邦楽ロックヒット
・疾走感重視〜風を味方に〜
・筋トレ集中メタル&ビート
・瞬時にフェス仕様
・ロックな孤軍奮闘モード
・ロックなサウンドと立ち飲みと
・クラシック・パーティーロック
・お祝い気分でハッピー・ロック
・ハイウェイ・ロックサウンド
・破壊的サウンドでストレス発散
・負けなかった今日の自分に
・シンセサウンドから“ひらめき”を
・90年代オルタナティブロック
・'80sトレーニング定番曲
・クラシックロックのギターソロ
・70年代ブリティッシュパンク
・80年代ハードコアパンクブートキャンプ
・おばけロックなハロウィンナイト

というリスト。ほとんどがピンとこない表現で、どういうアーティストの曲が入っているのか分からない。「90年代オルタナティブロック」というのはストレートで分かりやすいが、90年代以外も聴きたい。

邦楽ロック/洋楽ロックの中のプレイリストの一覧。イマイチ想像が付かないものが多い

 と言うことで、「ジャンル」を利用するのは早々に諦めた。代わりに「ラジオ」を使って、自分が好きそうなアーティストを探すことにした。このラジオというのは、Play Musicが用意するプレイリストのようなものだ。まず一度好みのアーティストを検索する。3,500万曲あるだけあって、筆者の好みの洋楽アーティストは網羅されているようだ。

 アーティストのトップページにはラジオボタンがあるので、これを押すとそのアーティストの曲から始まり、そのアーティストの曲を聴いている別のユーザーが聴いているほかの曲が順次再生される。一応具体例を挙げると、「Simple Plan」というバンドのラジオを起動すると、「Good Charlotte」、「Sum 41」、「Green Day」、「All American Rejects」、「Blink-182」、「All Time Low」、「Yellowcard」、「Fall Out Boy」などのバンドの曲がリストアップされ、順次再生が始まった。既に所有していた曲もあるので、ヘビロテで聴きたいと思った新規曲は10曲に1曲ほどだったが、そこそこいい線を突いてくるなという感じだ。

Simple Planのラジオを開くと、こういったアーティストの曲が順次再生される

 また、ラジオは再生している曲タイトルのオプションボタン(縦に点が3つ)からも起動できるので、初めて出会ったアーティストの曲で気に入ったものからラジオを起動し、さらに別の曲へと伝っていくこともできる。それぞれの曲に対しては「いい」、「悪い」の評価ができるので、それらのフラグを適宜立てることで、Play Musicに自分の好みをどんどん覚え込ませていくことができる。

 また、表示が小さくて目立たないのだが、今すぐ聴こうの画面にある「I'm feeling luckyラジオ」を押すと、ユーザーの嗜好に合わせた曲で構成されたラジオが立ち上がる。

 各ラジオの中身が気に入ったら、個人用の「プレイリスト」として「マイライブラリ」に保存することもできるので、検索し直したりしなくても、即アクセスできる(もっともプレイリストが増えすぎると、検索して探す羽目にはなるが)。

もちろん自分でプレイリストを作成することもできる

 このようにラジオを活用することで、新しい曲に出会うことができ、ヘビロテしたい場合は、プレイリストに登録してがんがん聴きまくるという目的は達せられることが分かった。先日、ちょうど無料お試し期間が終わりを迎えたが、そのまま課金して使い続けることにした。

曲のアップロードとダウンロード

 さて、そんなPlay Musicを使い始めてから知った重要な機能が1つある。それはモバイル端末への曲のダウンロードだ。Play Musicは、基本的にはストリーミングで音楽を楽しむサービスだが、ある条件を満たすと、曲をローカルにダウンロードもできる。

 その条件とは、曲のアップロードだ。ダウンロードするのにアップロードが必要というのは妙に聞こえるかもしれないが、Play Musicにはいわゆる音楽のロッカーサービスも含まれている。PCなどから自分がすでに所有している曲をPlay Musicのサーバーにアップロード(最大5万曲)すると、スマートフォンやタブレットなど、同じアカウントを利用している他の端末からその曲をダウンロードできるようになる。

 ただし、これはPCに限った話。モバイル端末(スマートフォン/タブレット)であれば、所有していなくとも無条件で全ての曲がダウンロードできるのだ。ダウンロードというまどろっこしいことをせず、スマートフォンで常にストリーミングで聴いてiPod代わりにできればいいのだが、毎日ストリーミングで聴いていたのでは、キャリアの通信制限に引っかかる可能性が出てくるし、飛行機の中など電波が通じないところでは聴くことができない。ダウンロードをしておけば、端末を機内モードにしても音楽を楽しめる。

 また、Googleのサービスだけあって、スマートウォッチであるAndroid Wearとの連携機能もある。1つは、Android Wearをスマートフォンのリモコンとして使うもので、曲の再生はスマートフォンで行なうが、停止/再生、頭出しはAndroid Wearで操作できる。過去、スマートフォンをiPod nano代わりにできないかとも考えたが、ポケットから出して画面を見ないと曲の操作ができないのが面倒で諦めた。でも、Android Wearなら常に手首に巻いているので、出し入れせずとも頭出しや再生/停止の操作ができる。

Android WearでPlay Musicを起動し、携帯端末で再生を選択
スマートフォンにダウンロードしてあるプレイリストが表示
再生中はアーティスト名、曲名が表示
Android Wearで音量調整や頭出しができる
実際にAndroid Wearをリモコン代わりに使っているところ

 それだけでなく、曲のダウンロードは、Android Wear端末に対して行なうこともでき、スマートフォンなしでも音楽が再生できるのだ。筆者は日頃Android Wearの「Zen Watch」を身につけているが、メッセージなどの着信を知るくらいにしか使っていない。活用しているとは言いがたく、宝の持ち腐れ状況だった。だが、これで音楽が聴けるのであれば、操作性などの面からほぼ完全にiPod nanoの代用になるだろうと思った次第だ。

Android Wearで音楽を聴く

 それでは、Android Wearを使った音楽の再生手順を説明しよう。

 その前に、先にモバイル端末であれば、あらゆる曲をダウンロードできると書いた。であれば、モバイル端末ならアップロードという行為は一切不要ではと思われるかもしれない。基本的にはその通りだが、Play Musicにない手持ちの曲をスマートフォンやAndroid Wearで聴きたいのであれば、アップロードが必要となる。

 ちなみに、ダウンロードするデータにはDRMの有無の違いがある。Play Musicからダウンロードされるのは320kbpsのMP3。アップロードした曲をダウンロードした場合、DRMはかかっていないので、その曲を他の端末にコピーすることもできるし、永続的に聴くことができる。一方、アップロード(所有)していない曲をダウンロードした場合、DRMがかかっており、他の端末へのコピーはできず、またPlay Musicからサインアウトしたり、契約を停止すると再生不能となる。つまり、無料期間にダウンロードしまくって、適当に解約して以後もそれを聞き続けるということはできないようになっているのだ。

 Android Wearにダウンロードするにあたっては、まずペアリングしているスマートフォンにダウンロードする必要がある。基本的には、アルバムかプレイリストの再生ボタンの左下に表示される「↓」(ダウンロード)を押せばいい。ただ、なぜか1曲単位ではダウンロードできない。そうしたい場合は、曲をマイライブラリに追加したあと、マイライブラリからその曲を辿ると、ダウンロードボタンが表示され、晴れてダウンロードできるという仕様になっている。スマートフォンにダウンロードした曲は、メニュー→設定ダウンロードの管理で確認できる。

再生ボタンの左下にある「↓」ボタンを押すと、曲をローカルにダウンロードできる
メニュー→設定→ダウンロードの管理を開いたところ。なお、ダウンロードは内蔵ストレージにもSDカードにもできる

 続いて、「Android Wearにダウンロード」にチェックを入れれば、スマートウォッチにも自動的に曲が転送される(言い換えると、Android Wearだけにダウンロードすることはできない)。その下の「Wearのダウンロードを管理する」をタップすると、不要なプレイリストはAndroid Wearから削除できる。Android Wearはスマートフォンと違って、ストレージの空き容量が2GB程度しかないので、何百曲も入れるわけにはいかないが、筆者のようにヘビロテで聴きたい100曲程度に限定するなら問題ない。

Android Wearにダウンロードをオンにすると、スマートフォンにダウンロードした曲がAndroid Wearにもコピーされる
Wearのダウンロードを管理するを開いたところ。時計アイコンがグレーのものは、スマートフォンにはダウンロードされているが、Android Wearからは削除したもの

 あとはWear側でPlay Musicアプリを起動すればいい。

 と言いたいところだが、Android Wearでの再生にあたって1つ必須のものがある。それは、Bluetooth対応のイヤフォン/ヘッドフォンだ。Android Wearにはオーディオ端子はなく、常に無線で音楽データを送信する。筆者は少し前にソニーの「XBA-A2」というイヤフォンを割と最近買ったばかりで、イヤフォンごとBluetooth対応モデルに新調するのは避けたかったので、同じくソニーのBluetoothレシーバー「SBH-50」を購入した。価格は5,980円だった。

 SBH-50は正確には、Bluetoothレシーバー+イヤフォンのセットだが、通常のイヤフォン端子があるので、手持ちのイヤフォン/ヘッドフォンを繋げば、それがBluetooth対応となる。Android WearとSBH-50をペアリングすると、無事Android Wearにダウンロードした音楽が聴けるようになる。

 SBH-50のいいところは、本体に音量と、再生/停止、頭出しのハードウェアボタンが付いていることだ。Android Wearは出し入れする手間はないが、頭出し操作は、画面をタッチ、1回スワイプ、次の曲ボタンを押すといったステップが必要だし、画面を見ないと操作できない。SBH-50なら、本体のクリップを生かしてポケットに留めておき、後は手探りで操作できる。まさにiPod nanoと同じ操作感を再現できた。

ソニーの「SBH-50」
イヤフォンも付属しているが、市販のものも接続可能
側面にある物理ボタンのおかげで、一切画面を見ずに操作できる
接続端末や曲名などが表示されるスクリーンも装備

 ただし、Android Wearで音楽を聴いているとバッテリの消費量が大きく増えるという問題はある。検証したところ、80分の往復通勤で、通常より25%ほどバッテリ消費量が増えた。これまでは、1日の消費量が50%未満だったので1日充電し忘れてもなんとかなったが、音楽を聴き始めると毎日の充電が必須となる。また、当然のことながら、Android Wearほど頻繁ではないにせよ、SBH-50も定期的に充電する必要が発生する(バッテリ駆動時間のカタログ値は連続再生約10時間)。

音質はどうなのか

 筆者がモバイルでの音楽試聴環境をiTunes+iPod nanoから、Play Music+Android Wearに移行できたもう1つの理由は、Play MusicがALACのアップロードにも対応している点があった。ただし、先に軽く書いたのだが、Play Musicで再生されるのは320kbpsのMP3だ。他の形式の音楽をアップロードした場合も、320kbpsのMP3に変換される。つまり、非可逆圧縮されるわけだ。

 これは懸念点だった。過去の経験から言って、192kbpsくらいまで下がると、解像感も音圧も大きく損なわれ、他にメリットがあっても移行を思いとどまるほど。しかし、ALACと320kbps MP3を聞き比べた結果、曲によっては低音と高音のバランスが悪くなり高音が目立って、大きめの音量だと耳障りとなるものもあるが、外で聞く限り大差ないと判断した。

 ちなみに、そもそもの目的である新しい音楽と出会いたいという点について、Play Musicでお気に入りの曲に出会ったら、その曲が収録されているアルバムCDを別途購入し、今もPCにALACで取り込んでいる。

 やや余談となるが、アップロードした曲のMP3変換は、厳密には置き換えの場合もある。筆者がCDから取り込んだとあるALACの曲をアップロードしたところ、元の曲では普通に収録されている英語の放送禁止用語の部分が、ボーカルだけミュートされていたのだ。これはつまり、Play Musicのサーバーでは、アップロードされた曲の指紋を検出し、同じ曲がサーバーにある場合は、MP3への変換処理を行なうのではなく、置き換えを行ない、それをユーザーに聴かせているということになる。本来なら、放送禁止用語の部分がミュートされているかどうかで、違う曲と判定すべきだとは思うが、その辺りは判定の甘さ、あるいはGoogleのポリシーがそのようになっているのだと推測する。なお、320kbps未満のMP3をアップロードすると、Play Musicのサーバーに存在している曲でも320kbps MP3への変換/置き換えは行なわれず、ダウンロードする時は元と同じビットレートのままとなる。

ミュージック マネージャでiTunesのプレイリストを同期

 もう1つ、iPodからAndroidへと移行することを後押ししたのが「ミュージック マネージャ」の存在だ。ブラウザのPlay Musicから曲をアップロードする場合、基本的にはフォルダ/ファイル単位で選択を行なうのだが、ミュージック マネージャを使うと、iTunesのライブラリを指定してアップロードできるのだ。アップロードだけでなく、ミュージック マネージャは、以降iTunesのライブラリに曲が追加されると自動的にアップロードを行なってくれる。つまり、Play MusicとiTunesの両立がうまくできるわけだ。Play Musicは、特に曲数やアーティスト数が増えると、プレイリストの管理があまりやりやすくないので、iTunesを引き続き使っている。

Play Music用のミュージック マネージャ

 iTunesで管理している曲をPlay Musicにアップロードして、それを各端末にダウンロードできるのであれば、後はiTunesもミュージック マネージャも使う必要がないのではと思われるかもしれない。しかし、Play Musicはあくまでもストリーミングサービスであって、PCのローカル音楽管理システムではないし、PC内のローカルデータは全く再生できず、CDの取り込みもできない。筆者のように、自宅ではロスレスで取り込んだ音楽を外付けスピーカーで聴きたいという向きには、Play Music導入後もiTunesなどのプレーヤー/管理ソフトが必要なのだ。また、UI的にも曲が多数あると、Play Musicではいろいろと曲を選んでプレイリストを作成するのがやりにくいので、iTunesを併用できる方がありがたい。

 Play Musicへのアップロードは、ミュージック マネージャを使わずともできる。ブラウザでPlay Musicを開いて、メニューにある「音楽をアップロード」を押して、フォルダを選択すればいい。ただし、この場合は、以降曲をローカルに追加しても、Play Music側には自動アップロードされない。代わりに、メニュー→設定→このパソコンの音楽→「曲を追加」を押し、「iTunesから音楽を追加」を選び、「新しい音楽をこれらのフォルダに追加した際は、常にGoogle Playを最新の状態にする」にチェックを入れておくと、ミュージック マネージャと同等の機能となる。Chromeを使う場合、こちらを利用することが推奨されているのだが、この方法ではWMA形式の曲をアップロードできないので、ミュージック マネージャを使った方がいいだろう。なお、ミュージック マネージャを使っても、DRM付きの曲や、WAV/AIFF/RAなどのファイルはアップロードできない。

 ちなみに、Play Musicへは、曲だけでなく、評価や再生回数も引き継がれる。ただし、これらのiTunes-Play Music同期機能は簡易的で、一方的なものだ。iTunesでプレイリストが作成されたり、プレイリストに曲が追加されるとPlay Musicに自動的に反映されるが、その逆は行なわれない。また、iTunesでプレイリストから任意の曲を削除した場合もPlay Musicには反映されない。同期されるのは、曲が追加された時だけなので、このあたりは運用で工夫する必要がある。

Play MusicにもiTunesとの簡易同期機能はあるが、アップロードできる曲の形式に制約がある

 最初は新しい音楽に出会いたいという目的だけでPlay Musicを利用し始めてみたわけだが、期せずして新しい音楽プレーヤーに乗り換えられない問題も解決してくれた。

まとめ

 と言うわけで、自宅外での音楽試聴環境を、6年間使ってきたiPod nanoからPlay Music+Android Wearへと乗り換えた。前述した、小型/軽量である、画面を見ずに曲の頭出しができる、Apple Lossless(ALAC)に対応する、ストレージ容量が16GBより大きいという点について、3つ目と4つ目は達成できていない。

 しかし、音質についてはALACでも320kbps MP3でも電車の中で聴く分にはあまり気にしなくていいという点と、母艦となるPCにはALACを残したままアップロードしたり、プレイリストを使い回せて煩雑な移行作業が不要という点で、不満なく乗り換えられたと思っている。

 ストレージ容量はAndroid Wearだと2GB程度だが、スマートフォン側にはSDカードの容量分入れられるし、ヘビロテする曲以外はダウンロードしておかなくとも、ストリーミングを使えば(電波さえ通じれば)いつでも3,500万曲から好きな曲を選んで聴くことができるということで、ストレージ容量はむしろ実質増えたと感じている。

 Android Wearまで使ってわざわざ音楽を聴こうと思う人は少数派だと思うが、携帯音楽プレーヤーとしてスマートフォン+Play Musicはありだと思う。残念ながらすでに月額料金は980円になっているが、それでも新しい音楽に出会う機会を与えてくれるという点も加味し、この料金に見合う価値はあると言っていい。

 この記事を読んで関心を持ったら、ひとまず1カ月無料で試してみるといいだろう。

(若杉 紀彦)