買い物山脈

ASUS「VivoTab Note 8」

〜8型タブレットはVAIO type Pの代わりになるのか

品名
ASUS「VivoTab Note 8」
購入価格
49,800円(10%ポイント還元)
購入日
1月24日
使用期間
約3週間
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

 実に1年半ぶりにWindowsマシンを買った。ASUSの8型Windowsタブレット「VivoTab Note 8」だ。日本エイサーの「Iconia W3-810」から始まった8型タブレットのブームだが、SilvermontアーキテクチャになりCPU/GPU性能ともに大幅に向上したAtomでさらに勢いづいた。VivoTab Note 8でついに筆者も、新しいAtomの性能を体験することになった。

 あらかじめ言っておこう。8型Windowsタブレットを購入した人の大半は、きっと艦娘達をこよなく愛する“廃提督”だ(断言)。「いつでもどこでも艦娘達に会いたい」、それの実現を理由に、軽くて持ち運びやすい安い8型のWindowsタブレットを買っている。

 でも残念ながら筆者は艦娘をこよなく愛する提督ではない。タブレット端末に関するニュースやレビュー記事が出る度に、艦娘達が大破している動画を掲載しているので、読者からは「インプレスの記者も提督か」などと言われるだろう。しかしそれはあくまでも端末の性能を評価する上で娘達をこき使っているだけだ。

 おっと、そんなことばかりしているから、A1SAi-2750Fの評価中に赤城さんが轟沈してしまったのではないか。私としたことが(お前はサーバー向けのマザーボードで何をしている)。

 ……まあいい。とりあえず新しいAtomは、艦これを快適にプレイする上で最低のラインになることが分かった。次はAMDのA4-1200の置き換えとなる新しいエントリーAPUか、VIAからまったく新しい設計のCPU、Tegra K1搭載のSurfaceでも出ない限り、筆者の記事で娘達がベンチマークとして登場する番はもうなさそうだ(当然だが、VivoTab Note 8では快適に動いたことはお伝えしておきたい)。

8型にすぐ飛びつかなかった理由

 とにかく小型PCが好きな筆者にとって、新Atomの低消費電力や長時間バッテリ駆動、そして高性能は魅力的だ。でもタブレットにはどうしても食指が動かなかった。

 理由はいくつかあるが、職業柄キーボードが必須であるということが一番大きい。コンテンツを見るだけなら確かにキーボードなしでもまったく問題ないが、筆者はテキストコンテンツを生成する側なのでキーボードがないと非常に困る。

 iPhoneのような大きさの端末なら、タッチスクリーンのQWERTYキーボードを親指でタッチするだけで十分快適にタイピングできる。しかしタブレットになると、親指ではちょっと届かない、でも普通に手を置くとちょっと小さい、という中途半端なサイズで、どうもこれが性に合わないのである。

 しかもiOSやAndroid、WindowsのモダンUIのようにタッチキーボードが前提のUIならば良いが、Windowsのクラシックデスクトップ環境ではそうなってないことが多く、Webブラウザのテキストボックスに入力しようとしたらすごく狭い画面で入力させられる、というのもストレスである。

 それとキーボードが付くクラムシェルノートのもう1つの利点は、膝の上、つまりラップトップで使えることだ。筆者は当然発表会に出かけることも多いのだが、発表会で100%机が用意されて保証があるならともかく、椅子しか用意していない発表会もある。こういった場合でもラップトップの方が使いやすい。

 というわけで、筆者は新型Atomを搭載した「VAIO type P」に期待することにした。キーボード搭載で600g台、ポケットにも入り、2,560×1,080のウルトラワイド液晶を搭載。ワイド性能を大幅に向上させながら10時間駆動できちゃう、そんな夢のノートPCが出たら10万円どころか20万円でも買うぞ。そう意気込んだ。Twitterでプロユーザーを見渡しても、新型VAIO type Pへの期待の声は大きい。

 でも、ライター陣からは「出ないよそんなもん、出るわけじゃないじゃん」と言われるばかり。そして気づいたら、ソニーがVAIO事業を日本産業パートナーズに譲渡してしまった。別に新会社になって期待していないわけじゃないが、出るにしてもしばらく時間かかりそうである。

デジタイザ搭載で心が揺らぐ

VivoTab Note 8に搭載されるスタイラス

 VivoTab Note 8がほかの8型と同じごくごく普通のタブレットだったら、おそらく最軽量のMiix 2 8か、3GのSIMが刺さるVenue 8 Proに行ってしまったことだろう。しかし本製品にはワコムのデジタイザが搭載されており、1,000段階以上の筆圧に対応したペン入力が可能だというのではないか。これは筆者にとって意外な展開である。

 実は筆者は中学校で美術部出身。とは言え、別に絵が上手というわけではなく、単に絵が好きなだけなのである。「Intiuos4」を買ってみたりもした。ただ、紙にしか絵を描いたことしかなかった筆者にとって、手元で描いて画面に筆跡が現れるというペンタブレット独特の感覚は、最初から最後まで馴染めなかった。だから画面にそのままペンで描いた筆跡が現れる本製品は魅力的に感じたのだ。

 もちろん、ペンタブレットでもちゃんと絵を描ける人は存在し、「弘法筆を選ばず」という諺もあるわけで、絵が下手なのをペンタブレットのせいにするつもりはない。単純に筆者がデジタルで描くセンスがないだけである。絵を描く時間もそれほどないので、デジタイザ付きの本製品を買った本当の理由を挙げるならば、「タッチしたと思うようなところがなかなかタッチされない」問題が解消される程度である。

 問題はキーボードだが、しばらくはBluetoothキーボード+折りたたみスタンドでどうにかしようと思った。スクリーンキーボードに比べれば、実用レベルだ。もちろんラップトップでは使いにくいままだが、そこは若さと気合でなんとか乗り切れるのではないか。そうすればVAIO type Pに近いところまで持っていけるのではないか、そう思ったのである。

 CESで展示されず、リリースもこっそり発表されたため、「日本への投入はずいぶんと先だろうなぁ」と思っていたのだが、1月23日になって突如ヨドバシカメラとソフマップ、ビックカメラで予約開始。24日にも発売が決まった。すかさず予約を入れる。発売日に到着し、即日売り切れとなったので、筆者の選択は正しかった。

最終的に4モデルに増えたが、先行発売のM80TA-DL64Sが一番お得?

 ヨドバシカメラ、ビックカメラグループで容量64GB/Office Home and Business 2013付きの「M80TA-DL64S」が先行発売されてから約1週間、そのほかの量販店で容量32GB/Office Personal 2013になった下位モデル「R80TA-DLPS」、そしてAmazon専用モデルなどが現れ、2月下旬から発売されると発表された。

 Amazon専用のWindows 8.1 Pro搭載モデル「M80TA-DL004PS」や最廉価の「R80TA-DLPS」はさておき、OfficeがPersonalとなりスリーブケースが付属する「M80TA-DL004HS」が45,800円というのは、一瞬グラっと来た。ただよくよく考えてみればPowerPointの有無は大きいし、10%ポイント還元されるので実質44,820円。そのポイントで専用スリーブケース(2,780円)を購入してもお釣りが来るので、別途Bluetoothマウスなどを揃えられる。結果的にM80TA-DL64Sを先行で買った人の大勝利、と言ったところ。

 一方、“お絵かき提督”ならば、R80TA-DLPSというのも悪くない。筆者は既にファイナルファンタジーXIをインストールすることを決めていたので(インストールサイズ10GB程度)、32GBモデルは最初から除外した。

【表1】VivoTab Note 8仕様比較
型番 M80TA-DL64S R80TA-DLPS M80TA-DL004HS M80TA-DL004PS
販売店 ビックカメラグループ(コジマ、ソフマップ、ビックカメラ)、ヨドバシカメラ エディオングループ、ケーズデンキ、上新電機、ツクモ、ノジマ、PCデポ、ベスト電器、ヤマダ電機 Amazon.co.jp
価格 49,800円(10%ポイント還元) 39,800円(1%〜10%ポイント還元) 45,800円 59,800円
発売日 1月24日 2月下旬 2月28日
CPU Atom Z3740(1.33GHz、ビデオ機能内蔵)
メモリ 2GB
ストレージ 64GB 32GB 64GB
液晶 1,280×800ドット、ワコムデジタイザ搭載、マルチタッチ対応
OS Windows 8.1(32bit) Windows 8.1 Pro(32bit)
Office Home and Business Personal Home and Business
そのほか - リカバリmicroSDカード付属 スリーブケース付属 -

使い勝手はどうか

 同等の性能を持つタブレットは既に多くレビューされているので、改めてベンチマークをする必要はないだろう。他社のAtom Z3740搭載タブレットとは大差ないと思われるが、唯一、3DMarkのFire Strikeが完走しなかった。いずれにしても、通常利用では十分に快適である。

 社内で8型タブレット3機種の、CPU-Zで取得した仕様を参考までに掲載しておく。こうしてみると意外な差があることが分かる。

【表2】CPU-Z情報比較
VivoTab Note 8 Miix 2 8 Venue 8 Pro
CPU Atom Z3740 Atom Z3740 Atom Z3740D
最低クロック 533MHz 533MHz 533MHz
最高クロック 1.86GHz 1.86GHz 1.83GHz
ベースクロック 133MHz 133MHz 83MHz
VID最低 0.36V 0.36V 0.36V
VID最高 0.59V 0.58V 0.58V
メモリクロック 1,066MHz 1,066MHz 1,333MHz
CAS 8 8 9
tRCD 8 10 7
RP 8 10 7
tRAS 32 23 15
SDP 2W 2W 2.2W

 注目のデジタイザだが、標準でも普通に利用できるものの、筆圧に対応させるためにはワコムのサイトから別途feel IT対応ドライバをダウンロードする必要があった。当初これに関する説明がどこにもなかったので、なぜ筆圧対応のソフトで筆圧が反応しないのかと焦ってしまった。

 反応は概ね良好で、補正を行なえばそれほど視差なくデジタイザ操作できる。ただ、いくら補正しても正面のASUSのロゴ付近は実際のペン位置とカーソルの位置が大きく乖離するのが気になった。また、エッジに行くほど精度が低下する傾向があるようだ。この辺りはさすがにプロ専用のIntiuos4などとは比較できないが、そもそもキャンパスを画面の中央に置いて描くのが大半だから、カジュアルに描く程度なら問題ない。

中央付近では視差は少ないが、ASUSのロゴ付近はかなりの乖離がある

 さて、本製品を購入したきっかけになったこのデジタイザだが、とりあえず3週間の利用で、お絵かき時以外に使うことは結局なかった。タッチパネルの精度がIconia W3-810から上がっているからか、一般的なデスクトップ操作でストレスが溜まることはなかった。

 こう書くと「じゃあ最初からデジタイザなしのMiix 2 8でよかったのでは」と言われるかも知れないが、Miix 2 8がモノラルスピーカーなのに対し本製品はステレオスピーカーで、ゲームプレイや動画再生時のサウンドが気持ち良い、と理由を後付けしておくことにする。

 もう1つ、“ファイナルファンタジーXIをプレイできるマシンとして最小”として期待していたのだが、結局これは快適に動作はしなかった。CPUパワーは十分だと思うのだが、なぜかどのシーンでもカクついてしまう。以前レビューした「HP Pavilion10 TouchSmart 10-e000」ではここまでカクつくことなく快適だったので、3Dゲームに関してはGPUに一日の長があるAMDマシンが良い、ということだ。残念。

Asphalt 8:Airboneは新しいAtomのグラフィックス性能を活かせるタイトルの1つ。ちなみにTegra 3搭載のAndroidタブレットでも重い

 ただ、Gameloftのレースゲーム「Asphalt 8:Airbone」はグラフィックスが綺麗ながらも、かなり快適に動いており、一概にGPU性能が低いというわけではないようである。Intel HD Graphics 4000では一時期キャラクターが表示されていないバグがあったことを考えると、ドライバがファイナルファンタジーXIに最適化されていない、という理由の方が大きいような気がする。

 キーボードはエレコムの「TK-GMFBP043」、マウスはサンワサプライの「MA-BTLS21」を購入。いずれもInstantGo対応とは特に謳われていないが、ペアリングさえ済んでいれば、スイッチを入れればS0xサスペンド時でも瞬時に接続してくれ、キーを入力/マウスを動かすだけで復帰してくれるので便利だ。通信も特に支障なく行なえ、今のところ満足+快適そのものである。スタンドはパソコンハウス東映で見つけた200円の激安品だ。こちらは最低限の機能を最小にまとめた感じが良い。

 Bluetoothキーボード+タブレットならではの使い方だが、キーボードは手前、スクリーンを斜めの離れた位置に置くといったフォルムも可能になる。紙の資料などが混在する取材で、机の上のレイアウトの自由度が高まってなかなか便利だった。

エレコムの「TK-GMFBP043」。最大9台までのデバイスとペアリングできる便利なBluetoothキーボードだ。USB接続が可能なのもポイント
サンワサプライのBluetoothマウス「MA-BTLS21」。コンパクトで持ち運びやすい
クラムシェルでは不可能な、スクリーンとキーボードをちょっと離しての操作
パソコンハウス東映で購入した格安のタブレットスタンド
スタンドとして機能を最小限の重量とサイズに抑えたのがポイント

ケースを自作する

 さて、VivoTab Note 8を買ったところで、当然毎日持ち歩くことになるのだが、そのまま普段背負っているバッグに入れると、ファスナーの部分で本体にキズが付きそうだったので、ケースを自作することにした。

 まず、表面の布および裏地を新宿のオカダヤで調達。裏地を外にしてフタの部分を縫いつけ折り返す。そして続けて表面を内側にして残りの裏地を縫い付ける。その後、表裏を返せばケースが完成する。

 ちょっとした、オシャレとしてASUSのロゴも入れることにした。VivoTab Note 8にASUSのロゴを左右反転表示させ、薄めのA4用紙でロゴの輪郭をなぞる。その後紙を布の裏にノリで貼り付け、なぞった輪郭に沿ってハサミでロゴを切り取る。ボンドなどの接着剤でケース表面につければ完成だ。

 耐衝撃性などやや疑問に残る部分もあるが、とりあえずキズを防ぐという意味での役割は十分に果たせると思う。標準で用意されるスリーブケースと比較すれば薄型で軽量だし、何より自分の好みのデザインにできるのは良い。

母親の手を借りながら、ケース完成
本体+microSDカードの重量は実測392g
ケースに入れると合計487g、つまりケースは95g

ついに夢が実現、モバイルバッテリ併用で驚きの30時間超駆動

 実はAtomが登場した当初から、筆者は兼ねてより長時間駆動を夢見ていた。しかし初期のAtomの消費電力は期待したほど低くなく、結果として1.4kg程度のノートPCでも6時間〜8時間駆動と、同時期のメインストリーム向けCPU搭載ノートと同程度に留まっていたのである。

 ところがBay Trail世代ではARMのスマートフォンやタブレット並みに消費電力が減り、10時間を超えるバッテリ駆動時間が当たり前になった。また、Micro USBによる電源供給も可能となり、さらにはUSB対応のモバイルバッテリの大容量化によって、長時間駆動がより現実的になったと言える。

モバイルバッテリと合わせて、30時間駆動を実現

 今回、Amazonで人気を博している「cheero Power Plus 10400mAh DANBOARD Version」(いわゆるダンボーバッテリ)を購入。本体内部のバッテリともにフル充電にした後接続し、まずはダンボーバッテリから給電した状態でBBench(Wi-Fi/Bluetoothオン、キーストロークオン、Web巡回オン)を行なってみた。

 長時間のベンチマークになることは分かっていたのだが、結果としてダンボーバッテリのみで18.9時間、内蔵バッテリで11.5時間稼働し、結果として合計なんと約30.4時間稼働した。VivoTab Note 8の重量は実測で392gで、ダンボーバッテリとMicro USBケーブルを組み合わせた場合は676g。つまり、わずか676gで約30時間ものバッテリ駆動が可能なPCが手に入ったことになる。

 ちなみに筆者が自作したケースは95g。そこにスタンド、キーボード、マウスを組み合わせてみたところ、実測で1,133gだった。重さの大半がバッテリ(というか電池)という点がやや気にかかるところだが、ほぼ30時間駆動できるフルPCの環境をわずか1kg弱で持ち運べるとは、ようやく筆者が期待していた、いい時代がやってきたと実感できるものである。

ダンボーバッテリと接続する
システム一式を持ち歩いた場合の重量

使い込めば使い込むほどVAIO type Pの再来が待ち遠しい

 この3週間ほど、バッグに入れて毎日持ち歩いてみたが、電車の中でiPhoneを使うスタイルが定着した筆者にとって、2009年にVAIO type Pが筆者にもたらした“手放せないPC”の代わりにはなり得なかった。家ではFacebookのチェックやAsphalt 8を快適にプレイできるゲーム機代わりとして使っているが、会社や移動中で電源を入れることはほとんどない。

 VAIO type Pはポケットから引っ張り出して開けばそこにキーボードがあり、サスペンドから復帰してすぐに使えるスタイルになる。機動性はとにかく高い。だからPCを起動するというより、ちゃんとしたキーボードが付いたスマートフォンを起動するという感覚で使えた。

 しかしVivoTab Note 8をノートPCとして使おうとすると、まずは本体を取り出して、キーボードとマウスを取り出して、スタンドに立ててから、キーボードとマウスの電源を入れ、そこからサスペンド復帰させて、ようやく使えるスタイルとなる。別にそこまで切羽詰まるほど急いでいるわけじゃないが、たかがPCを使うためにいろいろ“儀式”を行なわなければならないのは、何かと壁がそこにある気がする。

 ちなみに、“手放せないPC”VAIO type Pだったが、Windows 8登場前に手放してしまっている。理由は単純で、性能がまったく自分の要求に追いつかなくなってしまったからだ。いくらフォームファクタが先進的でも、性能が需要を満たせなければ使い物にならないのがPCの世界である。ただ、性能が時代遅れになっても、フォームファクタが時代遅れになるとは限らない。だからこそ、VAIO type Pライクなマシンの再来を、今も待ち望んでいる。

(劉 尭)