たぶん生涯最後のノートPC「レノボThinkPad X201i」
〜Core i5のThinkPadがこの価格とは!



品名 レノボ「ThinkPad X201i」
購入価格 120,435円
購入日 2010年8月4日
使用期間 約1週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

 妻の仕事の都合で、軽量のPCが必要になった。最初は「VAIO Pシリーズ」あたりを買ってやろうと思ったのだが、Officeが絶対に必要ということもあり、CTOモデルで見積もりすると10万円程度になってしまう。確かに小型/軽量ではあるが、妻の性格だとAtomプロセッサでは、速度的にとても満足できないだろう。またこのスピードで10万!? という抵抗も感じた。

 妻は筆者が普段モバイル用途で使っている「VAIO Type T」(VGN-TZ93NS)を時々持って行って、特に不満はないということなので、そっちを妻に譲り、筆者用のノートPCを新調する、ということで話がまとまった。筆者としては棚ぼたの儲けものである。

 PC Watchに登場するライターさん達と決定的に違うのは、筆者は外出先で原稿を書いたりしないということである。急遽喫茶店に飛び込んで原稿を書くことになった、なーんて話が書けるとライターとしてはかっこいいのかもしれないが、それは単に自分がうっかりして締め切りを忘れてただけじゃないのか、え? どうなの? と思う。筆者はその辺非常にキッチリキッチリした人なので、締め切りを破ったりはしないし、うっかり原稿を忘れてたなんてことはない。たまに前倒しして書いたものを締め切り日に送付するのを忘れた、というのが年に2〜3回ぐらいある程度である。

 さらに最近は、取材や打ち合わせにほとんどノートPCを持って行かなくなっている。iPadやiPhoneとBluetoothキーボードがあれば十分になってきているのだ。筆者はPCがあればなんでもできる、という考え方ではなく、用意周到に小型の専用機をいっぱい持ち歩く、ガジェット野郎なんである。

 したがってノートPCが必要になるのは、講演でしゃべるときのパワーポイント出しとか、Ustreamで中継しに行くとか、審議会の模様を「tsudaる」とか、突発的にガッとPCのパワーがいるようなケースのみである。しかしそれも今後、スマートフォンをはじめとするモバイルガジェットが性能アップすれば解決しそうだ。

 だから、実はこれからの人生で、10万円を超えるノートPCを買うのはこれで最後なんじゃないか? という気がしている。そんな気持ちで選んで、たどり着いたのがレノボ・ジャパンの「ThinkPad X201i」(以下、X201i)である。

●思い出のThinkPad

 購入にあたり、ネットブックでは性能が足りないことはわかっていたので、最初は各社から出ているCULVノートを検討していた。ASUSTeK、日本エイサー、HP、東芝、デルあたりを調べていたのだが、TwitterでThinkPad X201iはどうか、と勧められた。ThinkPadはLenovoに買収されて以来まったく眼中になかったので、改めて調べてみることにした。

 実はThinkPadは筆者にとって、思い出深いシリーズである。ずっと昔、ThinkPad 535というモデルを使っていたことがある。1996年のことだ。

 ちょうどその頃、筆者はTV番組のCG屋として生計を立てていたのだが、レンダリングの待ち時間を利用した副業の物書きのほうが軌道に乗り始め、しまいにはハイエンドデスクトップ機より535のほうが稼ぎがいいという状況になってしまった。思えば物書きで食おうと決心したPCが、ThinkPadだったわけである。

 そもそもデカイPCはいらないと思っていたので、現行モデルの中ではX100eかX201iくらいしかなかった。たぶん最後に買うノートPCになるのなら、おそらくこのまま3年以上、下手すれば5年ぐらい使い倒して終了になるだろう。そうなるとCPUは、現状の使い道ではオーバースペックでも、そこそこ速いものにしておいたほうが長く使えるはずだ。というわけで、選択肢としては真ん中あたりのCore i5-540Mを中心に見積もりしてみた。

 するとメモリを4GB積んでも、12万円程度で収まることがわかった。Atom ZのVAIO Pに10万出すことを考えれば、十分安い。筆者が外で使うぶんには、別にMicrosoft Officeは必要ないので、この値段で済むのである。必要になった時に、PowerPointだけ買ってもいい。さらに今ならキャンペーンで限定500台に、ウルトラベースが無料で付いてくるという。最終的な仕様は以下の通り。

【表】BTO構成
CPU Core i5-540M
メモリ 4GB PC3-8500 DDR3 (2スロット使用)
HDD 250GB/5,400rpm
ディスプレイ 12.1型液晶 WXGA LEDバックライト
グラフィックス Intel HD Graphics
キーボード 英語キーボード
ポインティング・デバイス ウルトラナビ(TrackPoint+タッチパッド(マルチタッチ対応))
Bluetooth 内蔵
無線LAN ThinkPad b/g/n ワイヤレスLAN(Wi-Fi準拠)
初期導入OS及び言語 Windows 7 Home Premium 64 正規版 - 日本語
バッテリ X200 6セル拡張バッテリ
ドッキングデバイス ThinkPad ウルトラベース X200

こだわりの英語キーボード

 個人的に決め手となったのは、無料で英語キーボードに変えられるということだった。別に有料でもいいから英語キーボードに変えられればほかのメーカーでもよかったのだが、検討メーカーの中ではそのようなオプションは用意されていなかった。

 強いて挙げれば、VAIOオーナーメイドぐらいである。「VAIO Z」シリーズを薦めてくる友人もあったが、「高っけえよ!」というと「そのとおり!」と即答するので、張り倒してやろうかと思った。VAIO Zは確かにいいマシンだが、人には薦めても自分では買わないPC No.1なのかもしれない。

●実機がない!

 さて、いざ注文という前に、一度ぐらいは実機を触ってみたいというのが人情である。ThinkPadなのでキータッチは悪くないとは思うが、IBM時代とは違うかもしれないので、そのあたりを確認しておきたかった。また実際の重さもよくわからない。VAIOのCTOページでは重量もシミュレーションしてくれるのだが、レノボはそこまではやってくれない。

 ThinkPadならそこそこ大きな量販店に置いてあるだろう、と新宿界隈の量販店をいくつか覗いてみたのだが、大型ノートの店頭モデルがちょぼちょぼと置いてある程度で、X201シリーズは置いてなかった。以前ならばThinkPadと言えば、ノートPCの一大勢力だったわけだが、もはや店頭販売というスタイルからは離れた商売になっているのだろう。時代は変わったなあと店頭で1人感傷的になりつつ、しょうがないので現行機種のキーボードをいくつか触り、ラインナップのグレードからたぶんこれと同じかなあ、という漠然とした感触を得ただけで満足しなければならなかった。

 後にPC Watch「ユビキタス情報局」連載中の笠原君から、ヨドバシAkibaに置いてあったという情報をゲットしたものの、すでに注文した後だった。

 8月4日に注文し、工場からの製品出荷のメールが届いたのは9日のことだった。土日を挟んでいるので、実際には3日程度で製造/出荷されたことになる。まあ中国の工場が土日休みなのかは知らないのだが。

 「そこから自転車で運んでくるから超時間かかる」とか、「受け取って初期不良を修理に出して戻ってくるまでが本当の納期」とか、さんざんTwitter上で脅かされたが、実際には13日に届いた。コンテナごとにまとまってから輸出されるので、日本に届くタイミングはまちまちだそうだが、注文して10日で届くなら、ほぼ期待どおりである。

 ただしその間、オンラインのトラッキング情報はまったく更新されず、モノが届いた日に見ても、まだ出荷されていないことになっていた。さらに到着して1週間経つ現在も出荷中になっており、何かの間違いでもう1台届くのを期待しているところである。

●ThinkPadの魂は変わらず

 PC Watch内のコラムでありながら、ここに至るまでまったくPC本体のことを書いてないのもいかがなものかと思うので、少しは触れていこうかと思う。

 懸念したキーボードだが、IBM時代のものからすれば若干タッチが安っぽくなったような気がするものの、現在のノートPCの中ではかなり上質のほうだろう。D、Fキーのあたりに多少たわみがあるほかは、しっかりしている。最近はアイソレーション型が評判がいいのか、そっちばかりが増えているが、筆者は普通のキーボードのほうが打ちやすい。

キーボードライト。ああそういう事ですか

 キーボードの文字がバックライトで透けて見える構造というのも、人気が高い。X201iのスペック表にもキーボードライトと書いてあったので、てっきりキートップ透過型なのかと思ったが、なんと液晶ディスプレイの上部に、キーボードを照らすLEDライトを仕込むという方式であった。確かにキーボードライトには違いないが、なんとなくダマされたような気がしないでもない。

 大型のThinkPadは、キーボードとヒンジの間に、なんだかわけのわからぬ専用キーがごちゃごちゃあるのがヤな感じなのだが、X201iは電源とボリュームと「ThinkVantage」というボタンがあるのみで、すっきりしている。ThinkVantageボタンを押すと、メンテナンス用ユーティリティが起動するほか、BIOS起動時に押すと、リカバリモードで起動する。

 手前にあるメモリーカードスロットは、3in1カードリーダーという触れ込みだったが、何と何の組み合わせの3in1なのか、どこにも説明がないままである。サイトにもないし、説明書にもない。SDカードは読み込めるのは確認したが、メモリースティックデュオを入れたら、そのままズボッと奥まで入ってしまって、出てこなくなった。しょうがないからピンセットでつまみ出したのだが、未だにほかは何が読めるのか謎である。いつかわかる日が来るのだろうか。SDとMMCとSDHCの3つだったらどうしてくれよう。

 液晶ディスプレイは、上方向からの視野角が狭く、若干通常よりも倒し気味にすると高コントラストになる。このあたりが値段相応という事なのかもしれない。ヒンジ部分はむき出しの金属で、これは近年のThinkPadに共通してみられる作りである。また液晶へつながるフレキケーブルが、背面からみると丸見えなのも相変わらずだ。この隙間に薄い紙でもスッと入ってスパッとやられたらアウトだと思うのだが、これまでそういう事例はないのだろうか。

謎の3in1カードリーダー 割と無防備な液晶ディスプレイのフレキケーブル部分

 バックライトは今流行のLEDだが、最大にするとかなりの輝度になり、十分満足いくレベルである。ただ輝度を上げると、バッテリの残量時間がみるみる減っていくので、かなり電力を食うようだ。バックライトのこまめな調整が、バッテリ延命のコツになると思われる。

 結局買ってみるまでわからなかった重量に関しては、6セルのバッテリ込みで1,515gと、予想よりちょっと重かった。今どきのPCなので1,300gぐらいかなと思っていたのだが、バッテリ抜きの本体だけで1,188gある。半分の3セルバッテリならそれぐらいになるかもしれないが、バッテリが保たないのもまた面倒である。

 この6セルバッテリで「パワー源最適化モード」時、バッテリゲージではだいたい4時間と出る。ただ残量時間の計算はものすごく曖昧なので、使っている間に6時間を越えたり3時間になったりと、あまり当てにならない。体感では連続使用で4時間程度、休み休み使えばほぼ1日は持つ感じだ。CPUパワーも、原稿と写真処理程度であれば、省電力モードでも今のところ十分なパフォーマンスである。

 マウス操作に関しては、トラックポイントを使わなくなってもう10年ぐらい経つので、ついつい指はタッチパッドのほうに伸びる。タッチパッドは右端をなぞると縦スクロール、下をなぞると横スクロール機能があるが、感度の問題なのか、なめらかさが足りないように思う。またこのタッチパッドはマルチタッチにも対応しており、ピンチ動作で縮小/拡大表示ができる。ただこれも感度の問題があるのか、片手で人差し指と親指でやろうとすると、上手く動かない。人差し指と中指とか、右手左手の人差し指とかだとうまく動くので、細い指しか感知できないのかもしれない。

 無料で付いてきたウルトラベースは、作りに高級感こそないものの、とても軽量で、機能としてはなかなか興味深い。これにドッキングするとUSBポートがさらに4つ拡張できるほか、本体にはないDisplayPortが利用できる。

 左側には、別バッテリを充電できるポートもある。右側は光学ドライブを別途スロットインで増設できるようだ。ドッキングしてデスクトップ並みに拡張できるのは、将来ノートPCとしての役目が終わったときに使えそうである。

 おもしろいのは、ウルトラベース側にもスピーカーが付いていることである。ノートPCのスピーカーにはそこまで誰も期待していないように思うが、確かにドッキングしてしまうとスピーカーもふさがってしまうので、わざわざ付けたのだろう。

軽量でも機能的には「大盛り」のウルトラベース バッテリをもう1本別に充電できる
光学ドライブも増設可能 わざわざスピーカーも別のものが付いている。そこまでがんばらなくても…
●総論

 X201iのキーボードは、さすがにThinkPadという感じである。本格的な原稿執筆はこのコラムが初めてになるが、感触、速度的にも十分だし、コストパフォーマンスは非常に高い。外観もシンプル、ソフトウェアも余計なものは入っていないし、まさにこなれた電子文房具たる趣がある。

 だが細かいところを見て行くと、やはり値段相応というか、昔の高級PCであったThinkPadとは作りが違って、ボディの部材や作りにはコストダウンの跡が随所にみられる。そのあたりの価値観を捨てることができるかが、満足できるかどうかの境目になるだろう。

 法人採用が多いThinkPadではあるが、個人でわざわざ選ぶというのもなかなか渋いと思う。今そこそこ速いノートPCを探すなら、レノボは結構穴場ではないかと思う。

(2010年 8月 27日)

[Text by 小寺 信良]