日本エイサー「S221HQLbid」 ~Twitterクライアント「HootSuite」が快適に使えるディスプレイを探す |
品名 | 日本エイサー「S221HQLbid」 | |
購入価格 | 19,325円 | |
購入日 | 2010年7月10日 | |
使用期間 | 約2カ月 |
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。 |
2年ほど前にアカウントを取得して以来、使ったり使わなかったりを繰り返していたTwitterを、今年の頭からようやく常時活用するようになった。以前はどのような位置づけで活用すべきかいまいちピンと来なかったのだが、フォローしている人数が200人を超えた頃だろうか、確かにこれまでとは違った種類の幅広い情報が集まってくることを実感するようになった。仕事と関係するところ、しないところも含めて、今では日々の生活に欠かせないツールとなっている。執筆した記事にまつわる思いがけないフィードバックもいただくようになり、感謝したり恐縮したりといったところだ。
さて、Twitterのフォロワーが増え、タイムラインの流れが早くなると、ぼちぼち専用クライアントを導入しようかということになってくる。常時チェックするハッシュタグを効率的に閲覧したいというのもあるし、プライベートな会話の流れと仕事にまつわる会話の流れを分けるには、リスト機能の活用が不可欠だ。そのためには標準のWeb画面では機能的にいまいち物足りず、専用クライアントが求められるわけである。いろいろ試した結果、Tween→Twit→sobees→TweetDeckときて、最終的にHootSuiteというWebサービスに落ち着いた。
マルチタイムライン式のインターフェイスを持つHootSuite(フートスイートと読む)は、Webサービスであるためソフトのインストール不要で動作することが特徴だ。複数のタイムラインを横に並べられるのはもちろん、複数アカウントの利用にも対応する。さらにこれ単体でリストへのフォロワーの追加/削除も行なえるなど、Webサービスでここまでできてしまうのかと驚くほどの豊富な機能が特徴だ。筆者が本格的に使い始めたのとほぼ同じタイミングでインターフェイスの日本語化も果たされ、快適に利用できるようになった。
「HootSuite」はブラウザ上で利用できるTwitterクライアントサービス。複数のリストやハッシュタグを横に並べて表示できることが特徴(本文ではマルチタイムラインと表記しているが、公式にはストリームと呼ぶ)。短縮URLによるアクセス解析も利用可能 | 「HootSuite」にはiPhoneアプリも存在する。スワイプ操作で複数のタイムラインを見られるのがよい |
●「HooSuite」で6列表示ができる高解像度ディスプレイを探す
もっとも、Webサービスということは、表示するためにはブラウザが必要となる。つまり通常使っているブラウザと並べて表示するには、ブラウザをもう1画面用意しなくてはいけないわけだ(もちろんタブブラウザで切り替えて表示することは可能だが、常時表示できなければ、筆者としてはわざわざ導入する意味がない)。そのためメインブラウザをOpera、HootSuite用のブラウザをFirefoxとし、マルチディスプレイ化することで同時表示環境を構築することにした。実際の機器の並べ方は、以下の写真をご覧いただいたほうがわかりやすいだろう。
Twitterクライアントを別画面で表示する理由は、単純に解像度が足りないという意味もあるが、作業に集中するときはディスプレイの電源ごとオフにできるためだ。PCでTV中継を観る場合にも言えることだが、電源ボタン1つで作業に集中できるようになる点は、マルチディスプレイの便利な使い方の1つだと思う。ウィンドウを最小化すればいいじゃないかというツッコミは、消費電力も抑えられるからということで、とりあえずなしにしていただきたい。
といったわけでHootSuite表示環境の構築は完了、これで万事解決……と思われたのだが、1週間もしないうちに使いづらさを感じるようになってきた。というのも、HootSuiteの特徴でもあるマルチタイムラインが、横方向にたった4列しか並べられないのだ。なぜならサブで使っているディスプレイの解像度が、SXGAだからである。
HootSuiteが横に並べられるタイムラインの列の数は、ディスプレイの横方向の解像度で決まってくる。具体的には、横1,280ドットだと4列、1,600ドットだと5列、1,920ドットだと6列までの表示が可能だ。筆者が通常表示しているタイムラインは、Mentions、リストが4つ、ハッシュタグが3つの計7つ。全部を同時に表示するのは無理だとしても、できれば6つは表示できてほしい。というのもHootSuite導入直後はメインのディスプレイ(1,920×1,200ドット)で6列表示をしばらく続けており、その表示環境に慣れてしまっていたからだ。
この時点でサブディスプレイとして使っていた日本サムスンの「SyncMaster 171MP」は、解像度1,280×1,024ドットまでの対応。筆者宅にある液晶ディスプレイの中ではもっとも古い世代(2001~2002年)のもので、利用頻度が低かったこともあってか故障歴はないが、バックライトはかなり弱くなっており、また新しい世代の液晶ディスプレイに比べると発熱量もハンパではない。そろそろ買い替えを検討してもバチは当たらないだろうと判断した。
ということで、マルチディスプレイのサブ側での利用を前提に、幅1,920ドットのディスプレイを探すことにした。サブのくせにこれだけ高い解像度というのも個人的には違和感のあるところだが、ここまで目的がはっきりしていれば、むしろ候補も絞り込みやすいというものだ。
もろもろ検討した結果、日本エイサーの「S221HQLbid」を購入することにした。最大解像度1,920×1,080ドット、ミニD-Sub15ピンのほかDVI-D、HDMIに対応した薄型の21.5型ワイドのディスプレイである。Amazonでの実売価格は19,325円だった。ほんの5年前、20型ディスプレイが10万円切るのを待って中古で買ったことを考えると、想像を絶する安さである。
●薄くて軽くてアームにも取り付けられる「S221HQLbid」日本エイサーの「S221HQLbid」を選んだ理由は、解像度はもちろんだが、本体が非常に薄く軽量であるためだ。本製品の存在を初めて知ったのはPC Watch誌のニュース記事だったと記憶しているが、写真で見る本体の薄さは非常にインパクトがあり、今回の製品選びの際も真っ先に候補としてリストアップしたほどだ。実際に届いた際も、梱包箱の薄さに驚愕、取り出してまた驚愕という、驚きの連続だった。
側面から見たところ。上部の薄さはまさに驚異的 | 最薄部の厚みは実測17mm |
最薄部の厚みをThinkPad X60s(左)と比較したところ。キーボード面よりは厚いが、画面を閉じた状態の厚みよりは薄い |
また、薄さと軽さに加えて、スタンド部を取り外せるのもポイントだ。もともと重量はスタンド込でも3kgしかないのだが、スタンド部を外すとわずか2.4kg。ちょっとした大型ノートPC並みだ。また、こうした薄さや軽さを追求した製品はたいていコストパフォーマンスに難があるものだが、本製品は実売2万円以下と、同等サイズの競合製品と比較してもまったく遜色がない。ちなみに同じ解像度でパネルサイズが大きい23型の機種もあったのだが、さすがに横幅が広すぎるため見送った。
さらに100mmピッチのVESAマウントに対応しており、これまで筆者が使っていたディスプレイアームにもそのまま取り付けられる。筆者の環境上、机の上には置くスペースがないため、アーム対応は必須条件となる。同じ薄型軽量のディスプレイではASUSTeKの「MS236H」という選択肢もあったが、VESAマウント非対応のため見送ることになった。
欠点といえば液晶パネルがTN方式なので視野角がやや狭いことだが、筆者宅ではアームを用いて内向きに設置するため、とくに問題にならない。ベゼル幅も狭いうえ、従来使っていたサブディスプレイに比べて発熱量が明らかに少ないのも(特に夏場は)ありがたい。実際に使い比べてみないとなかなかわからないところだ。
●ディスプレイアダプタの解像度上限に引っかかるといったわけで設置したのが以下の状態である。ご覧の通り見栄えはあまりよろしくなく、メインのディスプレイとはベゼル色も異なる上、高さも揃っていない。快適なマルチディスプレイ環境を構築するコツとしてよく言われる「なるべく同一型番のディスプレイで環境を構築すべし」という格言が身に染みるわけだが、メインと同じディスプレイ(三菱のRDT261WH)をもう1台調達するには予算も足りず、重量もスタンドなしで8kgとディスプレイアームに取り付けるにはちょっと重すぎる。限られた予算と設置環境の中で構築したにしては、まあ悪くないのではないかと思っている。
日本エイサー「S221HQLbid」導入後の環境。本体が軽量なことから、作業内容に合わせて位置は上下左右に動かすことができる。ちなみにディスプレイ下の段差にぽっかり空いたスペースは、期せずしてiPadの充電スペースとして活用している | 背面図。ケーブルはDVI-Dと電源ケーブルの2本。いずれも取り回しがよく、邪魔にならない。DVI-Dコネクタが小ぶりであるなど、利用環境をよく考慮していると感じる |
ところで、本製品の利用開始にあたっては、1つ予定外のアクシデントがあった。これまで利用していたUSBディスプレイアダプタが本製品の解像度に対応しなかったのである。筆者がそれまで利用していたロジテックの「LDE-SX010U」は、解像度が1,400×1,050ドット(SXGA+)もしくは1,440×900ドット(WXGA+)までしか対応しなかった。従来のディスプレイは1,280×1,024ドットだったのでこの制限はクリアしていたのだが、新しいディスプレイではこの上限を超えてしまったというわけだ。
結果的にUSBディスプレイアダプタを買い替える羽目になったわけだが、USBディスプレイアダプタに対応解像度の上限があることを失念していたのは少々迂闊だった。現在市販されているUSBディスプレイアダプタの現行品ではおおむね起こらない問題と言えるが(ちなみに前述の「LDE-WX015U」はUSBディスプレイアダプタとしてはかなり初期のモデルだ)、筆者のように旧製品を使っていると起こりうる問題だと思うので、同じようなリプレースを考えておられる方は注意してもらえばと思う。
新たに導入したUSBディスプレイアダプタ「LDE-WX015U」。解像度はQWXGA(2,048×1,152ドット)まで対応する。実売価格は8,980円 | これまで使っていたUSBディスプレイアダプタ(左)との比較。いずれもロジテック製 | USBディスプレイアダプタはPCI-Eのビデオカードなどと異なり取り付けも容易で、サポートする範囲内であれば複数台の同時利用もたやすい |
●ハードルが低くなったマルチディスプレイ環境
ここ数年の液晶ディスプレイの異常なまでの価格低下もあり、マルチディスプレイ環境を構築するハードルは、こと予算面においてはかなり低くなっている。今回の例のように21.5型ディスプレイとUSBディスプレイアダプタと合わせて3万円を切ることも可能だ。いちいちPCにボードを増設しなくてもUSBケーブル1本で増設できてしまうのがよい。
今回のTwitterクライアントのように、通常のデスクトップとの同時表示が前提であれば、横に画面を並べられるマルチディスプレイを導入する意義は大きいといえる。最近はインターフェイスそのものがUSBのディスプレイも存在しているほか、古いノートPCをサブディスプレイとして使う「Synergy」のような優秀なフリーソフトもある。興味を持たれた方は、自分に合ったマルチディスプレイ環境の構築を検討してみてはいかがだろうか。
最後に1つ。導入から約2カ月経った現在、上の写真の環境から1つだけ変わった点がある。それはHootSuiteを表示するPCがメインPCからサブPCに変わったことだ。つまり、別のPCでHootSuiteを表示し、それをメインPCからリモートデスクトップを使ってサブディスプレイに表示するようにしたのである。見た目は何ら変わらないが、PCが2台に増えたのである。
HootSuiteは定期的に(筆者の場合は15分に1回)画面のリロードを行なうので、表示するタイムラインの数が多ければ多いほど、CPUにけっこうな負荷がかかる。このリロードが、ほかに行なっている別の作業、具体的には原稿書きの作業にまれに影響を及ぼすことがある。そのためHootSuiteを別PCで表示し、メインPCになるべく負荷をかけないようにしたというわけだ。仕事柄、ソフトのインストール・アンインストールのためにメインPCを再起動する機会が多いので、その度にHootSuiteを再起動する面倒さから解放されるというメリットもある。
HootSuiteが時差を設けてタイムラインを更新してくれればいいのだが、残念ながらいまのところそうした機能はない。TwitterのAPI制限などに関連して、こうした機能の実装を望みたいところではある。
(2010年 8月 30日)
[Text by 山口 真弘]