~第2世代Core i5搭載のスリムA4ノートPC |
NECの2011年夏モデルとして登場した「LaVie S」は、コードネームSandy Bridgeこと第2世代Core iを搭載した15.6型ノートPCだ。春モデルのLaVie Sは、第1世代Core iを搭載していたが、夏モデルではCPUが変わっただけでなく、筐体デザインも一新され、機能も強化されている。なお、夏モデルのLaVie Sは、CPUや液晶パネルなどの違いによって、3モデルが用意されているが、最下位のLS150/ESは、春モデルの最下位とCPUや筐体が変わっていない。
ここでは、最上位のLaVie S LS550/ESを試用する機会を得たので、レビューしていきたい。なお、今回試用したのは試作機であり、製品版とは細部やパフォーマンスなどが異なる可能性がある。
●筐体が一新されよりコンパクトにLaVie Sの2011年夏モデルでは、筐体の設計が一新されており、春モデルに比べて幅が2mm小さく、液晶を開いた時の高さが約4.2mm低くなっている。厚さもわずか0.2mmだが、春モデルよりも薄くなっている。また、パームレストが盛り上がる形になっており、キーボード面を低くすることで、キーボードの操作感向上を狙っている。ボディカラーは、シャンパンゴールド、エクストラホワイト、ルミナスレッド、スターリーブラックの4色用意されているが、シャンパンゴールドは、春モデルのエアリーブルーに代わる新色となっている(他の3色もカラー名称は変更されている)。本体のサイズは、372×248×34.8(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.4kgである。常に携帯するためのマシンではないが、部屋から部屋への移動は気軽に行なえる。
CPUとしては、Core i5-2410M(2.3GHz)を搭載。春モデルでは、旧Core iシリーズが搭載されているが、夏モデルからは、コードネームSandy Bridgeと呼ばれる第2世代Core iシリーズになり、新命令AVXやQuick Sync Videoなどの新機能を利用できるようになった。Core i5-2410Mはデュアルコアだが、Hyper-Threadingテクノロジーをサポートしており、最大4スレッドの同時実行が可能だ。また、自動オーバークロック機能のTurbo Boostにより、クロックは最大2.9GHzまで向上する。
メモリは標準で4GB実装されているので、一般的な利用には十分だ。ただし、出荷時の状態で、2基のSO-DIMMスロットにそれぞれ2GB SO-DIMMが装着されているため、SO-DIMMスロットの空きはない。メモリは最大8GBまで増設可能だが、その場合は標準で実装されている2GB SO-DIMM×2を外す必要がある。
HDDは2.5インチ5,400rpmで、最上位のLS550/ESでは容量が春モデルの640GBから750GBへとアップしている。2.5インチ9.5mm厚のHDDとしては、現時点での最高容量のドライブであり、容量的にも十分だ。光学ドライブとしては、Blu-ray Discドライブが搭載されている。OSは、Windows 7 Home Premium SP1 64bit版がプリインストールされている。
●輝度の高いLEDバックライト採用液晶パネルを搭載
液晶ディスプレイとしては、15.6型ワイド液晶を搭載。解像度は、1,366×768ドットである。今回試用したLS550/ESでは、従来採用されていたスーパーシャインビューLED液晶よりも明るく鮮やかなスーパーシャインビューLED-EX2液晶が採用されている(それ以外のモデルでは従来と同じスーパーシャインビューLED液晶)。光沢タイプの液晶であり、発色は鮮やかで、輝度も高いが、外光はやや映り込みやすい。
キーボードは全105キーで、キーピッチは19mm、キーストロークは2.4mmと十分だ。アイソレーションタイプのキーボードで、配列も標準的である。キータッチは軽めだが、キートップがぐらぐらするようなこともなく、快適に入力が可能だ。テンキーが用意されているのも便利だ。表計算ソフトなど、数値入力が多い作業を効率よく行なえ、入力ミスも減らせる。ポインティングデバイスとしては、NXパッドを搭載。夏モデルでは、新たに表面に細かな突起が設けられており、操作感が向上している。さらに、レーザー方式の小型USBマウスも付属している。キーボードの右上には、2つの「ワンタッチスタートボタン」が用意されており、任意のアプリケーションの割り当てが可能だ。
ポインティングデバイスとして、NXパッドを搭載。パッドの表面に細かい突起が設けられており、操作感が向上している | NXパッドの左右クリックボタンを同時に押すと、「手書きでお助けパッド」が起動し、パッドに手書きすることで、文字を入力できる |
レーザー方式の小型USBマウスも付属する | キーボードの右上に、2つのワンタッチスタートボタンが用意されている | ワンタッチスタートボタンには、好きなアプリケーションを割り当てられる |
●USB 3.0やWiDiにも対応
夏モデルのLaVie Sは、インターフェイスも強化されている。春モデルでは、USBポートはUSB 2.0×3という構成で、USB 3.0には対応していなかったが、夏モデルでは、左側面のUSBポートがUSB 3.0対応になり、USB 3.0×1とUSB 2.0×2という構成になった。左側面のUSB 3.0ポートは、パワーオフUSB充電機能に対応しており、本体の電源を切った状態でもUSBへの給電が可能だ。その他のポートとしては、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、HDMI出力、有線LAN(Gigabit Ethernet)などを搭載する。また、前面には、SDXC/SDHC/SDメモリーカードとメモリースティックデュオに対応したデュアルメモリースロットを備えているが、このスロットも強化され、SDHC/SDXCメモリーカードの高速転送規格UHS-Iにも対応した。
ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN機能を搭載。無線LANの仕様自体は春モデルと同じだが、夏モデルでは新たに無線LANを利用してTVなどにワイヤレスで映像と音声を出力する、Wireless Display(WiDi)にも対応した。ただし、WiDiの利用には、TV側にサードパーティから発売されているWiDiアダプタが必要になる。
●バッテリ駆動時間は公称約2.8時間
バッテリは14.4V/2,150mAhの4セル仕様で、公称駆動時間は約2.8時間となっている。駆動時間はあまり長くないが、モバイル用途が前提の製品ではないので、特に不満はない。実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線ALN経由でのWebサイトへのアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」、輝度は中)、2時間10分となった。ACアダプタのサイズは、このクラスとしてはコンパクトで軽いほうだ。
LaVie S LS550/ESのバッテリ | 14.4V/2,150mAhの4セル仕様であり、バッテリ容量はそれほど大きくはない | CDケース(左)とバッテリのサイズ比較 |
ACアダプタは、このクラスとしてはコンパクトで軽いほうだ | CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較 |
●スリムノートPCとして十分なパフォーマンスを実現
参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークプログラムは、「PCMark05」「PCMark Vantage」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較用として、富士通「LIFEBOOK SH76/C」、ソニー「VAIO S」、ソニー「VAIO Y(YB)」、ソニー「VAIO Y(YA)」、パナソニック「Let'snote J9ハイパフォーマンスモデル」の値も掲載した。
結果は、下の表にまとめたとおりで、同じCore i5-2410Mを搭載したVAIO S(STAMINAモード)とはほぼ互角のスコアが出ている。HDD周りのスコアは、LaVie S LS550/ESがやや上回っているが、これは搭載HDDの容量が大きいためであろう。総合的に判断して、このクラスのスリムノートPCとしては高い性能を持っているといえる。
LaVie S LS550/ES | LIFEBOOK SH76/C | VAIO S (SPEEDモード) | VAIO S (STAMINAモード) | VAIO Y(YB) | VAIO Y(YA) | Let'snote J9ハイパフォーマンスモデル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CPU | Core i5-2410M (2.3GHz) | Core i5-2520M (2.5GHz) | Core i5-2410M (2.3GHz) | Core i5-2410M (2.3GHz) | AMD E-350 (1.6GHz) | Core i3-380UM (1.33GHz) | Core i5-460M (2.53GHz) |
ビデオチップ | CPU内蔵コア | CPU内蔵コア | Radeon HD 6470M | CPU内蔵コア | CPU内蔵コア | CPU内蔵コア | CPU内蔵コア |
PCMark05 | |||||||
PCMarks | N/A | 7584 | N/A | N/A | 2860 | N/A | 7746 |
CPU Score | 7709 | 9211 | 8160 | 8163 | 2758 | 3586 | 7149 |
Memory Score | 8588 | 9846 | 7920 | 8060 | 2034 | 3465 | 5629 |
Graphics Score | 4580 | 5288 | 6022 | 4067 | 2444 | 1572 | 2239 |
HDD Score | 5616 | 5676 | 5372 | 5324 | 5097 | 5251 | 28319 |
PCMark Vantage 64bit | |||||||
PCMark Score | 5736 | 7188 | 5769 | 5343 | N/A | 3219 | 未計測 |
Memories Score | 4088 | 4263 | 3974 | 3424 | N/A | 2045 | 未計測 |
TV and Movie Score | 4271 | 4594 | 3839 | 3813 | N/A | 2331 | 未計測 |
Gaming Score | 4409 | 4864 | 4648 | 3884 | N/A | 2093 | 未計測 |
Music Score | 6394 | 6784 | 5839 | 5726 | N/A | 3529 | 未計測 |
Communications Score | 6305 | 9615 | 5438 | 5388 | N/A | 2829 | 未計測 |
Productivity Score | 3117 | 5241 | 4635 | 4556 | N/A | 2907 | 未計測 |
HDD Score | 3669 | 3593 | 3243 | 3239 | N/A | 3063 | 未計測 |
PCMark Vantage 32bit | |||||||
PCMark Score | 5317 | 6864 | 5438 | 4905 | 2041 | 未計測 | 未計測 |
Memories Score | 3902 | 4081 | 3759 | 3455 | 1553 | 未計測 | 未計測 |
TV and Movie Score | 4297 | 4509 | 3764 | 3593 | 1560 | 未計測 | 未計測 |
Gaming Score | 4121 | 4078 | 4068 | 3385 | 1789 | 未計測 | 未計測 |
Music Score | 5884 | 6308 | 5670 | 5177 | 2510 | 未計測 | 未計測 |
Communications Score | 6218 | 8840 | 5085 | 4773 | 2083 | 未計測 | 未計測 |
Productivity Score | 2901 | 4807 | 4209 | 4144 | 1473 | 未計測 | 未計測 |
HDD Score | 3662 | 3658 | 3242 | 3262 | 2676 | 未計測 | 未計測 |
3DMark03 | |||||||
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks) | 9325 | 11005 | 12115 | 7450 | 5633 | 2802 | 3345 |
CPU Score | 1533 | 1402 | 2126 | 1355 | 426 | 613 | 1144 |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 | |||||||
HIGH | 3586 | 3850 | 6878 | 3428 | 2124 | 1317 | 2445 |
LOW | 5273 | 5568 | 9893 | 5112 | 3286 | 1910 | 3893 |
ストリーム出力テスト for 地デジ | |||||||
DP | 100 | 100 | 99.97 | 99.97 | 56.6 | 77.7 | 98.27 |
HP | 100 | 100 | 99.97 | 99.97 | 99.97 | 99.97 | 99.97 |
SP/LP | 99.97 | 99.97 | 99.97 | 100 | 99.97 | 100 | 99.97 |
LLP | 100 | 99.97 | 99.97 | 99.97 | 99.97 | 100 | 99.97 |
DP(CPU負荷) | 14 | 13 | 17 | 20 | 72 | 37 | 29 |
HP(CPU負荷) | 8 | 6 | 7 | 9 | 61 | 21 | 13 |
SP/LP(CPU負荷) | 5 | 4 | 4 | 6 | 41 | 20 | 8 |
LLP(CPU負荷) | 4 | 3 | 3 | 5 | 44 | 14 | 6 |
CrystalDiskMark 2.2 | |||||||
シーケンシャルリード | 88.69MB/s | 71.50MB/s | 81.37MB/s | 78.12MB/s | 70.34MB/s | 88.75MB/s | 189.4MB/s |
シーケンシャルライト | 89.30MB/s | 72.73MB/s | 80.86MB/s | 77.74MB/s | 75.5MB/s | 87.92MB/s | 154.6MB/s |
512Kランダムリード | 35.77MB/s | 36.46MB/s | 31.90MB/s | 31.53MB/s | 30.76MB/s | 35.09MB/s | 172.5MB/s |
512Kランダムライト | 55.99MB/s | 63.73MB/s | 33.41MB/s | 32.22MB/s | 39.55MB/s | 43.82MB/s | 106.2MB/s |
4Kランダムリード | 0.456MB/s | 0.558MB/s | 0.415MB/s | 0.409MB/s | 0.422MB/s | 0.443MB/s | 12.8MB/s |
4Kランダムライト | 0.847MB/s | 1.149MB/s | 1.143MB/s | 1.103MB/s | 1.395MB/s | 1.500MB/s | 20.91MB/s |
BBench | |||||||
Sバッテリ(標準バッテリ) | 2時間10分 | 5時間57分 | 3時間37分 | 5時間36分 | 5時間28分 | 5時間14分 | 未計測 |
Lバッテリ | なし | 未計測 | 未計測 | 未計測 | 未計測 | 未計測 | 10時間15分 |
●高性能で気軽に使えるノートが欲しい人にお勧め
LaVie S LS550/ESは、スタイリッシュなスリムノートPCだが、第2世代Core i5や750GBの大容量HDDを搭載するなどスペック的にも充実している。新たにUSB 3.0やWiDiなどの最新技術もサポートし、製品としての完成度がさらに向上している。Office Home and Business 2010もプリインストールされており、店頭予想価格は159,800円前後とのことなので、コストパフォーマンスも優秀だ。テンキーを搭載しているため、SOHO的な用途に使うにも向いている。高性能かつ気軽に使えるノートが欲しい人にお勧めしたい製品だ。
(2011年 5月 18日)
[Text by 石井 英男]