NEC「LaVie S LS550/ES」
~第2世代Core i5搭載のスリムA4ノートPC



LaVie S LS550/ES

5月19日 発売

価格:オープンプライス(実売159,800円前後)



 NECの2011年夏モデルとして登場した「LaVie S」は、コードネームSandy Bridgeこと第2世代Core iを搭載した15.6型ノートPCだ。春モデルのLaVie Sは、第1世代Core iを搭載していたが、夏モデルではCPUが変わっただけでなく、筐体デザインも一新され、機能も強化されている。なお、夏モデルのLaVie Sは、CPUや液晶パネルなどの違いによって、3モデルが用意されているが、最下位のLS150/ESは、春モデルの最下位とCPUや筐体が変わっていない。

 ここでは、最上位のLaVie S LS550/ESを試用する機会を得たので、レビューしていきたい。なお、今回試用したのは試作機であり、製品版とは細部やパフォーマンスなどが異なる可能性がある。

●筐体が一新されよりコンパクトに

 LaVie Sの2011年夏モデルでは、筐体の設計が一新されており、春モデルに比べて幅が2mm小さく、液晶を開いた時の高さが約4.2mm低くなっている。厚さもわずか0.2mmだが、春モデルよりも薄くなっている。また、パームレストが盛り上がる形になっており、キーボード面を低くすることで、キーボードの操作感向上を狙っている。ボディカラーは、シャンパンゴールド、エクストラホワイト、ルミナスレッド、スターリーブラックの4色用意されているが、シャンパンゴールドは、春モデルのエアリーブルーに代わる新色となっている(他の3色もカラー名称は変更されている)。本体のサイズは、372×248×34.8(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.4kgである。常に携帯するためのマシンではないが、部屋から部屋への移動は気軽に行なえる。

 CPUとしては、Core i5-2410M(2.3GHz)を搭載。春モデルでは、旧Core iシリーズが搭載されているが、夏モデルからは、コードネームSandy Bridgeと呼ばれる第2世代Core iシリーズになり、新命令AVXやQuick Sync Videoなどの新機能を利用できるようになった。Core i5-2410Mはデュアルコアだが、Hyper-Threadingテクノロジーをサポートしており、最大4スレッドの同時実行が可能だ。また、自動オーバークロック機能のTurbo Boostにより、クロックは最大2.9GHzまで向上する。

 メモリは標準で4GB実装されているので、一般的な利用には十分だ。ただし、出荷時の状態で、2基のSO-DIMMスロットにそれぞれ2GB SO-DIMMが装着されているため、SO-DIMMスロットの空きはない。メモリは最大8GBまで増設可能だが、その場合は標準で実装されている2GB SO-DIMM×2を外す必要がある。

 HDDは2.5インチ5,400rpmで、最上位のLS550/ESでは容量が春モデルの640GBから750GBへとアップしている。2.5インチ9.5mm厚のHDDとしては、現時点での最高容量のドライブであり、容量的にも十分だ。光学ドライブとしては、Blu-ray Discドライブが搭載されている。OSは、Windows 7 Home Premium SP1 64bit版がプリインストールされている。

LaVie S LS550/ESの上面。試用機のボディカラーは、新色のシャンパンゴールドである「DOS/V POWER REPORT」誌とLaVie S LS550/ESのサイズ比較。LaVie Sのほうが、奥行きで39mm、横幅で95mmほど大きいLaVie S LS550/ESの底面。右側のカバーを外すと、メモリスロットにアクセスできる
底面のカバーを外すと、メモリスロットにアクセスできる。メモリスロットとして、SO-DIMMスロットが2基用意されている。ただし、標準で2GB SO-DIMMが2枚装着されているので空きスロットはない底面の右上には、ファン清掃用スロットのカバーが用意されている光学ドライブとして、右側面にBlu-ray Discドライブが搭載されている

●輝度の高いLEDバックライト採用液晶パネルを搭載

 液晶ディスプレイとしては、15.6型ワイド液晶を搭載。解像度は、1,366×768ドットである。今回試用したLS550/ESでは、従来採用されていたスーパーシャインビューLED液晶よりも明るく鮮やかなスーパーシャインビューLED-EX2液晶が採用されている(それ以外のモデルでは従来と同じスーパーシャインビューLED液晶)。光沢タイプの液晶であり、発色は鮮やかで、輝度も高いが、外光はやや映り込みやすい。

 キーボードは全105キーで、キーピッチは19mm、キーストロークは2.4mmと十分だ。アイソレーションタイプのキーボードで、配列も標準的である。キータッチは軽めだが、キートップがぐらぐらするようなこともなく、快適に入力が可能だ。テンキーが用意されているのも便利だ。表計算ソフトなど、数値入力が多い作業を効率よく行なえ、入力ミスも減らせる。ポインティングデバイスとしては、NXパッドを搭載。夏モデルでは、新たに表面に細かな突起が設けられており、操作感が向上している。さらに、レーザー方式の小型USBマウスも付属している。キーボードの右上には、2つの「ワンタッチスタートボタン」が用意されており、任意のアプリケーションの割り当てが可能だ。

液晶は15.6型ワイドで、上位機種のLS550/ESでは、従来のスーパーシャインビューLED液晶よりも明るく鮮やかなスーパーシャインビューLED-EX2液晶が採用されている。光沢タイプの液晶なので、発色は鮮やかだが、外光の映り込みが気になることがあるキーボードは全105キーで、キーピッチは19mm、キーストロークは2.4mm。アイソレーションタイプのキーボードで、テンキーも備えているテンキー部分のアップ。テンキーを使うことで、表計算ソフトなど、数値入力が多い作業の効率が上がる
ポインティングデバイスとして、NXパッドを搭載。パッドの表面に細かい突起が設けられており、操作感が向上しているNXパッドの左右クリックボタンを同時に押すと、「手書きでお助けパッド」が起動し、パッドに手書きすることで、文字を入力できる
レーザー方式の小型USBマウスも付属するキーボードの右上に、2つのワンタッチスタートボタンが用意されているワンタッチスタートボタンには、好きなアプリケーションを割り当てられる

●USB 3.0やWiDiにも対応

 夏モデルのLaVie Sは、インターフェイスも強化されている。春モデルでは、USBポートはUSB 2.0×3という構成で、USB 3.0には対応していなかったが、夏モデルでは、左側面のUSBポートがUSB 3.0対応になり、USB 3.0×1とUSB 2.0×2という構成になった。左側面のUSB 3.0ポートは、パワーオフUSB充電機能に対応しており、本体の電源を切った状態でもUSBへの給電が可能だ。その他のポートとしては、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、HDMI出力、有線LAN(Gigabit Ethernet)などを搭載する。また、前面には、SDXC/SDHC/SDメモリーカードとメモリースティックデュオに対応したデュアルメモリースロットを備えているが、このスロットも強化され、SDHC/SDXCメモリーカードの高速転送規格UHS-Iにも対応した。

 ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN機能を搭載。無線LANの仕様自体は春モデルと同じだが、夏モデルでは新たに無線LANを利用してTVなどにワイヤレスで映像と音声を出力する、Wireless Display(WiDi)にも対応した。ただし、WiDiの利用には、TV側にサードパーティから発売されているWiDiアダプタが必要になる。

左側面には、有線LAN、アナログRGB出力、HDMI出力、USB 3.0、マイク入力、ヘッドフォン出力が用意されている左側面のUSB 3.0ポート周りのアップ。こちらのUSB 3.0ポートは、パワーオフUSB充電機能にも対応している右側面には、光学ドライブとUSB 2.0×2が用意されている
前面には、SDXC/SDHC/SDメモリーカードとメモリースティックデュオに対応したデュアルメモリースロットが用意されているパワーオフUSB充電機能の設定ユーティリティで、「パワーオフUSB充電機能を利用する」にチェックを付ければ、パワーオフUSB充電機能が有効になる新たにWiDiに対応し、ワイヤレスで映像と音声を出力できるようになった

●バッテリ駆動時間は公称約2.8時間

 バッテリは14.4V/2,150mAhの4セル仕様で、公称駆動時間は約2.8時間となっている。駆動時間はあまり長くないが、モバイル用途が前提の製品ではないので、特に不満はない。実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線ALN経由でのWebサイトへのアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」、輝度は中)、2時間10分となった。ACアダプタのサイズは、このクラスとしてはコンパクトで軽いほうだ。

LaVie S LS550/ESのバッテリ14.4V/2,150mAhの4セル仕様であり、バッテリ容量はそれほど大きくはないCDケース(左)とバッテリのサイズ比較
ACアダプタは、このクラスとしてはコンパクトで軽いほうだCDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●スリムノートPCとして十分なパフォーマンスを実現

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークプログラムは、「PCMark05」「PCMark Vantage」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較用として、富士通「LIFEBOOK SH76/C」、ソニー「VAIO S」、ソニー「VAIO Y(YB)」、ソニー「VAIO Y(YA)」、パナソニック「Let'snote J9ハイパフォーマンスモデル」の値も掲載した。

 結果は、下の表にまとめたとおりで、同じCore i5-2410Mを搭載したVAIO S(STAMINAモード)とはほぼ互角のスコアが出ている。HDD周りのスコアは、LaVie S LS550/ESがやや上回っているが、これは搭載HDDの容量が大きいためであろう。総合的に判断して、このクラスのスリムノートPCとしては高い性能を持っているといえる。

 LaVie S LS550/ESLIFEBOOK SH76/CVAIO S (SPEEDモード)VAIO S (STAMINAモード)VAIO Y(YB)VAIO Y(YA)Let'snote J9ハイパフォーマンスモデル
CPUCore i5-2410M (2.3GHz)Core i5-2520M (2.5GHz)Core i5-2410M (2.3GHz)Core i5-2410M (2.3GHz)AMD E-350 (1.6GHz)Core i3-380UM (1.33GHz)Core i5-460M (2.53GHz)
ビデオチップCPU内蔵コアCPU内蔵コアRadeon HD 6470MCPU内蔵コアCPU内蔵コアCPU内蔵コアCPU内蔵コア
PCMark05
PCMarksN/A7584N/AN/A2860N/A7746
CPU Score7709921181608163275835867149
Memory Score8588984679208060203434655629
Graphics Score4580528860224067244415722239
HDD Score56165676537253245097525128319
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score5736718857695343N/A3219未計測
Memories Score4088426339743424N/A2045未計測
TV and Movie Score4271459438393813N/A2331未計測
Gaming Score4409486446483884N/A2093未計測
Music Score6394678458395726N/A3529未計測
Communications Score6305961554385388N/A2829未計測
Productivity Score3117524146354556N/A2907未計測
HDD Score3669359332433239N/A3063未計測
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score53176864543849052041未計測未計測
Memories Score39024081375934551553未計測未計測
TV and Movie Score42974509376435931560未計測未計測
Gaming Score41214078406833851789未計測未計測
Music Score58846308567051772510未計測未計測
Communications Score62188840508547732083未計測未計測
Productivity Score29014807420941441473未計測未計測
HDD Score36623658324232622676未計測未計測
3DMark03
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks)932511005121157450563328023345
CPU Score15331402212613554266131144
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH3586385068783428212413172445
LOW5273556898935112328619103893
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP10010099.9799.9756.677.798.27
HP10010099.9799.9799.9799.9799.97
SP/LP99.9799.9799.9710099.9710099.97
LLP10099.9799.9799.9799.9710099.97
DP(CPU負荷)14131720723729
HP(CPU負荷)8679612113
SP/LP(CPU負荷)544641208
LLP(CPU負荷)433544146
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード88.69MB/s71.50MB/s81.37MB/s78.12MB/s70.34MB/s88.75MB/s189.4MB/s
シーケンシャルライト89.30MB/s72.73MB/s80.86MB/s77.74MB/s75.5MB/s87.92MB/s154.6MB/s
512Kランダムリード35.77MB/s36.46MB/s31.90MB/s31.53MB/s30.76MB/s35.09MB/s172.5MB/s
512Kランダムライト55.99MB/s63.73MB/s33.41MB/s32.22MB/s39.55MB/s43.82MB/s106.2MB/s
4Kランダムリード0.456MB/s0.558MB/s0.415MB/s0.409MB/s0.422MB/s0.443MB/s12.8MB/s
4Kランダムライト0.847MB/s1.149MB/s1.143MB/s1.103MB/s1.395MB/s1.500MB/s20.91MB/s
BBench
Sバッテリ(標準バッテリ)2時間10分5時間57分3時間37分5時間36分5時間28分5時間14分未計測
Lバッテリなし未計測未計測未計測未計測未計測10時間15分

●高性能で気軽に使えるノートが欲しい人にお勧め

 LaVie S LS550/ESは、スタイリッシュなスリムノートPCだが、第2世代Core i5や750GBの大容量HDDを搭載するなどスペック的にも充実している。新たにUSB 3.0やWiDiなどの最新技術もサポートし、製品としての完成度がさらに向上している。Office Home and Business 2010もプリインストールされており、店頭予想価格は159,800円前後とのことなので、コストパフォーマンスも優秀だ。テンキーを搭載しているため、SOHO的な用途に使うにも向いている。高性能かつ気軽に使えるノートが欲しい人にお勧めしたい製品だ。

バックナンバー

(2011年 5月 18日)

[Text by 石井 英男]