Hothotレビュー

レノボ・ジャパン「ThinkPad T450/T450s」

〜14型液晶搭載のスリムノートPC

ThinkPad T450の外観

 レノボ・ジャパンから登場した「ThinkPad T450」、「ThinkPad T450s」は、14型液晶を搭載したスリムノートPCであり、昨年(2014年)登場した「ThinkPad T440」、「ThinkPad T440s」の後継となる製品だ。最新の第5世代Coreファミリを搭載するなど、基本性能を順当に向上させてきている。

 ThinkPad T450とThinkPad T450sは兄弟機であり、基本設計は同一だが、フルHD解像度の液晶はThinkPad T450sでしか選択できず、最小構成時の重量はThinkPad T450sの方が軽くなっているなど、T450sが上位に位置付けられる。今回は、ThinkPad T450とThinkPad T450sの両方を試用する機会を得たので、あわせてレビューしていきたい。

ThinkPad T450sの外観

筐体サイズはThinkPad T450の方がわずかに大きい

 ThinkPad T450/T450sは、14型液晶搭載のスリムノートPCであり、Ultrabookや2-in-1 PCに比べると携帯性は劣るが、ThinkPad T450sの最小構成時の重量は約1.54kgなので、普段はデスクの上で使い、出張時には一緒に持って行くといった使い方も十分可能だ。

 筐体のデザインは、ThinkPadシリーズらしいオーソドックスなもので、サイズはThinkPad T450が約339×232.5×21mm(幅×奥行き×高さ、最薄構成時)、ThinkPad T450sが約331×226×20.65mm(同)であり、わずかにThinkPad T450の方が大きい。重量は、液晶解像度やタッチパネル搭載の有無などによって変わるが、それぞれの最小構成時は、ThinkPad T450が約1.73kg、ThinkPad T450sが約1.54kgである。

 ThinkPad T450/T450sともにスペックが異なるいくつかのパッケージモデルが用意されているほか、BTOによってカスタマイズが可能である。今回試用したThinkPad T450は、CPUがCore i7-5600U(2.6GHz)、メモリが4GB、HDDが500GB、OSがWindows 7 Professional(64bit)という仕様だが、メモリは最大16GBまで増設でき、HDDの代わりにSSHDやSSDを選択することも可能だ。また、今回試用したThinkPad T450sの仕様は、CPUがCore i7-5600U(2.6GHz)、メモリが4GB、HDDが500GBで、基本スペックはThinkPad T450と同じだが、OSはWindows 8.1 Pro(64bit)となっている。

 なお、試用機の重量を実測したところ、ThinkPad T450は1,677g、ThinkPad T450sは1,753gで、ThinkPad T450sの方が重くなっているが、試用機のThinkPad T450はタッチ非対応だったのに対し、ThinkPad T450sはタッチ対応となっているためだ。

ThinkPad T450の上面
ThinkPad T450sの上面
ThinkPad T450の底面
ThinkPad T450sの底面
ThinkPadロゴのiの点は赤色LEDになっており、電源オン時に点灯する
ThinkPad T450の試用機の重量は、実測で1,677gであった
ThinkPad T450sの試用機の重量は、実測で1,753gであった
ThinkPad T450s(左)とThinkPad T450(右)の比較。フットプリントはわずかながらThinkPad T450の方が大きい
ThinkPad T450s(上)とThinkPad T450の(下)の比較。ボディの厚さは構成によって変わるが、ほぼ同じだ

ThinkPad T450sではタッチ対応フルHD液晶を選択可能

 用途に応じて液晶パネルの仕様を選べることもThinkPad T450/T450sの魅力の1つだ。液晶サイズはすべて14型だが、ThinkPad T450では、1,366×768ドットタッチ非対応ノングレア液晶、1,600×900ドットタッチ非対応ノングレア液晶、1,600×900ドットタッチ対応液晶の3種類から、ThinkPad T450sでは、1,600×900ドットタッチ非対応ノングレア液晶、1,920×1,080ドットタッチ非対応ノングレアIPS液晶、1,920×1,080ドットタッチ対応IPS液晶の3種類から選択できる。タッチ対応モデルは、すべて10点マルチタッチに対応する。今回試用したThinkPad T450は、1,366×768ドットタッチ非対応ノングレア液晶、ThinkPad T450sは、1,920×1,080ドットタッチ対応IPS液晶を搭載していた。

 ThinkPad T450に搭載されていたノングレア液晶は、外光の映り込みが少なく、目の疲れが少ないが、今となっては解像度的にやや不足を感じる。ThinkPad T450sのフルHD液晶は、解像度的な不満はなく、IPS液晶なので視野角も広かった。タッチパネルを搭載しているため、表面にやや光沢はあるものの、いわゆる光沢液晶ほどの映り込みは生じておらず、見やすい印象を受けた。

 液晶上部には、720pのWebカメラが搭載されており、ビデオチャットなどに利用できる。

ThinkPad T450の試用機の液晶は、1,366×768ドットで、タッチ非対応であった。ノングレアタイプなので、外光の映り込みが少なく、目の疲れが少ない
ThinkPad T450sの試用機の液晶は、1,920×1,080ドットで、タッチ対応であった。こちらはIPS液晶であり、視野角が広いが、表面にはやや光沢がある
ThinkPad T450/T450sの液晶の上部には、720pのWebカメラが用意されている

トラックポイントのボタンも独立タイプに戻る

 ThinkPad T450/T450sのキーボードは、ThinkPadシリーズ伝統の6列キーボードであり、キーピッチは約19mmと余裕がある。キー配列も標準的で、快適にタイピングが可能だ。キーボードにはバックライトが搭載されており、暗い場所でもミスタイプを防げる。

 ポインティングデバイスとしては、スティックタイプのトラックポイントとトラックパッドの両方を搭載しており、併用することも可能だ。なお、前モデルのThinkPad T440/T440sでは、トラックポイントのクリックボタンがトラックパッドと一体化していたが、ThinkPad T450/T450sでは、トラックポイントのクリックボタンがパッドの上に配置されるようになっている。操作性という面では、やはりクリックボタンが独立している方が使いやすく、第3世代のThinkPad X1 Carbonで、Adaptiveキーボードが廃止され、従来のキーボードに戻ったのと同様、こちらもユーザーからのフィードバックに応えたものであろう。

ThinkPad T450のキーボード。6列キーボードである
ThinkPad T450sのキーボード。キーボードはThinkPad T450と同じで、キーピッチは約19mmである
ThinkPad T450のポインティングデバイス。トラックポイントとトラックパッドの両方を搭載している
ThinkPad T450sのポインティングデバイス。ThinkPad T450と同じものが搭載されている

指紋センサーも搭載し、インターフェイスも充実

 ThinkPad T450/T450sは、インターフェイスも充実している。USB 3.0×3(うち1つはAlways On対応)、アナログRGB出力、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、マイク/ヘッドフォン、ドッキングコネクタを備えるほか、4-in-1メディアカードリーダを搭載する。また、BTOでセキュリティ用のスマートカードリーダを搭載することも可能だ。キーボードの右側には、スライド式の指紋センサーが用意されており、指紋認証によるログオンが可能なので、セキュリティを重視する用途にも向いている。

ThinkPad T450の右側面。マイク/ヘッドフォン、メディアカードリーダスロット、USB 3.0、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピンが用意されている
ThinkPad T450の右側面のポート部分のアップ
ThinkPad T450sの右側面。ポートの配置や種類はThinkPad T450と同じである
ThinkPad T450sの右側面のポート部分のアップ
ThinkPad T450の左側面。電源コネクタ、USB 3.0、Mini DisplayPort、USB 3.0(Always On対応)が用意されている
ThinkPad T450の左側面のポート部分のアップ
ThinkPad T450sの左側面。ThinkPad T450と同じく、電源コネクタ、USB 3.0、Mini DisplayPort、USB 3.0(Always On対応)が用意されている
ThinkPad T450sの左側面のポート部分のアップ
ThinkPad T450では、キーボードの右側にスライド式の指紋センサーが搭載されている
ThinkPad T450sも、ThinkPad T450と同様にキーボードの右側にスライド式の指紋センサーが搭載されている

交換可能なバッテリと内蔵バッテリにより、ホットスワップを実現

 ThinkPad T450/T450sは、交換できない内蔵バッテリ(3セル)と交換可能なバッテリ(3セルまたは6セル)の2種類のバッテリを搭載していることもウリの1つだ。バッテリを1つしか搭載していない通常のノートPCでは、バッテリ交換時には電源を落とす必要があるが、ThinkPad T450/T450sでは、内蔵バッテリの残量があれば、電源を落とさずにバッテリの交換が可能だ。あらかじめ充電済みのバッテリと交換することで、作業を中断させることなく、駆動時間の延長が可能なので、海外への出張で長時間フライトをする場合なども心強い。

 バッテリ駆動時間自体も長く、今回試用した内蔵バッテリ3セル+交換可能なバッテリ3セルという構成で、ThinkPad T450では最大約10.2時間、ThinkPad T450sでは最大約10.8時間(ともにJEITA 2.0準拠)の公称駆動時間を実現している。交換可能なバッテリを6セルに変更することで、駆動時間はさらに延びる。なお、交換可能な6セルバッテリは、47Wh仕様と72Wh仕様の2種類があり、72Wh仕様の6セルバッテリを装着すれば、駆動時間は2倍以上に延びる。

 実際にバッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)、ThinkPad T450は9時間46分、ThinkPad T450sは7時間57分という結果になった。無線LAN常時オンで、これだけ持てば十分合格であろう。前述したように、交換可能なバッテリを6セルに変更すれば、さらに長時間の駆動が可能である。

 ACアダプタは45W仕様で、このクラスのACアダプタとしてはトップクラスの軽さと小ささを実現している。

ThinkPad T450/T450sのバッテリ。こちらは交換可能なバッテリで、11.1V/2.09Ahの3セル仕様である
ThinkPad T450/T450sのACアダプタ。45W仕様のACアダプタで、コンパクトで軽く、携帯性は良好だ
ThinkPad T450/T450sのACアダプタの重量は、実測で236gであった

CPU性能は十分だが、HDDが足を引っ張る

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark 8」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「CrystalDiskMark 3.0.3b」である。比較用として、レノボ・ジャパンの「第3世代ThinkPad X1 Carbon」の値も掲載した。結果は下の表に示した通りで、PCMark 7の総合スコアは、ストレージとしてPCIe接続の超高速SSDを搭載した第3世代ThinkPad X1 Carbonにはかなわないが、PCMark 8のスコアはかなり迫っている。HDD搭載モデルでも、十分快適な動作を実現していたが、さらに快適な環境を得たいのなら、SSDの選択をお勧めしたい。

ThinkPad T450s/450のベンチマーク結果 ThinkPad T450s ThinkPad T450 第3世代ThinkPad X1 Carbon
CPU Core i7-5600U(2.6GHz) Core i7-5600U(2.6GHz) Core i7-5600U(2.6GHz)
GPU Intel HD Graphics 5500 Intel HD Graphics 5500 Intel HD Graphics 5500
PCMark 7
PCMark score 3363 2863 5290
Lightweight score 1795 2485 3903
Productivity score 1224 1712 2898
Entertainment score 3011 2710 3544
Creativity score 6639 5741 10214
Computation score 14613 10908 14466
System storage score 2093 1922 5959
Raw system storage score 604 527 12188
PCMark 8
Home conventional 2480 2521 2446
Home accelerated 2995 2945 2949
Creative conventional 2447 2237 2575
Creative accelerated 3463 3154 3757
Work conventional 3020 2939 2842
Work accelerated 4084 3986 3851
3DMark
Fire Strike Ultra 128 計測不可 164
Fire Strike Extreme 295 268 320
Fire Strike 637 571 721
Sky Diver 2628 2537 2605
Cloud Gate 4938 4820 5235
Ice Storm Extreme 32556 26276 34609
Ice Storm 44883 42024 48912
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット 最高品質 1352 1266 1831
1,280×720ドット 高品質(デスクトップPC) 1373 1296 1895
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) 1686 1617 2413
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC) 2782 2628 3738
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) 2668 2622 3709
1,920×1,080ドット 最高品質 685 655 979
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC) 696 638 984
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC) 862 804 1293
1,920×1,080ドット 標準品質(デスクトップPC) 1454 1384 2037
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) 1433 1379 2035
CrystalDiskMark 3.0.3b
シーケンシャルリード 119.1MB/s 125.7MB/s 1328MB/s
シーケンシャルライト 114.6MB/s 124.4MB/s 1257MB/s
512Kランダムリード 33.22MB/s 36.04MB/s 977.1MB/s
512Kランダムライト 50.62MB/s 52.87MB/s 1235MB/s
4Kランダムリード 0.412MB/s 0.440MB/s 44.33MB/s
4Kランダムライト 0.896MB/s 0.974MB/s 105.6MB/s
4K QD32ランダムリード 0.776MB/s 0.790MB/s 347.9MB/s
4K QD32ランダムライト 0.892MB/s 1.007MB/s 234.5MB/s

長時間駆動やセキュリティを重視するビジネスユーザーにお勧め

 ThinkPad T450/T450sは、基本性能と使い勝手、信頼性に優れたスリムノートPCであり、前モデルから順当な進化を果たした製品であるが、逆にいうと驚きもあまり感じない、地味なモデルである。バッテリを2種類搭載し、ホットスワップを実現していることは魅力だが、この設計自体は、前モデルのThinkPad T440/T440sでも実現しており、目新しさは感じられない。

 指紋認証やスマートカードへの対応など、セキュリティ機能は充実しており、ビジネス向けスリムノートPCとしての完成度は高いが、一般のコンシューマにはあまり響かないであろう。ThinkPad T440/T440s世代では、単体GPUを搭載可能なプレミアムモデル「ThinkPad T440p」が後から追加されていたが、この世代ではまだ未発表であり、3D CADなどGPU性能が重視される用途なら、そちらを待つ手もある。

(石井 英男)