Hothotレビュー

ASUS「EeeBook X205TA」

〜3万円台で980gの低価格軽量モバイルノート

EeeBook X205TA

 ASUSは、実売3万円台前半という低価格で980gの軽量モバイルノート「EeeBook X205TA」を発売した。発売から約1カ月ほど時間が経過しているが、試用レポートをお届けしたい。

軽量性と低価格を両立させたモデル

 タブレットPC向けのBay Trailは、近年Intelのラインナップの中で最も日本市場から注目されているプロセッサだと言っても良い。アーキテクチャの一新で、フルWindowsやOfficeを動かすにも実用的な性能を備えるようになり、長時間バッテリ駆動や低発熱も大きなメリットだ。

 加えて、タブレットやスマートフォンの普及で低価格化が大きく進んだNANDフラッシュメモリを、HDDに代わってストレージに採用することも当たり前のようになった。持ち運んで使う時の衝撃や振動に耐性を示せるだけでなく、興隆しつつあるクラウドサービスやストレージ運用を促すことにも繋がる。

 そんなわけで、これらの部材を採用したクラムシェル型のノートPCは最近増えつつある。最大の特徴はやはりその価格。世界的に見るとタブレットは低価格化へシフトしているのだが、それをクラムシェルに転用することでスケールメリットが活かされ、低価格化を実現できる。

HPのStream 11

 先陣を切って発表されたのはHewlett-Packard(HP)の「Stream 11」で、外国では199ドルという低価格を実現している。それに追従する形で投入されたのが、EeeBook X205TAであると言えるだろう。EeeBook X205TAもまた、199ドルのクラムシェルノートなのである。

 昨今のアベノミクスによる円安の影響で、残念ながら両機ともに2万円台を実現できなかったのだが(Stream 11は送料を抜きにすれば2万円台だが、直販専用でどうしても送料が発生するため3万円を超える)、それでも3万円台前半に収まっており、価格に関しては抵抗なく買えるだろう。

 EeeBook X205TAとStream 11の一番大きな違いは本体重量とサイズにある。Stream 11は本体サイズが約300×207×19〜21mm(幅×奥行き×高さ)、重量が約1.26kgと11.6型ノートとしては一般的だが、EeeBook X205TAは286×193.3×17.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約980gと一回り小さく軽い。今回両方同時に手にすることはできなかったため直接比較はできなかったのだが、それでもStream 11より小型軽量だということは手にしてすぐ分かった。

ASUSらしい質感

 パッケージは側面が斜めにカットされており、ちょっとデザインが施されてあるとは言え、上位のZENBOOKやTAICHIシリーズほどのこだわりがなく、本体、ACアダプタ、マニュアル類が収められているだけであった。

 本体を手にして驚いたのはその質感。マットながら程よく反射する、濃い群青色の塗装が施されており、アルミニウムにアルマイト塗装を施したようにも見え、とてもこれが199ドルの質感だとは信じがたい。ネットブック時代からは大きく進化していると言える点だ。

 液晶の枠はStream 11と同様、プラスチックといった感じだが、底面、天板、パームレストは同じ塗装で美しく映える。側面も筐体の薄さが際立っておりスタイリッシュ。遠目に見ればまるで色が付いたMacBook Airのようである。

 ただしゴム足は本体色とは異なる黒で、このあたりはStream 11に一歩譲る。また、Stream 11のようにパームレストにデザインを施しているわけではなく、よく言えばシンプル、悪く言えば個性がないと言ったところ。塗装の質感は非常に良いのだが、手汗が付くとそれが目立つのも気になった。

EeeBook X205TAのパッケージ
内容物。比較的あっさりしている
本体天板。フラットで質感が高い
底面のゴム足は黒で、Stream 11のように本体と統一されているわけではない。ただし元々の色が深いため、気にならない
本体は薄く非常にスタイリッシュ
MacBook Airと比較しても遜色ない
ロゴさえ隠してしまえば、MacBook Airの色違いモデルレベルだ。ただ実際MacBook Airはアルミボディのため、手にした時の質感は全く異なる
フットプリントはMacBook Airよりやや幅が狭く、携帯性に優れる

 本機で気になったのは、液晶後部に備え付けられた2つの小さなプラスチック製の突起だ。本機のヒンジはキーボードとフラットなところに軸が置かれているため、液晶を開くと下部のフレームが本体後部に隠れ、液晶の枠が本体後部を支える形となる。この機構自体は「VAIO Pro」シリーズでも採用されているぐらいなので問題にならないのだが、接地部が2つのプラスチックの小さな突起だけで支えられているのである。

 もちろん、ある程度耐久テストをクリアした上での設計や素材選別はされているだろうが、これによって本体後部のデザインの一体感が損なわれ、”設計後に付けた”感が拭えない。実用面でも何かと引っかけてしまい壊れてしまうのではないかと心配になる。このデザインにするぐらいなら、足をもう少し高くするか、はみ出してもいいのでフラットにすべきだったのではないだろうか。

天板の後部にある2つの突起
もちろん、素材や耐久性は考えられているとは思うのだが、デザインとしてはいかがなものだろうか
液晶を開閉しているところ。90度を超えた辺りから突起が接地し、キーボードがチルトするようになる

シンプルなインターフェイス。使っていて快適

 タブレットアーキテクチャを転用しているため、本機のインターフェイス類は至ってシンプルだ。右側面にはUSB 2.0が2基、右側面にはDC入力、microSDカードスロット、Micro HDMI出力、音声出力が備わっている。アーキテクチャこそBay Trailだが、タブレットとは異なり5VのUSBでは充電できず、専用の19V/1.75AのACアダプタを利用。この辺りはクラムシェルらしい。

 キーボードは18.4mmのキーピッチが確保されており、配列もくせが少ないため同クラスとしては比較的打鍵しやすい部類に入る。筐体が薄型軽量な分、反応がクイックで軽快だが、底打ち感が弱い印象で、Microsft Surfaceの「Type Cover」に似た感じだ。両モデルともにタッチタイプは十分に可能だが、キータッチ感はStream 11が一歩抜きん出ているように思う。

 タッチパッドはボタン一体型で、広々と使えるのが特徴だ。幅は約105mm、奥行きは約62mmと十分である。

キーボード。配列にクセは少なく、購入当初からタッチタイプできるだろう
キーピッチは18.4mm程度確保されている
タッチパッドは105×62mmと、11.6型としては十分な領域が確保されている

 液晶ディスプレイは光沢タイプで、映り込みは結構ある。色味や輝度は高く、色温度も適正で見やすい。視野角は上下に狭く左右に広いので、TNパネルと見て間違いないだろう。Stream 11は非光沢だが、輝度が低いのが気になった。どちらがいいかと言われれば、個人的にEeeBook X205TAの方を選ぶだろう。

 スピーカーの音は、やはりというか中高音寄りで、低音はほぼ感じられない。筐体が薄いため致し方ないのだろう。ボリュームは十分あり、1人で聞く分にはWindowsの設定で音量50%で十分。スピーカーは本体底面手前に装備されているため、音は近い印象だ。ただし基本的に一回なんらかの物体に当たって跳ね返ってくる音を聞くことになるため、本体を置く素材にも音質が左右される。

 タブレット向けのSoCを採用していることもあり、本体はファンレスで騒音はない。底面/パームレストともに熱はほとんどなく、快適に使える。

 なお重量は、本体が実測953gと公称値より軽く、ACアダプタも129gと軽量だった。PCの持ち運びに慣れた人であれば、両方同時に持ち運んで使っても特に支障はなさそうだ。

液晶は光沢タイプで映り込みがある
やや薄いが、色みは正しく表示される印象
上下や左右の視野角は狭めで、TNパネルと見て間違いないだろう
本体重量は実測953gと公称値より軽かった
付属のACアダプタ
ACアダプタも実測129gと軽量で、同時に持ち運んでも苦にならない。ただ欲を言えばプラグ折りたたみ式にして欲しかったところ

性能/バッテリ駆動時間ともに十分

 EeeBook X205TAはCPUにAtom Z3735F(1.33GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ2GB、ストレージ32GB eMMC、1,366×768ドット表示対応11.6型ワイド液晶、OSにWindows 8.1 with Bingを搭載している。スペックから分かる通り、本体がクラムシェルであることと、やや大型の11.6型液晶を搭載している以外は、一般的な8型Windowsタブレットとなんら変わりない。そういう意味では、あまりベンチマークをしても面白みがないのだが、最後にベンチマークとバッテリ駆動時間のテスト結果をお伝えする。

 Stream 11レビュー時にお伝えした通り、ベンチマークテストを「PCMark 7」から「PCMark 8」へと切り替えている。一方で「ファイナルファンタジーXI オフィシャルベンチマーク3」および「SiSoftware Sandra」は継続する。比較用として、Stream 11の結果を載せてある。

【表】ベンチマーク結果

EeeBook X205TA Stream 11
CPU Atom Z3735F Celeron N2830
メモリ 2GB 2GB
ストレージ 32GB eMMC 32GB eMMC
OS Windows 8.1 Windows 8.1
PCMark8
Home accelerated 1110 1082
Web Browsing-JunglePin 0.592s 0.527s
Web Browsing-Amazonia 0.196s 0.169s
Writing 10.72s 8.56s
Photo Editing v2 2.688s 2.993s
Video Chatv2/Video Chat playback 1 v2 30fps 20fps
Video Chat v2/Video Chat encoding v2 316ms 578.3ms
Casual Gaming 6.8fps 6.6fps
Benchmark duration 1h7min43s 1h8min27s
Creative Accelerated 952 1027
Web Browsing-JunglePin 0.591s 0.518s
Web Browsing-Amazonia 0.193s 0.167s
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 1 v2 30fps 30fps
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 2 v2 30fps 30fps
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 3 v2 30fps 30fps
Video Chat v2/Video Chat encoding v2 331.7ms 472ms
Photo Editing v2 2.693s 2.579s
Batch Photo Editing v2 199.7s 151.8s
Video Editing part 1v2 57.9s 51.6s
Video Editing part21v2 177.4s 210.9s
Mainstream Gaming part 1 1.2fps 1.3fps
Mainstream Gaming part 2 0.5fps 0.6fps
Video To Go part 1 17.2s 15.1s
Video To Go part 2 26.9s 24.4s
Music To Go 59.37s 54s
Benchmark duration 2h42min52s 2h33min59s
ファイナルファンタジーXIオフィシャルベンチマーク3
Low 3678 4970
High 2463 3212
SiSoftware Sandra
Dhrystone 17.1GIPS 14.82GIPS
Whetstone 8.61GFLOPS 8.25GFLOPS
Graphics Rendering Float 37Mpixel/sec 44.91Mpixel/sec
Graphics Rendering Double 7Mpixel/sec 8.47Mpixel./sec

 結果は「予想範囲内」と言ったところで、ホームユースとしては本機、コンテンツ制作やゲームならばStream 11の方が軍配が上がるが、あまり比較しても意味がない数値で、ほぼ互角だと言っていい。高解像度ビデオ編集やメモリ容量を酷使する写真編集、DirectX 11の技術をふんだんに使う3Dゲームでもない限り、一般の家庭における用途では十分な性能だ。

 バッテリについては、PCMark 8のHome Accelarated実行時では約9時間14分31秒駆動可能と出た。これはStream 11の6時間19分45秒を大幅に上回る。もともと公称駆動時間も前者は約11.3時間、後者は8.25時間とされているため差があるのだが、実利用においてもEeeBook X205TAの方に分がありそうだ。これならば1日ACアダプタを持たずに運用できそうだ。

ネットブック2.0の時代へ

これが3万円台のPCだとは考えられないほどの質感だ

 単純に低価格なクラムシェルと言えば、やはりネットブックであるが、2008年頃に一世を風靡したネットブックは、価格が最安でも299ドルだった。しかも性能やストレージ面、液晶解像度、デザインで妥協をしなければならず、結果としてネットブックとしてできることはタブレットでもでき、シェアを奪われ市場から消えてしまった。

 そのネットブックはこの7年で、タブレットの技術を取り入れることで、さらなる低価格化を実現し、反撃に出る体制を整えた印象だ。いわばネットブック2.0時代の到来である。米Gartnerの調査によると、ここ最近はタブレット端末が十分に普及したこともあり、徐々にPCへの回帰が始まっているというが、Stream 11とEeeBook X205TAはそのスタートダッシュを握る役割がある製品だと言えるだろう。

 ともすればやはり気になるのはStream 11の存在だが、本体サイズや軽量性で選ぶならEeeBook X205TAの方に分があり、非光沢液晶やキーボードのキータッチの良さで選ぶならStream 11だと言える。モバイル前提ならEeeBook X205TA、据え置きがメインならStream 11ではないだろうか。

(劉 尭)