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NEC「LaVie Tab W TW710/M2S」

〜ネットワーク経由でTVを楽しめるWindows 8タブレット

NEC「LaVie Tab W TW710/M2S」
9月下旬 発売

価格:オープンプライス

 NECは、一般ユーザー向けのWindows 8タブレット「LaVie Tab W TW710/M2S」を発表した。10.1型液晶搭載Windows 8タブレットとしてトップクラスの薄型軽量ボディを実現。また、デジタイザペンやスタンドとしても使えるBluetoothキーボードを標準添付し、タッチでもキーボードでも快適に利用できるように考慮されている点や、ネットワーク経由でTVや録画番組の視聴が可能なアプリを用意するなど、ユーザビリティを重視した仕様が魅力の製品となっている。9月下旬に発売予定で、価格はオープンプライス、市場想定価格は99,800円前後。

1cmを切る薄さと600gを切る軽さを実現

 NECは、8月に法人向けとなるWindows 8タブレット「VersaProタイプVT」を発表したが、今回新たに発表された「LaVie Tab W TW710/M2S」(以下、TW710/M2S)は、一般ユーザーをターゲットとしたWindows 8タブレットだ。とはいえ、製品の仕様はVersaProタイプVTと非常に似通っており、基本的には同一製品の一般ユーザー向けモデルと考えて差し支えなさそうだ。

 TW710/M2Sの特徴は、10.1型Windowsタブレットとして、トップクラスの薄さと軽さを実現している点だ。本体サイズは、262.6×164×9.8mm(幅×奥行き×高さ)。高さは9.8mmと1cmを切る薄さを実現。フットプリントも10.1型液晶を搭載していることを考えると、かなり小さくなっている。加えて重量は公称で約590gと600gを下回っている。実測では552.5gと公称値を37.5g下回っていた。これだけの薄型軽量ボディのため、持ち運びやすいのはもちろんのこと、利用時にも本体の重さが気になる場面はかなり少ない。

 薄型軽量ボディを実現できているのは、搭載CPUにAtom Z2760(1.8GHz、ビデオ機能内蔵)を採用しているからだ。Coreプロセッサ搭載のWindows 8タブレットと比較すると、パフォーマンスの面では不利となるものの、低消費電力で発熱が少ないことから、本体の薄型軽量化を実現しやすい。また、Atom Z2760のパフォーマンスに不安があるとはいっても、Windows 8でWebアクセスやビジネス系アプリケーションの利用が中心であれば、動作の重さが不満に感じる場面はそれほど多くない。そういった意味では、携帯性と性能のバランスが取れている。

本体下部側面。高さは9.8mmと1cmを切る薄さを実現している
左側面。高さは前方から後方まで均一だ
上部側面。左側面側のみ強い曲面となっている
右側面。底面側の角がわずかに削り取られている
液晶面。10.1型液晶搭載ながら、フットプリントは、262.6×164mm(幅×奥行き)とコンパクトだ
底面。底面側もフラットで、デザインはシンプル。ボディカラーはシルキーシルバーのみとなる
重量は、実測で552.5gと、10.1型Windows 8タブレットとしてトップクラスの軽さを実現。手に持って使う場合でも疲れを感じにくい

1,366×768ドット表示対応の10.1型IPS液晶を採用

 液晶は先ほど紹介したように、10.1型液晶を採用している。表示解像度は1,366×768ドットとフルHDではない。10.1型液晶搭載のAndroidタブレットでは、フルHD表示対応パネルを採用する例が増えていることを考えると、少々物足りないが、実際に使ってみると、表示解像度の低さを感じる場面はそれほど多くなく、それほど大きな問題は感じなかった。

 パネルの種類はIPS方式のため、広視野角でどの角度から見てもしっかりとした視認性が確保されている。パネル表面は光沢処理が施されており、発色は鮮やかだ。光沢液晶のため、外光の映り込みはやや気になるが、低反射コーティングが施されていることで、一般的な光沢液晶に比べると映り込みは少なく感じた。

 液晶表面のガラスは、旭硝子が開発した強化ガラス「Dragontrail」を採用している。これにより、液晶面はキズが付きにくいだけでなく、本体の堅牢性も高められている。常に携帯するタブレットとしては、心強い仕様だ。

液晶は、1,366×768ドット表示対応の10.1型液晶を搭載。表面ガラスには旭硝子の強化ガラス「Dragontrail」を採用。フルHD表示に対応しない点は少々残念
パネルはIPS方式で視野角が広く、発色も十分鮮やかだ。光沢パネルのため外光の映り込みはやや気になるが、思ったほどは激しくない

デジタイザペンに標準対応

 タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルと、デジタイザペン双方に標準で対応している。静電容量方式のタッチパネルは、5点マルチタッチに対応。10点マルチタッチ対応ではないが、大きな問題はないだろう。むしろ、ペン入力が行なえる方が魅力だと言える。

 デジタイザペンは、電池を使わない電磁界共振方式のアクティブペンだ。ペンを利用した入力は軽快。手書き入力対応のアプリを利用した手書き文字入力や、絵を描くといったことがストレスなく行なえる。また、ペンは1,024段階の筆圧検知に対応しているため、筆圧検知対応の手書きアプリを利用すれば、より自然な感覚で手書き入力できる。

 そして、TW710/M2Sには、デジタイザペンを活用するアプリがいくつかプリインストールされている。その中で特に有用なのが、手書きノートアプリの「NoteAnytime」だ。手書きでメモを取るのはもちろん、絵を描いたり、ブラウザなどのキャプチャ画像を取り込み、その上に文字などを書き込むことも簡単に行なえる。標準でアプリが豊富にインストールされているという点は、一般ユーザー向けの製品らしい特徴と言える。

 ペンは細くて軽く、本体に専用の収納スペースが用意されており、本体との同時携帯も問題ない。

静電容量方式タッチパネルに加え、デジタイザペンに標準対応。軽快なペン入力が行なえる
デジタイザペンは電池不要で細く軽量。本体に収納スペースがあるため持ち運びも楽
1,024段階の筆圧検知にも対応。プリインストールの手書きノートアプリ「NoteAnytime」などを利用し、軽快な手書き入力が可能だ

Bluetoothキーボードが標準添付

 静電容量方式のタッチパネルとデジタイザペンの対応で、TW710/M2Sでは軽快なタッチ操作が可能だが、タッチ操作だけではキーボード同様の文字入力は難しい。そこでTW710/M2Sでは標準でBluetooth接続のワイヤレスキーボードが添付される。このBluetoothキーボードは、VersaProタイプVTでオプションとして用意されているものとほぼ同等のものだ。

 Bluetoothキーボードのフットプリントは本体とほぼ同じ。重量は実測で363.5g。本体と合わせても重量は1kgを切る軽さのため、可搬性は高い。内蔵バッテリの充電は、側面に用意されているMicro USB端子経由で行なう。

 キーはアイソレーションタイプで、主要キーのキーピッチは約18.5mm。サイズが小さいこともあり、Enterキー付近の一部キーのピッチがかなり狭くなっている部分は気になるものの、配列はクセがなく、ストロークが深くしっかりしたクリック感があるため、見た目以上に扱いやすく感じる。また、キーボードにはスティック型のポインティングデバイスも用意され、カーソル操作も行なえる。このポインティングデバイスは光学式のため、やや操作性に難ありという印象を受けるが、本体側のタッチ操作を併用すれば、その操作性を補えるだろう。

 ところで、このBluetoothキーボードは、本体を立てかけるスタンドとしても利用できる。キーボード後部のスタンドを立て、その手前の溝に本体を差し込むように置けば、キーボード後方に本体を立てかけられる。この状態では、ノートPCに近い使い勝手が実現されるため、文字入力の多い作業を行なう場合などに便利だ。ただし、本体の角度を調節できない点は少々残念だ。

Bluetoothキーボードが標準で付属。タッチのみでは難しい、ノートPC同等の軽快な文字入力が可能だ
フットプリントは本体とほぼ同じで、重ねて持ち歩ける
Bluetoothキーボードの重量は実測で363.5gだった
本体とBluetoothキーボードを合わせても、重量は実測で915.5gと1kgを切っており、軽々持ち歩ける
キーボード後方のスタンドを開けば、本体を立てかけておける
このように本体を置けば、ノートPC同等の使い勝手を実現。ただし本体の角度は調節できない
Bluetoothキーボードの充電は、左側面のMicro USB経由で行なう
主要キーのキーピッチは約18.5mmとゆったりしている
ストロークはまずまず深く、クリック感もしっかりしているので、打鍵感は悪くない
Enterキー付近の一部キーのピッチが狭くなっている点は気になる
スティック型のポインティングデバイスも搭載。ただし、スティック部は光学式のため、やや操作性に難がある

Windowsストアアプリ版「SmartVision/PLAYER」を用意

 TW710/M2Sは、一般ユーザー向けをターゲットとしていることもあり、LaVieシリーズでおなじみのアプリが多数プリインストールされている。例えば、先ほど紹介した手書きノートアプリのNoteAnytimeをはじめ、手書き対応アプリを複数プリインストール。また、Office Home and Business 2013も標準添付。初心者向けにアプリや本体の使い方を解説するオリジナルアプリなども用意され、買ってすぐ活用できるように配慮されている点は、ほかのLaVieシリーズと同じだ。

 そして、LaVie Tab Wオリジナルとして用意されるアプリもある。それは、Windowsストアアプリ版「SmartVision/PLAYER」だ。これは、地デジ録画機能を備えるNEC製デスクトップPC「VALUESTAR」シリーズなどと連携し、ネットワーク経由でTV番組のリアルタイム視聴や、録画番組の視聴が行なえるアプリだ。Windowsデスクトップアプリとしては既に多くのNEC製PCに導入されているが、Windowsストアアプリ版として提供されるのはこれが初となる。

 用意されている機能は、VALUESTARに搭載されているTVチューナで受信しているリアルタイム放送の視聴や、VALUESTARで録画した番組の視聴など、デスクトップアプリ版とほぼ同等だ。また、VALUESTARだけでなく、DLNA/DTCP-IP対応の映像機器との連携にも対応。実際に試したところ、ソニー・コンピュータエンタテインメントのネットワークレコーダー「nasne」と連携し、TV番組のリアルタイム視聴や録画番組の視聴が可能であった。そのほかにも、DLNA/DTCP-IP対応レコーダとも連携可能と思われるため、かなり便利に活用できそうだ。

 なお、このWindowsストアアプリ版SmartVision/PLAYERは、プリインストールではなく、10月にWindowsストアで無償配布される予定。利用できるのはLaVie Tab Wシリーズのみとなる。

Windowsストアアプリ版SmartVision/Player。同一LAN内のVALUESTARと連携し、ワイヤレスでTV放送のリアルタイム視聴や録画番組視聴が可能
DLNA/DTCP-IP対応機器との連携も可能。実際にnasneも問題なく認識され、TV放送のリアルタイム視聴や録画番組視聴が可能だった

基本スペックもVersaProタイプVTとほぼ同等

 基本スペックは、ベースとなっているVersaProタイプVTとほぼ同じだ。

 CPUは、冒頭でも紹介しているように、Atom Z2760を採用。発熱が少ないこともあり、空冷ファンを搭載しないファンレス仕様となっている。メインメモリはPC2-6400準拠LPDDR2 SDRAMを2GB搭載。内蔵ストレージは64GBのeMMCを採用する。OSは、Windows 8(32bit)となる。

 無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。センサー類は、GPS、加速度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、照度センサーを搭載する。

 側面のポートは、左側面に標準コネクタのUSB 2.0×1と充電用のMicro USB端子、上部側面にmicroSDカードスロット、右側面にヘッドフォン/マイク共用ジャック、下部側面にMini HDMI出力とコンボジャックがそれぞれ備わっている。microSDカードスロットの横にはSIMカードスロットもあるが、3G/LTE通信機能搭載モデルは用意されない。

 カメラ機能は、液晶面と背面に用意され、背面側が約800万画素、液晶側が約200万画素となっている。

左側面のカバーを開けると、標準サイズのUSB 2.0コネクタがある。右のMicro USBは充電用だ
上部側面のカバーを開けると、microSDカードスロットが現れる。右のSIMカードスロットは利用できない。電源ボタンも上部にある
右側面にはヘッドフォン/マイク共用ジャックがある。また、画面回転ON/OFFスイッチとボリュームボタンもある
下部側面には、Mini HDMI出力と各種拡張用のコンボジャックがある
裏面側には、800万画素のカメラとLEDフラッシュを搭載
液晶面にも200万画素のカメラを搭載する
Windowsボタンは物理ボタンを採用
付属のACアダプタ。コンパクトで軽い
USBケーブルを利用し、本体のMicro USB端子に接続して充電を行なう。一般的なUSB充電アダプタを利用した充電も可能だ

Atom Z2760搭載タブレットとして標準的な性能

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」の5種類。比較用として、同じくAtom Z2760を搭載するAcerの「Iconia W3-810」と、富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」の結果も加えてある。

LaVie Tab W Iconia W3-810 ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J
CPU Atom Z2760(1.80GHz) Atom Z2760(1.80GHz) Atom Z2760(1.50/1.80GHz)
チップセット
ビデオチップ Intel GMA Intel GMA Intel GMA
メモリ PC2-6400 LPDDR2 SDRAM 2GB LPDDR2 SDRAM 2GB PC2-8500 LPDDR2 SDRAM 2GB
ストレージ 64GB eMMC 64GB eMMC 64GB eMMC
OS Windows 8 Windows 8 Windows 8
PCMark 7 v1.4.0(QH55/JのみPCMark 7 v1.0.4)
PCMark score 1367 1435 1414
Lightweight score 892 958 921
Productivity score 568 616 574
Entertainment score 969 1038 1016
Creativity score 2843 2904 2963
Computation score 3191 3329 3787
System storage score 2994 2979 2980
Raw system storage score 763 756
PCMark Vantage Build 1.2.0(QH55/JのみPCMark Vantage Build 1.0.1 0906a)
PCMark Suite 2148 2343 N/A
Memories Suite 1010 1023 1051
TV and Movies Suite N/A N/A N/A
Gaming Suite 1833 1844 1759
Music Suite 2855 3105 3065
Communications Suite 1647 1635 N/A
Productivity Suite 2232 2631 N/A
HDD Test Suite 5861 5855 6059
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A
CPU Score 2121 2140 2126
Memory Score 2051 2109 2062
Graphics Score 538 N/A 527
HDD Score 6410 6601 6563
3DMark Professional Edition v1.1.0
Ice Storm 2455 2961
Graphics Score 2923 2546
Physics Score 1574 6901
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score 456 445 457
SM2.0 Score 174 167 174
HDR/SM3.0 Score 147 144 146
CPU Score 847 973 960
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ 3.5 3.4 3.4
メモリ 4.7 4.6 4.7
グラフィックス 3.8 3.5 3.7
ゲーム用グラフィックス 3.3 3.2 3.2
プライマリハードディスク 5.6 5.6 5.8

 結果を見ると、いくつか違いは見られるものの、ほぼ比較機種と同等のパフォーマンスが発揮されていると言っていい結果となっている。Atom Z2760搭載タブレットは、ほぼスペックが横並びということもあり、性能面でほとんど差が出ないのは当然だ。そういった意味では、予想通りの結果と言える。

 次に、バッテリ駆動時間だ。TW710/M2Sは、公称で約10時間(無線LAN接続時)の駆動が可能とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」に設定(省電力設定はバランスのみが用意されている)し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約10時間04分の駆動を確認した。バックライト輝度を40%に設定した状態で公称値と同じ駆動時間が確保されており、これは十分に満足できる数字と言える。バックライト輝度をさらに落とせば、より長時間の駆動も可能なはずで、1日程度の外出ならACアダプタの同時携帯は不要だろう。

完成度の高いWindows 8タブレット

 TW710/M2Sは、ビジネス向けのVersaProタイプVTをベースとしているため、Windows 8タブレットとしての完成度はもともと高い。その上で、デジタイザペンの標準搭載やBluetoothキーボードの標準添付、一般ユーザー向けのアプリを追加することで、ビジネス用途からホビー用途まで柔軟に対応できるようになり、完成度の高い製品に仕上がっているように感じた。

 性能的には、さすがに動画エンコードやゲームなど高負荷な作業はかなり厳しいが、Windowsストアアプリは快適に動作し、デスクトップアプリでもWebアクセスやOfficeなどのビジネス系アプリケーションは不満なく利用できる。また、デジタイザペンによる軽快な手書き入力や、BluetoothキーボードでノートPCと同等の感覚でタイピングが行なえる点も魅力的だ。

 先日、IntelはAtom Z2760の後継となる「Bay Trail-T」ことAtom Z3000シリーズを発表しており、どうせならもう少し早いタイミングで投入してもらいたかったように思う。ただ、その点を考慮しても、完成度の高さや優れた利便性から、Windows 8タブレットの中でもかなり魅力がある製品だと言える。

(平澤 寿康)