Hothotレビュー

東芝「dynabook KIRA V832」

~デザインを一新しWQHD対応高解像度液晶を採用

東芝「dynabook KIRA V832」
発売中

価格:オープンプライス

 東芝は、Ultrabook準拠の新dynabook「dynabook KIRA V832/28HS」を発売した。従来モデル「dynabook R632」から本体デザインを一新するとともに、dynabook KIRAという新ブランド名を採用し、まさにフルモデルチェンジと言っていい進化を遂げている。しかも、WQHD対応の超高解像度液晶を採用するなど、これまでにない魅力も備えている。なお、本レビューでは試作機を試用したため製品版とは一部異なる可能性がある。

表示品質に優れる超高解像度液晶を採用

 「dynabook KIRA V832/28HS」(以下、V832)の最大の魅力は、なんと言っても2,560×1,440ドット(WQHD)表示対応の13.3型液晶を採用している点だ。これまでdynabookシリーズでは、13.3型液晶搭載モデルでは表示解像度が1,366×768ドット表示対応の液晶パネルを採用することがほとんどだった。一足早く発売された、V832の下位モデル「dynabook KIRA V632」にも、1,366×768ドット表示対応の13.3型液晶が採用されていた。これは、13.3型というサイズでは、1,366×768ドット以上の表示解像度にすると、表示される文字が小さくなり、視認性が下がることでPCとしての利便性が損なわれるとの考えからだろう。

 ただ、海外メーカーを中心として、13.3型でも1,920×1,080ドットのフルHD表示に対応する液晶を搭載したUltrabookが多数登場してきたこともあり、見劣りしていたのも事実。筆者も、dynabookシリーズでも徐々に表示解像度の高解像度化が進むものと考えていたが、いきなりフルHDを凌駕するWQHD対応の液晶を採用してきたのは、かなりの驚きだった。

 実際にV832の液晶を見ると、肉眼ではドットが判別不可能なほどに緻密に表示される映像に驚かされる。特に、デジタル一眼カメラなどで撮影した高解像度画像を全画面表示させた場合には、低解像度液晶ではスケーリングによって細かな部分の描写が潰れてしまうが、V832の液晶なら細部までくっきり表示され、高解像度の威力が遺憾なく発揮される。

 また、液晶の表示品質の高さにも特筆すべき部分だ。発色が鮮やかなのはもちろん、明るい部分が飛んだり、暗い部分が潰れることなく、高コントラストの映像が表示される。加えて、視野角が非常に広く、上下左右に視点をずらしても発色や明るさの変化が非常に少ない。V832に採用されている液晶パネルは、従来よりも視野角が約1.7倍、コントラストが約2.5倍に向上しているという。しかも、出荷前に個別の色調整も行なっているそうだ。これによって、従来モデルとは比べものにならない表示品質が実現されているわけだ。

 ただし、表示解像度が非常に高いために、デスクトップの文字サイズを100%に設定した状態では、文字がかなり小さく表示されてしまう。このあたりは個人差があると思うが、筆者の個人的な印象では、文字サイズが100%では文字の入力などを行なうのはかなり厳しいと感じた。そこでV832には、簡単に文字サイズを変更できる「画面設定ユーティリティ」が用意されている。解像度をフルに活用して最大限の情報を表示してもいいし、文字サイズを拡大して見やすさを優先してもいい。もともとの表示解像度が低いと、こういった自由度もないわけで、この点も高解像度液晶ならではの利点と言えるだろう。

 加えて、下位モデルのV632には搭載されないタッチパネルも標準搭載している。タッチパネルの方式は静電容量方式で、最大10点のマルチタッチに対応。これにより、Windows 8の新UIもタッチで快適に操作できる。

 ところで、V832に採用されている液晶パネルの種類は公表されていない。ただ、13.3型でこれだけの高解像度を実現するとともに、広視野角で高コントラストという特徴から考えると、パネルの種類はかなり絞り込める。超高解像度かつ高コントラストで表示品質に優れる液晶パネルとして、シャープの「IGZO」液晶を思い浮かべる人も多いだろう。しかもシャープは、2012年のCEATEC JAPAN 2012で、2,560×1,440ドット表示対応の13.3型IGZO液晶パネルを参考展示していた。これだけで断定はできないが、V832に採用されている液晶パネルがIGZO液晶である可能性はかなり高そうだ。

2,560×1,440ドットとフルHDを超す超高解像度表示に対応する13.3型液晶を採用している
本誌および僚誌を横に並べて表示してもまだ空きスペースがある。複数のアプリを同時に利用する場合など、作業領域の広さが大いに活躍するだろう
出荷前に個別の色調整が行なわれていることもあり、高コントラストかつ発色も非常に鮮やかで、デジカメ写真なども非常に鮮やかに表示される
表示映像の伊津部を拡大した様子。細かな壁の模様までくっきり表示されていることがわかる
こちらは、1,366×768ドット表示対応の13.3型液晶を搭載するdynabook KIRA V632に同じ映像を表示させ、同じ場所を拡大した様子。細部が潰れているだけでなく、発色も若干劣っていることがわかる
視野角の広さも特徴で、このように視点を上下や左右にずらしても色合いの変化が少ない
表示文字サイズを簡単に変更できる「画面設定ユーティリティ」を用意し、表示文字の見やすさなどを調整できる
文字サイズを100%にした状態。アイコンの文字が非常に小さくなり、見づらく感じる場合もある
こちらは、画面設定ユーティリティで文字サイズを「最適」に変更した状態。アイコンやアイコンの文字が大きくなり、かなり見やすくなるが、作業領域のサイズはやや狭くなる
画面領域を2分割し、それぞれの領域にアプリなどのウィンドウをフィットさせられる「スプリットスクリーン」機能も備える
アプリウィンドウの専用アイコンで領域を選択すれば、その領域に合わせて表示される

本体デザインを一新

 V832と、下位モデルのV632では、従来までのdynabookシリーズから本体デザインが一新されている。従来モデルの「dynabook R632」では、前方から後方まで、ほぼフラットな高さで、側面や角など、どちらかというと直線的なデザインとなっていた。それに対しV832では、前方が薄く、後方に向かってやや厚くなる、くさび型のボディで、側面や角に曲線を取り入れた、柔らかいデザインへと変更された。ボディカラーはシルバーで、ヘアライン処理が施されるとともに、天板から底面まで同じカラーで統一されている。一見すると、MacBook Airをかなり強く意識したデザインになった、という印象を強く受ける。このあたりは賛否両論あると思うが、個人的にはもう少しdynabookらしい個性があっても良かったのではないか、と思う。とはいえ、十分に高級感があり、全体的には悪くないデザインだ。

 本体サイズは、316×207×9.5~19.8mm(幅×奥行き×高さ)。従来モデルのR632と比べると、奥行きが20mm短くなっているのに対し、高さは最も厚い部分で3.9mm増えている。高さについては、V832ではタッチパネル液晶を搭載していることがかなり大きく影響している。実際に、タッチパネル液晶を搭載しない下位モデルのV632は高さが最大17.9mmと1.9mm薄い。

 重量は、公称で約1.35kgとなっており、実測では1276.5gだった。公称で約1.12kgだった従来モデルのR632や、タッチパネル液晶を搭載しないV632の約1.21kgよりも重くなっているが、これもタッチパネルの有無が大きく影響していると言える。

 ただ、高さは最厚部で20mmを切り、重量も実測では1.3kgを切っているため、携帯性は大きく失われていない。また、ボディ素材はマグネシウム合金を採用するとともに、天板は薄さと強度を両立させるためにプレス加工による成型を行ない、ねじれに強いハニカムリブ構造の採用、バスタブ構造成型とフレームレスキーボードの採用などにより、非常に優れた堅牢性も確保。安心して鞄に入れて持ち運べるのは、モバイルノートとして非常に大きな魅力だ。

本体正面
左側面。従来モデルのR632では、前方から後方まで高さがほぼフラットだったのに対し、V832では前方が8.5mmと薄く、後方が19.8mmと厚くなっている
背面。従来までは背面にポート類が置かれていたが、V832では背面にポートはなく、すっきりしている
右側面。側面や背面など、ラウンド形状を多用している点も従来モデルから大きく変わっている部分だ
天板部分。フラットでシンプルなデザインを採用。また、角に大きなラウンドを採用している点もこれまでのシリーズにない特徴だ
フットプリントは316×207mm(幅×奥行き)。従来モデルのR632と比べると、幅は同じだが奥行きが20mm短くなっている
底面もシルバーで統一。ボディ素材は、天板、底面ともにマグネシウム合金を採用。また、優れた堅牢性を実現するためのさまざまな技術も盛り込まれており、携帯性は申し分ない
本体重量は、公称で約1.35kg、実測では1276.5g。十分に軽く、この点でも携帯性は優れる

縦のピッチが広がりキーボードの使い勝手が向上

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを採用しているが、従来モデルのR632のキーボードから若干仕様が変更されている。最も大きな変更点は、キーの縦ピッチがやや広がったという点だ。これでもまだ縦ピッチが横ピッチよりもやや狭くなっており、主要キーの形状が長方形となっている部分は変わっていないが、従来モデルと比べるとかなり縦ピッチが広がったことで、タイピング時の違和感がかなり軽減されている。もちろん、可能なら縦横のピッチが同じ正方形キーを採用してもらいたいところだが、R632からタイピングの感覚はかなり改善されたと考えていい。ちなみに、横のピッチは約19mmとほぼフルピッチだ。

 ストロークは、従来モデル同様やや浅いものの、クリック感がしっかりしており、タッチも適度な堅さがあって打鍵感はまずまずだ。キーボードバックライトの搭載により、暗所での使い勝手に優れる点も嬉しい。

 ポインティングデバイスのタッチパッドは、物理クリックボタンが廃止され、クリックボタン一体型のタッチパッドに変更された。パッド面積が広くなったことで、カーソル操作は快適。もちろんジェスチャー操作にも対応しており、Windows 8を快適に操作できる。ただ、個人的には物理クリックボタンと指紋認証センサーが廃止された点は残念に感じる。

従来同様アイソレーションタイプのキーボードを採用しているが、これまでより上下のピッチが広がっており、従来よりも使い勝手が高まっている
キーボードバックライトも標準で内蔵。暗い場所でも快適に利用できる
主要キーのキーピッチは約19mmとフルピッチを確保。ストロークは約1.2mmとやや短いが、しっかりとしたクリック感が感じられ、打鍵感はまずまずだ
タッチパッドは、クリックボタン一体型のものが採用されている。従来に比べてパッドの面積が広くなり、使いやすさが向上している。反面、指紋認証センサーが省かれた点は残念だ

harman/kardon製スピーカの音質に優れる

 V832の基本スペックを確認していこう。CPUはCore i5-3337U、チップセットはIntel HM76 Expressを採用。メインメモリは、PC3-10600準拠のDDR3L SDRAMを8GB標準で搭載しており、ユーザーによる増設は不可能。グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel HD Graphics 4000が利用される。内蔵ストレージは、容量128GBのSSDを採用。今回の仕様機は、市販モデル相当のもので、直販サイト「東芝ダイレクト」では、CPUがCore i7-3537U、256GBのSSDを採用する直販モデルも用意される。

 無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANと、Bluetooth 4.0を標準搭載。側面のポート類は、左側面に電源コネクタとHDMI出力、USB 3.0×2ポート、右側面にはSDカードスロットとヘッドフォン・マイクジャック、USB 3.0×1ポートを備える。従来モデルまで用意されていた、アナログRGB出力や有線LANポートが省かれている点は残念だ。

 ところで、V832には、dynabookシリーズで広く採用されている、harman/kardon製のステレオスピーカーが搭載されている。このスピーカーの音質は、AV性能を重視したノートPCに匹敵するほど優れており、Ultrabookの中では飛び抜けた音質を実現していると言っていい。単体で音楽を聴いたり映像を鑑賞する場合でも、音質に十分満足できるだろう。

左側面には、電源コネクタ、HDMI出力、USB 3.0×2の各ポートを配置
右側面には、SDカードスロットとヘッドフォン・マイク共用ジャック、USB 3.0×1を用意。アナログRGB出力や有線LANが省かれた点は残念
本体底面左右に、harman/kardon製ステレオスピーカーを内蔵。このスピーカーの音質はかなり優れ、Ultrabookの中では飛び抜けている
付属のACアダプタはまずまずコンパクトで、本体との同時携帯も苦にならない
ACアダプタの重量は、電源ケーブル込みで実測208.4gだった

現時点で最も魅力のあるUltrabook

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、セガの「ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版」の7種類。比較用として、下位モデルとなる「dynabook V632」、レノボの「ThinkPad Helix」、ASUSの「TransBook TX300CA-C4021HS」の結果も加えてある。なお、PCMark Vantageは一部テストが正常に計測できなかったため、計測できたスコアのみを掲載している。

 dynabook V832dynabook V632ThinkPad HelixTransBook TX300CA-C4021HS
CPUCore i5-3337U (1.80/2.70GHz)Core i5-3337U (1.800/2.70GHz)Core i7-3667U (2.00/3.20GHz)Core i7-3537U (2.00/3.10GHz)
チップセットIntel HM76 ExpressIntel HM76 ExpressIntel QS77 ExpressIntel UM77 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000
メモリPC3-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3-10600 DDR3L SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3L SDRAM 4GB
ストレージ128GB SSD128GB SSD256GB SSD128GB SSD + 500MB HDD
OSWindows 8Windows 8Windows 8 ProWindows 8
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score4629461048684328
Lightweight score3145481134512696
Productivity score2271400525902152
Creativity score3252327233153109
Entertainment score9238876184077895
Computation score14687150531524615490
System storage score5375515553434082
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark SuiteN/AN/AN/AN/A
Memories Suite7828765580385570
TV and Movies SuiteN/AN/AN/AN/A
Gaming Suite99931008597948459
Music Suite15402149851598211324
Communications SuiteN/AN/AN/AN/A
Productivity SuiteN/AN/AN/AN/A
HDD Test Suite40856387183592417040
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/A
CPU Score8117813998028843
Memory Score7167726381848392
Graphics Score2774282025632632
HDD Score44552463284070420592
3DMark Professional Edition
Ice Storm29350376953206328035
Graphics Score29880420633427429392
Physics Score27636276486215924136
Cloud Gate3679378636493177
Graphics Score4339451640493577
Physics Score2402241827122285
Fire Strike535536478412
Graphics Score581571525463
Physics Score3388341137593083
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score5186570946834242
SM2.0 Score1694186414911379
HDR/SM3.0 Score2215248919581752
CPU Score3180316836563093
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ6.96.97.17.0
メモリ7.47.47.45.9
グラフィックス5.65.65.35.4
ゲーム用グラフィックス6.46.46.36.3
プライマリハードディスク8.08.18.07.6
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット2479237422072029
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版
横1,280ドットフルスクリーン142659225191

 結果を見ると、スペック相応のスコアが記録されていることがわかる。搭載CPUがCore i5-3337Uのため、Core i7搭載機種に比べ若干スコアが劣る部分も見られるが、トータルでの性能に大きな開きはなく、実際に使っていてもパフォーマンスが劣ると感じることは少ないだろう。

 また、ストレージのスコアを見ると、かなり好スコアが記録されていることがわかる。そこで、別途CrystalDiskMark 3.0.1cを利用してテストを行なってみたところ、シーケンシャルリードが489MB/sec、シーケンシャルライトが451MB/secで、ランダムアクセス速度もかなりの速度が計測された。テストデータを「0fill」に設定した場合でもほとんど速度に差がなく、常に最高速度が発揮される。この高速SSDを搭載していることも、快適な体感速度の実現に貢献しているはずだ。

DrystalDiskMark
テストデータ:ランダム
テストデータ:0fill

 ちなみに、ベンチマークテスト実行中のような高負荷時には、空冷ファンの音がかなり大きくなる点がやや気になった。キーンというような金属的な音で、かなりうるさいと感じるほどに大きく、図書館などの静かな場所での使用がためらわれるほどだ。もちろん、低負荷時にはほぼ気にならないレベルの音になるため、通常は特に問題ないが、高負荷な作業を行なう場合には、空冷ファンの動作音に注意したい。

 最後にバッテリ駆動時間だ。V832の公称のバッテリ駆動時間は約9.5時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、キーボードドックのキーボードバックライトはオフ、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約6時間40分の駆動時間を記録した。公称に比べるとやや短いものの、テスト条件を考えるとまずまず満足できるレベルだ。ただし、下位モデルのV632で同じ条件でテストした場合の駆動時間は約10時間38分で、そちらと比べて約4時間ほどの駆動時間減となっている。これは、超高解像度液晶やタッチパネルを搭載することによる影響と考えていいだろう。下位モデルに比べ、バッテリ駆動時間がかなり短くなっている点は少々残念ではあるが、省電力設定を突き詰めれば、もう少し駆動時間が延びるはずで、Ultrabookとしてはまずまず及第点と言える。

バッテリ駆動時間
dynabook V832約6時間40分
dynabook V632約10時間38分

 V832は、基本的にはUltrabook準拠のノートPCで、基本スペックも一般的ではあるが、WQHD表示対応の超高解像度液晶やタッチパネルの搭載によって、これまでのdynabookシリーズにはない魅力が実現されている。コンシューマ寄りの製品のためアナログRGB出力や有線LANが省かれるなど拡張ポートに妥協が見える点や、空冷ファンの動作音の大きさなど、気になる部分も若干存在するが、一度、V832の液晶に表示される画像を見ると、それらの不満も吹き飛んでしまう。それぐらい、V832の超高解像度液晶には魅力がある。しかも、発売からまだ半月ほどしか経過していないにもかかわらず、実売価格は大手量販店で実質15万円前後、一部のオンラインショップでは12万円前後と価格が下落しており、この点でもかなり魅力がある。とにかく、現在発売されているUltrabookの中で、最も魅力のある製品の1つであることは間違いなく、今すぐノートPCを購入するなら、真っ先に考慮すべき製品と言っていいだろう。

(平澤 寿康)