日本エイサー「ICONIA TAB A700」
~日本初のWUXGA対応10.1型Androidタブレット



「ICONIA TAB A700 32GBモデル」

7月20日 発売
価格:オープンプライス



 日本エイサーの「ICONIA TAB A700」は、日本初となる1,920×1,200ドット(WUXGA)の10.1型ディスプレイを搭載したAndroidタブレットだ。10.1型のタブレットでは1,280×800ドットの解像度が主流だが、A700では高密度かつ高精細な画面表示が可能となる。

 スペック面でもCPUは1.3GHzクアッドコアのTegra 3、OSは最新のAndroid 4.0を搭載し、タブレットとして日本初というドルビーデジタルプラスを採用して音質面にもこだわるなど、ハイスペックを追求したタブレットに仕上がっている。

 3G通信機能は搭載しない無線LANモデルで、内蔵ストレージの容量によって2モデルが用意されている。16GBモデルは本体色がシルバー、32GBモデルはブラックと容量ごと本体カラーが異なるが、それ以外のスペックはほぼ同等になっている。発売は本日7月20日で、店頭予想価格は16GBが44,800円前後、32GBが47,800円前後。

 本体サイズは約260×175×10.95mm(幅×奥行き×高さ)で、10型サイズのタブレットとしては若干横長のデザイン。重量は約665gと、新しいiPad(Wi-Fiモデルで652g)とほぼ同じ程度だ。手に持った感じは画面幅がやや横長なため小さく見えることもあり、外観よりもずっしりと重さを感じる。

 インターフェイスやボタン類は本体左側面に電源ボタンとイヤフォンジャック、右側面にMicro HDMIとmicroSDスロット。本体上部には音量ボタンに加え、画面の向きを固定するスクリーンロックスイッチを配している。

背面に500万画素カメラ左側面に電源ボタンとイヤフォンジャック
右側面にMicro HDMIとmicroSDスロット本体上部に音量ボタンとスクリーンロックスイッチ

 本体下部はMicro USBポートを兼ねた電源コネクタが中心にあり、A700の特徴でもあるドルビーデジタルプラスのスピーカーをその左右に配置。電源コネクタはUSB充電には対応していないようで、手持ちのMicro USB型充電アダプタやPC接続では充電できず、専用ACアダプタでのみ充電が可能だった。

底面はリセットボタンとMicro USBポートを兼ねた電源コネクタ付属の電源アダプタ。USBケーブル着脱型ではなく一体型になっている通常のMicroUSB(上)と比較すると形状がやや異なる

 画面インターフェイスは5画面のスクリーン構成で、右上にアプリケーションメニュー、左下に戻る/ホーム/履歴のナビゲーションと、Android 4.0の標準的なインターフェイスだが、特徴的なのは画面下部中央に用意されている「Acer Ring」ボタン。タッチすると画面中央に大きなリングが表示され、リングの上下左右にはアプリのショートカットが、左側にはボリューム調整のスライドが配されている。

ホーム画面は標準的なAndroid 4.0の構成Acer Ring

 ショートカットは標準で「ブラウザ」、「ギャラリー」、「スクリーンショット」、「設定」の4つが用意されており、設定から自由にアプリの変更が可能。ブラウザをタップするとブックマークがサムネイルで表示され、スクリーンショットをタップするとAcer Ringが非表示になった状態でスクリーンショットを保存できる。Android 4.0は電源ボタンと音量ボタンの同時押しでスクリーンショットが撮れるようになったが、タッチ操作のみでスクリーンショットを保存できるのは手軽でありがたい。ただし、文字入力の際はAcer Ringが表示されないなど、すべての場面でスクリーンショットが撮れるわけではない。

 リングのインターフェイスを利用した機能としては、電源投入時やスリープ解除時にも「ロックスクリーンアプリ」という機能が用意されており、設定された4つのアプリケーションを選択するとホーム画面を表示せずに直接立ち上げることができる。標準では「ブラウザ」、「ギャラリー」、「検索」、「カメラ」が用意されており、すぐにカメラで撮影したい、という時には便利だ。ただし、ロックスクリーンアプリはパスワードやパターン入力を一切設定していない時にしか利用できないため、セキュリティを考えると利用は難しい。せっかくの便利な機能だけに、セキュリティ設定時でも利用できるような仕組みが欲しいところだ。

Acer Ringの設定画面ロックスクリーンアプリ。スリープ解除後の状態から直接カメラや検索などのアプリを起動できるロックスクリーンアプリ設定画面

 A700の解像度は1,920×1,200ドット(WUXGA)だが、見た目のアイコンサイズなどは10.1型1,280×800ドットのタブレットと変わらない。そのため一見すると他機種のタブレットと違いがわからないが、dpiは高いので、文字や画像がより精細に表示される。

1,280×800ドットのTransformer TF101のスクリーンショット。拡大すると大きさの違いがわかるA700でPC Watchを表示した際のスクリーンショットTF101のスクリーンショット
A700の画面を撮影TF101の画面を撮影。A700と比べると文字の精細さに欠ける

 高密度のRetinaディプレイを搭載した新しいiPadは、9.7型で2,048×1,536ドットの解像度で、dpiは264。これに対して10.1型で1,280×800ドットの一般的なタブレットの場合は149、A700の場合は224dpiであり、RetinaディスプレイのiPadほどではないものの、非常に密度が高いことが分かる。

 A700の画面はMicro HDMIを利用してTVに映し出すことも可能だ。ただし、前述の通り画面のインターフェイスは一般的なタブレットと同じデザインのため、TVに映し出すと他のタブレット端末との違いは感じられない。A700ならではの高密度を体感するには本体で利用する方がよいだろう。

HDMIケーブルで液晶TVに映し出したところ

 CPUは1.3GHzクアッドコアのTegra 3を搭載。「Quadrant Professional Edition」のベンチマークは、解像度が高いためか、同じTegra 3を搭載したTF201よりも低くなっているが、その他の機種を大幅に超える結果となった。Androidタブレットとしてはトップクラスのスペックといって良いだろう。YouTubeでフルHDの動画を再生したところ、1GHz デュアルコアであるTegra 2搭載の「TF101」ではところどころでカクカクしたコマ落ち表示になった動画も、A700ではスムーズに再生できた。

Quadrant Professional Editionの測定結果

【動画】A700を操作している様子

 ドルビーデジタルプラスは、はっきり音質の違いがわかるほど効果がある。手持ちのTF101やARROWS Tab LTEといったタブレットでは音がくぐもったり、高音部でシャリシャリした音になったのに対し、A700はそうした違和感をほとんど感じず迫力のある音が鳴る。日本エイサーの「持ち運べるホームシアター」というキャッチコピーも納得できる音質だ。

 バッテリ容量は9,800mAhと大容量で、モバイルルーターを併用して1日通信し続けていても十分持った。見た目に反してずっしりと重さを感じる本体は、これだけの大容量バッテリを搭載しているからかもしれない。

 カメラは背面に500万画素カメラ、前面に100万画素のカメラを搭載。機能はAndroid標準のカメラで、露出補正やホワイトバランスが設定できる程度のシンプルな作りになっている。写真も500万画素ということもあって、さほど画質は高くはなく、スナップ写真を撮る機能と割り切った方がいい。

作例。クリックすると500万画素(2,592×1,944ドット)の写真が開きます

 文字入力はATOKを標準搭載。これまで数々のアップデートを経ていくつもの機能が追加されていることもあり、推測変換の性能も高くショートカット入力も豊富で非常に使いやすい。ただし、Google Playで配信されている同名称のアプリとは異なる標準アプリとして組み込まれているため、一般向けのATOKと同じ機能を利用できるわけではない。先日ATOKに搭載されたタブレット向けインターフェイスなども現時点では対応していない。

 その他のアプリはインターネットラジオ「AUPEO!」、エイサー製プロジェクターへ画面を映し出せる「EquiView」、Tegra搭載機種向けコンテンツ配信サービス「TegraZone」、電子雑誌サービス「Zinio」など海外系アプリが標準で搭載されている以外は一般的なアプリが中心。Officeアプリとしては「Polaris Office」がプリインストールされており、WordやExcel、PowerPointといったファイルも閲覧できる。

文字入力はATOKを搭載Polaris OfficeでWordファイルを表示

 本製品は、フルHD超のディスプレイにクアッドコアのTegra 3を搭載、音響面でもドルビーデジタルプラスを搭載と、スペック面では現時点でトップクラス。インターフェイスもMicro HDMIやMicroUSB、microSDカードと必要充分なものが揃っており、バッテリも大容量と隙がない。また、先頃発表された最新のAndroid 4.1(Jelly Bean)への対応も予定されているようだ。

 コンテンツ面では独自のものは少なくオーソドックスだが、ハイスペックなタブレットが欲しいユーザーはもちろん、タブレットで写真や動画を楽しみたいユーザーにもお勧めの1台だ。

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(2012年 7月 20日)

[Text by 甲斐 祐樹]